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日比谷同友会 こぶし会

日比谷同友会 サークル活動

第377回例会報告(平成31年3月11日)

2019年03月27日 | こぶし会のご紹介

話題 1. 航空管制のあらまし                 杉浦右藏

 昭和46.7.30、全日空B-727と自衛隊機F86が岩手県雫石の上空にて空中接触墜落、162名死亡する事故が起きた。原因は自衛隊航空管制官と運輸省航空管制官の管制指示が交錯した航空機位置指示によるものであった。また、昭和41年頃から、羽田沖、富士山乱気流墜落、など重大事故が連発した。政府は内閣総理大臣を座長とする「中央交通安全対策会議」で「航空交通安全緊急対策要綱」を決定、昭和47年(1972)7.1、組織空域管制気象保安等の近代化を実行した。                                               運輸省航空局は航空機の位置情報を電子的レーダーで管制する方針で、航空管制情報処理システム(RDP)を開発実施する方針を決定した。日本全土をカバーするレーダー基地局16か所設置、一次レーダーが捉えた映像を基地局のデジタイザで解析、札幌・所沢・福岡・沖縄の4管制部に送り、同時に二次レーダーで自動応答するトランスポンダ(装着義務化)情報と、先行実施していた飛行計画情報処理システム(FDP・NEC受注)のデータと組み合わせて管制官が画像表示装置に表示された動画情報で航空管制するシステム。                これらの主たるRDP設計開発建設を電電公社が受託、デ本4部第2部門で昭和53年度までの5ヵ年で完成する。更に完成後5年おきに設備全体を見直し近代化更新する。この間の昭和52年度まで3か年、新システムの保安要員の訓練を受託する。航空保安大学校岩沼分校のRDP運用要員訓練設備建設も受託した。                                   RDPシステムの概要。日本の空は航空機が自由に飛べるものではない。飛び立った航空機は航空地図(エンルートチャート)番号ルートを飛ばなくてはならない。日本の空は、米軍・自衛隊・民間の3者が管制している。一般に空港50km範囲は空港管制の範囲で、その先はRDP管制にハンドオフされてRDP管制官に見守られて飛行する。航空局レーダー基地は、8か所で日本全土をカバーするが、マルチ化されて16か所で全域カバーしている。   1次(PSR)レーダー、2次(SSR)レーダー、の情報信号はデジタル化されて管制センターに送られる。2次レーダーはレーダー基地でも受信するが、日本全国に配置された無線施設(VOR/DME等)約94ケ所でも受信する。RDP創設以来レーダーは真空管を使用していた。最近の固体化技術の進歩によりレーダー照射を受けた航空機のトランスポンダ応答を無線施設で受けて正確な情報を管制センターで処理している。RDPシステムは、複合分散処理技術、ネットワーク分散、サブシステム分散、バックアップシステム、マルチレーダー処理技術、移動体追尾処理技術、異常接近警報処理機能、等を具備して最高度の安全を提供している。システムも40年を経過さらに進化している。

 

 

 

 


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第376回例会報告(平成31年2月18日)

2019年02月25日 | こぶし会のご紹介

話題1.持続できる再生可能エネルギー              内山鈴夫

 1.はじめに:持続できる再生可能エネルギーの課題                           日本を含めて、世界中の一次エネルギー(電力に加工する前のエネルギーのことで、化石エネルギー、原子力、水力、風力、太陽光、バイオマス等であるが単に”エネルギー”という)の大転換が進められております。従来の化石エネルギー(石炭、石油、天然ガス)は、資源のコスト変動が重荷となり、その資源は約半世紀後にはその枯渇が懸念されており、近年は温暖化ガス排出による気候変動、環境被害などや大災害が深刻な問題となっております。日本のエネルギーはさらに深刻です。2011年3月に東日本大震災を経験した日本では①原発は経済的であるが、事故リスクがあり、核廃棄物の処理も未解決である。②太陽光、風力、中小水力、バイオ、廃棄物などの再生可能エネルギーは、施設や制度や買取価格等の導入環境が整わず、コストが高く普及が遅れている。                                   一方、世界では、化石エネルギーや原子力に代わって①コストの大幅低下、②技術進歩、③導入環境改善、④政府や地域協力等により再生可能エネルギーへの大変換が進んで居ります。ここでは、世界の状況を踏まえて日本国内のエネルギーの大進展となりうる「持続できる再生可能エネルギー」の課題に取り組んでみたいと思います。                          2.再生可能エネルギーへの対応                                        2017年日本では、クリーンなエネルギーとして再生可能エネルギーを”主力電源”と定め、2018年の国連気候変動枠組条約締結国会議COP24では平均気温を産業革命前の1.5°C以下に低減するためにCO2 の排出削減することになりました。日本で高コストで気候・環境に問題のある化石燃料の輸入量を軽減し、再生エネルギーの導入率を2019年から2030年に向け22~24%とする為には、再生可能エネルギーを代表する①太陽光発電、②風力発電、③バイオマス、④廃棄物の「利害得失」をあげ、再生可能エネルギーへの大変換を次の4項目に絞り解決策を考えます。目標達成解決策その1、発電コストの削減、その2、事業環境整備関連(FITなど)、その3、系統制約の克服、その4、電力需給バランスの調整。                                                     3.エネルギーの高度利用                                          現在、エネルギー大転換の目標が進められております「再生可能エネルギーの導入率」に年26%以上増加しております。今後、再生可能エネルギーのコストの削減、FITやRPS等の制度や導入環境の整備を進めて2030年に向けて再生可能エネルギーの全体比率を24%に向上させ、欧米や世界に伍していくためには、エネルギーの高度利用が不可欠です。現在わが国で推進されている次の4つのエネルギーである①電気自動車EV用のリチウム電池、②水素を利用した燃料電池、③高熱交換効率のヒートポンプ、④排熱など高利用のコージェネ―ション技術を応用していけば更に再生可能エネルギーの大変換が更に推進されます。  

 話題2.「日本国紀(百田尚樹著)」について              稲村隆弘 

 こぶし会の一部の方はご存知ですが、稲村は匿名同報通信でいろいろな話題を「知人の皆様」に お届けするのを趣味としています。2018年11月24日に、このシステムで、百田尚樹著「日本国紀」(幻冬舎2018.11.10刊行)のあらましを送信致しました。この本は、元通研所員の石原藤夫氏のブログ「日本の伝統文化を大切にしよう」の2018年11月03日の項で、「第1章への不満は、最近の考古学的成果がほとんど反映されていないように見えることでした。また中国史書の表現をうのみにしているらしい点にも首をかしげました。(中略)この本を「日本の通史」として若い人に勧めるのは逡巡致します。」と書かれているにも関わらず、まず静岡県の書店でベストセラー上位を継続し、次いで東京の書店のベストセラーにも本年初頭まで登場し、ようやく1月下旬に至って、両方のベストテンからは消えるという人気を誇っていたからです。                                       ところがその後、百田尚樹(1956-)・有本香(1962-)「日本国紀の副読本」(産経セレクト2018.12.31)なる本が出版され、これもベストセラー上位を暫時位置しました。有本氏は「日本国紀」の編集者の一員で、この本の内幕を暴露しています。                今回の発表に当たっては、まず2018.11.24のメールそのものを掲げました。これは、北条政子、伊勢新九郎長氏(後の北条早雲)、江川太郎左衛門英龍、など郷里ゆかりの人物を評価している箇所とか稲村が感銘した箇所を強調したものです。                  「副読本」の方は、なぜ国を誇りに思う歴史教育がないのか、それはGHQが日本人に二度と戦争を起こさせぬよう洗脳教育をし、日本人の一部にそれに従って事実を曲げる教育に手を貸した人間がいたからだ、中国及び朝鮮半島の虚の歴史に手を貸す日本人がいたからだ、という論調です。どうも、もう一度世界を相手に戦争をやれ、と言っているかのようです。この本の78pに「「日本国紀」は日本人と日本人の素晴らしさを書いていますが、ダメなところや情けないところ(外交で騙されるところ)も書いています」という文章が有りますので、その観点で、もう一度「日本国紀」を詠み直し、著者編集者の意図がありそうな箇所を拾ってみました。時間的には最初のものに先行していますので、まずこれを紹介します。その後「副読本」について紹介します。

 

 

 

 

           


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第373回こぶし会例会報告(平成30年7月23日)

2018年08月09日 | こぶし会のご紹介

話題 1  「経済を読み解くための宗教」その2         島田 博文

 前回は要約が大きすぎて、一回では終わらせなかった。今回は”その2”として残りを話させて頂いた。前回のまとめとして、それぞれの宗教の特徴を比較した”世界の宗教の鳥瞰図”を作った。かなり独断と偏見があるが、皆様のご意見を頂きながら更に充実した鳥瞰図を完成させたいと思っている。

 今回のテーマは、中世以降の”キリスト教と経済の歴史”である。近世の経済発展の原因は、中世において、ローマ教皇が強大な権力を持ちながら”地方の政治を聖職者や豪族に丸投げした”ことだ。このことが、中世都市を育て、商工業を発展させ、市場を生み出した。その時の主役はブルジョアで、ブルジョアとは、「城の中の住民」という意味で第二次産業に従事している人のことで、資本家も経営者も労働者も含まれる。                          近世においては、キリスト教の思想基盤が揺らぎだし、神が現世社会の指針を与えられなくなり、人間が物事を決めなくてはならなくなった。人間が神に替われるか。という葛藤から思想家が輩出し、「王権神授説」、「絶対王政」、「国家理性」、「社会契約説」等を生み出し、神に代わり人が人を統治することの正統性を裏付けた。これにより国民一人一人が主権を有するという主権在民の理念が生まれ、民主主義と資本主義の発展の端緒となった。               16世紀のルネッサンス以前には今の西欧の国の歴史はなかったという、宮脇淳子著の本「日本人が教えた新しい世界史」・「日本人のための世界史」を参考に、近代の国民国家を作り上げたイギリス・フランス・ドイツ・アメリカの建国の歴史を述べた。国民国家はアメリカの独立戦争で実現し、フランス革命の後の混乱を救ったナポレオンによってその強さが実証された。    国民国家は、国境内の国民は同じ国民として平等の権利があり、共通の歴史と言語を持っているいる。この国家の軍隊は「自分の国は自分で守る」という自覚を持っているため、皇帝が雇った傭兵軍より桁違いに強かった。その結果ヨーロッパの君主は立憲君主体制を取らざるを得なくなった。国民国家は、国の中の国民は平等であるとするので、国境が必要に成る。この国家をめぐる争いが今も続いている。難民問題もISも自国ファーストの発想もこの結果ではないだろうか。この問題を解決するのは、仏教の”足を知る”心ではないだろうか。いよいよ日本の出番と言いたいのだが。

話題 2 最近のICTの話題            桑原 守二

 (1)スマホのテザリング機能を用いてパソコンのネット接続を行っているが、2月と5月の2度にわたり契約データ量5GB/月を超過したため追加の支払いを要求された。最初に超過したのは、ノートパソコンを接続したときマイクロソフトからアプリケーションソフトの更新があり、自動的に送られてくるデータ量が膨大であった為である。2度目の超過は、ネット検索を行ったときアクセスしたサイトが容量の大きい綺麗な画像がたくさん含まれていて、これらをつい眺めてしまったためである。こんなことがしばしば起きたのではかなわないので、契約容量を20GB/月に増やした。                                         (2)アマゾンが実店舗を持たない本屋としてネット販売を始めたのは1995年で、最初は書籍だけだったが、その後家電や衣類など扱う商品をどんどん増やし、最近は生鮮食料品まで取り扱っている。アマゾンが参入した業界はいずれも大きな影響を受けている。小売業で世界最大手のウォルマートは実店舗を減らした。最近では玩具販売大手トイザラスが破産申請を検討していると話題になった。また米オンライン調剤薬局「ピルパック」を買収し、医薬品販売にも参入する。                                           (3)EV車の登場、中国での車の普及などに伴い、世界車販売の勢力図が変わりつつある。トヨタが数年間販売台数でトップを走っていたが、中国市場で販売を伸ばしたフォルクスワーゲンが2016年にトヨタを追い越して念願の1位となり、17年も引き続きトップである。2020年代のEV時代にはまた様相が変わり、中国の国策に乗って発展する中国メーカーが幅を利かせているかもしれない。                                      (4)電機メーカーの名門、東芝が消え去ろうとしている。東芝の半導体メモリー子会社「東芝メモリー」の売却先はいまだすっきりしない。また、シャープが東芝から東芝クライアントソリュウ―ションの株式の80%を40億円で取得し、PC事業やモバイルエッジコンピュウ―ティング事業、ドライブレコーダー事業といった事業内容、商品、ブランド、人材、技術、販売チャンネルなどを継承する。                                          (5)今年はわが国でも電子決済が広く利用されるようになる。いや、そうならなければいかないと考える。オリンピックを目前にして日本を訪れる外国人旅行者が急増しているが、今のままでは「日本は持ち歩かないと何もできないのか」と呆れられ、「日本はこんな後進国だったのか」と軽蔑されるに違いない。                                   (6)今年の元旦は各紙とも「5Gが開く明るい未来」を大きくとりあげていた。5Gというのは次世代移動通信規格のことだが、現行の4Gの100倍もの実行速度と通信の遅れが僅か0.001秒という特徴をあげ、生活や仕事がよりしやすくなると解説している。移動通信の新しい規格がこれほど大きな期待を持って紹介されたのは初めてだ。                 (7)複写機メーカー業会の名門中の名門、米ゼロックスが富士フイルムに買収されるという報道には多くの人が驚いた。昭和30年代、NTTがゼロックスからコピー機をレンタルしており、コピーをとると紙代を含め1枚10円(今日の数百円に相当)かかった。最近はコンビニへ行けば10円でコピーできる。半世紀もの間、10円で変わらないのは公衆電話とゼロックスだけだ。                                                      (8)天才起業家イーロン・マスクが「地球を環境破壊から守る」という夢を実現するため創業した「スペースX」と「ステラモーターズ」がこのところまた話題を呼んでいる。スペースXは、2月6日、現時点で世界最大のロケット「ファルコンヘビー」の初打ち上げを成功させた。同ロケットの静止軌道への打ち上げ能力は約27トン、競合する次世代大型ロケットの倍以上、三菱重工とJAXAによる次期主力ロケットH3の4倍だ。                        一方のEVメーカー「テスラ」の17年10月~12月期決算は7億ドル弱の赤字となった。新型EV「モデル3」の量産立ち上げに苦しみ、投資がかさんでいるためである。しかしテスラは既存機種の生産を犠牲にしてモデル3の生産ライン拡張を続けている。さらにマスクは次期モデルの小型多目的スポーツ車「モデルY」の精算に向けた投資も始めると明らかにした。「モデルY」は1回充電で600km以上走行、450万円の低価格を狙うという。        (9)ホンダのビジネスジェット機「ホンダジェット」が2017年の世界納入機種で首位という快挙を遂げた。ホンダジェットは15年末に米連邦航空局の認証を取得、実質初年度となる16年は納入機数23機にとどまっていたが、17年はその2倍近い43機を納入した。日本製の航空機が世界の空を飛ぶのは1962年に初飛行した「YS-11」以来のことで、胸躍る気持ちである。                                                   (10)昨年11月6日、シンガポールに本社を置く半導体ブロードコムがクアルコムを約12兆円で買収提案するというニュースはIT関係者を驚かせた。クアルコムは移動通信規格CDMAの基本特許を独占所有し、それを背景に通信用半導体の酒井市場をリードし続けている。プラットフォームのブロードバンドと通信規格のクアルコムが統合したらどんな市場が実現するか皆が恐れた。本買収劇は独占禁止法、国家安全保障,さらには米国の無線技術レベルに与える影響など数多の観点から議論を呼んでいる。                     (11)かねてから話題になっていた楽天の携帯電話事業への参入が正式に決まった。総務省の電波監理審議会が4月6日楽天への周波数割り当てを決め、楽天は来年10月にサービスを開始する。これで楽天はドコモ、KDDI,ソフトバンクに次いでわが国4番目の携帯電話業者となる。楽天は他大手と比べ3割程度安い料金でのサービス提供を計画するほか、主力事業である電子商取引(EC)の買い物ポイントとの連携などにより顧客獲得を図るようだ。                                                         (12)ディズニーが21世紀フォックスを買収するという。これは通信、メディア事業が再編される先触れである。このところCATV、地上波放送、衛星放送、DVDなど既存映像メディアはネットを用いた動画配信に視聴者を奪われつつある。動画配信のプレイヤーはネットフリックス、Huluのほか、怪物アマゾンも参入している。ディズニーは豊富なコンテンツを抱えているだけではこれら各社に対抗できないことを知っている。そこで19年にストリーミングサービスを立ち上げることにした。こうした動きは映像配信業界に大きな変革をもたらすとともに通信事業者にも大きな影響を与えるに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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こぶし会第367回例会報告(平成29年7月24日)

2017年08月08日 | こぶし会のご紹介

話題1.IT関連の最近の話題        桑原守二

(1)毎年ハノーバで開かれるセビットに今年は日本企業が多数出展した。NTTもサッカー場の新しいVIP席を実現するシステムを展示し多くの観客を集めた。                     (2)天才企業家イーロン・マスクが「環境破壊で人類が滅亡することを防ぐ」という夢に向けて設立したベンチャー企業「テラスモーターズ」と「スペースX」が最近話題を呼んでいる。テスラが12年の発売した「モデルS」は現在世界で最も売れている電気自動車である。          (3)24年から固定電話がIP電話に切り替わる。遠くに電話をかけるほど料金が高くなるというのは電話料金の常識であった。この常識が2024年からは通用しなくなる。全国規模で移行するのは、先進国の中で日本が最初らしい。                                  (4)近頃は放送された映像や音楽を視聴したり、CDなどの記録媒体に入っているコンテンツを再生するよりも、インターネットを通して送られてくるデータから逐次再生(これをストリーミングという)して楽しむ利用者が多くなった。                                     (5)他人のパスワードを盗んで無線LANを使っても無罪という判決はおかしい。他人の家のコンセントを使用して電気を使う「盗電」と同じで、窃盗罪ではなかろうか。                (6)天才将棋士と評判の高い藤井総太四段がテレビや新聞で騒がれている。藤井少年は史上最年少でプロ入りを果たした。デビュー後の公式戦で29連勝を達成、記録を30年ぶりに更新した。日経は「AIの申し子が偉業」と書き立てた。                             (7)中国でスマホを使った電子決済が拡がっている。 今ではスマホ決済が出来ない店を探すのが難しいほどである。対するに日本は現金王国だ。ドコモのお財布ケータイで電子化の世界最先端を切ったのは情けない姿だ。                                      (8)マイナンバー カードがあれば区役所に行かなくてもコンビニで住民票や印鑑証明を取得でき、料金も区役所だと300円なのだが200円で済む。しかし印鑑登録は区役所まで本人が行かないと、代理人が登録する手続きは大変面倒である。                        (9)日立製作所が大型コンピューターのハードウエア開発から撤退する。米IBMも経営に苦しんでいるようだ。対照的なのがクラウドサービスの普及で、世界最大のクラウド事業を手掛ける米アマゾンの17年3月期営業利益は約1000億円と過去最高を記録した。      (10)台湾のTSMCが好調な業績を続けている。回路幅10ナノメートルの製品を量産しており、米アップルは年内に発売するスマートフォン向けの発注をTSMCに決めたという。現在TSMCは回路線幅7ナノメートルの製品の量産体制を進めているようだ。           (11)スマートグリッドから始まりスマートなものが次々と出てきたが、今度はスマートスピーカーが登場した。人工知能と連動し、情報を検索したり音楽を再生したりする。音声認識の進歩がミソで”スマホの次”のネットサービスの入り口になるという。                 (12)1914年の有機ELパネル市場規模は液晶パネルの4割以下であったが、急速に増加しており、18年には逆転しそうだ。JDIの最大顧客アップルも!(年以降は有機ELパネルを採用するという。しかしJDIが安定して量産するにはまだ時間がかかりそうだ。       (13)総務省はITU[国際電気通信連合)が災害時の緊急通信システム用として日本が開発した移動式通信装置を導入すると発表した。ITUは世界各国で災害が生じた際に衛星通信回線の提供を行っているが、移動式通信装置に注目したようだ。                 (14)準天頂衛星が活躍する場面をようやく見ることができそうだ。日本政策投資銀行など5社が準天頂衛星を使った高精度の位置情報サービスを手掛ける新会社が実現する。     (15)新しい移動通信方式5Gが新聞などの話題になっている。5Gha4Gの100倍の速度を実現する。データの遅延時間も0.001秒と短い。これよりIOTや自動運転への活用が開ける。

話題2.人工知能(Artificial Intelligence)について       飯田徳雄

1.まえがき                                                    人の仕事の約半数は人口知能(AI)などに取って代わる等の事が言われる時代となった。囲碁の世界では、2015年3月6日に韓国棋院所属のプロ囲碁士のイ・セドル氏がGoogle傘下のGoogle Deep Mind社が開発したAlpha Goと対戦して負けるという報道があった。AIは産業の競争力に繋がることからわが国も理化学研究所に富士通、日電、東芝の協力を得て組織を立ちあげたようである。しかしながら、国際的な競争力というか国際学会での論文発表数でみてみると、米国の1281、中国の413に対して日本は、僅か75であり、出遅れの感があり、これから産業界の競争力の維持が懸念されてる。  

2.人工知能の発展形態                                         人工知能(AI)  とは、その名のとおり人間の有している知性・知能を人工的に実現する技術である。現在のところ人間の知能と同等の仕組みを実現することで次のような形で進展してきている。 レベル1.単純な制御プログラム。単なる制御。温度が上がるとスイッチを入れ、下がると切るといったもの。  レベル2.対応パターンが  非常に多いもの。探索や推論の類い。将棋のプログラムや掃除のロボット、質問に答える人工知能など。レベル3.対応パターン自動的に学習するもの。機械学習を取り入れたもの。検索エンジンやビックデータの分析で活用される。レベル4.対応パターンの学習に使う特徴量も自力で獲得するもの。特徴量の設計もできるもの。知識や思考に必要特徴量を自ら抽出するディープラーニング(深層学習)等の技術が該当。

現在、中心的な役割をはたしているのが、レベル4のディープラーニング(深層学習)である。画像認識や音声認識の性能が格段に向上してきている。画像認識では2015年、標準的なデータセットにおいて人間の認識制度5,1%を上回る5%のところまできている。音声認識では国際的なコンテストでは人間と同等であるとされている。

3.AI技術のビジネスなどへの活用の例                              

3,1コールセンターのオペレーター支援 一人前のオペレーターに育成するまでに相応の時間にかかるにも関わらずクレーム対応等のストレスから離職率が高いことがあって、慢性的 に人材不足となっている。これを解消するためにAI技術の導入が始まっている。コンピューター は顧客とオペレーターの通話内容を聞いて瞬時に状況を理解し、知識ベースと合、トラブルの原因を予測し、次の確認すべき質問事項や最適なアドバイスをオペレーターのパソコン画面にリスト表示します。解決策が複数ある場合は、ランキング・スコアの高い順に表示し、オペレーターはそれを参考にしながら顧客のトラブル解消のために対応する。

3.2オンラインショッピング  会話によってユーザーの要望を聞き、それに沿って適切な商品をリコメンド・エンジンと連携して、客の要望に対して良品の商品の提案を行う。

3.3 案内掛(コンシェルジュ) Aiコンシェルジュの開発が急速に進められていて、ホテルではロボットがコンシェルジュとして待機しているところもある。

3.4 フィンテック(Fin Tech)  金融(Finance)と技術(Technology)の造語であり、近年注目度が急上昇している。FInTech の範囲は広く、より有利な条件で借り入れを可能とするサービスもあれば、人工知能を用いて格安な手数料で資産運用するロボットアドバイザー等の分野がある。2016年5月みずほ銀行は東京八重洲口にある鉄鋼ビル に新支店をオープンした。大和証券と大和総研は本年5月9日にAIが予測した株価上昇銘柄を個人投資家に提供するサービスを始めると発表した。

3.5 医療  ①東京大学医科学研究所の例  2016年日本の医療で画期的な出来事があった。東京医科学研究所とIBMによる臨床研究において、Wtosonが提案した治療薬に基づいて医師が診断した治療方法を変更した結果、劇的な効果を上げ患者の命を救ったというものです。人手による解析方法では、治療薬を確定するまで、少なくとも2週間程度はかかるのに対しWatosonは実に10分でできたとのことである。 ②産業技術研究所の例 産業技術研究所はガンがあるかどうかを検査画面から高い精度で見分ける人工知能を開発した。正常な組織や細胞の画像データをAIに学習させる。AIは検査画像全体を解析して「正常でない」と判定した部分を「異常」と見做して検出する。乳がんを調べる超音波画像では、医師ががんを疑う病変の85%以上を判定できた。

3.6 囲碁の世界のAI 人工知能と人間の頭脳の対決ということで世界的に注目を集めた囲碁対決が行われた。対局したのはGoogie傘下のGoogle Deep Mind社が開発したAIシステムAlpha Goとプロ棋士のイ・せルド氏である。イ氏は韓国棋院所属の九段で、国際棋戦での優勝回数10数回 実績をもつ最強の棋士である。世界大会でも2回優勝している。全5戦の結果、AlphaGoの4勝1敗となったのである。2017年5月グーグルが中国政府などの協力を得て開いた「囲碁サミット」では中国ランキング1位世界最強棋士の柯九段と3番勝負をしてAIが3連勝した。この結果を受けて、グーグルは囲碁のAIの開発を打ち切ることにしたと発表した。

3.7 AI兵器 AIを搭載することで、自ら攻撃目標を発見し殺傷する「キラーロボット」が誕生する日が近づいて きている。火薬、核兵器、に次ぐ戦争の「第3の革命」を巻き起こす危険がある。すでに、AIを搭載したロボットは軍事利用されている。韓国は北朝鮮との軍事境界線にロボットを配している。相手の熱や動きを感知し目標をとらえ、人間の指示に基づき機関銃などで攻撃する能力がある。イスラエルでは、自ら目標を捜索し、攻撃できる無人機「ハロップ」ヲ開発した。米国は潜水艦の探知、追跡を行う「シーハンター」無人戦闘機を開発している。英国は標的を自動追尾するミサイル「プリムストーン」を搭載した軍用機を開発している。

7.あとがき 19世紀の機会は動力源として、人間の体力と競ってきたが、今日のマシンは人間の脳と競っているような状態になってきている。例えば、ロボットは脳と体力の両方を備えている。我々人間は、自ら生み出したものに、完全に打ちのめされているのではないか、という危機に直面していると、危惧する人が出てきている。                                                                                                                 

                                                        

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

 

 

 

 

 

 

 

                           


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第365回こぶし会例会報告(平成29年3月27日)

2017年04月07日 | こぶし会のご紹介

話題1. 大いなる幻影・「聖徳太子」   中尾昭二

 「聖徳太子」は「大いなる幻影」である。「聖徳太子」が最も活躍したのは、推古天皇(第33代、在位592~628)の治世であるとされている。日本最古の歴史書である[日本書紀」によると、「元年四月十日に厩戸豊聡耳皇子を立てて皇太子とし摂政とした」と記している。そして、この「厩戸皇子」が推古天皇より2代前の用明天皇(31代)の第2子で生まれつき極めて聡明であった例証を幾つか上げたのち、皇居の上殿に住んだので、「上宮厩戸豊聡耳皇子命太子」と呼ばれたことを細字で注記している。                                  以後、推古二十九年二月に厩戸豊聡耳皇子命が斑鳩で薨去するまで、常に「皇太子」として標記されていて、以外にも「聖徳太子」という名称は、表立って記されておらず,専ら「皇太子」であり、或いは「厩戸皇子」である。                                        もし聖徳太子という荘厳な呼び名が、生前あるいは没後にでも、宮廷人の間によく知られていたのなら、はっきりと表記されたであろう。元関西大学教授、故・谷沢永一は、「聖徳などという古今に例のないこの崇敬名称を本伝ともいうべき推古紀に、一体どうして記さなかったのか」と怪しんでいる。                                                    「厩戸皇子」の主業績として、「冠位十二階の制定」や「憲法十七条の制定」が挙げられているが、何れも使われた用語に後世のものが混じっていて、時代に合わない。又「日出ずる処の天子云々」の使書を「随」へ出したのは「聖徳太子」だという俗説は、全く成立しない誤りで、皇国史観の「申し子」であったことが判明している。                                日本書紀の構想には、7世紀末から8世紀にかけて活躍した藤原不比等の影響が色濃く反映されている。推古紀に限ると、当時の実状は「蘇我王朝」だったとする歴史家がいる程「蘇我馬子の全盛時代」だった。蘇我氏の業績を「すり替え」るべく、天皇家の「厩戸皇子」という天才を創出したのは不比等だったであろう。                                     「厩戸皇子」が聖人化されて「聖徳太子」となって行く過程には法隆寺の僧・行信(?~750)が大きく関与している。彼は、初め元興寺で法相宗を学び、後に法隆寺に専住した。律師となった行信は、時の最高権力者である光明皇后の知遇を得て、天平十年に法隆寺の修造を完了した。その間、彼は「聖徳太子の遺品」なるものを大量に探しだして法隆寺に寄進し、「厩戸皇子の聖人化」に大きな功績を遺したのである。恐らく、「聖徳太子」という称号は、この時代に作られたと思われる。しかし現代では、これらの「遺品」はすべて「厩戸皇子の時代」のものではないことが、立証されている。                            以上を総括すると、「聖徳太子」の姿はすっかり霞んでしまう。「聖徳太子」は大いなる幻影である。宗教界には、確かに「聖徳太子信仰」があり、その教団組織も存在する。しかし、人文科学の一分野である「歴史学」は、「信仰の世界」からきっぱり袂別しなければならない。

話題 2.    プーチンの実像(続)ープーチンの驚くべき出世ー    山根信義

 東ドイツ、ドレスデンのKGBの支部に約5年間勤務したプーチンは生まれ故郷のレニングラード(1991年サンクトペテルブルクに改称)に1990年に帰った。ここでプーチンは政治家としての第一歩を踏み出した。                                      サンクトペテルブルクでは、プーチンはサプチャーク市長の片腕としてばりばり働いた。そのサプチャークが1996年の市長選でプーチンの同僚だった第一副市長ウラジミール・ヤコブレフに僅差で敗北した。ヤコブレフはプーチンに市役所に残るように声をかけたが、プーチンは断り、サプチャークと共に市役所を去った。プーチンはサプチャークが破れたら、市役所の全員市役所を去るという決意表明を率先して作成し、自ずから署名していた。「サプチャークと共に仕事をしていた全員が、サプチャークの敗北は自分達の敗北を意味するという、考えを表明する事だった。そしてこれは全員を戦いに参加させるための良いインセンティブになった」。                                                  またプーチンは日本の港湾局の視察を希望した。その時プーチンの質問は、日本の役所の外郭団体がどういう役割を担っているかという質問で、プーチンは事前に十分下調べをした上で、やってきた様子であった。「日本は港湾を民営化しないのか、内々にそういう計画があるのではないか」、「民営化したとして、その場合予想される問題点は何か」、確かに日本内外では、港湾施設は株式会社化されている例が多い。しかし当時、日本の港湾を民営化するという発想は全くなかったので、プーチンの質問に面食らったという。プーチンはこれほどにに事前に下調べをしてきていたのである。                              更にプーチンはFSB(連邦保安局)長官の際にも辣腕を発揮した。職員を6千人から4千人に削減。代わりに給与の遅配をなくした。コンピューター犯罪への対策を担当する部署を新設するなど、機構改革も断行した。大統領のエリツインやその取り巻きが、プーチンへの信頼を確かなものにするきっかけとなった出来事が起きたのも、プーチンがFBS長官の時だった。当時の首相プリマコフの意を受けて大統領府を巻き込む汚職疑惑を追及しようとしていた検事総長スクラトフの追い落としで、プーチンは決定的な役割を果たしたのだ。       1999年3月、大統領エリツインは検事総長スクラトフの解任をロシア上院に求めた。スクラトフは,、政界上層部をターゲットにした汚職捜査に対する政権からの圧力だと主張。上院はスクラトフの主張を支持して、解任を否決した。大統領は追いつめられていた。当時の議会は今と異なり、大統領と対立することがしばしばあった。                       スキャンダルがスクラトフを襲ったのはその直後の事だった。ロシアのテレビ局が、スクラトフに似た男が若い女性2人と全裸でベットにいる様子を隠し撮りしたビデオ映像を放映したのだ。プーチンは「調査の結果、ビデオは本物だった。」と明言した。これらが決定打となって、スクラトフは失脚に追い込まれた。プーチンはこうして、エリツインへの絶対的な忠誠心を示した。汚職追及を主導していた首相のプリマコフも解任され、プーチンがその後任の首相となる。1999年12月31日大ニュースが世界を駆け巡った。                     ソ連を解体に追い込んだ立役者で、1991年からロシアの初代大統領を務めていたボリス・エリツインが辞職を表明したのだ。モスクワ時間の正午、テレビ画面に登場したエリツインは涙ながらに語った。                                               「私は長く思い悩んだ結果、今日大統領を辞任することに決めた。文明的で自発的な政権交代の前例になるように、憲法の規定どうり2000年6月に大統領選が行われるように望んでいた。しかし、私は違う決定をし、任期前に辞任する。ロシアは新しい政治家、知識人、力強く精力的な人々と共に新しい千年紀に入らなければならない。何年も権力の座にいたものは去るべきなのだ。任期は半年残っているが、大統領にふさわしい強い人物が現れたのだから、邪魔をしてはならない。権力の座に居座るのは私のやり方ではない。辞任は健康の理由ではなく、全ての問題に原因がある。私が国民の夢と希望を実現できなかったことを許して欲しい。灰色で停滞した全体主義的な過去から、明快で将来へと飛び立てると信じていた国民に謝りたい。憲法に従い、ロシア大統領をプーチン首相にゆだねる。3か月後には大統領選が行われる。3か月後、国民が賢明な選択をすると私は信じている。」        こうして、8月に首相に就任したばかりのプーチンが大統領代行となった。47歳だった。エリツインは辞職演説でプーチンを「大統領にふさわしい強い人物」と紹介した。3月に行われる繰り上げ大統領選でプーチンに投票するよう、国民に呼びかけた。

 

 

 

 

 

 

 


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