京都中央信用金庫(中信)被害者の会

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大阪高裁で勝訴判決をもらいました!①

2021年10月29日 11時10分21秒 | 日記

大阪高裁で勝訴判決をもらいました。

 

大阪高裁は,ごくごくまっとうな判断をして,一部私たちの主張が認められなかった箇所はあったものの,基本的には私たちの主張を認めて中信の不正を断罪しました。

この判断に至るまでに,担当の裁判官は,何度も口頭弁論期日や進行協議に非常に熱心に取組まれ,双方当事者に分からないことを分からないままにせず,率直な疑問点をぶつけてこられるという,文句のつけようのない訴訟指揮をされました。訴訟指揮でなされた結果と判決で触れられていることがきちんと対応もしていました。不意打ち判決でもありませんでした。これから,3回に分けて,大阪高裁の判決を見ていきます。

 

これまで,ブログでは,定期預金の訴訟について,
定期預金担保貸付とは(定期預金の「解約・払戻」とは?①)
定期預金担保差入証とは(定期預金の「解約・払戻」とは?②)
記録上は「相殺」処理されていること(定期預金の「解約・払戻」とは?③)
記録に反して「解約・払戻し」だと主張していること(定期預金の「解約・払戻」とは?④)
記録に反して「解約・払戻し」だと主張していること(定期預金の「解約・払戻」とは?⑤)
という記事で論点を紹介してきました。


また,預金の預金等払戻請求権の帰属について,
預金者であることが明らかであるにもかかわらず「預金の出捐」自体を争う中信(休眠預金は誰のもの?③)
という記事で紹介しました。

これらの点について,私たちの主張が大阪高裁で認められましたので,こちらで紹介したいと思います。大阪高等裁判所第3民事部で,令和3年10月8日に言渡された判決です。以下のこの判決のことを,「大阪高裁3民判決」と呼ぶことにします。


早速,判決文を見ていきましょう。
まず,「預金等払戻請求権の帰属(争点①)について」です。過去にこのブログで,「預金者であることが明らかであるにもかかわらず「預金の出捐」自体を争う中信(休眠預金は誰のもの?③)」というタイトルで紹介した論点です。

まず,大阪高裁3民判決は,

「イ 記名式定期預金契約において,当該預金の出捐者が他の者に金銭を交付して記名式定期預金をすることを依頼し,この者が預入行為をした場合,預入行為者が自己の預金とする意図で記名式定期預金をしたなどの特段の事情のない限り,出捐者をもって記名式定期預金の預金者と解すべきである。なぜなら,記名式定期預金契約が締結された段階では,金融機関は,預金者が何人であるかにつき格別利害関係を有するものではないから,出捐者の利益保護の観点から,上記のような特段の事情のない限り,出捐者を預金者と認めるのが相当であり,また,金融機関も,預金者と定めた者が真実の預金者と異なったとしても,金融機関として尽くすべき相当な注意を用いたときには,民法478条の適用又は類推適用によって,表見預金者に対する払戻しや相殺をもって真実の預金者に対抗することができ,これにより,真実の預金者と金融機関との利害の調整が図られるからである。
以上の考え方は,記名式定期積金にも当てはまる。」

という一般論を提示しました。

そして,

「本件各預金については,①名義人が(Sさん)であること,②出捐者として可能性のある者が(Sさん)以外に認められないこと,③(Sさん)以外に権利者であると主張する者がいないことから,本件各預金の払戻請求権は,(Sさん)に帰属すると認めるのが相当である。」

と判断しました。

これに対して,中信は,本件各預金がT商会,M社又はAさんのいずれかに帰属する旨主張していました。

しかし,大阪高裁3民判決は,以下のように述べて,中信の主張を排斥しました。

すなわち,

預金の名義人以外の者が当該預金の権利を主張していない状況において,当該預金を受け入れた金融機関から,名義人以外の者が預金者であると主張することは異例なことというほかないが,このような異例な主張に沿う証拠は見い出せない。

と判断したのです。

つまり,
・中信の主張が「異例である」ということ,そして,
・「このような異例な主張に沿う証拠は見い出せない。」
と断言して,中信の主張がおかしいと判断したのです。

私たちは,過去のブログでもお伝えしてきたように,

・中信は,定期預金担保差入がなされたとされる当時,中信担当職員自らが,定期預金担保差入証の「面前自署確認」欄に定期預金者本人の面前自署を徴求したと記載し,また,保証人意思確認票においても本人に担保提供の意思確認をしたと記録していたこと。
・つまり,定期預金名義人を預金者として扱っていたこと。
・にもかかわらず,中信は,訴訟になると,定期預金の資金は預金名義人のものではなく,預金名義人は預金者ではないとして「預金の出捐」自体を争って払戻を拒否しはじめたこと。

を指摘し,中信の主張おかしさを指摘してきました。

 

こうした主張のおかしさを,大阪高裁3民判決も認めたのです。

 

次の記事では,大阪高裁3民判決で預金元帳(COM)の実質的証拠力について判断された箇所を見ていきます。