日比谷同友会 こぶし会

日比谷同友会 サークル活動

第374回こぶし会例会(平成30年10月15日)報告

2018年10月22日 | 例会報告

話題1.農業体験から日本の食を考える        倉島 渡

 NTT現役の終わり頃から、私は週末に長野市の北隣の飯綱町(飯綱高原)に行き、リンゴ栽培を中心に農作業をしています。私のこのような1年間の農作業を通して日本の農業を知っていただき、そこから見える日本の農業と食糧問題、さらに世界人口が指数関数的に増える将来の食糧不足時の日本の将来を考えていただきたく,話ました。             今年も4月の農作祈願からから始まって、農作業を開始しました。最初の作業はリンゴの木の選定です。昨年伸びた無駄な枝を切り落としながら、元気の良い枝で、日光に当たってリンゴの色づきが良くなるところの花芽を残していきます。その後、13回も消毒をしますが、残留農薬がないように消毒の効果が数日で無くなる弱い農薬です。果物は手作業が多く、最近はリンゴ作りから撤退する方が多くなりつつあります。                       ところで、”米作”は優れた除草剤と水の管理によって雑草が抑制され、機械化が進み、日本で最も効率的な農作業になっていると言えます。しかし、畑は雑草との戦いです。野菜畑は2週間も留守にすると雑草が生え、作物を打ち負かしてしまいます。特に、作物の隣に生えた雑草は手で取るしかなく、農作業の1/4は草取りに費やされます。腰を落として作業する草取りは農家にとっては大変な重労働です。農業の専門家は雑草など全くないような農業理論を展開していますが、雑草対策こそ農業の本質ではないか、と思う次第です。      でも、収穫時はうれしいものです。夏休みは畑の真中で、収穫物でバーベキューです。特にリンゴの収穫時は東京から家族全員で出掛けて行って収穫し、お祭り騒ぎです。取ったリンゴを親戚に送ったりしますが、大部分を出荷します。                          私は東京に居ながら,”たんぼ”と畑の様子をWebカメラのズームと方向を制御して監視しています。この機能を拡大すれば、気候情報を得たり、散水制御したりできます。しかし多くの農家は何枚もの”たんぼ”といくつもの畑を分散して持っており、それぞれに通信回線を使ってICT化したら通信コストが莫大となります。殆どのデータは数百b/sで十分なので、月数百円程度の安い通信回線が欲しいと思ったことがあります。                    そして、日本の農業は耕作放棄地の増加、老齢化、人手不足が深刻です。若い方が希望を持てる農業にしなくては、日本の農業、食糧問題は解決しません。

話題2.イスラームの歴史 その2ーイスラーム帝国時代から現代ー   松本 哲男

 今回は、イスラームの三大帝国が支配した時代から現代までの約600年間の歴史について取り上げた。イスラーム世界では、15世紀後半から16世紀前半にかけて三大帝国が建国された。イランのサファヴィー朝、インドのムガル朝、北アフリカおよびアラビアを支配したオスマン朝だ。三大帝国はどれも平等主義というイスラームの伝統に背を向けて専制君主制を打ち立てた。各帝国は複雑な行政機構を作り上げた。                             サファヴィー朝:イランを支配した王朝で、シーア派の十二イマーム派を国教とし、1501~1736年まで、11代続いた。首都はイスファハーンで最盛期にはペルシャ文化の復興が起こった。イランでは、その後多くの王朝が起こったが、1979年にイラン革命が起き、イスラーム共和国として現代に至っている。                                          ムガル朝:1526~1707年インドのほぼ全土を支配した。支配下に入った民族を抑圧・迫害することはなく、自分と同じ宗教に改修させようともしなかった。19世紀には、インドはイギリスの植民地として支配され経済的な収奪を受け、1947年にイギリスの支配から独立した。                                                      オスマン朝:15世紀には東ローマ帝国を滅ぼしその首都であったコンスタンティノポリスを征服し、この都市を自らの首都とした(イスタンブール)。17世紀の最大版図は、東西はアゼルバイジャンからモロッコに至り、南北はイエメンからウクライナ、ハンガリー、チェコスロバキアに至る広大な領域に及んだ。オスマン朝は1299年の建国から第1次世界大戦の敗北(1922年)までの約600年の長きに亘って帝国を維持した。この帝国は、非ムスリムのキリスト教徒やユダヤ教徒に自治を認めて保護した。絶頂期には、イスタンブールでは文芸復興が起こった。オスマン帝国は、第1次世界大戦で敗北し解体したが、1923年トルコ共和国として独立した。                                           18世紀になって産業革命が起こり、ヨーロッパ諸国が近代化を進めるなか、イスラーム世界は近代化が進まず、ヨーロッパ各国の植民地となった。その後、第1次世界大戦及び第2次世界大戦を経てイスラーム世界の多くの国々は独立した。中近東ではシリア、イラク、パレスチナ等多くの地域で紛争が続きイスラーム世界の平和が実現できない状況である。

 

 

 

 


第373回こぶし会例会報告(平成30年7月23日)

2018年08月09日 | こぶし会のご紹介

話題 1  「経済を読み解くための宗教」その2         島田 博文

 前回は要約が大きすぎて、一回では終わらせなかった。今回は”その2”として残りを話させて頂いた。前回のまとめとして、それぞれの宗教の特徴を比較した”世界の宗教の鳥瞰図”を作った。かなり独断と偏見があるが、皆様のご意見を頂きながら更に充実した鳥瞰図を完成させたいと思っている。

 今回のテーマは、中世以降の”キリスト教と経済の歴史”である。近世の経済発展の原因は、中世において、ローマ教皇が強大な権力を持ちながら”地方の政治を聖職者や豪族に丸投げした”ことだ。このことが、中世都市を育て、商工業を発展させ、市場を生み出した。その時の主役はブルジョアで、ブルジョアとは、「城の中の住民」という意味で第二次産業に従事している人のことで、資本家も経営者も労働者も含まれる。                          近世においては、キリスト教の思想基盤が揺らぎだし、神が現世社会の指針を与えられなくなり、人間が物事を決めなくてはならなくなった。人間が神に替われるか。という葛藤から思想家が輩出し、「王権神授説」、「絶対王政」、「国家理性」、「社会契約説」等を生み出し、神に代わり人が人を統治することの正統性を裏付けた。これにより国民一人一人が主権を有するという主権在民の理念が生まれ、民主主義と資本主義の発展の端緒となった。               16世紀のルネッサンス以前には今の西欧の国の歴史はなかったという、宮脇淳子著の本「日本人が教えた新しい世界史」・「日本人のための世界史」を参考に、近代の国民国家を作り上げたイギリス・フランス・ドイツ・アメリカの建国の歴史を述べた。国民国家はアメリカの独立戦争で実現し、フランス革命の後の混乱を救ったナポレオンによってその強さが実証された。    国民国家は、国境内の国民は同じ国民として平等の権利があり、共通の歴史と言語を持っているいる。この国家の軍隊は「自分の国は自分で守る」という自覚を持っているため、皇帝が雇った傭兵軍より桁違いに強かった。その結果ヨーロッパの君主は立憲君主体制を取らざるを得なくなった。国民国家は、国の中の国民は平等であるとするので、国境が必要に成る。この国家をめぐる争いが今も続いている。難民問題もISも自国ファーストの発想もこの結果ではないだろうか。この問題を解決するのは、仏教の”足を知る”心ではないだろうか。いよいよ日本の出番と言いたいのだが。

話題 2 最近のICTの話題            桑原 守二

 (1)スマホのテザリング機能を用いてパソコンのネット接続を行っているが、2月と5月の2度にわたり契約データ量5GB/月を超過したため追加の支払いを要求された。最初に超過したのは、ノートパソコンを接続したときマイクロソフトからアプリケーションソフトの更新があり、自動的に送られてくるデータ量が膨大であった為である。2度目の超過は、ネット検索を行ったときアクセスしたサイトが容量の大きい綺麗な画像がたくさん含まれていて、これらをつい眺めてしまったためである。こんなことがしばしば起きたのではかなわないので、契約容量を20GB/月に増やした。                                         (2)アマゾンが実店舗を持たない本屋としてネット販売を始めたのは1995年で、最初は書籍だけだったが、その後家電や衣類など扱う商品をどんどん増やし、最近は生鮮食料品まで取り扱っている。アマゾンが参入した業界はいずれも大きな影響を受けている。小売業で世界最大手のウォルマートは実店舗を減らした。最近では玩具販売大手トイザラスが破産申請を検討していると話題になった。また米オンライン調剤薬局「ピルパック」を買収し、医薬品販売にも参入する。                                           (3)EV車の登場、中国での車の普及などに伴い、世界車販売の勢力図が変わりつつある。トヨタが数年間販売台数でトップを走っていたが、中国市場で販売を伸ばしたフォルクスワーゲンが2016年にトヨタを追い越して念願の1位となり、17年も引き続きトップである。2020年代のEV時代にはまた様相が変わり、中国の国策に乗って発展する中国メーカーが幅を利かせているかもしれない。                                      (4)電機メーカーの名門、東芝が消え去ろうとしている。東芝の半導体メモリー子会社「東芝メモリー」の売却先はいまだすっきりしない。また、シャープが東芝から東芝クライアントソリュウ―ションの株式の80%を40億円で取得し、PC事業やモバイルエッジコンピュウ―ティング事業、ドライブレコーダー事業といった事業内容、商品、ブランド、人材、技術、販売チャンネルなどを継承する。                                          (5)今年はわが国でも電子決済が広く利用されるようになる。いや、そうならなければいかないと考える。オリンピックを目前にして日本を訪れる外国人旅行者が急増しているが、今のままでは「日本は持ち歩かないと何もできないのか」と呆れられ、「日本はこんな後進国だったのか」と軽蔑されるに違いない。                                   (6)今年の元旦は各紙とも「5Gが開く明るい未来」を大きくとりあげていた。5Gというのは次世代移動通信規格のことだが、現行の4Gの100倍もの実行速度と通信の遅れが僅か0.001秒という特徴をあげ、生活や仕事がよりしやすくなると解説している。移動通信の新しい規格がこれほど大きな期待を持って紹介されたのは初めてだ。                 (7)複写機メーカー業会の名門中の名門、米ゼロックスが富士フイルムに買収されるという報道には多くの人が驚いた。昭和30年代、NTTがゼロックスからコピー機をレンタルしており、コピーをとると紙代を含め1枚10円(今日の数百円に相当)かかった。最近はコンビニへ行けば10円でコピーできる。半世紀もの間、10円で変わらないのは公衆電話とゼロックスだけだ。                                                      (8)天才起業家イーロン・マスクが「地球を環境破壊から守る」という夢を実現するため創業した「スペースX」と「ステラモーターズ」がこのところまた話題を呼んでいる。スペースXは、2月6日、現時点で世界最大のロケット「ファルコンヘビー」の初打ち上げを成功させた。同ロケットの静止軌道への打ち上げ能力は約27トン、競合する次世代大型ロケットの倍以上、三菱重工とJAXAによる次期主力ロケットH3の4倍だ。                        一方のEVメーカー「テスラ」の17年10月~12月期決算は7億ドル弱の赤字となった。新型EV「モデル3」の量産立ち上げに苦しみ、投資がかさんでいるためである。しかしテスラは既存機種の生産を犠牲にしてモデル3の生産ライン拡張を続けている。さらにマスクは次期モデルの小型多目的スポーツ車「モデルY」の精算に向けた投資も始めると明らかにした。「モデルY」は1回充電で600km以上走行、450万円の低価格を狙うという。        (9)ホンダのビジネスジェット機「ホンダジェット」が2017年の世界納入機種で首位という快挙を遂げた。ホンダジェットは15年末に米連邦航空局の認証を取得、実質初年度となる16年は納入機数23機にとどまっていたが、17年はその2倍近い43機を納入した。日本製の航空機が世界の空を飛ぶのは1962年に初飛行した「YS-11」以来のことで、胸躍る気持ちである。                                                   (10)昨年11月6日、シンガポールに本社を置く半導体ブロードコムがクアルコムを約12兆円で買収提案するというニュースはIT関係者を驚かせた。クアルコムは移動通信規格CDMAの基本特許を独占所有し、それを背景に通信用半導体の酒井市場をリードし続けている。プラットフォームのブロードバンドと通信規格のクアルコムが統合したらどんな市場が実現するか皆が恐れた。本買収劇は独占禁止法、国家安全保障,さらには米国の無線技術レベルに与える影響など数多の観点から議論を呼んでいる。                     (11)かねてから話題になっていた楽天の携帯電話事業への参入が正式に決まった。総務省の電波監理審議会が4月6日楽天への周波数割り当てを決め、楽天は来年10月にサービスを開始する。これで楽天はドコモ、KDDI,ソフトバンクに次いでわが国4番目の携帯電話業者となる。楽天は他大手と比べ3割程度安い料金でのサービス提供を計画するほか、主力事業である電子商取引(EC)の買い物ポイントとの連携などにより顧客獲得を図るようだ。                                                         (12)ディズニーが21世紀フォックスを買収するという。これは通信、メディア事業が再編される先触れである。このところCATV、地上波放送、衛星放送、DVDなど既存映像メディアはネットを用いた動画配信に視聴者を奪われつつある。動画配信のプレイヤーはネットフリックス、Huluのほか、怪物アマゾンも参入している。ディズニーは豊富なコンテンツを抱えているだけではこれら各社に対抗できないことを知っている。そこで19年にストリーミングサービスを立ち上げることにした。こうした動きは映像配信業界に大きな変革をもたらすとともに通信事業者にも大きな影響を与えるに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


第372回こぶし会例会報告(平成30年5月14日)

2018年05月22日 | 例会報告

話題1.明治21年前後の電気技術ー電気学会創設の頃ー     齋藤雄一

 電気学会の創設は1888年(明治21年)6月で、この時発行された電気学会雑誌の創刊号に・初代学会会長に推挙された榎本武揚と学会設立の中心人物で初代学会幹事を務めた志田林三郎の演説が記載されている。                                      モールス式電信方式が我が国にもたらされた1854年は、モールスの発明(1836年)から18年後で、モールス式電信は確立したシステムとして急速に建設が進み、明治21年頃にはほぼ全国的な電報サービス網が出来上がっていた。電話については、その実用化が始まったばかりで、我が国の電話交換サービスが東京と横浜で開始されたのは1890年(明治3年)である。このあたりまで電気技術は、いわゆる「弱電」技術が主体である。一方、電気の力を照明あるいは動力源として利用する強電の技術は直流定電圧による発送電が本格的に始まった頃で、交流高電圧の発送電による電力の本格的発展がようやく始まった時期に当たる。                                                このような時点で創設された電気学会における志田林三郎幹事の演説の中で紹介されている電気技術の現状はその大半が電信技術に関するもので、当時実用化され、あるいは開発中であった各種電信方式について、詳しく紹介している。電話については、ベルが発明した当時は短距離でしか通話できなかったが、エジソン発明の炭素粒送話機等により通話距離が大きくなり、実用化の可能性が強くなったことが述べられている。一方、電気とエネルギー伝送に利用するいわゆる強電の技術に関しては、これが将来エネルギー伝送手段として有望であろうといった意見が述べられている。                                         続いて、電気技術の将来についてさまざまな分野での応用の可能性について述べており、通信技術に関しては電信に限らず電話の発展、さらに映像伝送の可能性など広い分野に関して意見を述べており、その内容は将来を見通した卓見と評価されている。                一方で、無線通信に関しては、この年1888年はヘルツが電磁波の実在を証明した年であるが、志田氏の演説の中には電磁波に関する言及はなく、電磁波とは異なる方法で電線を直接利用しない通信方式の可能性について述べているあたりには、明治20年代という時代における電気技術の限界が窺われ、興味深いところである。 

話題b2. 経済を読み解くための宗教史(その1)       島田博文

 今はグローバルの時代です。グローバルの時代には、語学もさることながら、その国の歴史・文化・自然さらには宗教を知ることが大事だと言われています。我々日本人に一番なじみがないのが宗教ではないでしょうか。宗教はその経典を読んでも難しくなかなか理解できません。そんな時「経済を読み解くための宗教史」という本に出会ったのです。人間の”自然によって生かされている”という素朴な摂理への意識が宗教を生む。一方、人間は他者を犠牲にしてでも自己の生存を守るという暴力的な面も持っている。経済活動はお互いに奪うのではなく譲り合うという協調関係を作ることだ。この協調関係の構築にはお互いの信頼関係が必要だ。法律も警察官もいない古代においては、宗教がその役割を果たしていた。      宗教には人間の暴力的な欲望を抑制する”欲望抑止機能”と「神の前の平等」という”利害調整機能”がある。経済は、信頼感を醸成する”欲望抑止機能”により宗教的調和が実現し発展する。経済が発展すると格差が生まれる。その格差を是正するための”利害調整機能”により、さらなる宗教的調和がもtらされる。この宗教と経済のスパイラスによって社会全体が発展していく。                                               ここでこの本から刺激を受け、私の独断と偏見で各宗教の生い立ちを大胆に比較してみた。ユダヤ教は、迫害者から集団で脱走した。キリスト教は、迫害者から逃げずに、仲間を増やした。イスラム教は、迫害者と戦って勝利した。儒教は、共同体の不文のルールを明文化したもので、神からの教えではない。仏教は、身分制度に反発し神を否定し、ひたすら人間の生き方を説いた現代版の「自己啓発」のようなもの。ヒンドウー教は、征服者から押し付けた身分制度。                                                  このような生い立ちから、それぞれの宗教と世俗権力者との関わり方を見ていくと、何故同じ神を頂く一神教がこんなにに違うのか。何故西ヨーロッパは近代化が出来たのか。何故中東や中国は近代化が遅れたのか等の謎がおぼろげながら理解でき、これからグローバル社会がどのような方向に向かうのかに思いを馳せることができた。そこで「政治と宗教の話は仲間とするな」という掟を破ってこの本を紹介させていただいた次第す。             なお、参考文献は次のとおりです。[経済を読み解くための宗教史」宇山卓栄著 (株)KADOKAWA出版                       

 

 

 

 

 

       


第371回こぶし会例会報告(平成30年3月12日)

2018年03月21日 | 例会報告

話題1.移動無線の発展                           山根信義

 無線部門では、マイクロ波を使った市外回線とテレビ回線が建設され、昭和47年に本土―沖縄間のカラー回線が完成したことにより、全国的にテレビ回線は完成したことになっている。このような時期にマイクロ波の次の無線回線として移動無線を発展させるべく取り上げたのが、当時の施設局の無線課長であった林新二さんである。                        私が無線課長補佐として昭和37年に着任したときに、林課長に「マイクロの仕事はマイクロ部に任せておけ、補佐としてやることは移動無線を手掛けることだ」と言われた。            この当時課長が考えていたのはNTTは今まで公衆通信事業を独占でやってきたが、将来は民営化されて他の競争会社と競争することになると考えておられたようである。             そのためには、メーカーは端末機などの販売網を持ったメーカーを選定すること、移動無線の端末機は加入者がメーカーから直接購入する自営用品とすること、などによりNTTに競争力を付けることである。                                                 これは、今までの販売方針と大きく変わっており、社内を統一するのは相当困難なことが予想された。ところがNTTの民営化はそれから23年の昭和60年には実現し、携帯電話も予想通りの販売が進み、ドコモへの加入数は現在の加入電話数5540万よりも多いい7620万に達するまでになっている。なお携帯電話は加入電話などに比較すると、孤立防止により有効であり、今後加入数が増大すれば益々非常災害などにも役立つものと思われる。            昭和37年以来取り組んでこられた林さんの移動無線の発展も、56年たった今日立派に達成されており、マイクロ波回線の成功と共に移動無線でも大きな成果を挙げることが出来た。

話題2.イスラームの歴史 その1 -イスラームの成立と繁栄ー    松本哲男

 7世紀前半に預言者ムハンマド(マホメット)が創始したイスラームは、それから1400年を経過し、イスラーム教徒(ムスリム)は世界で16億人に達している。しかし、イスラームについてこれまで必ずしも良く知られていない。今回は、イスラームの成立からオスマン帝国の建国までの約800年の歴史について取りまとめた。                           イスラームの成立 610~632年:ムハンマドは、西暦610年に神より最初の啓示を得、その後21年に亘り多くの啓示を受けた。これがイスラームの啓典クルアーン(コーラン)である。当時アラブ社会は各部族どうしの争いが絶えず危機に見舞われていた。当初は支配層と対立し迫害を受けたが、イスラームを広め、その共同体(ウンマ)によってアラビア半島の各部族との戦いに勝利し、アラビアのほぼすべての部族が同盟者となり、アラビアに平和をもたらした。                                                    正統カリフ時代 632~661年:ムハンマドの跡を継いだ最初の4人のカリフは「正統カリフ」と呼ばれる。彼らの統治時代はムハンマド時代と並ぶ形成期となった。初代カリフ、パクルは多くの部族の背教に対し、智恵と温情で反乱を鎮め、アラビア統一を成し遂げた。第2代カリフ、ウマルの時代、周辺諸国への襲撃が猛烈に進められ。イラク、シリア、エジプト等広大な領土を手にした。第3代カリフ、ウスマーンの時代には、領土を東方においてアフガニスタン、インドまで広げた。最後のカリフは、ムハンマドの近親者のアリーが継いだが過激派に暗殺され正統カリフの時代の幕切れとなった。                           ウマイヤ朝 661~750年:この王朝は首都をシリアのダマスカスに置いた。全盛期は第5代マリクの時代で、主な政策として、アラビア語の公用化、アラブ貨幣の発行が挙げられる。領土は東へ西へと拡大し、イベリア半島(スペイン)の一部まで領土となった。        アッバース朝 750~1258年:ウマイヤ朝を倒して成立した王朝で、首都をイラクのバグダートに定めた。この王朝は約500年続き、8世紀後半から全盛期となり、北アフリカから中央アジアに及ぶ広大な領土を支配した。9世紀中頃から地方に独立政権が生まれ、カリフ支配は形骸化した。最後はモンゴルの侵攻によって滅亡した。」                  アッバース朝は、アラブ人の様々な特権を停止しイスラーム教徒間における平等を実現した。第5代ハルーンの時代に最盛期を迎え、学術文化が発展した。中国から製紙法が伝わり、化学、数学、天文学、医学等の科学分野が飛躍的な発展を遂げた。イスラームはスンニ派とシーア派に分かれ、法学、神学、史学が盛んとなり多くの学派が生じた。            十字軍及びモンゴルの侵攻:1099年第一回十字軍によりエルサレムが占領され、パレスチナ、アナトリア、シリアに十字軍国家が建設され、その後200年に亘ってイスラームと戦いが起こった。また、1220年頃からモンゴル軍の侵攻を受け、1258年にはバグダートが破壊され、アッバース朝が滅びた。この時代、各地方に独立政権の王朝が起こったが、1299年にオスマン帝国が建設され、イスラームが世界帝国の時代となった。

 

 

 

 

 


第370回こぶし会例会報告(平成30年2月19日)

2018年03月06日 | 例会報告

話題 1.働き方改革と働く空間の変遷         沖塩荘一郎

 1990年代半ばのインターネットの普及は、世界の働き方に大きい影響を与えた。80年代初めから米国のオフィスを調査することの多かった私は、1995年の年2回の訪米で訪れた先端企業の働き方とオフィスが前年までと大きく変わっているのに驚いた。[会社に毎日来る必要はない」「ネットワーク活用による世界競争の中で、組織としては職員の知的能力を最大限に引き出すことが必要だ」「職員一人一人が、自分の知的能力を発揮するにはどのような働き方をすれば良いのか自分で考え提案しろ]という言葉を、訪問した先々で聞かされた。オフィスも、自席をなくして多様な空間を用意した企業が続々と現れていた。これより、「組織としては、職員の知的生産性が上がると共にスペースコストが下がるメリット」「職員にとっては、勤務が束縛されず家族団らんや地域活動の時間が増えると共に自分にこんな能力があったかと喜びを感じるメリット」がある。といった話が多かった。                                  バブル崩壊で不況下の当時の日本では、リストラと称する首切りばかりで働き方やオフィス変革の動きは鈍かった。その中で、元日本IBM副社長からプライスウオーターハウスコンサルタント社長となった倉重英樹氏は、就任半年後の1994年、ペーパーレス、フリーアドレス、働き方改革で、業績を大幅に伸ばすと共にスペースコストなどを大幅に減らした。氏は、その後日本テレコムなどで次々成果を挙げられた。                                  少し遅れてNTTでも、NTT東日本やドコモで法人営業部長を務めた潮田邦夫氏は、フリーアドレス導入など次々とオフィス改革をされ成果を挙げられた。しかし氏が去ると、「自分の席がないなんて可笑しい」と、残念ながら継続発展はなかった。                         働き方やオフィスの変革で後れをとっていた我が国大企業も、近年やっと動きが出てきた。昨年本社を移転した三菱地所は、固定席なしのグループアドレス導入、役員個室廃止、目的に応じ選択できる多様なスペース、ペーパーストックレスの推進などに成功している。         現在阿部政権は、「働き方改革」を政策の一つの大きい目玉としている。しかし、「長時間労働の禁止」などが焦点となっているように見える。ICT活用により、働き方の多様化承認、働く場所と時間帯の自由選択、知的創造性を刺激する出会い増加施策などにより、生産性アップと働く職員の幸福度アップの両立にこの政策が繋がることを祈っている。

話題 2.美しき日本の再発見の旅ー現代風奥のほそ道ひとり旅ー  加藤 隆

 私は故郷仙台から57年前に上京し、以来仙台ー東京間を列車で何度往復したことか。その度に車窓から見える自然豊かな東北路をのんびりと何日もかけて歩いてみたいと思っていた。その長年の念願を退職し自由の身になった機に実行した。この歩き旅は自宅(横浜)から日帰り、もしくは2泊3日の旅の繰り返しとし、マイペースで気ままな「ひとり旅」とし、上野を始点とした。原則JRに沿った国道を辿ることとした(これがタイトルの「現代風」の所以)。宿は予約なしでぶっつけ本番だ。                                  そして平成20年(2008年)5月、上野ー仙台駅間300kmの歩きを始めた。宇都宮までは首都圏の雰囲気だ。それを過ぎると景観ががらりと変わり、遠くに山々が見え自然の懐に抱かれ大いなる安らぎを感じる。                                        序に7年前東日本大震災で津波の被害にあったが復興の力強い槌音を感じる塩釜から女川までの海岸沿いを歩いた。JR仙石線のとある駅では、駅舎は消えホームはかすかな土の盛り上がりがその痕跡を残すのみで、重い線路も枕木も全て流されていて津波の恐ろしさを実感した。また女川の海岸は高さ30mほどの津波ですっかり流され、瓦礫が処理された跡に慰霊の花束やペットボトルが供えられた一角があった。                    更に2010年11月、当初の予定を延長し仙台から山形経由で新潟まで足を伸ばした。山形市までは初冬の奥羽山脈越えで登りがきつかった。山形市から坂上(新潟県)まではJR米坂線に沿って歩いた。この区間は山あり渓谷あり湖ありで風光明媚だ。その合間に戦時中私が疎開し終戦を迎えた寒河江(山形県)を65年振りに訪れた。当時私は国民学校3年生であった。そして最近、自宅に比較的近い八王子から甲州街道に沿って甲斐の山々を愛でながら茅野まで歩いた。                                         この旅は距離にして700kmを超え、10年に亘る遅々としたものではあるが、日本を再発見する良い機会でもあった。訪れた都県は東京を皮切りに埼玉・栃木・福島・宮城・山形・新潟・山梨・長野である。今後も体力を考慮しつつ歩き続けたい。                   この旅を振り返ると、①日本は美しく情緒があり治安も最高の国だ。自然が美しく四季折々の移ろいもあり、皆親切で思いやりがある。ひとりで歩いても危険を感じない。②市街地を離れると過疎地と高齢化を感じる。そして車社会だ。畑や家の庭ではお爺ちゃんお婆ちゃんだけだ。数少ない働き盛りは、車で市街へ通勤しているようだ。③それぞれの地方のカラーが色濃く残っている。それらはかって諸大名が統治した領土の雰囲気、神社仏閣の佇まいや街並みである。このことは何でも画一的化が進む中にあって貴重なことだ。地域の人々が自分たちの”誇り”を営々と伝えてきた賜物かと思う。