人気テレビ番組『Youは何しに…』は空港で来日する外国人を、
「何処から来たの?」
「何故日本へ?」とインタビューする。
「日本のアニメに興味があって…日本語を勉強して…日本に行ってみたかった…」というヤングからミドル達が少なくないのに、驚く。
“セーラームーン”や“忍者”などのコスプレに熱心な若者(といえないYou)も多い。
シニアの筆者にはアニメはおろか、
“変身ヒーロー”や“恐竜”の知識に疎く頭を下げるしかない。
戦後の漫画映画はディズニーの天下だった。
ミッキー・マウスを生んだディズニー世界初総天然色長編漫画映画『白雪姫』が、
1950年(昭和25年)に日本で公開され、
7300万円余の興行収入を上げその年の大ヒットになった。
何年か経って『白雪姫』は日米開戦四年前(1937)に製作されていたことが解り、
こんなところにもアメリカが先進していたとは!
〈これじゃあ負けるのも仕方ないか?〉と妙な敗北感を持った〉
更に何年か経ちジャズのスタンダード曲:
♪Someday My Prince Will Comeが映画挿入曲だと知って、
アメリカ映画、特にミュージカルに溺れていたこの頃が、
ジャズ喫茶人生を通す“ひとこま”だったのかもしれない。
映画『巨星ジーグフェルド』は黒白版である。
最大の見せ場、直径21メートル、重さ100トン、175段の螺旋階段を回転させ聳え立たす“豪華”な舞台装置が,もしカラーだったら“絢爛”極まりなかったのに !!!
フローレンツ・ジーフフェルド役だったウイリアム・パウエルは、
再び『ジーグフェルド・フォリーズ』で、天国に逝った彼を演じている。
【ジーグフェルド・フォリーズ】(原題:Ziegfeld Follies)
1946年:米(カラー 110mins)
劇場公開:89年
監督:ビンセント・ミネリ
主な出演者
ウイリアム・パウエル
ジュディ・ガーランド
フレッド・アステア
ファニー・ブライス
リナ・ホーン
シド・チャリシー
ジーン・ケリー
ゆっくり天国に近づくと三つのモニュメントを潜る。
シェークスピアの門、バーナム・サーカスのテント、そしてジーグフェルド劇場入口。
*バーナムは「世界最大のショウ」を設立したアメリカの興行師
広々した書斎でワインレッドのガウンを着たフローレンツは、
『巨星ジーグフェルド』のキャラクター人形を見、楽しかりし日々を回想する。
「古き良き時代だった。私が天に召されたらフォリーズもなくなった?
私のフォリーズは私にしか出来ない、あと一つ作るとしたら?どんなショウにする?」…
「オープニングを飾る主演は?旧友のフレッド・アステアが、ふさわしい」
シルクハット・タキシード・ステッキ・ファッションのアステアが歌う、
♪Here's to The Girls
銀とピンクの花飾りの帽子の美女群の(“の”が続くのは溜息間隔)輪から、
トウダンスのシド・チャリシーが躍りでる、
麗美が織りなすショウ、
本物の白馬に跨りバージニア・オブライエン艶美の・唄。
ストーリーは無くMGMゆかりのスター達が、
レビュー、オペラ、軽歌劇、軽喜劇、寸劇などを競う贅沢な構成。
音楽プログラムを追ってみよう…
●『椿姫』を歌う
ジェームズ・メルトン(男性)、マリオン・ベル(女性)が歌う、踊る「乾杯の歌」
舞踏会シークエンスがフォリーズ調。
●この僕の心は
アステア最初の出番
真骨頂の12分→の3分の2は、お馴染み“口説き落とし”(いつもより巧妙)
♪This Heart of Mineを歌いながら、ルシル・ブレマーと踊るシーンは…(いつもより熱い)
●愛
MGM映画に度々出演している美人ジャズ歌手、
バンプ役を演じさせたら──この人、
リナ・ホーンがトロピカル酒場で唄う♪Love
●ライムハウス・ブルース
黒の帽子・服すがたの中国人に扮したアステア、
古いチャイナタウンの歓楽街を不気味にうろつく。
黄色いドレスを着た女性が骨董店で陳列の“扇”をジット見、諦めて去る。
アステア迷わずそれを盗む。
撃たれた彼は半死状態、必死に、“扇”に手を…
〈ここからアステア・ファンタスチック・ワールド〉
“扇”ひらひら…天国に誘う、
黒ずくめコスチユームが真紅に替わり黄色女も赤くなり、
7分続くこのシーンのほぼ半分を占めたのは、斬新なデュオの踊り。
〈アステアは様々な小物を使って楽しませてくれてきたが、
“扇子”は初めて見た〉
両手に表・裏が紅白になるちょっと大きめの扇子を自在に変化させ、
まるで日舞のような所作!
振付師が日本贔屓かな~?ジャナクッテモ嬉しい。
さて、現場に還った、アステア如何に!
●インタビュー
大女優が記者に取材されるコミック・オペラ
16歳のとき映画『オズの魔法使い(1939)』ドロシーを演じ、
アカデミー特別賞を得たジュディ・ガーランドが、
コケティッシュでダイナミックな踊りと唄──
男性コーラス群とのコラボレーションは、格が違う。
●凡人と凡人(原題:The Babbitt and The Bromide)
〈babbitt(俗物)&bromide(凡人)とへりくだったタイトル?
いや、いや“粋”な、ふ・く・せ・ん〉
ミュージカル二大スターの、ただ一度だけ共演した“お宝映像”だった。
公園のベンチで新聞を読んでいるジーン・ケリー、
隣に座ったフレッド・アステアはどうやら御同業者。
ジェントルマン:アステアと伊達男:ケリーのシンクナイズド・ステップ。
ガーシュウイン兄弟の曲に乗って出会いから10年後・20年後の人生を語り踊る、
7分15秒! 〈YouTube でご覧になリます〉
まさに“名人”&“名人”パフォーマンスこそ、本編最大の見どころだろう。
天国在住のフローレンツもサプライズの一幕は、想定外に違いない。
●美
フィナーレはキャサリン・グレイスン。
ミュージカル・ソプラノ歌手で女優。
MGM映画『錨を上げて(1945)』ではケリーと共演している。
アーサー・フリード詞・ハロルド・アーレン曲♪Word and Music
グレイソンの唄と踊り──
美はどこにでもある/誰もが愛でることができる/
すてきな世界に広がっていく…
泡の海で踊るシド・チャリシー、舞う美女&美女、
目の前に誰かが現われ/突然真実だと知る…
Ziegfeld Follies の輝く文字を背に、グレイソンが立つ!
“フォリーズ動く絵画『ビーナスの誕生』だ”
END
[追記]
1974年映画『ザッツ・エンターテインメント』には、
約半分縮小された「凡人と凡人」が挿入されています。
共同ディレクターのケリーが、
「フレッド・アステアと踊る時は力が入ります、
このジーグフェルド・フォリーズが唯一の共演、
また一緒にやりたいものです」と語っています。
スタンリー・クラークとグレコリー・ハインズのベースとタップのデュエットも最高ですよ。
グレゴリー・ハインズのご案内有難うございました。
まだ私のコレクションからは出てきませんが、過去の響庵通信では『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』のビル・ロビンソン、ニコラス・ブラザーズ。『あで始まる気になる映画』ではジョン・ウイアムズ・サブレット。『気になる映画監督』からポーギー・とベスのサミー・デイビス・ジュニア。
『華麗なるミュージカル(1)』のレイ・ボルジャーをご紹介しました。
ですが青春時代(?)のフレッド・アステア、ジーン・ケリー、サミー・デイビス・ジュニアの印象ががBEST・3になってしまいます。映画の印象って強烈ですね。
いつの間にか、前回のテスト投稿もどこかへ行ってしまいました。
私のPCが壊れて、先週新しいものに変えたせいかもしれないですね。
ミュージカルは門外漢なのですが、断片的には観ています。
大学時代に今のカミサンとデートで観に行った『ザッツ・エンターテスンメント』は素晴らしかったすね。中でもアステアとジンジャー・ロジャースのデュオには目を奪われました。
正しくはもちろん『ザッツ・エンターテインメント』です。
お恥ずかしい‥‥‥。
「ミュージカルは門外漢なのですが…」とおっしゃいましたけれど私は音楽家や映画人ではありません。
このブロぐは『AsTime Gors By』から始まったのですが映画『カサブランカ』の印象が強く残っていたからです。
スタンダード曲を調べたいと思ったのが響で毎日ジャズに浸っていたときでした。
ガーシュウインやポーターの曲がランキングにたくさん登場します…多くはミュージカル挿入曲によることが、無意識に
ブログの流れを作曲家→伝記映画→ミュージカルになったと思いました。
大袈裟に申し上げると、
ブログ体系を気づかせていただいたのです。