世事雑感

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なぜリハビリ上限日数は撤廃されないのか

2006-12-16 14:58:31 | 医療・リハビリ

昨日に続いてリハビリ上限日数に関する話です。
去る11月21日、リハビリ関連医学会で初めて、社団法人日本リハビリテーション医学会が厚労省に「平成18年
診療報酬改定におけるリハビリテーション料に関する意見書」を提出しました。項目2においては患者の視点からの意見もあります。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jarm/gakkai/info061124.htm 
日本リハ医学会の評議員や専門医を中心に実施した調査の結果などから、今回のリハビリテーション診療報酬
体系の改定の内容には、早急の見直しが必要であるとの結論を出しています。なぜ厚労省は直ぐに見直しに着手しないのでしょうか。
昨日触れたように、厚労省自身が『実態調査』(実態調査とは言えないような内容ではあるが)なるものを実施しているからでしょうか。しかし厚労省の『実態調査』が反映されるのは平成20年4月と思われます。あと1年半あります。 その間にリハビリ打切りによる病状悪化や廃用症候群が進み、寝たきりになったり、死期を早めたりすることが眼に見えています。
なぜ直ぐ撤廃なり、見直しなりをしないのでしょうか。 また、日本整形外科学会は8/22に違法・脱法すれすれの医師向けガイドラインを出しただけで厚労省に対し発言しないのでしょうか。 理学療法士協会等も高見の見物を決め込んでいます。
 厚労省は難病であるパーキンソン病や潰瘍性大腸炎の軽症者への公費負担撤廃を発表しましたが、1週間するかしないうちに「公費負担撤廃」を撤廃しました。 これはこれで厚労省の英断だと評価できますが、リハビリに関しても、もっと多くの人が困っていることを考慮し、直ちに見直しをするべきです。
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厚 生 労 働 大 臣             平成18年11月21日
  柳 澤 伯 夫 殿
              社団法人日本リハビリテーション医学会
                   理 事 長 江 藤 文 夫


平成18年診療報酬改定におけるリハビリテーション料に関する意見書


平成18年度社会保険診療報酬改定において、「リハビリテーション体系の抜本的な見直し」が行われ、発症後早期の算定単位数上限の緩和、摂食機能療法の充実、訪問リハビリテーションの充実など、本医学会が要望しておりました諸項目につき一定のご理解が得られましたことを喜ばしく思っております。


しかしながら、全人的視点に立ったアプローチが求められるリハビリテーション医療の観点から、今回の改定には以下の見直しが必要と考えております。リハビリテーション医療の一層の充実・発展のために、ご検討くださいますようお願い申し上げます。

              意見項目

1 疾患別リハビリテーション診療報酬体系のなかに、「総合リハビリテーション施設」を取り入れることが必要です。
   ・・・詳細は上記URLを参照ください。

2 算定日数制限を疾患別に一律に決めることの問題点
(1)必要な算定日数に関しては、疾患群ではなく個々の患者においてバリエーションが大きいので、算定日数制限の除外対象患者以外の患者においても、算定日数制限以上の日数が必要な場合にしばしば遭遇する。
(2)算定日数で収まらないことが予想される脊髄損傷などの疾患は、入院適応なしと判断してしまう場合がおこってしまう。
(3)介護保険対象でない年齢および疾患のために、どうしても医療保険で維持的なリハビリテーション治療を行わなければ廃用性の障害が出現する患者がいる。
(4)算定日数制限の除外対象患者になると、制度上は以前よりも診療報酬算定が行いやすくなり、不必要なリハビリテーション治療が場合によって行われてしまう可能性がある。
(5)開業している代替医療者に医師の同意書に基づく療養費を日数制限無く認めていることと整合性が取れないこと。
(6)十分に機能的なアウトカムが得られていない時点で、健康保険での診療の取り決めにおける算定日数制限の日となったことの理由で、治療を終了することを患者に説得することは難しい。
(7)維持期に利用することが前提となっている介護保険での通所リハビリテーションの個別患者における機能訓練の質が、現在の日本では必ずしも高くない。また、通所リハビリテーション自体の運用が個別の機能訓練を適切に行うことを目的としていない場合も多い。
(8)治療を継続することにより改善の得られる場合だけでなく、障害の状態の維持や進行の遅延が可能と医学的に判断される場合にもリハビリテーション医療の適応となると考えられる。

3 代替医療者の参入緩和は、国民が専門職による質の高いリハビリテーションを受ける機会を減じる恐れがあり、慎重な対応が必要です。
   ・・・詳細は上記URLを参照ください。
4 理学療法・作業療法・言語聴覚療法の削除は、専門性に係わる重要な課題であり、見直しが必要です。   ・・・詳細は上記URLを参照ください。


社団法人日本リハビリテーション医学会の意見書は上記URLにアップされている資料から、一部要点を抜粋し転載させていただきました。