大阪高裁13民判決は,HさんとSさんについて,「長期プライムレート+0.2%」の金利とされることについて,
事前・事後ともに説明を受けておらず,
当然,融資実行時点においても認識しておらず,
「合意の欠缺という瑕疵があった」
と明確に認定しています。
これは,私たちが第一審の段階から主張立証を積み重ねてきた点を,そのまま是認する認定です。
ここまでは,よいでしょう。
にもかかわらず,大阪高裁13民判決は,HさんとSさんについて,何故か,結論としては,被上告人中信が主張する約定金利に基づいて金員の支払いを命じたのです。
このような大阪高裁13民判決の判断は,合意が欠缺している(=合意がない)にもかかわらず,当事者を契約に拘束するというおかしな理屈です。およそ法理論としてありえません。
それだけではありません。
この「合意の欠缺」が認められる金銭消費貸借契約について,大阪高裁13民判決は,弁済資金を実質的に全額負担していたのは,Hさんであるとまで認定しています。そうであるにもかかわらず,Hさんには損害がないとまで述べており,この点についても矛盾が生じています。
こうした判断は,先人法曹たちが積み重ねてきた契約という概念を根幹から損ないます。
民事裁判における適正手続(憲法31条)にも反します。
公平な裁判所の裁判を受ける権利(憲法32条)を侵害します。
更には,国民の財産権(憲法29条)をも侵害するものです。
そんな,従来の法概念を無視して,およそ理屈において整合しない,理論破綻した支離滅裂な判断なのです。
そして,民法に定める契約法理をも無視しています。
理由を付さず,また,理由に食い違いがあるばかりか,その判断自体も合理性を欠いており,理由不備(合理性なき場合も理由不備となることにつき最高裁判所第一小法廷昭和42年3月2日判決)・理由齟齬の違法がある「差別的な判決」です。
先ほどの記事で見たように,「合意が欠缺」していることを認定しながら,HさんとSさんが金銭消費貸借証書(甲2)の金利合意に拘束されるという判断は,当事者が主張していない事実を認定する弁論主義違背のみならず,後ほどの記事でも説明するように,本来,個々の共同訴訟人ごとに慎重な審理判断がなされるべき通常共同訴訟における共同訴訟人独立の原則(民事訴訟法39条)及びこれらを前提とする各判例法理にも反しています。
まさに,民事訴訟における弁論権を侵害し,代理権の欠缺を上告理由・原判決破棄事由とする民事訴訟法312条2項4号に該当するのです。
以上が,「合意がないのに合意の効果が発生すると認めたこと」の詳細です。
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