あの場所に帰る

今は闇に包まれているけど
明日あの場所に帰る。

最初は
高い塔に閉じ込められた
悲劇のお姫様みたいに
窓から下ばかりを覗いていたけど

看護師さん達の
細部までわたるケア体制。
相方のサポート。
いつしか本当の
お姫様気分で過ごしてしもた。

さて
現実に戻らねば。

とりあえず
真っ先にする事は
チョコレートパフェを食べる。

じいさんと千羽鶴

面会時間外だというのに
じいさんが大事そうに
何か抱えてやってきた。

どうしたがーて？
まだ来ちゃダメんがーよ。

いやな、
何年かぶりに突然
妹から電話があったがーて。
お前の話したら
これ送って来てさ。



えっ・・・言葉に詰まった。
千羽鶴と短い手紙

13歳しか違わない
口が悪くて
でも気は良くて
私と顔がそっくりな叔母からだ。
すごく可愛がってもらっていた。

諸事情から
最後に会ったのは
３０年ほど前になる。

その時も
私が隠れタバコしてたら
叔母も来て
「お前もか」なんて
一緒に隠れタバコ。

「お前、何で私に似ちゃったんだ」
とか言ってくるし。

正直で
真っ直ぐな
大好きな叔母。

うちのじいさんから話を聞いて
そんなに日が経っていないのに
自営なんで忙しいだろうに
徹夜で折ったんかな？

千羽鶴見た瞬間
叔母の気持ちがバーンと来た。
たぶん
じいさんもバーンと来て
病院の掟やぶりしたがーろな。

千羽鶴
折りし人の心知る