京都中央信用金庫(中信)被害者の会

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大阪高裁で勝訴判決をもらいました!③

2021年11月02日 15時41分25秒 | 日記

前回の記事では,「預金元帳(COM)の実質的証拠力」について検討しました。

 

今回は,「本人の意思確認がなされていなかったこと」「面前自署確認欄のねつ造」「Aさんへの授権もなかったこと」を見ていきます。

 

まず,大阪高裁3民判決は,

「本件担保差入証①の担保差入人兼連帯保証人欄には,(Sさん)名義の署名と本件届出印による印影が表示されているところ(乙3~5),(Sさん)は,上記署名が自署であること及び上記印影が第1審原告の所持する印章により顕出されたものであることをいずれも否認しており,上記署名や本件届出印が(Sさん)の所持するものであることを認めるに足りる的確な証拠もないから,本件担保差入証①の成立の真正を認めることはできない。

として,本件担保差入証①の成立の真正を否定しました。

 

そして,次に,

「また,本件担保差入証①には,第1審被告中信の従業員である(行員O)が作成した保証人意思確認票が添付されているところ,これには,「平成7年1月30日午前11時30分,事務所において,(Aさん)の同席の下,(Sさん)と面接し,担保差入の意思確認を行った」旨記載されている。しかしながら,(Sさん)は,当審における本人尋間において,(行員O)と面談したこと自体を否認しており,(行員O)も,別件訴訟(京都地方裁判所平成25年(ワ)第1508号,平成26年(ワ)第3640号)で令和元年9月24日に行われた証人尋問において,東山支店に勤務していた当時(平成5年9月から平成10年9月まで),家族名義の定期預金を担保とする融資取引が継続している顧客に対しては,保証人本人の意思確認が徹底して行われていたわけではないことを認める旨の供述をしている(乙143)。そうすると,上記保証人意思確認票の記載をもって,直ちに(Sさん)の保証意思の確認が行われたことを認めることはできない。」

と判断して,Sさんの意思確認が行われていなかったこと,保証人意思確認票(面前自署確認欄)のねつ造があったことを認めました。

 

さらに,

「そして,前記前提事実(1),(2)カのとおり,(Sさん)は,(T商会)の経営者一族の一員であるとともに,同社や(M社)の取締役の地位にあったこともあり,平成14年10月1日には,同中信に対し,信用保証委託契約書(甲333)をもって,(T商会)の同中信に対する債務を連帯保証したことがあるものの,これらの事実から,直ちに同中信に預けた自己名義の預金の全てを(T商会)や(M社),(Aさん)の債務の担保に供する意思を有していたと推認することもできず,他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。」

として,中信の主張する一族一体化論を一蹴しました。

 

そして,結論として,

「以上によれば,本件担保差入証①が(Sさん)の意思に基づいて作成されたものと認めるに足りる証拠はないというほかなく,(Sさん)から(Aさん)に対し担保預金の払戻しについて授権されていたと推認する余地もない。よって,本件預金1~7については,(Sさん)の意思に基づくことなく,(Aさん)によって払い戻された上,(Aさん)らの債務の弁済に充当されたと認めるほかない。」

と判断をして,中信の不正を断罪したのです。

 

このように,大阪高裁3民判決は,ごくごくまっとうな判断をして,一部私たちの主張が認められなかった箇所はあったものの,基本的には私たちの主張を認めて中信の不正を断罪したのです。

 

この判断に至るまでに,担当の裁判官は,何度も口頭弁論期日や進行協議に非常に熱心に取組まれ,双方当事者に分からないことを分からないままにせず,率直な疑問点をぶつけてこられるという,文句のつけようのない訴訟指揮をされました。訴訟指揮でなされた結果と判決で触れられていることがきちんと対応もしていました。不意打ち判決でもありませんでした。

 

この大阪高裁3民判決の理屈は,とてもシンプルで分かりやすいものです。これまでに出された京都地裁6民判決の「本人が契約を知っていた論」や,大阪高裁13民判決の「合意がないのに合意があった効果を認める論」のような論理が飛躍したアクロバティックな屁理屈でもありません。おそらく,この判断は,仮に上告されたとしても最高裁で維持されるでしょうし,現在も継続している他の裁判でも当然に同様の判断がなされるべきです。

 


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