今回の記事では,「契約を遵守しているのに債務不履行責任を問われる」のか,ということについて説明します。
ここで簡単なクイズを出してみましょう。
とある契約条項に違反するといった債務不履行があった場合,債務不履行の責任を問われるのは,約束を破ったほうでしょうか?それとも,約束をきちんと守っていたほうでしょうか?
「馬鹿にするな」と思われたかもしれません。
そうです。
約束を破ったほうが債務不履行の責任を問われる。それが当然の結論です。
約束きちんと守っていたほうが債務不履行の責任を問われる,という結論になることなどありえませんよね。
まず,そもそも,大阪高裁13民判決も,
①「金利変動に伴う分割弁済額を変更することが合意されたかについてみると,本件金銭消費貸借契約書には,その旨を明らかにした記載はなく」
②「金利が変動した場合に分割弁済額がどうなるかについて明示的に合意をしていないことはもとより,被控訴人から控訴人らに対して,何らかの説明をされた様子もうかがえない。」
③「本件貸付けにおいては,元利均等返済方式,かつ,変動金利型でありながら,予め書式として用意されていたはずの分割弁済額が変動する旨を定めた特約書が徴求されていないという手続上の瑕疵があった」
ということを認定しています。
そして,今回問題となっている金銭消費貸借証書には,固定額の元利金返済金額(785,999円というはっきりした金額)が書かれていました。
このように固定額の元利金返済額が決まっているときに,金融機関側が返済額を一方的に変更した場合,いったいどちらが約束を破ったといえるでしょうか?
(次回に続く)
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