先日,6民訴訟の控訴審の第1回期日が,大阪高裁2民事部で行われました。
その期日では,まず最初に,裁判長により「原審記録に基づいて」原審口頭弁論の結果を陳述するということが述べられました。
ポイントは,裁判長が「原判決記載のとおり」陳述すると述べられたのではない,という点です。
民事訴訟法296条2項は,「当事者は,第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない。」とされています。
この結果陳述のやりかたには,2つのやり方があります。それが
「原判決記載のとおり原審口頭弁論の結果陳述」
という場合と,
「原審記録のとおり原審口頭弁論の結果陳述」
という場合です。
これらの2つのやり方には,実は,大きな違いがあります。
前者の「原判決記載のとおり原審口頭弁論の結果陳述」という場合は,原審で当事者が行っていた主張などについては,原審判決の事実摘示欄(当事者の主張などが書かれた箇所のことです。)に整理して記載されたとおりであったとして,控訴審でも扱われることになります。例えば,実際に当事者が原審で行った主張と,原審判決の事実摘示に記載された主張とに食い違いがあったとしても,控訴審では,原審判決の事実摘示中の主張が当事者の主張であったとして審理が行われてしまうということになります。
後者の「原審記録のとおり原審口頭弁論の結果陳述」という場合は,原審で当事者が行っていた主張などについては,原審で実際に当事者が行ったとおりであったとして,控訴審で扱われることになるのです。
実は,これまでに控訴審に移行した一連の関連訴訟では,原審口頭弁論の結果を「原判決記載のとおり」陳述となったことは,一度もありません。まさに,原判決で私たちの主張を正確に理解しなかったり,当事者が主張すらしていない事実を前提に不意打ち的な判断をしてきたことの現れだと思います。
(つづく)
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