京都中央信用金庫(中信)被害者の会

このブログは、京都中央信用金庫(中信)被害者の会を立ち上げるに当たり開きました。

大阪高裁13民判決のおかしさについて③ ~ 当事者双方ともに主張していないことを認定 ?

2020年07月28日 11時50分16秒 | 日記

前回の記事では,「合意がないのに合意の効果が発生すると認めたこと」のおかしさについて説明しました。

 

今回の記事は,「当事者双方ともに主張していないことを認定したこと」についてです。

 

当事者のいずれもが主張していない事実を判決の基礎としてはならない,というルールが民事訴訟法にあります。

 

「弁論主義」と呼ばれるルールです。

 

つまり,当事者双方ともに主張していない事実であるにもかかわらず,裁判所がそういう事実があったということを前提に判断してはいけないのです。つまり,裁判所は,当事者が言ってもいないことを作話して判決の根拠とするのは,弁論主義というルールに反するのです。

 

こんなことを許してしまうと,不利な判決を受けた方の当事者にとって,反論をする機会を奪われてしまうことになるので,手続保障や手続的正義という民事訴訟という手続法において最も大切にしている価値観をないがしろにしてしまうからです。

 

にもかかわらず,大阪高裁13民判決は,双方の当事者がいずれも主張していない事実を前提に判決を下したのです。

 

 

具体的に見てみましょう。

 

 

本件では,「信用金庫取引約定書」と「金銭消費貸借証書」の作成経緯が問題になりました。

 

この点について,中信側は,「当時の担当者I他担当者は退職していて所在不明であり」,これらの書面の「作成が具体的に何時何処でなされたか不明である。」と主張していました。

 

また,原告側も「融資の合意があったからこそ,Hは,Aを通じて,回覧板方式で,内容白紙の金銭消費貸借証書などに署名押印したのである」と主張していまた。

 

つまり,中信側も,原告側も,担当者の説明があったことや,その説明を了解していたということなどは,いずれも主張していなかったのです。

 

にも,かかわらず,大阪高裁13民判決は,このような判断をしました。

 

つまり,「控訴人A及び控訴人Mが,…本件貸付け実行当日には,確定した本件貸付けの金利及び元利均等返済方式による分割弁済額等の説明を受け,その内容を了解の上,本件貸付けの実行を受けたと認めるのが合理的であって」という判断をしたのです。

 

繰り返しますが,中信側も,原告側も,担当者の説明があったことや,その説明を了解していたということなどは,いずれも主張していません。

 

にもかかわらず,大阪高裁13民判決は,担当者の説明があったこと,その説明を了解していたことを認定したのです。

 

こんな判断が許されるなら,裁判官は「弁論の全趣旨」に名を借りて,当事者が主張してもいない事実を作話して,それに基づき一方当事者に偏った差別的な判決が許されることになってしまいます。

 

実際,私たちは,このような差別的な判決を受けてしまいました。

 

もし,大阪高裁13民判決のようなやり方が許されるなら,今後は,裁判官の裁量の権限がさらに大きくなってしまうことになります。いわば,独断と偏見で,弁論主義という民事訴訟のルールに違反した判決が生み出されることになってしまいます。

 

こんなことでは,金融機関という巨大権力が行った不正について,一般国民が提訴すると,逆に,裁判官の作話によって責任を負わされることになってしまいます。

 

そんな状況では,誰も裁判所に権利救済を求める者はいなくなってしまいます。不正は,暴かれないまま闇に葬り去られてしまいます。

 

こんなことが許されていいのでしょうか?


大阪高裁13民判決のおかしさについて② ~ 合意がないのに合意の効果が発生する?

2020年07月27日 09時58分29秒 | 日記

前回の記事では,大阪高裁13民判決には,大きく分けて「7つのおかしい点」があると述べました。

 

それでは,いったい「7つのおかしい点」とは何なのでしょうか?

 

そのアウトラインから,まず説明していきます。

 

まず,ひとつめ。

 

「合意がないのに合意の効果が発生すると認めたこと」です。

 

大阪高裁13民判決は,「約定利率の合意の点で,合意の欠缺という瑕疵があったとしても…」と判断し,約定利率の合意がないと認定しました。つまり,約定利率についての合意がないと判断したのです。

 

にもかかわらず,大阪高裁は,Hさんらには損害がないからという理由で,Hさんらにも,その間の約定利率に基づく利息の支払いを命じたのです。つまり,利息(=約定利率の合意があったことによる法律効果)が発生すると判断したのです。

 

すなわち,大阪高裁13民判決は,合意がないのに合意の効果が発生するというこを認めたのです。

 

合意がない契約は不成立です。これはあたりまえのことです。

 

こんな大阪高裁13民判決のような判断がまかりとおってしまった場合,今後は,合意に至らなかった契約であってもその契約内容に拘束されてしまうということになりかねないことになります。ひいては,契約に臨む全ての人々が,合意にまで至っていない契約内容に拘束されるということになってしまい,実際の取引の場・取引社会に混乱をもたらすことになってしまいます。


大阪高裁13民訴訟のおかしさについて①

2020年07月21日 09時39分33秒 | 日記

これから,大阪高裁13民訴訟(京都地裁2民訴訟)のおかしな点について,述べていきたいと思います。

 

私たちは,大阪高裁13民判決は,大きく分けて7つのおかしい点があると考えています。

 

その7つのおかしい点というのは,憲法違反,法令違反,判例違反があるということです。

 

しかも,それだけに留まりません。

 

これまで,歴代の最高裁判所裁判官をはじめ,先人の法曹や研究者によって,法概念・法理論が連綿と形成されてきたという歴史があります。

 

大阪高裁13民判決は,その長年にわたって形成されてきた法概念・法理論をひっくり返してしまうことを認めるような判決なのです。

 

そうすると,法実務に極めて大きな混乱(今後事件を担当する裁判所をはじめとする法曹界,社会における取引の現場における混乱)を招くことになるでしょう。

 

この判決を悪用して,違法なことをする輩も出てくるでしょう。

 

そのことについて,これから詳しく述べていきます。