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日比谷同友会 こぶし会

日比谷同友会 サークル活動

第381回例会(令和元年12月2日)報告

2019年12月25日 | 例会報告

話題1 ITに関する話題              桑原 守二                  

 日本と中国のキャッシュレス化:日本政府は高額の新紙幣を2024年度に発行,また21年度に500円硬貨も刷新するが,ATMの更新など資金と労力を費やすことになり無駄な投資である。そんなことより現金を使わないキャッシュレス決済の比率を高める政策を推進する必要がある。こんな日本に対し,スマホによる決済が進んだ中国では「顔認証決済」が広がり始めた。事前に顔写真を登録しておくと,コンビニでは無人のレジで決済してくれる。地下鉄では切符を使わずに改札口を通れるサービスも始まった。顔認証決済の利用登録者は1億人を突破したという。

GAFAの現況:米国の4メガIT企業G(グーグル)、A(アマゾン)、F(フェイスブック)A(アップル)の4社は世界中でますます巨大な力を発揮している。単にお金を収集するだけでなく、サービス提供の副産物として懐に入ってくる膨大なデータが今や大きな力を発揮する。今や適うものなき新興メガ企業のGAFAであるが、アップルが動画配信サービスを始めるなど中核事業において互いに浸食するようになり、成長に陰りが見えてきた。

イーロンマスクの新規事業の動き:EVメーカーのテスラが中国・上海市で建設中であったEVの新工場で試作車の生産を開始した。また11月にはベルリンにEV工場を建設すると発表した。既存の米カリフォルニア州の工場を合わせて、米、中、欧の3極でEVの供給体制が整うことになる。さらにピックアップトラック型のEV「サイバートラック」を初公開するなど活躍が目覚ましい。一方、宇宙ベンチャーのスペースXは28日、開発中の次世代宇宙船「スターシップ」の試作機を南部テキサス州の施設で公開した。2か月以内に高度20kmへの打ち上げと着陸の試験を実施するという。スターシップは再利用が可能で、将来は100人を乗せて月や火星等に飛行することを目指す。

ロボットの研究開発:東工大発スタートアップのリバーフィールドは開発中の内視鏡手術支援ロボットについて2020年秋にも臨床治験に入る。柔らかい臓器を含む肺など呼吸器系のがん手術などで需要を開拓する。新製品の価格は「ダビンチ」の半額以下の1億円以下を狙っている。京阪奈にあったNTTの研究所も、こんな分野でもっと活躍して欲しい。

ストリーミング時代の到来:最近は、映像コンテンツをテレビ放送あるいはケーブルTVで視聴するよりも、ネットを通じて流れてくる映像コンテンツをスマホ、あるいはタブレットなどで楽しむ人々の方が多くなった。この傾向は、米国では10年ほど前から始まり、日本でも最近はテレビ受像機を持っていない若者が増えてきた。

 

話題2 在外公館勤務の思い出             松本 慎二

 

 九州通信局の勤務が2年目に入った昭和51年夏,本社の課長会議に出掛ける時に部長から受けた指示に従って,本社の技術系人事部門に出頭したら,君は海外勤務を希望しているね,と確認後,外務省に転籍して,大使館に勤務するのはどうだ,と尋ねられた。海外に出ることに強い興味があったので,即座に「ありがとうございます,よろしくお願いします」と答えた。

 というのも,戦前,私が上海で生まれた時,父は上海の紡績工場のエンジニアで,戦後も商社で紡織機フルターンキープラント輸出の仕事で,10以上の発展途上国に,2年程単身滞在して帰国する生活を繰り返していた。時々一緒に過ごす時には,海外の事を話してくれたので,自然と外国に興味を持つようになっていたからだ。更に電電公社に入社後,現場実習の仙台で<東北大学夏季仏語講座生徒募集中>の広告に惹かれて一ヶ月間受講,本社配属後も,勤務後に日仏会館等で仏語習得に励んだ。これらが幸いして担当者の海外出張が珍しい時代に,国際電気通信連合主催第1回世界電気通信展の電電公社ブースの責任者としてジュネーブに派遣され,,同時に開催された世界無線主管庁会議政府代表の一人として出席された北原総務理事の帰国時のフランス,レバノン,クェート,タイ訪問に鞄持ちで3週間随行した経験が前向きな気持ちを後押しした。

程なく,本社に転勤になり,外務省中近東第一課に席を置き,外務省の仕事に慣れると共に,外務省研修所で,在外公館に派遣される各省庁の官僚と共に外交官に必要な業務知識やマナー,仏語とアラビア語,日本文化等学んだ。昭和51年7月電電公社辞職,外務省在アルジェリア日本大使館二等書記官に発令され,直ちに赴任した。

 アルジェリア日本大使館には,外交官8名(大使1名,公使1,一等書記官1,二等書記官3他),現地雇用4名の構成で,外務大臣秘書官を経験したキャリアの一等書記官が業務を統括した。私は技術協力,内政,広報を担当した。館員が少ないので,夫々の館員はもっぱら独立で業務処理し,必要な場合には一等書記官と相談し,更に大使に報告,意見具申,指示を仰いで業務を捌いた。その頃,日本企業によるマイクロ波回線,同軸伝送路,地球局が建設中で,偶に発生する支払遅延等のトラブルのサポートの他,外交団や現地日本人社会との定期的情報交換等も重要な仕事だった。

 当時は,世界各地で航空機ハイジャック事件が多発していたが,日本赤軍によるダッカ日航機ハイジャック事件が,昭和52年9月28日に発生した。この時,要の一等書記官は休暇帰国中で,急ぎアルジェ帰任に努めたが,空港が閉鎖され,パリで待機を余儀なくされた。本省の指示で,大使がアルジェリア政府にハイジャックされた日航機の受入と人質解放への協力を要請する交渉に陪席したが,緊迫の交渉の末に合意した結果,アルジェリアで全ての人質が無事解放され,事件は10月3日に終結した。開放された人質と関係者が乗った飛行機が日本に向け出発したときの安堵感は忘れることが出来ない。 

 

 第382回例会(令和2年2月17日)につきましては,

 話題1 伊能忠敬と長久保赤水          田上 智

 話題2 世界経済に寄与するASEANの進展   加藤 隆

を予定しています。

 場所はいつもの

情報エンジニアリング協会 渋谷区猿楽町3-3 Tel(03)3464-3211

 時間は 13:30-16:30 であります。


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第380回こぶし会例会報告(令和元年10月7日)

2019年10月12日 | 例会報告

話題 1 : 嘘つきミッちゃん的人生観      田上 智

 

講演会備忘録

人生の彩の為歩き回り異種の経験をする

世間に対する視点が変わる

今からでも遅くない

 

―世の中の85%はオンレコード15%がオフレコ、オフレコの方が面白いー

 

1.停電

台風15号で特に千葉が被害が大きい。 アフリカで経験 6畳くらいの廣さ ディーゼル式手回し ベトナムでも同じだった 陸軍省の迎賓館で接待を受けた。

明治の金持ちも小型発電所を持っていた。不忍池近くの旧岩崎弥太郎邸。

2.すべては心に始まり心に終わる 稲盛和夫氏・・・“心”という著書を読んで

稲盛氏の母親が偉かった。

現金に始まり現金に終わるという感覚は変わらない

3.アフリカは変わった。援助より投資をして欲しいというようになった

4.以前は人材が海外にいったまま帰国せず、今は帰国して起業する。

5.アフリカの奴隷は400年の間に1000万人が運ばれた

6.ただし死亡率も高かった。一説に10%。

7.奴隷貿易が一番利益率が高い。100%。貴重な商品。

8.アフリカ西海岸は、奴隷海岸、穀物海岸、黄金海岸、象牙海岸。

9.国を富ませるには貿易、それより儲かるのは植民地支配

10.     大英帝国は植民地支配で潤った。ただ植民地の独立で帝国の凋落が始まった

11.     EUとはドイツとフランスの物。イギリスは遅れて来た男だ。

12.     EUの中からEUを看ると景色が違う(ギリシャの体験)

13.     ノモンハン事件の本で日本人は変わっていない。下士官以下が強く指導層が弱い

14.     Railwaysという男の物語、49歳で大企業の幹部社員が電車の運転巣になる

15.     アメリカの高齢者の7割はもっと積極的に生きればと後悔している

16.     日本の歴史を再学習している。日本に鎖国は無かった。対馬と朝鮮。薩摩と琉球。

17.     サハリン出張で北方四島問題が実感として理解できる。

18.     様々な体験 オーロラ ヘリコプター セスナ マラリア 爆破テロ ゾウの背   

19.     井上光晴・・・全身小説家                     

20. 本当の貧困                             (完) 

 

話題 2 : HUAWEIはどうして世界最先端企業になれたのか?  高川雄一郎

 

 Trumpのtwitter politicsにより着火した米中貿易戦争は,政治的摩擦を超え,米国が最も恐れる技術集団で,創業30余年にして,世界のICT市場ナンバーワンに躍り出た華為技術有限公司(Huawei Technologies)に対してピンポイント攻撃が続いている。

 筆者は2008年3月から9年余り同社の上級顧問として技術戦略,施設設計法などにおいてアドバイスを行う機会に恵まれ,各種プロジェクトに携わってきたが,これまでに経験したFinlandのMNOであるSonera(現TeliaSonera)や米国のNetwork Solutions(現VeriSign)を超えたsmartな経営を実感することが出来た。本講演では,その一端を示しながらHuawei成長の背景を語った。

 米国は,習近平体制が進める重要戦略「一帯一路」を具現化するためのシナリオ「中国製造2025」において,中核となるICT技術の全分野で米欧を追い抜き技術覇権を抑える中心的役割を演じている企業としてHuaweiを驚異に感じている。

 Huaweiは,技術を重んじる創業社長の下,継続的に売り上げの10%をR&D投資に充て,絶えず世界を俯瞰しつつ,スピード感を持った経営を継続していることに強みがある。挑戦を恐れず,新技術を商用化し,PPPプロジェクト(官民協力事業)や産学協同体制によr先端技術開発エコシステムを世界各国に構築し,ICT分野においてスマホ,半導体,5Gなどのインフラ機器において世界トップシェアを誇るまでに成長した。

 Huawei基本法と呼ばれる全6章103条のルールブックで,CSRや職務規範を明示し,IBMやSAPなどの協力を得て経営管理システム,研究開発評価システム,製造管理システムなど欧米企業以上のシステムを構築し,smart経営を実現している。

 CEO輪番制に見られるように,“絶えず,経営幹部は使命感を,中間管理職は危機感を,そして一般社員は飢餓感を持て!”という社是を全社員に徹底し,危機感を忘れず,今般のような貿易戦争で部品供給停止も想定した経営面のKYT(危険予知トレーニング)も万全だ。米国との通商停止後も部品調達など経営に及ぼす悪影響を回避し,売上・利益率ともに貿易戦争前を上回る結果を出した。さらに米中関係が悪化する事態も想定し,スマホ用Androidを上回る高性能OSを内製化し,最新の5Gスマホに搭載した。

 一帯一路が,pan Eurasianで計画を達成し,今やアフリカ,中南米を目指す中でHuaweiも海底線部門が南米~中国~アフリカを結ぶ大容量光海底ケーブル伝送路を構築したり,5Gさらには6G携帯インフラの世界制覇を目指した戦略を着々と達成していくであろう。今後もHuaweiの発展を注視すると共に,51番目の米州のような通商・外交政策を改め,同社をはじめ中国と上手く伍して行くべきだと思う。

 次回第381回例会は令和元年12月2日(月)で,話題は次の通りです。

話題1 最近のICTに関するニュースから 桑原 守二

話題2 思い出に残る仕事・・・      松本 慎二


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第379回こぶし会報告

2019年10月10日 | 例会報告

第379回こぶし会例会報告(令和元年7月8日)

2019年10月10日│例会報告

話題 1: ITに関する話題        桑原 守二

1)4Kテレビについて:現在、家電量販店では4Kテレビが販売の目玉である。4Kテレビを見るためには4Kチューナーのついた衛星パラボラを新規に設置するか、ケーブルテレビ局に加入してオプション番組が見られる契約を結ぶ必要があるが、若干の支出が必要である。しかし、それに値するだけのきめ細かい映像を楽しむことができる。

2)5G時代の始まり:5Gとは次世代高速通信規格のことだが、トランプ大統領が「米国が世界的なプロバイダーになるための競争に勝つ」と述べ、中国や韓国への対抗意識を鮮明にした。無線通信規格が政治の舞台に取り上げられるのは初めてのことだ。移動通信は1979年の自動車電話に始まり、以後デジタルムーバー(1990年)、フォーマー(2000年)、クロッシー(2010年)と10年ごとに世代を交代して来た。そして2020年には5Gが始まる。

3)ファーウェイについて:ファーウェイは中国通信機器メーカーの最大手であり、半導体についてもインテルに匹敵する優れた技術を有する。米国は安全保障上の懸念があるとしてファーウェイ製品の排除を同盟国に呼びかけているが、ファーウェイは世界で最多の5G特許出願数を誇っており、その排除は今後の5Gの世界的な進展に大きな影響を及ぼすと予想され、米中貿易競争の成り行きが注目される。

4)日本のキャッシュレス化:政府は千円、5千円、1万円の新紙幣を2024年度に流通させると発表したが、世界的には高額紙幣を廃する流れである。国内総生産(GDP)に占める現金の比率も日本は20%、世界で突出し高い。現金流通が多い背景には、日銀の超低金利政策の下で銀行に預けず家計に眠る「たんす預金」の存在がある。これが「おれおれ詐欺」が無くならない一因であろう。

5)ライドシェアの将来:最近は多くの「もの」について自分だけで所有するのでなく他人と「共用」するスタイルが流行している。車も自分で持つのではなく他人と共用し、乗せてもらう時代になった。「ライドシェア」業の最大手はウーバーテクノロジーズ(米で7割のシェア)である。ウーバーは10年にライドシェアのサービスを始めた。現在は世界700を超える都市に進出、料理宅配や貨物トラックの配車サービスなどを展開している。 

6)米アップルがスマホの特許をめぐる米半導体大手クアルコムとの知的財産紛争で全面和解した。アイフォン用にクアルコムから5G対応の通信半導体を供給してもらうためだ。

7)GAFAが中核事業において互いに浸食するようになり、成長に陰りが見えてきた。例えばアップルは19年秋からアップルTVと名付けた動画配信サービスを始める。

8)過去10年で時価総額を10倍以上に増やした成長企業「テンバガー」を調べたところ、アジア企業(日本を除く)は1679社と世界全体の半数を占めた。

9)中国IT大手が香港でネット銀行を開始:アリババ系のアント・ファイナンシャル、スマホ大手の小米、金融機関向けクラウドを得意とするワンコネクトなどが相次ぎ香港で銀行業に参入する。これを踏み台にしてグローバル市場に打って出る狙いである。


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第378回こぶし会例会報告(令和元年5月13日)

2019年05月29日 | 例会報告

話題 1 タイは中進国の罠を回避できるか            加藤 隆

 タイは長年に亘るわが国からの支援もあり、今やアセアン諸国(特に陸の回廊)の中心として進展し,中進国入りを果たした。タイは面積が日本の1.4倍、人口は約半分で、亜熱帯に位置し自然豊かで、独自の文化があり、これが観光資源にもなっている。国民は国王をこよなく敬愛し、僧侶を尊敬する仏教国であり、今や4,500の日本企業が進出し、住人として日本人は7万人を超え、日本レストランは3,000軒に及ぶ。そして特に最近日本にあこがれ親日的である。これまでタイの産業への日本からの寄与は計り知れない。それは技術協力とビジネスを通してなされたが、電気通信の分野でも、半世紀に及ぶ日本で開発された技術の移転、通信網建設や人材育成に貢献し、今でもデジタルトランスファー(DX)などで続いている。         タイの最近の情勢として、周辺の国の振興が進んでいるせいか、報じられる話題が減少気味ではあるが、依然活気に溢れている。クーデタにより成立した軍事政権が5年目に入り、先般民主的な総選挙が行われたが、政権の行方がなお不透明で、政情がやや不安定である。またGNPの成長はやや停滞気味で、首都圏と地方との格差が縮まっていない。わが国からの投資が一巡した感があり、米中貿易摩擦の影響がじわじわ出てきている。1年前に国民が敬愛してやまなかった前国王が逝去され、ラマ10世王が即位した。                        タイはその中にあって、中進国の罠の回避に向けての模索をしている。その一つが、長期的に目指す経済社会ビジョン「タイランド4.0」実現に向けた施策で、イノベーション・生産性・サービス貿易に重点をおいた持続的付加価値創造を目指している。そのため、10の産業(次世代電話、スマートエレクトにクス、ロボット産業、農業バイオテクノロジー等)を優遇している。       そのために、デジタル経済社会の促進(インターネット環境整備等)、新規投資戦略(東部経済回廊への投資を優遇)、タイランド+1(周辺国へ進出)を柱とし、バンコックーチェンマイ間に日本式高速鉄道の導も入計画されている。また貿易の拡大を図るため、ASEAN内の貿易振興はもとより、TTPへの参加も望んでいる。ここに今後とも我が国からの技術やノウハウの移転や投資のチャンスは大きい。更にタイは国民性として強みをもっている、それはb、国王敬愛や仏教崇拝など精神文化のバックボーンがある。また目上の尊敬や互助など心豊かで微笑みの国でもある。更に柔軟で八方外交というしぶとさも持っている。「遅々として進む国」・「何とかなるさの国」のタイは着実に進展している。

話題 2  目から鱗の地政学           島田 博文

 最近は新聞等で地政学という言葉が説明もなく使われている。そこで地政学とは如何なるものかを知りたくなって、勉強したのが今回の”目から鱗の地政学”である。             地政学には、「歴史を善と悪の戦い」と考え「正義は勝つ」とする理想主義と「歴史には正義も悪もない。あるのは生存競争。勝敗は道義的な正しさではなく、力の強さで決まる」という現実主義(リアリズム)がある。では地政学とは如何なるものか。                    地政学は、国家間の衝突のことの善悪でなく”国家間の生存競争”とみなし,時刻が国際社会で生き残るための国家戦略を、国土の地理的条件からマクロ的に分析する学問である。地政学の提唱者には、米国のアルフレッド・マハン、英国のマキンダー、ドイツのフリードリッヒ・ラッツエル等があり、初めて地政学という言葉を使ったのはスウエーデンのルドルフ・チェーデンだ。 

マハンは米国の立場から、①海を制する者は世界を制す。②如何なる国も、大海軍国と大陸軍国を同時に兼ねることは出来ないとし、マキンダーは英国の立場から、①これからの世界ではSea Poweの力は衰退し、Land Powerが優勢となろう。②東欧を制する者はハートァンドを制し、其処を制する者は世界を制するとした。ラッツエルは、国家が生存する為に一定の領域が必要だという生存圏論を提唱した。チェレーンは”生存圏肯定の理論”を再編成し、「ゲオポリティク」(地政学)の名称を用いて自給自足論を提唱した。

米国はマハンの戦略通り動き、第二次世界大戦に勝利し、本国は戦場にならず、戦後経済は大発展する。資本主義国であるため、常にフロンティアを求め、Sea Power国家になり、世界の警察官の役目を果たした。フロンティアが無くなり、格差が拡大し、ポスト資本主義に悩み、自国第一主義を唱え閉鎖的になってきた。結果、「力の空白」ができ、リムランド(大陸縁地域)での紛争が発生する。

ロシアはロシア革命でソ連を創り”社会主義の世界への普及”を目指したが、資本主義に負け、ソ連は崩壊した。民主主義・資本主義に移行したが、格差が拡大し、社会主義に戻りつつある。プーチンは独裁的になり強いロシアをめざし、巻き返しを図っている。

中国は常に北からの脅威を意識していたが、ソ連が崩壊し北の脅威が少なくなり、世界制覇の為にSea Power国家を目指し、一帯一路でリムランドを支配する国家戦略を持ち出した。

英国は欧州半島戦略のオフショアバランス(地域覇権をとりそうもないものに対し、対抗勢力を援助すること)のためロシア・ソ連と組んで第一次・第二次世界大戦を戦いドイツに勝利したが、Land Powerのソ連を強くした。また日本との戦いに勝利したが、植民地が皆独立して、植民地を失い、勝者の混迷にはまり、その地位をアメリカに譲った。  

半島国家は強いところと組むのが地政学的戦略だ。韓国は清に朝貢していたが、日清日露戦争で日本が清に勝ったので親日派ができた。第二次世界大戦で日本が米国に負けると、今度はソ連と組む北朝鮮と米国と組む韓国が出来た。

中東の地政学は次回に譲る。

出典:茂木誠著「世界史で学べ。地政学」祥伝社、倉前盛通著「悪の論理~地政学とは何か」日本工業新聞社、宮脇淳子著「日本人が教えたい新しい世界史」徳間書房

         

 

 

 

 


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第375回こぶし会例会報告(平成30年12月10日)

2019年01月06日 | 例会報告

話題 1.日比谷電電ビルについて   沖塩荘一郎

 1961年から日本電電公社本社として使われてきた日比谷電電ビルは、その後NTT日比谷ビルと名を変え、最近はNTTコミュ二ケーションズの本社として使われてきた。今回NTTコム本社の大手町プレイスへの移転によりこのビルは空き家となる。今後このビルをどうするか決まっていないようだが、開発の動きはある。ただ、2020年の東京オリンピック時に都心のこの場所での工事は控えて欲しいとの要請があるとかで、暫くはこのままらしい。永らく電気通信事業の象徴的存在であったこのビルについて、建築の立場から述べてみたい。            建築設計者:国方秀男                                              吉田哲郎(東京中央郵便局設計)、山田守(旧東京逓信病院設計)ら、日本の近代建築運動をリードした建築家たちを輩出した、逓信建築直系の最後の大建築家である。             経歴:1913年富山県に生まれ、第一高等学校、東京帝国大学工学部建築学科を経て逓信省に入省。兵役ならびに召集の後、戦後逓信省復帰。1949年電気通信省施設局建築設計課長、1952年日本電電公社建築部総監督。1958年関東逓信病院で、1961年日比谷電電ビルで日本建築学会作品賞を受賞。1963年日本総合建築事務所(現・日総建)設立、取締役就任、1980年同事務所社長。1976年国際通信センター(KDDビル)で、1982年富山県立近代美術館で建築業協会賞受賞。1993年逝去、享年80才。                      日比谷電電ビル                                                  戦前のオフィスビルは、一部の例外を除き冷房はなく,自然換気と昼光採光に頼るためオフィスの奥行きは9m程度が限度だった。また、便所は停電時の採光と臭気対策で外気に面する場所で窓が解放できるようにするのが常識だった。しかし、停電が少なくなり冷房も導入され出した1950年代後半から、便所を外気に面させないセンターコア方式と自然採光と換気に拘らない奥行きの深いビルが可能となり、日比谷電電ビルは様々な面で1960年代以降のわが国大型オフィスビルのモデルとなる建築だった。オフィスビルの建築計画、耐震性など大規模オフィスの構造計画、避難、延焼防止などの防災計画、メンテナンスし易い保守計画、先端的な空調計画、公共建築の在り方を示すデザインとコスト計画などへの見事な対応と、細部に至るまで神経の行き届いた計画は、驚嘆に値するものだった。(具体的に内容を解説)。        このビルは、DOCOMOMO JAPANが「現存する日本の近代建築」に選定している。

話題 2. 吟醸酒に親しむ          倉島 渡

 以前は(吟醸酒は日本酒であって日本酒と異なるもの)と言われておりました。それだけ特別な酒でしたが、今では多くの吟醸酒が売られており、普通に飲まれています。私は酒の専門家ではないですが、平成11年から2年間、日本の吟醸酒の仕掛け人である「篠田次郎氏」が行う毎月3時間の「吟醸寺小屋」で学びました。1時間目は酒の技術と解説、2時間目は各界の専門家による酒に関する文化の話、3時間目は利き酒でした。今回はその時に学んだ日本酒と世界の酒、歴史を解説し、実際に吟醸酒の利き酒の手法を紹介しました。    吟醸酒は精米度合いが少ない(吟醸酒は60%以下、大吟醸酒は50%以下)米から作られるものですが、作り方においても、吟醸酒用酵母使用、低温発酵、袋吊り、低温保存など、日本人の高度な匠の技が加えられています。                                吟醸酒の一番の特徴は吟醸酒と言われるフルーティな香りです。また口に含んだ時と飲み込んだ時の豊かな味と香りが特徴で、世界でも高い評価を得て、和食とともに普及しつつあります。飲酒と健康について、専門家の間で賛否両論がありますが、病気の種類により、少量の酒(日本酒1合から2号まで)なら長生きするが2合を超えると短命になると言われています。いずれにしても飲みすぎは明らかに体に悪いです。                       アルコールは肝臓でアセトアルデヒドになります。白人、黒人は100%の人間がアルデヒド脱水発酵が働き、無害の酢酸になり、酒に強いと言われていますが、日本人(モンゴロイド系)は約54%の人しかアルデヒド脱水酵素が働きません。約40%の方はアルデヒド脱水酵素の活性が不十分で酒に弱いと言われています。無理をすれば飲めるようになりますが、かなり体にとって無理をしており、健康上好ましくありません。さらに約4%の方は全くアルコールを受け付けない人達で、これらの人には絶対に酒を進めてはならない方々ですので知っておいて欲しいです。                                         労働安全衛生上からもアルコールが分解されて安全に作業ができるようになるには時間がかかります。目安として日本酒換算1合当たり3時間以上かかります。自動車運転だけでなく、一般の工場や建築現場で作業前にアルコール検知器でチェックして、安全に作業をしていただきたいです。一部の建設会社ではすでに実施しているとのことです。お酒についての正しい知識をもって、飲酒の人生を楽しくしていただきたいと願っています。

 

 

 

 

 

 


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