現代日本人文芸

現代に生きる日本人の文芸です。小説、エッセイ、俳句、短歌、川柳、現代詩、日本の伝統文芸を愛し新しい日本の文芸を創作

現代日本人文芸:二宮正治小説:小池百合子をひとりで歩かせてはならない:第138回:フィクション

2017-03-19 08:18:46 | 日記

「オレはね、あの豊洲移転問題は大きな力が働いているんじゃないかと思っているんだ。君たちはどう思う」

 Nは真剣な顔をして仲間を見た。

「おれたちもそう思っているよ。でもどうほじくっても石原慎太郎氏のところで終わるんじゃないの」

 仲間の洞察力は鋭い。

「森友学園の件は日本の闇が垣間見えるが、この豊洲移転問題においても日本の闇がチラチラするなあ」

 Nはため息混じりにこう言ってまた仲間を見た。

「利権が絡んでいるんだろうねえ」

「それそれ」

「ジャーナリスト達はこの闇を追求できないようだから、Nさんこの豊洲問題の闇を暴いたらどうだい」

 仲間が真剣な顔をしてNを見る。

「証拠が何一つないんだ。大物が動いたという」

「へえ・・・・・・・・・」

 Nは大きなため息をついて、

「日本の闇を追求するのは簡単な事ではないんだ」

 こう言うのだった。