話題1. シリヤ情勢と日本の立ち位置 松本文郎
この話題は、『イスラム国(IS)について』(345回・2015・2)と『安保法成立と日本の行方』(351回・2015・9)でお話をした中東情勢が、シリア空爆をめぐる各国の様々な思惑でますます緊迫しているのを憂慮して選びました。 シリア情勢は、テレビ・新聞等マスコミやインターネット上でも連日取り上げられていますが、「IS]と難民をめぐる各国対応への論評のほとんどが、”いかにして「IS]を殲滅するかの軍事作戦”が圧倒的で、”「IS]とその支援者が生まれる各国の社会背景と情況に目を向ける必要を説く観点”が、少ないように思われます。 第337回の話題『人間と自然』(2014.4)で、宇宙・自然の中の「人間存在」について概念的な話をしましたが、その理由は、多様な民族・文化の変遷である数千年の人類文明史の現代で科学技術・経済開発がもたらした”西洋近代文明”が大きな岐路に立っている危惧からです。その視点に立てば、シリア情勢における「IS]・難民の問題解決には、人類文明史における人類最古の都市文明発祥の地メソポタミアやエジプトを含む「中東」の政治(外交・軍事)、経済、社会、文化、民生等、多岐の観点から「論議・ソリューション」が必要でしょう。 文化人類学のパイオニアで日本中東学会初代会長・梅棹忠夫氏の『アラブの命運』(エジプト・シリア・イエメンのアラブ連合/イラク・ヨルダンのアラブ連邦の結成、イラク共和国成立、アルジェリア駐留仏軍の反乱、米・英軍ヨルダン上陸、アラブ10ヵ国決議案の国連緊急総会可決、アルジェリア臨時政府、ギニア独立(ガーナ合邦)、スーダンでクーデターが相次いだ「中東動乱」の1958年論考)に、「人類文明史」の近世では、「清帝国」(中国)、「ムガル帝国」(インド)、ロシア帝国」(ロシア)、「トルコ帝国」(地中海・イスラム世界)の各地域に固有の「世界」が、分裂・崩壊を繰り返しながらも、巨大帝国とそれをとりまく衛星国が一つのまとまりで成立していた、とありました。 この「中東動乱」の一連の事態は、「松本文郎のプログ」の長期連載『アラブと私』に書いてきましたが、混迷を極めるシリア情勢へ私たちの立ち位置をしっかりするために、中東の「人類文明史」について学ぶことが大切でしょう。
話題2.最近のICTの話題 桑原守二
1.ウインドウズ10へのアップグレード パソコンを開くとウインドウズ10にアップグレードするとセキュリティソフトが使えなくなり、プリンター動作にまごつくなどトラブルに会う人が多いので注意した方がよい。 2.金融業におけるネットとリアル社会とのせめぎあい IT企業が決済や資金調達など金融サービス事業にどんどん進出していることについて、既存金融界は危機感をつのらせ、金融庁は銀行規制を緩和するようだ。 3.「世界大学ランキング」で東大がアジア首位の座から転落 英タイムズ紙が1日発表した今年の「世界大学ランキング」で東京大学が43位へ大きく順位を落とし、シンガポール国立大や北京大学に抜かれた。 4.シーテックの勢いが失われる シーテックジャパンは東芝をはじめトヨタ自動車、ドコモなど超大型企業や家電大手パイオニアの出展もなかった。そんな中で中国企業の台頭が目立った。 5.多くの企業がAIの研究開発に取り組んでいるが慎重でありたい 世界の多くの先端企業がAI(人口知能)の研究に取り組んでいるが、AIを「人類最悪にして最後の発明」とみる識者も居て、注意を要する。 6.消費者ホットライン(局番なしの188番) 消費生活センターや国民生活センターに繋がる特番188を記憶しておきたい。 7.拡大する中国電子商取引 中国のネット取引市場は拡大を続けており、アリババの存在感が大きくなっている。 8.LGが10兆ウォンを投じて有機ELパネルの先端工場を新設 韓国LG製「4Kテレビ」の売れ行きが好調のようだが、実際に試用して見ると、品質は今一つのようだ。 9.小型ジェット機MRJが試験飛行に成功 試験飛行に成功した国産ジェット機MRJと、すでに100機を納入したホンダジェットの発展を祈りたい。 10.企業ランキングでドコモ6位、従業員の項目で高得点 「NICES]でドコモは第6位を確保したが従業員以外の項目はでも高得点を期待する。