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日比谷同友会 こぶし会

日比谷同友会 サークル活動

第364回こぶし会例会報告(平成29年2月27日)

2017年03月03日 | こぶし会のご紹介

話題1. 冊子「電電公社・NTT民営化直後の海外技術協力活動」への反響  加藤 隆

ICT海外ボランティア会と冊子の編纂                                      当会は2008年に石井孝氏を中心として発足し、NTTOB・現職をはじめNTT以外の方の入会もありました。活動としてJICAによるシニア海外ボランティア(SV)活動への参加を奨め、活躍中SVを支援し、「会報」を発行し、「ホームページ」を立ち上げ、毎日約200名の訪問がありました。わが国ICT産業の国際競争力強化や、海外人材育成にも寄与できるよう他団体と協調し、トンガで防災システム構築のプロジェクトを行いました。(会員150名、支援者350名)。その活動の一環としてNTTコミュニケーションズ及びNTTのご支援を得て標記冊子を編纂しました。第一部ではわが国技術協力の目標、電電の活動方針、および活動実績を概説しました。長期専門家は主にアジア・大洋州・仲南米に延べ640名、青年協力隊員は仲近東・アフリカを中心に490名に及びました。第二部は海外技術協力の具体的活動記録20篇を掲載しました。その中で電電・NTTの本活動のインパクトは「わが国ODA政策に呼応し大きな尽力」「電電・NTT自主プロジェクトの基盤醸成」「海外人材育成とNTTの知名度向上への寄与」「わが国電気通信産業の海外進出に貢献」と要約しました。                              冊子への反響                                                    反響は予想以上に大きく、FACEBOOKでの意見交換を含めて、100名を超える方々からコメントをいただきました。それを要約すると                                  ①このような冊子はいわば歴史に残すことであり、極めて意義深い。素晴らしい国際活動の一端が窺え、大変誇りに思います。第一線で活躍された方々の経験談には迫力がありす。②貴重な記録です。NTTはかってこれほどまでの専門家や協力隊わ送っていたことは驚きです。一大企業文化でした。NTTの海外活動には関心をもって眺めていましたが、この冊子を拝見して知らないことばっかりであったっと思い知らされました。                      ③グローバルビジネスが伸びているこの時期に、その礎となった諸先輩方のご活動を記録として残しておくことは、たいへん重要な意味があり、意義深いものと感じております。改めてその重要性を認識しているところです。                                 ④このような草の根活動がNTTの現在のグローバル化につながったと思います。海外での技術協力活動は、人材の育成、人の交流等から始まり、そこから信頼関係、友好親善が育まれると言われます。貿易立国にとって大切な基盤づくりです。                    NTTグループとして、これまでの海外との技術協力の実績・ノウハウを活かし、JICAの傘下のもと可能な範囲でより積極的な継続・推進の意志(方針)を示して取り組んでいくことは世の中からも理解されるのではと思えます。

話題2. イギリスの歴史―王権と議会ー その2        松本哲男

 今回は、1000年の英国史のうち、イギリスが世界の覇権国であった時代以後、1901年から現代までの117年間についてまとめた。                                 1.第一次世界大戦と戦後処理                                       1914年7月、第一次世界大戦が勃発した。イギリスは、露仏両国とともにドイツに対し宣戦布告した。これに伴い、イギリスでは「徴兵制」を導入し、総力戦で戦った。1918年11月ドイツ降伏までの4年間の長い戦争であった。イギリス帝国全体で919万人もの兵士が動員された。戦死者は帝国全体で88万人にも及んだ。総力戦はそれまでのイギリスの社会構造を大きく変えた。貴族政治の時代から大衆民主政治の時代へと変わっていた。1920年アイルランド自由国が成立した。自由党が没落し、労働党が勃興した。1931年には「英連邦諸国」が形成され、イギリス、カナダ、オーストラリア等7ヵ国間の対等な地位が承認された。                                                        4.第二次世界大戦、その後の3大改革                                  1939年9月、ドイツのポーランド侵攻に伴い、英仏両国はドイツに宣戦布告した。イギリスでは総力戦体制が整えられた。経済や情報、資源などが国家の統制下に置かれた。1945年5月ドイツ軍が連合国軍に降伏し、第二次世界大戦は終了した。イギリスが戦争で受けた打撃は、ドイツや日本などの敗戦国にも劣らなかった。第二次世界大戦後の3大改革は、アトリー、サッチャー、ブレア政権である。                                 ①アトリー政権(労働党、1945~1951年):戦後直ぐの政権。戦後の復興政策としては基幹産業の「国営化」であった。イングランド銀行、航空、石炭、電信・電話、運輸、電力、ガス、製鉄などが次々と国営化された。また全国民への福祉の供与である。            ②サッチャー政権(保守党、1979~1990年):「英国病」からの蘇生。サッチャー革命は「小さな政府」、自由経済に基づく景気回復と社会福祉国家の見直しであった。基幹産業の「民営化」で、電信・電話、航空、造船、鉄鋼、電力、石油、自動車など国営企業が次々と民営となった。また、社会保障費を大幅に削減し、金融政策にも力を注いだ。            ③ブレア政権(労働党、1994~2005年):新しい労働党として、中産階級を取り込んだ。政策として、地方の分散化(スコットランド、ウェールズに議会設置)、「世襲議員」の改革等を進め、種々の国政改革を行った。                                     ④エリザベス2世:1952年2月、25歳の若さで即位し、現在、在位64年間で、ノルマン王朝以来のイギリス君主として最長である。ダイアナ元妃の事故死への対応等で一時王室の危機があったがその後「開かれた王室」を目指して改善され、現在は国民から愛されている。[王権と議会」は1000年の歴史を経て共存しながら、比較的安定した政治を保っている。                                                        3.英国におけるEU離脱問題                                        2016年6月の国民投票によって、イギリスはEU離脱が決定した。これから生ずる諸問題についてまとめた。

                                 

 

 

 

 

 

 


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第363回例会報告(平成28年12月19日)

2016年12月24日 | こぶし会のご紹介

話題1. 最近のICTの話題      桑原守二

 桑原が最近のICTに関して説明し、続けて参加者で討議を行った。主なものについて以下に紹介する。                                                      (1)サムスン電子が8月19日に発売したギャラクシーノート7が発火事件を起こし、航空機内への持ち込みが禁止されるなど大きな事件になった。リチウム電池は過充電などにより発火しやすく、メーカーは取扱いに苦労する。NTT可搬型電話機も事故を起こした。             (2)AI(人工知能)は今年大きな話題になった。韓国の囲碁のプロに勝ち、人間を追い越したと騒がれた。AI研究では米国が先行しており、最近は中国の躍進が目覚ましい。日本も官民の勢力を結集して遅れをとらないようにするべきだ。                              (3)富士通のパソコン事業が中国レノボの傘下に入るようだ。またネット接続の老舗であるニフティを手放すという。ビッグローブはすでにNECの元から離れた。ビッグローブはKDDIが買収する。ニフティもKDDI 傘下に入ると、KDDIはネット接続の大手になる。               (4)ソフトバンクがサウジアラビアと共同してベンチャーへの投資ファンドを設立する。近隣の産油国にも参加を呼び掛けている。最近アップルも投資を表明した。孫社長はトランプ米次期大統領と会談、500億ドルの投資を約したが、上記ファンドからの投資を予定?           (5)AT&Tによるタイムワーナーの買収は通信と放送の融合を象徴しているが、EC (電子商取引)と実店舗を持つ従来型商売との境界も薄れつつあるようだ。                   (6)IoTも最近のはやり言葉である。電話の次に機械対機械の通信の時代が来るというのは電電公社時代に北原副総裁が提唱したINSの理念であった。IoT時代への対応は内外メーカーにとり最大の課題であるが、通信事業者も指導的立場をとれるよう必死だ。

話題2. トランプ米国次期大統領と国際社会        松本文郎 

 ドナルド・トランプ氏の米国大統領選・当選の報に世界で衝撃が走った。人種差別や女性蔑視の暴言を連発し、極端な保護主義を唱えて共和党主流派から異端視された“泡まつ候補”が、開票日までの予想を覆して当選した。その経過のなか、日本ジャーナリスト会議「広告支部ニュース」に寄稿した小論『米国大統領と予備選挙と日本の行方』、『続 同名』、『女性リーダーの時代へ』、『人類社会のパラダイム』は、「松本文郎プログ」へも転載してきた。   2016年に期せずして生じたBREXIT(英国EU離脱)とトランプ米国次期大統領の出現は、国際社会の混迷と不確かさを痛感させた。BREXITは、アラブ難民大量流入に火をつけた移民・難民問題がきっかけで世界の耳目を集め、米国大統領予備選挙の狂騒的様相は、「自由と民主主義」の旗を掲げて世界をリードしてきた米国社会の驚くべき変貌を見せつけたが、根底に、サッチャー(英)・レーガン(米)が推進した新自由主義経済グローバリズムがもたらした格差社会(富の偏在や貧困層の拡大)の1(超富裕層)対99(貧困層)の現実があり、共に、既成政治や経済政策への不満と怒りの鬱屈から生じた”瓢箪から駒”といえよう。                                                         トランプ氏の品のない罵詈雑言に拍手喝采したのは米国社会の白人下層労働者や低学歴・失業中の若者らで、老社会主義者・サンダースしを支持したのは、”WASP”エリートのクリントン氏や政治・経済社会のエスタブリッシュメントに反感をもつ高学歴・失業中の若者が多かったという。                                               米国のマスコミ(「フォックス」を除く)はトランプ氏に否定的な反応を見せ、「ヒトラーと同じデマゴーク。自画自賛が激しく傲慢。詭弁を弄して民衆支持を集めている」(ニューズウイーク)、「経験もなく、安全保障や世界貿易について学習する興味もない」(ニューヨーク・タイムズ}報道。読売新聞社は社説で、トランプを支持する動きを「反知性主義」とし、「偉大な米国を取り戻す」「中国・日本を打ち負かす」などの発言や単純なスローガンは、危うい大衆扇動そのものだと評し、朝日新聞は、「トランプ氏は、米国と世界を覆う難題への冷静な取り組みではなく、むしろ、米国内外の社会の分断をあおる言動を重ねている」「大衆への訴え方が扇動的で、自由主義の旗手を自負する大国のリーダーに相応しくない」と書いた。        アングロサクソン姉妹の英米両国で軌を一ににして表面化した国民世論の分断と政治の混迷の要因は、極めて根深いところにあるあると言えるのではないか。英米をはじめとする国際社会の行き詰まり状況は、20世紀西洋近代の軌跡の必然的な帰結で、世紀的な「パラダイムシフト」が求められていると思われてならない。”パラダイム”は、「ある時代の人々のものの見方・考え方を根本的に規定している概念的枠組み」とされ、人類社会の文明・文化の時代区分に見るようにその時代の社会状況・立場(権力者・民衆)の捉え方によって、対立または複数のパラダイムがある。                                     ”戦争の世紀”20世紀前半の”パラダイム”には、帝国主義的富国強兵や強権的国家主義があり、後半の第二次大戦終結後は、戦争の内世界平和実現をめざす国際社会に相次いで生じた、EU形成、ソ連崩壊、東西冷戦終結、世界一強米国、中国台頭、新自由主義グローバリズム等により、”パラダイム”自体がままぐるしく変化してきた。               昨年来日した南米ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領は、人類社会の格差拡大について、「次々と規制撤廃した新自由主義経済のせいだ。市場経済は富をますます集中させる。格差問題を解決するには政治が介入して公正な社会をめざす。それが政治の役割というものだ。国家は社会の強者から富を受け取り、弱者に再配分をする義務がある。」「怖いのは、グローバル化が進んで、世界に残酷な競争が広がっていることだ。すべてを市場とビジネスが決めて、政治の知恵が及ばない。まるで、頭脳のない怪物のようなものだ。これはまずい。」と講演し、聴講の大学生に感銘をあたえた。                             新自由主義経済グローバリズムで世界に拡大する「格差社会問題」への対処には、マルクスが「資本論」で予見した「資本主義社会の人間疎外」の視点に立つ「国際社会のパラダイムシフト」が必要ではないかと思われるが、居丈高なトランプ次期米国大統領が、ロシアのプーチン、中国の習近平、トルコのエルドアン、フィリッピンのドウテルテ等の統治者とどのように向き合うかで、2017年の安部政権の行方は大きくゆさぶられるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

                                 


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第352回例会報告(平成27年10月26日)

2015年11月08日 | こぶし会のご紹介

話題1 中国の皇帝をめぐる人類最大の権力闘争   渡邉義彦

 先日「十三億分の一」という題名の本が発行された。最近の中国における共産党内部の権力闘争についてその真相を解説した本である。著者は峯村健司氏(朝日新聞国際報道部機動特派員)で、2007年に中国総局員として赴任以来、習近平体制誕生の内幕を最前線で取材し、11年には優れた報道で国際理解に貢献したジャーナリストに贈られるボーン・上田記念国際記者賞を贈られている。本書にも述べられているように、彼はひたすら現場に足を運び、直接見聞した事実をもとにした記事を書いている。ここに現在中国の現体制の出現にいたるまでの経緯と現状を紹介する。                                            2007年の党大会までは、胡錦濤の後継者としては李克強が最有力で習近平の影は薄かった。それがこの党大会で突如として、習近平が最有力候補となった。それまでには習と李の間、というより総書記の胡錦濤と前総書記の江沢民の間で、周辺を巻き込んだ激しい権力争いが繰り広げられたのである。                                         07年6月、胡が招集したある内部会議が大逆転の引き金となった。北京に400人余りの党幹部が集められ、17回党大会で指導部入りできる可能性のある約200人から指導者を選ぶ非公式の選挙が行われた。胡はここで意中の李克強を選んでもらうつもりであったが、結果は予想外に習近平が圧倒的な票を集めた。それまで側近の相次ぐ摘発で追いつめられていた江沢民がこれで息を吹き返し、この事実と天安門事件で摘発された王軍濤との交際を非難して李克強を排除した。                                                   2012年2月、中南海で開かれた政治局常務委員会で、胡錦濤は江と関係の近い重慶市共産党委員会書記・薄熙来の処分を提案し、習近平の協力もあってこれを決め、腹心の李の強敵であった薄を失脚させた。さらに胡は江派の高官の切り崩しも進め、江沢民を追いつめる。2012年夏の北戴河会議では逆に江沢民が胡錦濤の秘書役であった令計画にまつわる不祥事を取り上げて胡錦濤を追いつめ、胡の敗退が濃厚となった。          追い込まれた胡が最後に選んだのが、すべてのポストから退く完全引退であった。この時、胡は今後引退した政治家は、一切政治にタッチしないという規定を作り、江沢民を道連れにした。                                                       これにより長い間続いてきた長老政治(院政)に終止符が打たれ、習指導部は自由に汚職の摘発を行えるようになった。現在習指導部は権力を一手に集め強力な汚職摘発を行っており、就任以来2年余りで25万人を超える共産党員を逮捕・処分した。中には軍幹部の徐才厚や、政治局常務委員を務めた周永康なども入っており、これらの行動が今後の中国の情勢にどう影響するか注目される。 

話題 2  英国民記者の見た連合国戦勝史観の虚妄    山根信義

 筆者は、フィナンシャル・タイムズの初代の東京支局長であり、既に50年間日本に滞在している。来日当初は東京裁判が裁いた「日本=戦争犯罪国家論」「南京大虐殺」についても事実であると単純に信じていた。だが日本に滞在する間に、そういう見方が大きな誤りであること気づいた。                                                大東亜戦争は日本の自衛のための戦いだった。それは戦後マッカーサーがアメリカに戻って議会で証言した「マッカーサー証言」によっても明らかだ。                        東京裁判は裁判の名にも値しない無法の復讐劇だった。「南京大虐殺」にしても、信用できる証言は何一つとしてなく、そればかりか中国が外人記者や、企業人を使って世界に発信した謀略宣伝であることが明らかになっている。                             だがこれまで日本人が日本の立場からこれらに抗議し糺して行く動きはほとんど見られなかった。今国際社会で「南京大虐殺はなかった」と言えば、もうその人は相手にされない。残念ながらこれは厳粛な事実だ。だが日本が日本の立場で、世界に向けて訴え続けていかなければ、これは歴史的事実として確定してしまう。日本はこれまでこうした努力が、異常に少なかった。                                                     日本は相手の都合を気にしたりする必要はない。アメリカがアメリカの立場で、中国は中国の立場で、日本は日本の立場でものをいう。当然それは食い違う。だが、それでいいのだ。世界とはそういうものである。日本だけが物分りのいい顔をしていたら、たちまちつけ込まれてしまう。                                                      もう一つ私が声を大にして言いたいのは、「南京大虐殺問題」にせよ「靖国参拝問題」にせよ「慰安婦問題」にせよ、現在懸案になっている問題の殆どは、日本人の側から中国や韓国にけしかけて、問題にしてもらったのが事実ということだ。                     この問題をどうするか。それは日本人が自分で考えなければならない。そして、今こそ連合国がでっち上げた「戦勝国」史観の呪いから抜け出さなければならない。

 

 

 

                                                               


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第350回例会報告(平成27年7月27日)

2015年08月14日 | こぶし会のご紹介

話題1. 「下町っ子の昭和」文庫本について   高橋澄夫

 数年前にイデア出版社から発行された私の自伝的エッセイ「下町っ子の昭和」がこのたび文庫本として文芸社から販売された。これを期に、こぶし会で本書に関する話題を提供することになった。その時配布した資料は①今話すレジメ、②本書宣伝用チラシ、③日比谷同友会会報抜き刷り、④「花散りて」の抜き刷り の4部で、この本に書かれた内容は既に③の日比谷同友会会報2010.7月号に掲載されている。ただ文庫本は写真や挿絵が少なくなり、その替わりに、その時々の時代背景が少し加わっている。                              文芸社用の宣伝チラシ②には、メンコ、ベーごま、けん玉の上手な東京下町のガキ大将から、戦時の青春、戦後の通信事業の復興発展へと生きた波乱の昭和史エッセイとあり、私は③に添って本書の概要や書く動機、参考資料などを話す中で、その懐かしい昭和の思い出を今回の参加者共々共感した。その後で①④にある次の2点を話した。                    1.本書に書かれた3月10日下町空襲での消火活動を毎日新聞「千の証言」蘭へ投稿した処その記事が①に示したように2015.5.6日に掲載された。その直後、社会部の記者が私の家まで来て「生き証人が少なくなったので戦後70年の今年この企画をした」と言われ、当時の悲惨さを話し合った後、私の投稿文の終わりに書いた「消失を逃れた2軒と周りの焼野原が写っている写真が欲しい」の記事に対し、その写真も当時それを見た方も現れなかったとのことであった。                                                     2.正力松太郎は日本全国のマイクロ回線を引き、この全国マイクロ回線網でテレビだけでなく市外電話通信を行うという構想を発表した。この正力マイクロ構想に関し、本書で私は全国マイクロ回線で市外電話通信を行うという構想は、日本の中すい神経というべき通信を民間に任すべきでないという電電公社の反対で実現せず、そのマイクロ回線網はテレビのみの回線となった、と記述したが、その後、分厚い正力の伝記「巨怪伝」に、我らが電気通信の大先輩松前重義も衆議院電気通信委員会における正力との質疑で、民間経営の電気通信事業に反対したことを知った。そして松前の専門技術に正力は立ち往生、戦略転換させられたが、その仕返しに正力は読売出版で出された松前の著書の増刷を認めなかった、と書かれてあった。今回配布した④宮川岸雄追悼集「花散りて」に載せた私の部分の抜き刷りは電電先輩吉田五郎の次男から聞いた似た話だが、これは正力の伝記には掲載されなかった。

話題2. 最近のICTの話題    桑原守二

① 3月1日からNTT光回線の卸売りを利用した他事業者の光アクセスサービスが一斉に始まった。しかし利用している人は必ずしも多くないようだ。                      ② ネット社会とリアル社会とのせめぎあいはますますその分野を広げつつあるように見える。金融の世界でも証券業、銀行業などに広がりつつあり、金融庁も規制緩和に乗り出す。  ③ 歴史と伝統ある企業と新興企業との統合は、米国と日本においては日常茶飯事である。任天堂とDeNAの業務資本提携もその例である。                          ④ 中国は08年に国家知的財産権戦略を策定、その成果が着実に上がった。国際特許出願では米国1位、日本2位に次いで中国は現在3位である。                     ⑤ アマゾンはネット販売を拡大しつつある。アマゾンの一挙一投足に内外の実店舗が注目し、アマゾンへの対抗手段を講じている。                                 ⑥ 中国では巨大な人口を背景としてとんでもない会社が出現する。スマホメーカーの新人、「小米(シャオミ)科技」がその好例である。15年は出荷1億台を目標にしている。       ⑦ 3月末の株価で計算したアップルの時価総額は約90兆円に達する。99年末、ドコモの時価総額40兆を超え、世界的にもマイクロソフト、GEに次いで世界第3位になった。       ⑧ IoT(モノのインターネット)が新時代の標語である。IoTのモノは自分自身でインターネットにつながり仕事をする。IoTは個人情報流出など脆弱性わ生むと懸念する声もある。     ⑨ 今日はインダストリー4.0(第4次産業革命)の時代である。インダストリー4.0はドイツのシーメンスやボッシュを中心に2011年からプロジェクトを推進している。今こそ政府が産業界をエンカレッジして欲しい。                                        ⑩ 5月11日の記者会見でソフトバンクの孫社長が「成長の軸足を通信分野からインターネット関連事業への投資に移す」と述べ、注目されている。昨年からインド、シンガポール、中国のスマホを利用する配車サービス企業に立て続きに投資した。                  ⑪ 米アマゾンが主催して5月下旬にシアトルで開催された物流の自動化ロボット大会で独ベルリン工科大学が優勝した。2位は米MIT、3位には米オークランド大学のチームが入り、日本の中部大学、中京大学、三菱電機の合同チームは6位で入賞を逃した。        ⑫ シャープの経営危機については、文芸春秋が2か月連続して舞台裏を詳述した。新技術の最先端を歩んできたシャープが順調に再建を果たされるよう期待したい。

次回例会は平成27年9月28日(月)で、話題は次のとおりです。

話題1. 事故分析と再発防止対策の一考察    福増光廣

話題2. 孫世代に伝える日本は?          松本文郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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第342回例会報告(平成26年10月27日)

2014年11月06日 | こぶし会のご紹介

話題1 観世音寺の梵鐘        中尾昭二

観世音寺は福岡県太宰府市太宰府政庁遺跡と太宰府天満宮との中間にある古刹で、天智天皇が母である斉明天皇(百済救済のため筑紫に遠征し、太宰府の南方にある朝倉宮で没した)の菩提を弔うために寺の創建を発願したと言われています。しかし、種々の事情により完成は天平18年(746)でしたが、奈良の東大寺・下野の薬師寺戸と共に三戒壇と称された重要な寺でした。この寺には白鳳時代の鋳造とされる優美な梵鐘があり、(日本最古の梵鐘)として国宝になっています。この梵鐘には、日本古代史の上で大変興味ある事実がありましたので、その話をご紹介しました。

話題2 ウクライナの問題       酒井和義

ウクライナが如何なる歴史を経てきたか?そして今日起こっている問題について提起する。西暦1100年頃キエフ・ルーシ公国の中に現れる。それから約千年の内約8割は色々な外国の統治下に置かれた境遇であった。ソ連解体後は、米欧がウクライナ政権に脱露政策を取らせる工作を浸透したため、今年2月に大統領がロシアに亡命する事件が起きた。クリミア半島の住民中6割がロシア人であり、更に、同半島に軍港を租借し防衛上重要な位置である。3月に住民投票を行い、ロシアに編入された。ウクライナでは最近、シェール・ガスの埋蔵がかなりあることがわかり、米業者が試掘している。ロシアはウクライナがNATOに組み込まれることには危機感を持っている。強力な米国に対抗する姿勢として、ロシア、中国、イスラム勢力が如何なる手段をとってくるか、注意深く見る必要がある。


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