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東京新聞・本音のコラムより「復元力」by山口二郎氏

2012年09月30日 | 社会のニュースを考える

東京新聞こちら特報部の「本音のコラム」日曜日版は、北海道大学教授の山口二郎氏の執筆です。
共感のあまり、日曜のコラムが楽しみで、いつも切り抜いてファイルしておりまする。今日のコラムは、ブログにもクリップしたいな、と。


 復元力  
山口二郎

 自民党総裁選を見ていて、保守とは何かを考えさせられた。
 野党の気楽さも手伝って、総裁選に立候補した若旦那たちは、外に向かって威勢の良さを競う絶叫コンテストを続けていた。しかし、これでは保守政党の看板が泣くというものだろう。
 保守の真髄は、人間の感情や思い込みが過激に走ることに対して、疑いの目を向け、熱を冷ますところにある。極端から中庸に復元する力が保守の真骨頂である。
 歴史上、左翼の方に激情型のおっちょこちょいが多かったので、保守は左翼に冷水を浴びせてきた。
 しかし、今はナショナリストに対して、水をかける必要がある。自民党の指導者が一緒になって排外熱を煽ってどうするのだ。柄にもなく、保守の不在を心配したくなる。
 復元力はメディアにも必要である。28日の朝日新聞朝刊に載った村上春樹氏の論考には、久しぶりに同紙の良識を感じた。こうした冷静な議論を広げることは、メディアの急務である。
 ついでに、石原慎太郎知事などは保守の名に値しない。東アジアでこれだけ紛争がエスカレートして、さらに日中の経済関係が途絶して、満足ですかと突っ込むメディアはいないのか。
 ただ火をつけるだけで騒ぎを面白がるような者に政治をする資格はない。
(北海道大学教授)




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