日比谷同友会 こぶし会

日比谷同友会 サークル活動

第374回こぶし会例会(平成30年10月15日)報告

2018年10月22日 | 例会報告

話題1.農業体験から日本の食を考える        倉島 渡

 NTT現役の終わり頃から、私は週末に長野市の北隣の飯綱町(飯綱高原)に行き、リンゴ栽培を中心に農作業をしています。私のこのような1年間の農作業を通して日本の農業を知っていただき、そこから見える日本の農業と食糧問題、さらに世界人口が指数関数的に増える将来の食糧不足時の日本の将来を考えていただきたく,話ました。             今年も4月の農作祈願からから始まって、農作業を開始しました。最初の作業はリンゴの木の選定です。昨年伸びた無駄な枝を切り落としながら、元気の良い枝で、日光に当たってリンゴの色づきが良くなるところの花芽を残していきます。その後、13回も消毒をしますが、残留農薬がないように消毒の効果が数日で無くなる弱い農薬です。果物は手作業が多く、最近はリンゴ作りから撤退する方が多くなりつつあります。                       ところで、”米作”は優れた除草剤と水の管理によって雑草が抑制され、機械化が進み、日本で最も効率的な農作業になっていると言えます。しかし、畑は雑草との戦いです。野菜畑は2週間も留守にすると雑草が生え、作物を打ち負かしてしまいます。特に、作物の隣に生えた雑草は手で取るしかなく、農作業の1/4は草取りに費やされます。腰を落として作業する草取りは農家にとっては大変な重労働です。農業の専門家は雑草など全くないような農業理論を展開していますが、雑草対策こそ農業の本質ではないか、と思う次第です。      でも、収穫時はうれしいものです。夏休みは畑の真中で、収穫物でバーベキューです。特にリンゴの収穫時は東京から家族全員で出掛けて行って収穫し、お祭り騒ぎです。取ったリンゴを親戚に送ったりしますが、大部分を出荷します。                          私は東京に居ながら,”たんぼ”と畑の様子をWebカメラのズームと方向を制御して監視しています。この機能を拡大すれば、気候情報を得たり、散水制御したりできます。しかし多くの農家は何枚もの”たんぼ”といくつもの畑を分散して持っており、それぞれに通信回線を使ってICT化したら通信コストが莫大となります。殆どのデータは数百b/sで十分なので、月数百円程度の安い通信回線が欲しいと思ったことがあります。                    そして、日本の農業は耕作放棄地の増加、老齢化、人手不足が深刻です。若い方が希望を持てる農業にしなくては、日本の農業、食糧問題は解決しません。

話題2.イスラームの歴史 その2ーイスラーム帝国時代から現代ー   松本 哲男

 今回は、イスラームの三大帝国が支配した時代から現代までの約600年間の歴史について取り上げた。イスラーム世界では、15世紀後半から16世紀前半にかけて三大帝国が建国された。イランのサファヴィー朝、インドのムガル朝、北アフリカおよびアラビアを支配したオスマン朝だ。三大帝国はどれも平等主義というイスラームの伝統に背を向けて専制君主制を打ち立てた。各帝国は複雑な行政機構を作り上げた。                             サファヴィー朝:イランを支配した王朝で、シーア派の十二イマーム派を国教とし、1501~1736年まで、11代続いた。首都はイスファハーンで最盛期にはペルシャ文化の復興が起こった。イランでは、その後多くの王朝が起こったが、1979年にイラン革命が起き、イスラーム共和国として現代に至っている。                                          ムガル朝:1526~1707年インドのほぼ全土を支配した。支配下に入った民族を抑圧・迫害することはなく、自分と同じ宗教に改修させようともしなかった。19世紀には、インドはイギリスの植民地として支配され経済的な収奪を受け、1947年にイギリスの支配から独立した。                                                      オスマン朝:15世紀には東ローマ帝国を滅ぼしその首都であったコンスタンティノポリスを征服し、この都市を自らの首都とした(イスタンブール)。17世紀の最大版図は、東西はアゼルバイジャンからモロッコに至り、南北はイエメンからウクライナ、ハンガリー、チェコスロバキアに至る広大な領域に及んだ。オスマン朝は1299年の建国から第1次世界大戦の敗北(1922年)までの約600年の長きに亘って帝国を維持した。この帝国は、非ムスリムのキリスト教徒やユダヤ教徒に自治を認めて保護した。絶頂期には、イスタンブールでは文芸復興が起こった。オスマン帝国は、第1次世界大戦で敗北し解体したが、1923年トルコ共和国として独立した。                                           18世紀になって産業革命が起こり、ヨーロッパ諸国が近代化を進めるなか、イスラーム世界は近代化が進まず、ヨーロッパ各国の植民地となった。その後、第1次世界大戦及び第2次世界大戦を経てイスラーム世界の多くの国々は独立した。中近東ではシリア、イラク、パレスチナ等多くの地域で紛争が続きイスラーム世界の平和が実現できない状況である。

 

 

 

 


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