ヤンキースが09年オープンの新球場の目玉に、日本ハム・ダルビッシュ有投手(21)の獲得を狙っていることが12月31日、明らかになった。ダルビッシュが大リーグでプレーするにはポスティングシステム(入札制度)にかけられる必要があるが、同投手が8月の北京五輪後に世界に活躍の場を求める可能性を考慮。レッドソックスが松坂に投じた5111万ドル(当時約60億円)以上の入札額を検討している。昨年末に東京都内にメジャー球団初の日本オフィスを開設し、水面下で調査を進めている。
ヤンキースがダルビッシュに狙いを定めた。ヤ軍関係者によればルーキーイヤーの05年からスカウトを派遣し、本格調査を開始。ヤ軍3A監督を務めたこともある前日本ハムのヒルマン監督からも、情報を収集していた。球団内では「現段階でも松坂と同等もしくは、それ以上」と評価。のどから手が出るほど欲しい存在だ。
ダルビッシュが09年から海を渡るには、ポスティングシステムが必要となる。まだ21歳の球団の顔を日本ハムが簡単に手放すとは考えにくいが、08年は北京五輪イヤー。ヤ軍は世界との戦いを経験した同投手が「今度はメジャーで力試しをしたい」と希望する可能性を見込んでいる。
本人はメジャー希望は口にしていないが、松坂がWBCでメジャー志向に拍車がかかったように、世界舞台を経験すれば一気に傾く可能性は十分ある。また父ファルサさんは代理人と親しく、将来的にはメジャー移籍を視野に入れているとされる。
ヤ軍は09年に新球場をオープン。スタインブレナー・オーナーから同年のワールドシリーズ制覇の命令が出ており、浮上したのがダルビッシュ獲得だ。実力も人気も抜群。新球場の広告など日本企業による収入も期待できる。
ヤ軍は昨年末に東京都内に日本オフィスを開設。選手調査などの拠点をつくった。キャッシュマンGMがヤ軍にコーチ留学経験がある日本ハム白井一幸前ヘッドコーチに特命スカウトを要請した経緯もある。白井氏が固辞したため、現在特命スカウトの獲得にも動いている。
09年に獲得できなかった場合でも、10年以降も同投手の獲得を最優先事項の1つとする方針。ヤ軍では松井秀喜外野手の契約が09年で切れる。日本市場でのブランド維持のためにも獲得は至上命題となる。
日本ハムがポスティングにかける可能性がゼロではないと、ヤ軍が考える理由の1つがレッドソックス松坂の前例。松坂の入札でレ軍は西武に約60億円を支払った。ファンの後押しがあり、松坂レベルの入札金が入るとなれば検討せざるを得ない状況となる。昨年の福留、黒田のFA移籍と大物選手のメジャー移籍は今や自然の流れとなっている。
大リーグ関係者は「ダルビッシュを松坂以上と考えるヤンキースが、もし60億円以上の入札を行うとすれば日本ハムにとっても悪い話ではない」と話す。実はメッツ、ドジャース、エンゼルス、カブス、ホワイトソックスも興味津々。「ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴの全球団は、ダルビッシュを獲得しようと真剣」と説明した。北京五輪にはメジャー球団のスカウトが集結、早ければ08年オフから日本のエースをめぐる獲得競争が本格化する。
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