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日比谷同友会 こぶし会

日比谷同友会 サークル活動

第374回こぶし会例会(平成30年10月15日)報告

2018年10月22日 | 例会報告

話題1.農業体験から日本の食を考える        倉島 渡

 NTT現役の終わり頃から、私は週末に長野市の北隣の飯綱町(飯綱高原)に行き、リンゴ栽培を中心に農作業をしています。私のこのような1年間の農作業を通して日本の農業を知っていただき、そこから見える日本の農業と食糧問題、さらに世界人口が指数関数的に増える将来の食糧不足時の日本の将来を考えていただきたく,話ました。             今年も4月の農作祈願からから始まって、農作業を開始しました。最初の作業はリンゴの木の選定です。昨年伸びた無駄な枝を切り落としながら、元気の良い枝で、日光に当たってリンゴの色づきが良くなるところの花芽を残していきます。その後、13回も消毒をしますが、残留農薬がないように消毒の効果が数日で無くなる弱い農薬です。果物は手作業が多く、最近はリンゴ作りから撤退する方が多くなりつつあります。                       ところで、”米作”は優れた除草剤と水の管理によって雑草が抑制され、機械化が進み、日本で最も効率的な農作業になっていると言えます。しかし、畑は雑草との戦いです。野菜畑は2週間も留守にすると雑草が生え、作物を打ち負かしてしまいます。特に、作物の隣に生えた雑草は手で取るしかなく、農作業の1/4は草取りに費やされます。腰を落として作業する草取りは農家にとっては大変な重労働です。農業の専門家は雑草など全くないような農業理論を展開していますが、雑草対策こそ農業の本質ではないか、と思う次第です。      でも、収穫時はうれしいものです。夏休みは畑の真中で、収穫物でバーベキューです。特にリンゴの収穫時は東京から家族全員で出掛けて行って収穫し、お祭り騒ぎです。取ったリンゴを親戚に送ったりしますが、大部分を出荷します。                          私は東京に居ながら,”たんぼ”と畑の様子をWebカメラのズームと方向を制御して監視しています。この機能を拡大すれば、気候情報を得たり、散水制御したりできます。しかし多くの農家は何枚もの”たんぼ”といくつもの畑を分散して持っており、それぞれに通信回線を使ってICT化したら通信コストが莫大となります。殆どのデータは数百b/sで十分なので、月数百円程度の安い通信回線が欲しいと思ったことがあります。                    そして、日本の農業は耕作放棄地の増加、老齢化、人手不足が深刻です。若い方が希望を持てる農業にしなくては、日本の農業、食糧問題は解決しません。

話題2.イスラームの歴史 その2ーイスラーム帝国時代から現代ー   松本 哲男

 今回は、イスラームの三大帝国が支配した時代から現代までの約600年間の歴史について取り上げた。イスラーム世界では、15世紀後半から16世紀前半にかけて三大帝国が建国された。イランのサファヴィー朝、インドのムガル朝、北アフリカおよびアラビアを支配したオスマン朝だ。三大帝国はどれも平等主義というイスラームの伝統に背を向けて専制君主制を打ち立てた。各帝国は複雑な行政機構を作り上げた。                             サファヴィー朝:イランを支配した王朝で、シーア派の十二イマーム派を国教とし、1501~1736年まで、11代続いた。首都はイスファハーンで最盛期にはペルシャ文化の復興が起こった。イランでは、その後多くの王朝が起こったが、1979年にイラン革命が起き、イスラーム共和国として現代に至っている。                                          ムガル朝:1526~1707年インドのほぼ全土を支配した。支配下に入った民族を抑圧・迫害することはなく、自分と同じ宗教に改修させようともしなかった。19世紀には、インドはイギリスの植民地として支配され経済的な収奪を受け、1947年にイギリスの支配から独立した。                                                      オスマン朝:15世紀には東ローマ帝国を滅ぼしその首都であったコンスタンティノポリスを征服し、この都市を自らの首都とした(イスタンブール)。17世紀の最大版図は、東西はアゼルバイジャンからモロッコに至り、南北はイエメンからウクライナ、ハンガリー、チェコスロバキアに至る広大な領域に及んだ。オスマン朝は1299年の建国から第1次世界大戦の敗北(1922年)までの約600年の長きに亘って帝国を維持した。この帝国は、非ムスリムのキリスト教徒やユダヤ教徒に自治を認めて保護した。絶頂期には、イスタンブールでは文芸復興が起こった。オスマン帝国は、第1次世界大戦で敗北し解体したが、1923年トルコ共和国として独立した。                                           18世紀になって産業革命が起こり、ヨーロッパ諸国が近代化を進めるなか、イスラーム世界は近代化が進まず、ヨーロッパ各国の植民地となった。その後、第1次世界大戦及び第2次世界大戦を経てイスラーム世界の多くの国々は独立した。中近東ではシリア、イラク、パレスチナ等多くの地域で紛争が続きイスラーム世界の平和が実現できない状況である。

 

 

 

 


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第372回こぶし会例会報告(平成30年5月14日)

2018年05月22日 | 例会報告

話題1.明治21年前後の電気技術ー電気学会創設の頃ー     齋藤雄一

 電気学会の創設は1888年(明治21年)6月で、この時発行された電気学会雑誌の創刊号に・初代学会会長に推挙された榎本武揚と学会設立の中心人物で初代学会幹事を務めた志田林三郎の演説が記載されている。                                      モールス式電信方式が我が国にもたらされた1854年は、モールスの発明(1836年)から18年後で、モールス式電信は確立したシステムとして急速に建設が進み、明治21年頃にはほぼ全国的な電報サービス網が出来上がっていた。電話については、その実用化が始まったばかりで、我が国の電話交換サービスが東京と横浜で開始されたのは1890年(明治3年)である。このあたりまで電気技術は、いわゆる「弱電」技術が主体である。一方、電気の力を照明あるいは動力源として利用する強電の技術は直流定電圧による発送電が本格的に始まった頃で、交流高電圧の発送電による電力の本格的発展がようやく始まった時期に当たる。                                                このような時点で創設された電気学会における志田林三郎幹事の演説の中で紹介されている電気技術の現状はその大半が電信技術に関するもので、当時実用化され、あるいは開発中であった各種電信方式について、詳しく紹介している。電話については、ベルが発明した当時は短距離でしか通話できなかったが、エジソン発明の炭素粒送話機等により通話距離が大きくなり、実用化の可能性が強くなったことが述べられている。一方、電気とエネルギー伝送に利用するいわゆる強電の技術に関しては、これが将来エネルギー伝送手段として有望であろうといった意見が述べられている。                                         続いて、電気技術の将来についてさまざまな分野での応用の可能性について述べており、通信技術に関しては電信に限らず電話の発展、さらに映像伝送の可能性など広い分野に関して意見を述べており、その内容は将来を見通した卓見と評価されている。                一方で、無線通信に関しては、この年1888年はヘルツが電磁波の実在を証明した年であるが、志田氏の演説の中には電磁波に関する言及はなく、電磁波とは異なる方法で電線を直接利用しない通信方式の可能性について述べているあたりには、明治20年代という時代における電気技術の限界が窺われ、興味深いところである。 

話題b2. 経済を読み解くための宗教史(その1)       島田博文

 今はグローバルの時代です。グローバルの時代には、語学もさることながら、その国の歴史・文化・自然さらには宗教を知ることが大事だと言われています。我々日本人に一番なじみがないのが宗教ではないでしょうか。宗教はその経典を読んでも難しくなかなか理解できません。そんな時「経済を読み解くための宗教史」という本に出会ったのです。人間の”自然によって生かされている”という素朴な摂理への意識が宗教を生む。一方、人間は他者を犠牲にしてでも自己の生存を守るという暴力的な面も持っている。経済活動はお互いに奪うのではなく譲り合うという協調関係を作ることだ。この協調関係の構築にはお互いの信頼関係が必要だ。法律も警察官もいない古代においては、宗教がその役割を果たしていた。      宗教には人間の暴力的な欲望を抑制する”欲望抑止機能”と「神の前の平等」という”利害調整機能”がある。経済は、信頼感を醸成する”欲望抑止機能”により宗教的調和が実現し発展する。経済が発展すると格差が生まれる。その格差を是正するための”利害調整機能”により、さらなる宗教的調和がもtらされる。この宗教と経済のスパイラスによって社会全体が発展していく。                                               ここでこの本から刺激を受け、私の独断と偏見で各宗教の生い立ちを大胆に比較してみた。ユダヤ教は、迫害者から集団で脱走した。キリスト教は、迫害者から逃げずに、仲間を増やした。イスラム教は、迫害者と戦って勝利した。儒教は、共同体の不文のルールを明文化したもので、神からの教えではない。仏教は、身分制度に反発し神を否定し、ひたすら人間の生き方を説いた現代版の「自己啓発」のようなもの。ヒンドウー教は、征服者から押し付けた身分制度。                                                  このような生い立ちから、それぞれの宗教と世俗権力者との関わり方を見ていくと、何故同じ神を頂く一神教がこんなにに違うのか。何故西ヨーロッパは近代化が出来たのか。何故中東や中国は近代化が遅れたのか等の謎がおぼろげながら理解でき、これからグローバル社会がどのような方向に向かうのかに思いを馳せることができた。そこで「政治と宗教の話は仲間とするな」という掟を破ってこの本を紹介させていただいた次第す。             なお、参考文献は次のとおりです。[経済を読み解くための宗教史」宇山卓栄著 (株)KADOKAWA出版                       

 

 

 

 

 

       


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第371回こぶし会例会報告(平成30年3月12日)

2018年03月21日 | 例会報告

話題1.移動無線の発展                           山根信義

 無線部門では、マイクロ波を使った市外回線とテレビ回線が建設され、昭和47年に本土―沖縄間のカラー回線が完成したことにより、全国的にテレビ回線は完成したことになっている。このような時期にマイクロ波の次の無線回線として移動無線を発展させるべく取り上げたのが、当時の施設局の無線課長であった林新二さんである。                        私が無線課長補佐として昭和37年に着任したときに、林課長に「マイクロの仕事はマイクロ部に任せておけ、補佐としてやることは移動無線を手掛けることだ」と言われた。            この当時課長が考えていたのはNTTは今まで公衆通信事業を独占でやってきたが、将来は民営化されて他の競争会社と競争することになると考えておられたようである。             そのためには、メーカーは端末機などの販売網を持ったメーカーを選定すること、移動無線の端末機は加入者がメーカーから直接購入する自営用品とすること、などによりNTTに競争力を付けることである。                                                 これは、今までの販売方針と大きく変わっており、社内を統一するのは相当困難なことが予想された。ところがNTTの民営化はそれから23年の昭和60年には実現し、携帯電話も予想通りの販売が進み、ドコモへの加入数は現在の加入電話数5540万よりも多いい7620万に達するまでになっている。なお携帯電話は加入電話などに比較すると、孤立防止により有効であり、今後加入数が増大すれば益々非常災害などにも役立つものと思われる。            昭和37年以来取り組んでこられた林さんの移動無線の発展も、56年たった今日立派に達成されており、マイクロ波回線の成功と共に移動無線でも大きな成果を挙げることが出来た。

話題2.イスラームの歴史 その1 -イスラームの成立と繁栄ー    松本哲男

 7世紀前半に預言者ムハンマド(マホメット)が創始したイスラームは、それから1400年を経過し、イスラーム教徒(ムスリム)は世界で16億人に達している。しかし、イスラームについてこれまで必ずしも良く知られていない。今回は、イスラームの成立からオスマン帝国の建国までの約800年の歴史について取りまとめた。                           イスラームの成立 610~632年:ムハンマドは、西暦610年に神より最初の啓示を得、その後21年に亘り多くの啓示を受けた。これがイスラームの啓典クルアーン(コーラン)である。当時アラブ社会は各部族どうしの争いが絶えず危機に見舞われていた。当初は支配層と対立し迫害を受けたが、イスラームを広め、その共同体(ウンマ)によってアラビア半島の各部族との戦いに勝利し、アラビアのほぼすべての部族が同盟者となり、アラビアに平和をもたらした。                                                    正統カリフ時代 632~661年:ムハンマドの跡を継いだ最初の4人のカリフは「正統カリフ」と呼ばれる。彼らの統治時代はムハンマド時代と並ぶ形成期となった。初代カリフ、パクルは多くの部族の背教に対し、智恵と温情で反乱を鎮め、アラビア統一を成し遂げた。第2代カリフ、ウマルの時代、周辺諸国への襲撃が猛烈に進められ。イラク、シリア、エジプト等広大な領土を手にした。第3代カリフ、ウスマーンの時代には、領土を東方においてアフガニスタン、インドまで広げた。最後のカリフは、ムハンマドの近親者のアリーが継いだが過激派に暗殺され正統カリフの時代の幕切れとなった。                           ウマイヤ朝 661~750年:この王朝は首都をシリアのダマスカスに置いた。全盛期は第5代マリクの時代で、主な政策として、アラビア語の公用化、アラブ貨幣の発行が挙げられる。領土は東へ西へと拡大し、イベリア半島(スペイン)の一部まで領土となった。        アッバース朝 750~1258年:ウマイヤ朝を倒して成立した王朝で、首都をイラクのバグダートに定めた。この王朝は約500年続き、8世紀後半から全盛期となり、北アフリカから中央アジアに及ぶ広大な領土を支配した。9世紀中頃から地方に独立政権が生まれ、カリフ支配は形骸化した。最後はモンゴルの侵攻によって滅亡した。」                  アッバース朝は、アラブ人の様々な特権を停止しイスラーム教徒間における平等を実現した。第5代ハルーンの時代に最盛期を迎え、学術文化が発展した。中国から製紙法が伝わり、化学、数学、天文学、医学等の科学分野が飛躍的な発展を遂げた。イスラームはスンニ派とシーア派に分かれ、法学、神学、史学が盛んとなり多くの学派が生じた。            十字軍及びモンゴルの侵攻:1099年第一回十字軍によりエルサレムが占領され、パレスチナ、アナトリア、シリアに十字軍国家が建設され、その後200年に亘ってイスラームと戦いが起こった。また、1220年頃からモンゴル軍の侵攻を受け、1258年にはバグダートが破壊され、アッバース朝が滅びた。この時代、各地方に独立政権の王朝が起こったが、1299年にオスマン帝国が建設され、イスラームが世界帝国の時代となった。

 

 

 

 

 


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第370回こぶし会例会報告(平成30年2月19日)

2018年03月06日 | 例会報告

話題 1.働き方改革と働く空間の変遷         沖塩荘一郎

 1990年代半ばのインターネットの普及は、世界の働き方に大きい影響を与えた。80年代初めから米国のオフィスを調査することの多かった私は、1995年の年2回の訪米で訪れた先端企業の働き方とオフィスが前年までと大きく変わっているのに驚いた。[会社に毎日来る必要はない」「ネットワーク活用による世界競争の中で、組織としては職員の知的能力を最大限に引き出すことが必要だ」「職員一人一人が、自分の知的能力を発揮するにはどのような働き方をすれば良いのか自分で考え提案しろ]という言葉を、訪問した先々で聞かされた。オフィスも、自席をなくして多様な空間を用意した企業が続々と現れていた。これより、「組織としては、職員の知的生産性が上がると共にスペースコストが下がるメリット」「職員にとっては、勤務が束縛されず家族団らんや地域活動の時間が増えると共に自分にこんな能力があったかと喜びを感じるメリット」がある。といった話が多かった。                                  バブル崩壊で不況下の当時の日本では、リストラと称する首切りばかりで働き方やオフィス変革の動きは鈍かった。その中で、元日本IBM副社長からプライスウオーターハウスコンサルタント社長となった倉重英樹氏は、就任半年後の1994年、ペーパーレス、フリーアドレス、働き方改革で、業績を大幅に伸ばすと共にスペースコストなどを大幅に減らした。氏は、その後日本テレコムなどで次々成果を挙げられた。                                  少し遅れてNTTでも、NTT東日本やドコモで法人営業部長を務めた潮田邦夫氏は、フリーアドレス導入など次々とオフィス改革をされ成果を挙げられた。しかし氏が去ると、「自分の席がないなんて可笑しい」と、残念ながら継続発展はなかった。                         働き方やオフィスの変革で後れをとっていた我が国大企業も、近年やっと動きが出てきた。昨年本社を移転した三菱地所は、固定席なしのグループアドレス導入、役員個室廃止、目的に応じ選択できる多様なスペース、ペーパーストックレスの推進などに成功している。         現在阿部政権は、「働き方改革」を政策の一つの大きい目玉としている。しかし、「長時間労働の禁止」などが焦点となっているように見える。ICT活用により、働き方の多様化承認、働く場所と時間帯の自由選択、知的創造性を刺激する出会い増加施策などにより、生産性アップと働く職員の幸福度アップの両立にこの政策が繋がることを祈っている。

話題 2.美しき日本の再発見の旅ー現代風奥のほそ道ひとり旅ー  加藤 隆

 私は故郷仙台から57年前に上京し、以来仙台ー東京間を列車で何度往復したことか。その度に車窓から見える自然豊かな東北路をのんびりと何日もかけて歩いてみたいと思っていた。その長年の念願を退職し自由の身になった機に実行した。この歩き旅は自宅(横浜)から日帰り、もしくは2泊3日の旅の繰り返しとし、マイペースで気ままな「ひとり旅」とし、上野を始点とした。原則JRに沿った国道を辿ることとした(これがタイトルの「現代風」の所以)。宿は予約なしでぶっつけ本番だ。                                  そして平成20年(2008年)5月、上野ー仙台駅間300kmの歩きを始めた。宇都宮までは首都圏の雰囲気だ。それを過ぎると景観ががらりと変わり、遠くに山々が見え自然の懐に抱かれ大いなる安らぎを感じる。                                        序に7年前東日本大震災で津波の被害にあったが復興の力強い槌音を感じる塩釜から女川までの海岸沿いを歩いた。JR仙石線のとある駅では、駅舎は消えホームはかすかな土の盛り上がりがその痕跡を残すのみで、重い線路も枕木も全て流されていて津波の恐ろしさを実感した。また女川の海岸は高さ30mほどの津波ですっかり流され、瓦礫が処理された跡に慰霊の花束やペットボトルが供えられた一角があった。                    更に2010年11月、当初の予定を延長し仙台から山形経由で新潟まで足を伸ばした。山形市までは初冬の奥羽山脈越えで登りがきつかった。山形市から坂上(新潟県)まではJR米坂線に沿って歩いた。この区間は山あり渓谷あり湖ありで風光明媚だ。その合間に戦時中私が疎開し終戦を迎えた寒河江(山形県)を65年振りに訪れた。当時私は国民学校3年生であった。そして最近、自宅に比較的近い八王子から甲州街道に沿って甲斐の山々を愛でながら茅野まで歩いた。                                         この旅は距離にして700kmを超え、10年に亘る遅々としたものではあるが、日本を再発見する良い機会でもあった。訪れた都県は東京を皮切りに埼玉・栃木・福島・宮城・山形・新潟・山梨・長野である。今後も体力を考慮しつつ歩き続けたい。                   この旅を振り返ると、①日本は美しく情緒があり治安も最高の国だ。自然が美しく四季折々の移ろいもあり、皆親切で思いやりがある。ひとりで歩いても危険を感じない。②市街地を離れると過疎地と高齢化を感じる。そして車社会だ。畑や家の庭ではお爺ちゃんお婆ちゃんだけだ。数少ない働き盛りは、車で市街へ通勤しているようだ。③それぞれの地方のカラーが色濃く残っている。それらはかって諸大名が統治した領土の雰囲気、神社仏閣の佇まいや街並みである。このことは何でも画一的化が進む中にあって貴重なことだ。地域の人々が自分たちの”誇り”を営々と伝えてきた賜物かと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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こぶし会第369回例会報告(平成29年12月11日)

2017年12月25日 | 例会報告

話題 1.「意」による「法」の測定に必要な座標軸は何か?    稲村 隆弘

 これは、般若心経の中の、無限耳鼻身意 無色声香味触法 で、前の方がセンサー、あとの方がセンスされる対象と考え、それぞれの測定の標準化がどれだけできているか、と考えたとき、視覚情報がほぼ完全に標準化されていると考えると、心覚情報の標準化は無いだろうから少し考えてみようとの思い付きであった。視覚情報(と言っても色合いだけの話ですが)の標準化が何故完全か、と言えば、三原色という座標軸が、幸か不幸か、完全に近いものだったからです。心覚情報の方は、その座標軸探しから始めないといけません。この観点からの試みは完全な失敗であった。参考文献として以下の3つを選びました。

 1.浅田 稔・国吉康夫「ロボットインテリジェンス」岩波講座ロボット学4 岩波書店    これは、人間の知能を原生動物の知能にさかのぼって分析し、ロボット化するという観点で書かれており、最終的にヒトの脳の各部が如何に機械化されるかを示した。ヒトの脳と機械の脳の最大の違いは、情報伝達物質がヒトでは化学物質、機械では電子であることである。化学物質が座標軸になっているかもしれないが、それを明示できなかった。

2. 小島比呂志・奥野クロエ「心はいつ脳に宿ったか」海鳴社 2017.07.20           われ思う、故に我あり、と言ったデカルトに始まる心身二元論は、ヒトの被験者の頭頂葉に置いた電極から脳波測定を行って、ヒトが予定行動を行うときは行為の1秒前に準備電位が発生するが、突発行為の場合は準備電位の発生が0・5秒前であることを示したリベットの実験(1983)から、「自由意思の発現は自立的因果律に従っているが、任意の時刻に発現する自由意思の存在を否定する」ということになった。

3.科学雑誌Newton2018年1月号 ニュートンプレス社のpp。24‐51「ゼロからわかる人工知能 人工知能はどこまで”進化”するのか」                            これによって、ディープラーニングによる画像認の改善は、本格的な機械学習をする前に、人工知能を”プレトレーニング”すること、インターネットの拡大で使用できる画像データが爆発的に増えたこと、などによることを明らかにした。また,正解付きの大量データが要る、というディープラーニングの弱点、人工知能が攻撃された、という人間が気づけない、という欠点も明らかにし、人工知能の開発に際して守るべき23の原則を示したカリフォルニア州アシマロ会議(2017年1月)も紹介した。

人工知能に対する攻撃に対する防御の意味で、化学伝達物質による人工知能の研究を提唱したが、これに対し、認知症の予防や治療という観点からも、脳内化学物質の研究はすべきとのご意見を頂いた。また従来の方法とは違う人工知能の教育法を提唱している研究者の存在もご教示頂いた。

話題 2.最近のITの話題 (本年8月以降)           桑原 守二

1.韓国サムスン電子の半導体事業は引き続き好調で4~6月は前年同期比47%増の約1兆7500億円の売上高を記録し、米インテルを凌駕して世界の首位になった。クラウド用サーバーが急増、それに用いる半導体メモリーの需要が伸びたのが要因である。        2.米アマゾンの存在感はますます大きい。7月下旬にアマゾンの株式が高騰、時価総額が初めて5000億ドルを突破し、アップル、グーグル、マイクロソフトに次いで米国を代表する「ビッグ4」企業に名を連ねた。同社ベゾス最高経営者が一時、マイクロソフトのビルゲーツを抜いて世界一の長者になった。                                      3.スマホ経由でパソコンをネットに接続することをテザリングというが、テザリングを行っているとき、スマホはWi-Fi基地局として動作しているので通常より電気を消費する。うっかりしていると電気がなくなってしまうから注意が必要だ。                          4.定款を変更し、経営判断に共産党が深く関わることを容認する中国の上場企業が増えている。中国の憲法は「党が国家を指導する」と明記しているくらいだから驚くにことはないのだが、一般投資家が多い上場企業の経営方針を党が主導するのは如何なものか。     5.ソニー・ピクチャーズ・エンタテイメント(SPE)の印子会社がインドの人気競技クリケットのプロリーグIPLの現地放映権獲得に失敗したが、落札した契約額は今までの5倍に跳ね上がっていた。スポーツ番組の放映権は世界的に高騰が続いている。               6.シャープが世界の8k(現行の4Kの4倍の解像度を持つ)液晶テレビを今秋に発売すると発表した。シャープが液晶の絶頂期に堺工場建設に踏み切った決断の二の舞となることを心配する向きが多い。                                            7.国立科学博物館は科学技術の歴史上重要な足跡として保存するにふさわしい成果物を「未来技術遺産」として登録している。ブロードバンド時代を到来させる原動力となった光ファイバー通信が登録されていないなど、選定プロセスの見直しが必要ではないか。        8.アマゾンが参入した業界はいずれも大きな影響を受けている。小売業で世界最大手のウォルマートは実店舗を減らし、ネット販売売上高を全体の4割以上とする施策を打ち出している。最近では玩具販売大手のトイザラスが破産申請をして話題になった。          9.我々の次の世代はガソリンで動く自動車でなく電気自動車(EV)に乗るようになるかもしれない。英仏の動きに追随して中国政府も電気自動車を中心とする新エネルギー車に自動車産業の軸足を移す方針の検討に入った。メーカーもEVシフトを鮮明にしている。       10.東芝の半導体メモリー子会社「東芝メモリー」の売却先は二転三転し成り行きが注目されていたが、9月末、米ペインキャピタルを軸とする「日米韓連合」と売却契約を結んだと発表された。WDは売却差し止めの申請を行っており、その成り行きが問題である。        11.政策研究院という、名前からして厳めしい組織がある。同研究所は、最近わが国が世界で後れをとっていると指弾されているIT分野において、過去に大きな実績を持つNTT通信研究所が何らかの役割を果たして欲しいと期待している。                      12.日本の消費市場のネット取引は毎年増加しているもののまだ15兆円、6%弱である。米国の7%と大差はないが、中国の420兆円と比べると大変な差である。中国は前年に比して20%伸びて、世界EC市場全体の40%を占める。                        13.中国が国策として再生可能エネルギーの導入を積極的に進めている。発電1KWHあたりのCO2排出量を1990年時点の値(約900g)に比して約2/3(約600g)に削減させた。一方で日本はこの間に30%近く増え570gとなり、中国との差が少なくなった。        14.西葛西にロボットが接客する「変なホテル」が12月15日にオープンするという。恐竜の格好をしたロボットが受け付けて部屋に案内する。部屋には無料貸し出しのスマートホンがあり、自動クリーニング機も設備されている。                                15.「アラビア半島を横断し地中海とペルシャ湾を結ぶ鉄道網を作る」。こんな夢のような計画をイスラエルが提案するかもしれない、中国の習今平主席が13年に提唱した中国と欧州を結ぶ「一帯一路」構想にも括目させられる。                               16.一本のつながった路線の途中で直流から交流に変わるのは東北線の黒磯駅だけである。電流を交直入れ替えるのにパンタグラフを上げ下げしており、珍しい姿を写真に撮るため鉄道フアンが遠くから訪れていた。ところがその光景が近く見られなくなる。          17.アマゾンの猛威にさらされているのはウォルマートなど老舗小売会社だけではない。電機事業では名門中の名門、エジソンが1878年に創立したゼネラル・エレクトリックもアマゾンの影響で事業再編を迫られている。市場変化に対応できないためだ。              18.世界2万以上の学術誌をデータベースに持つ出版大手エルザビア(オランダ)に日経新聞社が協力し、引用される論文数からAI研究のレベルに点数をつけた。その結果は惨憺たるもので、NTTは508点で順位269位と低いレベルであった。                  19.通信用半導体で世界をリードする米クアルコムを買収するという、とんでもない話が持ち上がっている。買収を提案しているのは半導体プラットホームで圧倒的なパワーを発揮する米ブロードコムだ。クアルコム自身が買収に反対しており、今後も曲折があろう。       20.北朝鮮からミサイル攻撃される脅威が世界で話題になっているが、現実にはサイバー攻撃を受ける可能性の方が高く、ネットの世界で目に見えないから厄介である。北朝鮮は1700人のサイバー部隊が腕を磨いているというから怖い。                       21.アリババの陰で見落としがちだがネット企業の大物騰訊(テンセント)がある。世界で米国のワッツアップと競り合うチャットアプリは騰訊のウィーチャットで、利用者数は10億人近く、日本では有名なLINEも遠く及ばない。テンセントは時価総額5000億ドルを突破した。

 

 

 

 

 

 


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