野雪隠 尻ベタこそぐる レンゲ草
みなさんは、肥後狂句(ひごきょうく)って御存知ですか?
肥後狂句は 熊本独自の短文芸です。
「川柳」に似ており、熊本弁を使って、ユーモラスなものから、皮肉を混じえた世相批判など、さまざまです。
この句の味を堪能するには、当然ながら熊本弁、肥後弁が理解出来なければなりませんが、翻訳すれば、その面白さが解るかと思います。
① 野雪隠(のぜっちん)尻ベタこそぐる レンゲ草
② 野雪隠 蟻の行列 うっ止めた
③ 野雪隠 一山(ひとやま)ごとに 横歩き
以上の3句は、熊本での学生時代、「寮祭」で、体育のK先生が、舞台で吟詠しながら、その様子をユーモラスに演じられたものです。
K先生は剣道五段の立派な体格で県代表の強者でしたが、普段はとても優しくて、体育の時間には、いつも「生徒の自習」と称して、みんなが好きなソフトボールをやらせて頂きました。
その間、ご自分はムギワラ帽子に手ぬぐい姿で、せっせとグランドの草取りに励まれていました。
人情味ある大好きな先生でした。
その真面目な先生が、「寮祭」では、舞台に上り、キョロキョロとあたりを見回しながら、そっとズボンを下ろして(もちろん、下にはステテコ)しゃがみ込み、じっと目を閉じて、気持ちよさそうに、この句を大きな声で吟詠されたのです。(K先生ご自身の作品かどうかは不明ですが…)
会場は大爆笑!生徒達からヤンヤ、ヤンヤの大拍手でした。
だから、いまでもこの句を覚えています。
四十数年前の思い出。
K先生は天国でも肥後狂句を楽しんでいらっしゃるかも知れません。
大好きだったK先生の思い出を、一度はブログに紹介したいと思っていました。
句の意味がイマイチ解らない!?という方へ、私流に解説してみました。
① 野雪隠(のぜっちん)尻ベタこそぐる レンゲ草
(解説)野雪隠=のぜっちん と読む。野原での用便のこと。
尻べた=お尻の丸い部分 こそぐる=くすぐること
春うらら、一人で野山へ出かけたとしましょう。
そよ風も心地よい。
辺り一面にレンゲ草も咲いている。
すると、急にお腹の自然現象が訪れてきた。
困ったな、トイレは無いし…
どうしよう…
あたりを見回すと、幸い誰もいないようだ。
雄大な阿蘇山を眺めながら、草原にしゃがみ込む。
そして、気持ちよく「う~ん♪」
おっと、草原のレンゲ草が、お尻をくすぐってるよ
…てな具合です。
② 野雪隠 蟻の行列 うっ止めた
(解説)うっ止めた=止めたの強調語です。 どーんと一気に止めてしまった。
その落下物が、蟻の行列の真ん中に・・おかげで蟻の行列は中断されて、
慌てた蟻たちが右往左往している様子がアリアリと浮かんできませんか?
③ 野雪隠 一山(ひとやま)ごとに 横歩き
(解説)野原での開放感、快便!♪ 地面に立派な山が出来た。まだまだ可能なり。
しかし、それ以上の高山はお尻にぶつかる。
そこで、カニのように横歩きして、新天地に次の山を築く。
どうです! どうよ!どうよ! の開放感!
威風堂々として、牧歌的で、かつ優雅ではありませんか
熊本県大百科(熊本日日新聞社刊)に肥後狂句の解説がありました。
肥後狂句の起源には三説がある。加藤清正のころからとする説。細川氏入国の後とするもの、川柳と前後して天明年間(一七八一~八九)に始まったとするもの。
形式は俳諧の連歌の流れをくんだ冠り付けではあるが、その課題(笠)は五字と限定されない。
冠り付けであるから笠を必ず上に置き、方言を取り入れた日用語で七・五の12字で付け句をすることになっている。(一部を抜粋)
冒頭の句では、笠は「野雪隠(のぜっちん)」ということになります。
いかがでしたか? あなたも、自分の方言で作ってみませんか?
この後も、時々新作をご紹介したいと思っています。
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一番最後の句の意味がわかりませんでしたけど、そういう意味だったんですね。
大爆笑です。
そこまで、出ればさぞかし気持ちが良いでしょう。
便器でたとえれば、流した水がよけて通るということでしょうか?(笑)
誰もいない野原での開放感ってことですね!
お題がネタでごめんなさいね!
密かに投稿したのですが、もう見つかってしまいました…オハズカシイです。
一回目の投稿の後で、レイアウトを数回調整しました。
HTML作成では、最終的に本番画面で確認しないとダメですからね、不便です・・
(プレビュー出来ると良いんですが)
「肥後狂句」私は作ったことありませんが、
面白そうです。今度、「お題」を提供して、みなさんで作ってみましょうか…
面白いですね。先生の温かさが句に現れています。
雪隠の情景が目に浮かびます。
方言で句を読むのですか、簡単そうで難しいかな
短編の中にすべてを凝縮させるのですよね。
おもしろいですね~。肥後狂句!
私は、初めて聞きました。
地方、地方に、独特の川柳があるんですね!
よくペットボトルのお茶に、川柳が載っています。
それを読むのが、ひそかな楽しみのささです。
授業でも、俳句や川柳など、使えますよ!
なにしろ40数年前の思い出です。
普段は「剣豪・厳格」な先生の、舞台での名演技は、強烈な印象として残っていました。
きっと、親元を離れて淋しい思いをしている我々「寮生」に贈る、
先生からの精一杯の激励だったと思います。
今度、サイトから探して、ブログで紹介してみたいと思っています。
方言って、日本語の起源につながる言葉が、現代に残っているようで興味深いですね。
川柳も、機転が必要・・意味が解った瞬間、思わず吹き出してしまいます。
「日本語教師のさささん」も研究してみて下さいね。
その句を詠む時も豪快だったんでしょうね。
強面の人が、おちゃめなことをすると、
別の一面が見れたようで、嬉しくなっちゃいますよね。
豪放磊落!を画に描いたような先生でしたから、
その演技の滑稽さと、お声の大きかったこと、
みんな、涙を浮かべて笑っていましたよ。
こんな人間味溢れる先生って、もうあまり見かけない世の中になったようです。
熊本人のものです。狂句の紹介ありがとう
ございます。何かうれしいです。
先生は生徒たちにわかりやすく現代語訳
で狂句を教えてくださったのでしょう。
レンゲ草のところは熊本弁の
風騒花(ふうぞばな)で、尻ベタのとこは
女性のデリケートな場所の熊本弁が
古い詩でしょう。
のぜっちんめめじょこそぐるふうぞばな
野雪隠女女女こそぐる風騒花
地元のジーさんバーさんしか判らん方言
ですがかなり風流な詩です。
風に揺れるレンゲ草が大事なところ擦って
思わず「あんっ」と粋ですねぇ
他にも野雪隠では爆笑モノの詩があります。
野雪隠座りなおしよらる二の櫓(やぐら)
(座りなおしよらる->座りなおしている)
「一山ごとに横歩き」の元になった詩で
しょうか
まことに爆笑ながら熊本城の櫓に掛けて風流
です。
もう5年も前の記事ですが、よくぞ御覧になって頂いてとっても嬉しいです。
そして詳しい解説を頂きまして誠にありがとうございました。
tac3210様はブログなさっていませんか?
よろしければ是非、URLをお教え下さい。