世事雑感

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さ(血?)迷えるNHK 6 「全部局業務調査」報告はデタラメ

2006-12-27 21:50:45 | NHK関連

『全部局業務調査報告書』全くのデタラメである。


NHKは平成18年12月26日『全部局業務調査報告書』なるものを公表したが、これは国民の意識から見たら、全くのデタラメである。


冒頭、橋本会長のコメント(全文)として、
『NHKは、自ら組織の健全化を果たすため、過去7年間に遡っ
の「全部局業務調査」を8月から実施し、結果を公表することといたしました。この調査は、単に過去の検証に止めることなく、職員の公金意識とコンプライアンス意識を、あらためて定着させることを目的としております。調査の結果、出張旅費の精算手続きを怠るなど業務管理や事務処理が不適切なものが見つかりました。視聴者の皆さまに、あらためて深くお詫び申し上げます。これら不適切な処理に関わる経費については、全額戻入させるとともに、対象者については厳正に処分いたします。NHKは、私以下全役職員が、従来に増して、経理処理や事業運営のさらなる適正化と透明化に向けて努力を重ねてまいります。』

また、石原経営委員長
『調査は、過去の負の遺産を一掃するとともに、職員のコンプライアンス意識の浸透を図
ることを目的としている』とコメントしている。

以下の調査の手法や結果の概要を示す。
<調査の目的>
調査の目的は、過去の不祥事から一刻も早く脱却し、組織全体に公金意識コンプライアンス意識の定着を図
ることを目的としている。
<調査対象>
平成11年度~17年度(7年間)の経費・業務管理全
<調査体制、調査に費やした期間>
各部局で編成した総勢408名。の調査体制で実施した。
 また、外部専門家である「あずさ監査法人」が調査全般にわたるアドバイスと協力を実施した。期間は平成
18年8月3日(木)~12月19日(火)の約4ヶ月半。
<調査結果>
業務管理や事務処理が不適切なものが1149件で約1476万円あった。
内訳は下記の(1)~(5)。
(1)出張旅費の未精算:433件   922万4,300円
(2)日当の誤請求・重複請求:253件   94万2,360円
(3)タクシーの不適切な使用等:377件   120万3,359円
(4)放送料の事務処理ミス:57件  339万7,142円
(5)備品等の台帳との不符合:29件
<今後の対策>
(1)航空機利用時に搭乗済みの半券の提出の義務化
(2)特急乗車の使用済み券の出張報告書への添付の義務化
(3)出張報告書の見直し
(4)管理者(出張旅費等の決定者)による業務管理の徹底
(5)職員意識の改革に向けた施策の実施(管理職教育の強化、役員と職員の対話活動の実施)
(6)放送料の重複支払いのチェック
など。
<職員の処分(5人の職員について懲戒処分)>
(1)出張旅費の未精算
   ・衛星放送局プロデューサー(当時) 停職1か月
   ・衛星放送局チーフディレクタ(当時) 出勤停止3日
(2)日当の誤請求
     ・山口局チーフカメラマン(当時) 停職1か月
(3)タクシーの不適切使用等
   ・福井局記者(当時) 出勤停止 5日
   ・報道局ディレクター(当時) 減給


一体NHKは何を考えて調査したのだろう? これが橋本会長や石原経営委員長の考える「職員の公金意識とコンプライアンス意識の浸透、事業運営のさらなる適正化と透明化」なのか?
たった上記(1)~(5)が守られれば、「コンプライアンス意識の浸透と事業運営のさらなる適正化」が達成されたことになるのか? 冗談ではない。


会計検査院が平成16年度および17年度決算検査報告の中で指摘した、
(a)
「事業所等におけるテレビジョン受信機の設置状況を適切に把握するなどして、受信契約の締結を促進するよう改善させたもの:2,114 千件(平成17 年度末現在)=350 億円(平成17 年度)」は不適正な事業運営ではないのか?
(b)
職員の不正行為による損害が生じたもの:大阪放送局ほか1放送局、不正行為期間 平成4年8月~16年12月、損害金の種類 番組制作費、損害額 1億6千万円不適正な事業運営ではないのか? コンプライアンス意識など無い。
(c)
東京国税局から2004年3月期までの3年間で2.7億円の消費税の申告漏れを指摘され、過少申告加算税も含め約3億円を追加納付したも不適正な事業運営ではないのか? 経営者自身にコンプライアンス意識など無い。


国民がNHKに抱いている『信頼感の欠如』とは、上記(1)~(5)のようなマイナーな問題だけではない。例として示した(a)~(c)のような不適正な事業運営が行われているから『NHKが信頼できなくなっている』のだ。
NHKが示した<今後の対策>など、世間一般では『何を今更』という感じで一笑に付すだろう。
そしてトカゲの尻尾切りのように5人(7年間でたった5人?)を処分しただけで、NHKの役員や経営委員は誰も責任は取らないのか? 会計検査院や東京国税局が指摘したような不正は経営トップが責任を取って当然である。
NHKが今回の発表で『過去のウミを出しきった』などと考えるのは大間違い、国民は誰も信じない。
こんな内容で『職員の公金意識とコンプライアンス意識をあらためて定着させる』ことが出来るはずがない。ますますNHKに対する不信感が増すばかりである。石原経営委員長や橋本会長の見識を疑う。