日比谷同友会 こぶし会

日比谷同友会 サークル活動

第377回例会報告(平成31年3月11日)

2019年03月27日 | こぶし会のご紹介

話題 1. 航空管制のあらまし                 杉浦右藏

 昭和46.7.30、全日空B-727と自衛隊機F86が岩手県雫石の上空にて空中接触墜落、162名死亡する事故が起きた。原因は自衛隊航空管制官と運輸省航空管制官の管制指示が交錯した航空機位置指示によるものであった。また、昭和41年頃から、羽田沖、富士山乱気流墜落、など重大事故が連発した。政府は内閣総理大臣を座長とする「中央交通安全対策会議」で「航空交通安全緊急対策要綱」を決定、昭和47年(1972)7.1、組織空域管制気象保安等の近代化を実行した。                                               運輸省航空局は航空機の位置情報を電子的レーダーで管制する方針で、航空管制情報処理システム(RDP)を開発実施する方針を決定した。日本全土をカバーするレーダー基地局16か所設置、一次レーダーが捉えた映像を基地局のデジタイザで解析、札幌・所沢・福岡・沖縄の4管制部に送り、同時に二次レーダーで自動応答するトランスポンダ(装着義務化)情報と、先行実施していた飛行計画情報処理システム(FDP・NEC受注)のデータと組み合わせて管制官が画像表示装置に表示された動画情報で航空管制するシステム。                これらの主たるRDP設計開発建設を電電公社が受託、デ本4部第2部門で昭和53年度までの5ヵ年で完成する。更に完成後5年おきに設備全体を見直し近代化更新する。この間の昭和52年度まで3か年、新システムの保安要員の訓練を受託する。航空保安大学校岩沼分校のRDP運用要員訓練設備建設も受託した。                                   RDPシステムの概要。日本の空は航空機が自由に飛べるものではない。飛び立った航空機は航空地図(エンルートチャート)番号ルートを飛ばなくてはならない。日本の空は、米軍・自衛隊・民間の3者が管制している。一般に空港50km範囲は空港管制の範囲で、その先はRDP管制にハンドオフされてRDP管制官に見守られて飛行する。航空局レーダー基地は、8か所で日本全土をカバーするが、マルチ化されて16か所で全域カバーしている。   1次(PSR)レーダー、2次(SSR)レーダー、の情報信号はデジタル化されて管制センターに送られる。2次レーダーはレーダー基地でも受信するが、日本全国に配置された無線施設(VOR/DME等)約94ケ所でも受信する。RDP創設以来レーダーは真空管を使用していた。最近の固体化技術の進歩によりレーダー照射を受けた航空機のトランスポンダ応答を無線施設で受けて正確な情報を管制センターで処理している。RDPシステムは、複合分散処理技術、ネットワーク分散、サブシステム分散、バックアップシステム、マルチレーダー処理技術、移動体追尾処理技術、異常接近警報処理機能、等を具備して最高度の安全を提供している。システムも40年を経過さらに進化している。

 

 

 

 


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