羅布泊通信

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リズモドシ Liner Note

2008-09-06 01:40:08 | sonota
少し前の話になりますが、直嶋岳史さんのレーベルencadreから、平間貴大のCD「リズモドシ」が発売になりました。
http://encadrecatalog.blogspot.com/
初めてライナーノートというものを書かせていただきました。
これはジャケットは僕ではないです(てかこれだけジャケと音のイメージが違うCDも珍しいような…)。
ライナーは、僕の他に伊東篤宏さんと秋山徹次さんが書いています。
正直恐縮です。



これは無理をすれば5BPMで失速中の「アンビエント・テクノ」とやらに聴こえない事もないかと思ったが、やっぱそれはチと違うな。かと言って聴く事も無視する事も出来る音楽(byイーノ先生)ともどこか決定的に異なる。そもそもこれが音楽かどうかは私にとってはどうでもよい事だし、カセットによる平間宅のフィールドレコーディングっちゃあ、そのまんまだが、気が付くと誰にでも見えてしまう背後霊の様なこの作為的な録音物は、そっけない様で意外に心地良く、私の部屋のどこにも溶け込まずに響く。この違和感はささやかだが、とても大事な事だと思う。

ーー伊東篤宏


政治は常に日常との折衝ではあるが、時として牙を剥くのはいつも個人である。ある限界を超えようとした瞬間に垣間見られる高揚自体は、それ自身から発露される行為そのものよりも高貴にならざるを得ない。自身に自覚的であるということは一片の波の飛沫をも大切にするということである。微細に寄り添い、空気を再配置し、帰路期を放棄し、完成を求めないのではなく未完成を希求する。通りすがりのままでいるのは容易であるが、脅迫された世界から大切なものを救い出すために必要なことは一連のこのような運動である。

ーー秋山徹次


平間の作るものを見て、その制作言語の多様さに触れるたび、「クオリティ」や「モチベーション」などといった言葉がえらく陳腐なものに思えてきます。彼に(音楽に限らず)何をやらせても、大抵何かに「なってしまい」ます。しかもそのことについて決して悪びれることなく確信犯的で、彼なりの必然性をもって制作の血肉にしています。それは絵を描いている僕にとって脅威です。

リズムマシンが鳴っている、犬が鳴いている。
OK!

このCDはほんの一端にしか過ぎませんが、ここから平間の広大な作品世界に触れる人が一人でも増えてくれることを願います。

ーー齋藤祐平 (Hint And Gesture)

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