近くの小さな神社の側に、この時期になると大きな
実をつけるミカンの木がある。
いつものことだが、実をつけたまま放置されていて
誰かがもぎ採った形跡は見たことがない。
子供の頃、祖母の家の庭先に似たような実をつける
木があり、祖母はこの実を”くねんぼ”と呼んでいたように
思うが定かではないし食べた記憶もない。
”くねんぼの木”も庭も今はもうない。
そんなことを想いながら歩いていると
この一年、申年も去るか、と師走の風が冷たい。
今年もダラダラと乗りきったし、ノーベル賞ならぬ
飲ぉーめる賞でも我が身に与えるか。
尾張の里は”くねんぼ”の向こうに静かに暮れてゆく。