京都中央信用金庫(中信)被害者の会

このブログは、京都中央信用金庫(中信)被害者の会を立ち上げるに当たり開きました。

法務局を欺いて登記をした?(3/3)

2022年04月06日 09時56分26秒 | 日記

(6)乙160の1記載の取締役全員が特別利害関係人であるにもかかわらず議決している事実

 

M社商業登記簿謄本及びT商会商業登記簿謄本の各記載から、乙160の1に出席取締役として名を連ねているHさん、Aさん、M子さん、Sさんの全員が、担保提供を受ける側のT商会の役員であり、担保提供する側のM社の役員として特別利害関係人となるということが分かります。

 

したがって、Hさん、Aさん、M子さん、Sさんの全員が議決権を有しません。そうした事実の確認を、法務局が怠り、申請を受理して登記することはありえません。

 

(7)中信職員Oによる偽造がなければ乙160の1では登記申請は受理されない事実

 

中信職員Oは、誰から受け取ったかは分からないが、乙160の1を受け取った時点では、記載内容空欄のある未完成な書類であったと証言していました。そして、また、誰から聞き取ったかも分からないが、何者かから聞き取った記載内容を、乙160の1の文中空欄部分に、O本人が手書き記載したと証言していました。

つまり、仮に乙160の1が、真にM社が作成した議事録であるなら、M社の重要書類に対して何ら権限を持たないOの手書き記入をすることは、明らかに偽造です。

 

(8)法務局が「利益相反取引」において特別利害関係人であることに気が付かず、登記することはあり得ないこと

そもそも、登記申請書類をチェックすべき法務局が、旧商法265条に該当する本件「利益相反取引」において、「乙2」「乙1の2」「乙6」「乙160の1」「乙160の3」の申請書類に繰り返し登場する「Aさん」が、利益相反者であり、特別利害関係人であることに気が付かず、登記することはあり得ません。

 

したがって、仮に、金融機関である中信が、自らの利益のため、第三者に保証を求め、その財産に、本件利益相反取引にかかる根抵当権の設定登記申請を行うにあたり、旧不動産登記法35条1項4号に基づき、提出が義務付けられている上記各申請書類を提出していた場合、法務局は、個人・法人の財産である不動産に、様々な権利を登記する重要な職掌から、上記のような、「Aさんが利益相反者・特別利害関係人」である事実を失念したなどの過失は許されるということは、ありえません。また、そのような過失が起こり得る余地はありません。

そして、事実として、この起こり得ない「根抵当権設定登記」が現実になされているのは、中信による違法な登記申請による以外にありません。すなわち、中信は、旧商法265条1項に該当する本件「利益相反取引」を前提とした「根抵当権設定登記」の申請にあたり、乙160の1では法務局で登記申請が受理されないため、乙160の1以外の取締役会議事録を偽造するか、あるいは、旧不動産登記法35条1項4号に反して、本件登記申請が「利益相反取引」である事実を秘して法務局登記官を欺き、「Aさん」が利益相反者・特別利害関係人である事実が明らかになる申請書類を除外・削除して提出することを当時の中信理事らも承認決裁して違法な登記を行ったと考えるほかありません。

そして、真実を知るAさんが、自らの罪を認め、それぞれの裁判で主張立証するとおり、現在の中信理事らは、少なくとも、これら違法な登記に基づいた競売である事実を知りながら、積極的に様々な虚偽を述べ、裁判所を欺いています。

 

(9)法務局が登記申請を受理するはずがない

これまでに見てきた(1)~(8)にかかる補正や修正について、「捨印」もない乙160の1に対し、仮に中信職員もしくは、中信が依頼した司法書士が、加筆・修正・抹消・削除等を行ったと仮定しても、法務局が登記申請を受理するはずがありません。

 

(10)乙160の1の補正は不可能です。

実際に、返還された乙160の1は補正されていた痕跡はありません。したがって、旧商法265条、及び、旧不動産登記法35条1項4号に基づく、適法な根抵当権設定登記であれば、適正な登記申請書類として、新たな取締役会議事録が必須となります。

乙160の1記載の「議案」「議決」の各内容の変更、Hさんが議長として議決を求め、無権限者に議案内容を説明し、無権限者を含めた全員が承認していることについて、「議案内容」や「議決経緯」の変更(補正)が必要となるが、これら補正内容は、乙160の1に、何らかの加筆や修正によって補正できるものではありません。事実、返還を受けた乙160の1の原本を視認しても、そのような加筆修正は存在しません。したがって、新たに取締役会を開催し、承認決議を経て、新たな取締役会議事録を作成して、法務局に提出しなければ、本件登記申請は受理されないのです。

 

(11)さいごに

その結果、上記(1)~(10)の一つでも満たされなければ乙160の1は、法務局において登記申請が受理されず、登記は不可能であったのです。

したがって、平成4年12月28日付M社名義でのT商会の中信に対する全ての債務に対する不動産の担保提供や連帯保証に関し、乙2、乙6、乙160の1を用いて法務局に登記申請を行い、M社取締役会の承認決議を経た適正有効な登記であるという中信及び中信理事らの主張は虚偽であることは明らかです。


法務局を欺いて登記をした?(2/3)

2022年04月06日 09時52分19秒 | 日記

(1)M社の実印捺印及び登記所発行の印鑑証明書の添付がないこと

乙160の1をご覧下さい。M社の取締役会議事録です。

代表取締役Hさんの欄にはHさん個人の実印が捺印されています。そして、添付されていた印鑑証明書は、「市区町村発行」の印鑑証明書でした。

しかしながら、旧商法265条の利益相反取引を承認した旨の取締役会の議事録を、登記申請書類として添付をする場合には、法人の実印捺印に加え、代表取締役については「登記所発行」の印鑑証明書の添付が義務付けられています(「昭和39年4月6日付民事甲第1287号民事局長通達」及び「昭和45年8月27日付法務省民事三発第三課長回答」)。「市区町村発行」の印鑑証明書では、登記申請は受理してもらえません。

 

したがって、乙160の1では、法務局で登記申請は受理されず、登記は不可能でした。

 

(2)乙160の1の押捺と印鑑証明書の印影の齟齬

 

乙160の1に出席取締役として署名捺印のある「Xさん」名下の印影は、印鑑証明書の印影とは異なります。

 

したがって、法務局は、捺印と印鑑証明書に齟齬がありますので、登記申請を受理しません。

 

(3)Hさんが「議長」として議事進行を行っている事実

Hさんと会社との取引ですので、Hさんは、特別利害関係人にあたります。そして、中信も、Hさんが特別利害関係人(旧商法260の2第2項)であると認めています。

そうしたHさんが、「議長」を務めて議事進行していることから、乙160の1による取締役会承認決議は、そもそも無効です【最高裁平成4年9月10日判決・資料版商事法務102号123頁、東京高裁平成8年2月8日判決・資料版商事法務151号142頁、中信代理人作成の「御池ライブラリー」】。

 

(4)Aさん及びHさんが議決している事実

乙160の1記載の「議決」内容及び乙2記載の「契約」内容から、特別利害関係人(旧商法260条の2第2項)として議決権のないはずのAさん及びHさんが議決しているとされています。

 

このことは、乙160の1の記載をみればすぐに分かります。

 

したがって、乙160の1に、何らの補正や修正もなされないまま、適正な登記申請書類(取締役会議事録)として登記申請は受理されることはありません。

 

(5)取締役ではない複数の人物が議決権を行使している事実

M社商業登記簿謄本の「役員に関する事項」欄の記載から、乙160の1の出席取締役とされているK子さん及びXさんは、M社の取締役ではないことが分かります。

 

そして、議決権を有しない者が記載されていないかどうかの確認を法務局が怠ることはあり得ません。

 

したがって、乙160の1に、何らの補正や修正もなされないまま、適正な登記申請書類(取締役会議事録)として登記申請は受理されることはありません。


法務局を欺いて登記をした?(1/3)

2022年03月23日 17時41分38秒 | 日記

金融機関が第三者である保証人の不動産を競売にかけて債権の回収をする場合、真正な債権書類に基づいて、かつ、適正な手続きに基づいて進めて行くのは当然です。また、登記という法務局に設定された記録に基づいているのも当然です。

それは、法律で定められていますし、それ以前に、社会のルールでもあります。

 

しかし、その債権書類が偽造されていた場合はどうでしょうか?

登記ができるはずがない書類によって、法務局を欺いて登記をしていた場合はどうでしょうか?

そんな登記に基づいて、保証人の不動産を競売にかけて債権の回収をすることはどうでしょうか?

 

それが、実際に行われてしまったのが、今回の事件なのです。

 

今回の事件では、金融機関がこうした不正をしたという確たる証拠が、多数あります。

 

そして、こうした不正が発覚した当初、金融機関でも調査が行われ、その結果、金融機関の理事らは、本件の契約の「瑕疵」を認めました。そして、謝罪と共に、無条件で、本件登記を解除する旨の和解案を示していました。

 

ところが、被害者たちが、真実を究明するため、これまでのすべての関連書類の開示を求めたところ、突然、金融機関は「昔のことだから、記憶にありません」との弁解をはじめたのです。

 

にもかかわらず、現在、債権回収をするために、その「記憶にありません」という登記手続を根拠に競売を強行してきているのです。

 

自分は何も知らない間に、親戚が金融機関から借り入れているというだけで、自らの財産が無なってしまうのです。こんなことがまかり通って良いのでしょうか?

 

こんなことがまかり通ってしまうのであれば、問題は、本件事件だけに留まりません。すべての預金者や、国民にも同じことができることになってしまい、金融機関への信頼は崩壊し、金融という機能自体が不全に陥ってしまうでしょう。

 

さて、乙160の1という証拠があります。これは、M社の取締役会議事録です。

 

まず、この乙160の1では、法務局は登記を受け付けないということについて、説明していきます。

 

テーマは、次のようになります。

(1)M社の実印捺印及び登記所発行の印鑑証明書の添付がないこと

(2)乙160の1の押捺と印鑑証明書の印影の齟齬

(3)Hさんが「議長」として議事進行を行っている事実

(4)Aさん及びHさんが議決している事実

(5)取締役ではない複数の人物が議決権を行使している事実

(6)乙160の1記載の取締役全員が特別利害関係人であるにもかかわらず議決している事実

(7)中信職員Oによる偽造がなければ乙160の1では登記申請は受理されない事実

(8)そもそも、登記申請書類をチェックすべき法務局が、旧商法265条に該当する

(9)法務局が登記申請を受理するはずがない

(10)乙160の1の補正は不可能であること

 

次からの記事で、詳しくみていきましょう。


大阪高裁で勝訴判決をもらいました!③

2021年11月02日 15時41分25秒 | 日記

前回の記事では,「預金元帳(COM)の実質的証拠力」について検討しました。

 

今回は,「本人の意思確認がなされていなかったこと」「面前自署確認欄のねつ造」「Aさんへの授権もなかったこと」を見ていきます。

 

まず,大阪高裁3民判決は,

「本件担保差入証①の担保差入人兼連帯保証人欄には,(Sさん)名義の署名と本件届出印による印影が表示されているところ(乙3~5),(Sさん)は,上記署名が自署であること及び上記印影が第1審原告の所持する印章により顕出されたものであることをいずれも否認しており,上記署名や本件届出印が(Sさん)の所持するものであることを認めるに足りる的確な証拠もないから,本件担保差入証①の成立の真正を認めることはできない。

として,本件担保差入証①の成立の真正を否定しました。

 

そして,次に,

「また,本件担保差入証①には,第1審被告中信の従業員である(行員O)が作成した保証人意思確認票が添付されているところ,これには,「平成7年1月30日午前11時30分,事務所において,(Aさん)の同席の下,(Sさん)と面接し,担保差入の意思確認を行った」旨記載されている。しかしながら,(Sさん)は,当審における本人尋間において,(行員O)と面談したこと自体を否認しており,(行員O)も,別件訴訟(京都地方裁判所平成25年(ワ)第1508号,平成26年(ワ)第3640号)で令和元年9月24日に行われた証人尋問において,東山支店に勤務していた当時(平成5年9月から平成10年9月まで),家族名義の定期預金を担保とする融資取引が継続している顧客に対しては,保証人本人の意思確認が徹底して行われていたわけではないことを認める旨の供述をしている(乙143)。そうすると,上記保証人意思確認票の記載をもって,直ちに(Sさん)の保証意思の確認が行われたことを認めることはできない。」

と判断して,Sさんの意思確認が行われていなかったこと,保証人意思確認票(面前自署確認欄)のねつ造があったことを認めました。

 

さらに,

「そして,前記前提事実(1),(2)カのとおり,(Sさん)は,(T商会)の経営者一族の一員であるとともに,同社や(M社)の取締役の地位にあったこともあり,平成14年10月1日には,同中信に対し,信用保証委託契約書(甲333)をもって,(T商会)の同中信に対する債務を連帯保証したことがあるものの,これらの事実から,直ちに同中信に預けた自己名義の預金の全てを(T商会)や(M社),(Aさん)の債務の担保に供する意思を有していたと推認することもできず,他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。」

として,中信の主張する一族一体化論を一蹴しました。

 

そして,結論として,

「以上によれば,本件担保差入証①が(Sさん)の意思に基づいて作成されたものと認めるに足りる証拠はないというほかなく,(Sさん)から(Aさん)に対し担保預金の払戻しについて授権されていたと推認する余地もない。よって,本件預金1~7については,(Sさん)の意思に基づくことなく,(Aさん)によって払い戻された上,(Aさん)らの債務の弁済に充当されたと認めるほかない。」

と判断をして,中信の不正を断罪したのです。

 

このように,大阪高裁3民判決は,ごくごくまっとうな判断をして,一部私たちの主張が認められなかった箇所はあったものの,基本的には私たちの主張を認めて中信の不正を断罪したのです。

 

この判断に至るまでに,担当の裁判官は,何度も口頭弁論期日や進行協議に非常に熱心に取組まれ,双方当事者に分からないことを分からないままにせず,率直な疑問点をぶつけてこられるという,文句のつけようのない訴訟指揮をされました。訴訟指揮でなされた結果と判決で触れられていることがきちんと対応もしていました。不意打ち判決でもありませんでした。

 

この大阪高裁3民判決の理屈は,とてもシンプルで分かりやすいものです。これまでに出された京都地裁6民判決の「本人が契約を知っていた論」や,大阪高裁13民判決の「合意がないのに合意があった効果を認める論」のような論理が飛躍したアクロバティックな屁理屈でもありません。おそらく,この判断は,仮に上告されたとしても最高裁で維持されるでしょうし,現在も継続している他の裁判でも当然に同様の判断がなされるべきです。

 


大阪高裁で勝訴判決をもらいました!②

2021年11月01日 15時37分41秒 | 日記

前回の記事では,「預金等払戻請求権の帰属(争点①)について」の判断について検討しました。

 

今回は,「預金元帳(COM)の実質的証拠力」についてです。過去に,このブログ

京都地裁6民訴訟判決のおかしさについて(その⑪・「知っていた」論のおかしさ・その4)

という記事で紹介をした論点です。

 

預金元帳(COM)というのは,中信側が提出してきた取引に関する電算記録のことです。

 

 

しかし,金融機関が作成した電算記録については,東京スター銀行に関する最高裁平成19年4月24日判決という判例があります。

 

その原審である東京高裁平成17年1月19日判決では,「金融機関が定期預金払戻等(債務の弁済)をした旨の取引明細表等,当該金融機関の取引に関する電算記録は,当該定期預金の払戻しをうかがわせる記録があっても,当該金融機関において作成されたものであるから,これのみによっては、弁済の事実を認めることはできない。」とされています。

 

 

したがって,そもそも預金元帳(COM)自体は,払戻が有効になされたことを証する資料でもなければ,ましてや,預金者本人に対して払い戻されたことを示すものでもないのです。

 

また,私たちは,預金元帳(COM)の記載内容自体が中信に都合のよいように改ざんをしたとも考えています。

 

にもかかわらず,中信は,本件各預金の預金元帳・定期積金元帳(乙12,57)に本件各預金が払い戻されたことが記録されていることから,これにより,本件各預金が有効に弁済されたことが認められる旨主張していました。

 

そして,大阪高裁3民判決は,以下のように判断して,中信の主張を排斥しました。

 

「しかしながら,同預金元帳が正確に事実を記録したものであるとしても,同預金元帳上の払戻しの記録は,第1審被告中信が当該預金の払戻しの手続を行った事実を証明するにとどまり,その払戻しが当該預金の真の預金者又は同人から払戻しの授権を受けた者に対してなされた事実までを証明するものとはいえない。」「よって,第1審被告中信の上記主張を採用することはできない。」

 

こう判断したのです。

 

「中信が払戻しの手続を行った事実を証明するにとどまり,その払戻しが当該預金の真の預金者又は同人から払戻しの授権を受けた者に対してなされた事実までを証明するものとはいえない」という箇所は,東京スター銀行の裁判例と同様の判断を示しました。このように,預金元帳(COM)の記載から客観的に読み取れるごくごく当たり前の判断を示したのです。

 

また,「同預金元帳が正確に事実を記録したものであるとしても」ということもしめされており,預金元帳(COM)が改ざんされた可能性がありうるということも,認めています。

 

次の記事では,「本人の意思確認がなされていなかったこと,Aさんへの授権もなかったこと」について見ていきます。