世事雑感

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さ(血?)迷えるNHK139  やっても無駄。 全職員との個人面談

2007-06-10 11:18:05 | NHK関連

H18年度に役員と5,800人の職員がコンプライアンス意識についての対話を実施済み。 
しかし、約束評価委員会のアンケートで70%が「効果なし」と回答。
再度11,000人全員と面談しても効果期待できず。
経営トップの責任の取り方が部下に影響し、モラルハザードになった。
厳正に対処するのは、まずトップから。


 


NHK制作局青少年・こども番組部ディレクター(30)が8日午前8時ごろ、東急田園都市線の車内で、女子高生(17)の下半身を触ったとして、強制わいせつの疑いで警視庁渋谷署に逮捕された。


6月になって1週間ほどで、3人の職員がチカン行為で逮捕されたことを機に橋本会長は下記コメントを発表した。

-----  橋本会長コメント -----
本日、職員が強制わいせつの容疑で警察に逮捕されました。誠に遺憾であり、心よりお詫び申し上げます。事実関係を調べた上で厳正に対処いたします。
 公共放送として、本来なら、視聴者の皆さまの信頼を築き上げなければならない、この重要な時期に、職員の不祥事が相次いでいることは、これまでのNHKの信頼回復への取り組みを台無しにするだけでなく、NHKの放送そのものに対する信頼を大きく失墜させるものだと深刻に受けとめています。度重なる不祥事に、視聴者の皆さまには深く深くお詫び申し上げます。
 いま一度、公共放送に携わる職員自身の自戒・自律を求めていくとともに懲戒処分の見直しを検討するなど、組織として不祥事の根絶に向けた具体的施策を早急に実施してまいります。
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これを受けて畠山理事は、管理職を含む約1万1000人の全職員に異例の個人面談を実施する方針を明かした上で、
 「これまでも上司が班会などを通じて十分、注意を促してきたが、われわれのコンプライアンス(法令順守)の醸成が不十分だったと言わざるを得ない」と反省。全職員の面談は『各地方局によって形は異なるが、1人1人と対話を重ねてコンプライアンスの意識を徹底させたい。来週末までには終えたい』と説明。また、懲戒処分の見直しについては「これまで以上に厳しい処分対応で臨む」しかない。
との認識を示した。


全職員との面談をやっても無駄。 
すでにH18年度実施済みだが、職員の70は「効果なし」と受け止めている。


面談しても無駄と言う理由と、対応策を次に述べる。

【"無駄”と言う
理由】

H18年度のNHKの"約束"の中に

『役員が先頭に立ち、職員意識の実態を把握した上で、コンプライアンス意識の向上に向けた実効性ある対策を講じます』
という約束がある。

 ”約束”評価委員会の報告書(図表65)によると、実際にH18/5から役員が部局に出向いて対話活動を実施した。
(1)NHKの本部で88回行い2,048人が参加。
(2)地方のNHKには役員が出向き、113回行い3,761人が参加。

合計すると201回行い5,809人が参加している。
昨年度中に全職員の過半数(53%)がコンプライアンス意識の向上について直接役員と対話している。 
役員との直接対話がどの程度職員のコンプライアンス意識の向上に役立ったかアンケート調査をしたところ、
(1)「効果があった」と答えた職員は、わずか3.6%。
(2)「気持ちを引き締める効果はあった」と答えた職員が、30.0%。

両方合わせても、
「多少なりとも効果があった」と感じたのは、わずか3人に1人しかいない。 (報告書 図表66参照)


 畠山理事が言うように全員と面談したところで、効果は無いことが既に実証されている。 
それに、わずか1週間で11,000人もの職員と面談するとしたら、一人当たりの面談時間は何分になるのだろう? 
面談結果をまとめて来週末(6/15)までに報告させるそうだ。 結局は形だけの面談で終わるだろう。 
こんな無駄なことに『受信料』を使って欲しくない。
 NHKは受信料未契約者・不払い者、約1,300万件に対し督促を行うと口では言っているが、これまでに実施したのは100人にも満たない。
NHKはいつもできもしないことを言い、その場を取り繕う。
NHKの常套手段だ。


【モラルハザードに陥った理由】

根本的にNHKトップのこれまでの姿勢・責任の取り方に有る。 例を挙げよう。
(1)H17年度の会計検査院報告で、ホテル等の契約率に異常に低いものがあることが指摘された。
  新聞等の報道では「東急イン」においては部屋数の5%しか契約していなかった。しかもNHK側の提案により5%の契約となったと言う。 放送法第55条では、不法な受信料免除に対してはNHK役員を100万円以下の罰金に処すると規定されている。 東急インの場合、経緯はともかくとしてNHK側の不法な受信料免除である。
会計検査院の指摘に対しNHK役員は誰も責任を取っていない。 
たとえ自分が役員になる前に起こったことでも、不法行為が明確になった時点で、そのときの役員は少なくとも道義的責任を取るべきである。 15人の理事・監事で別けあえばわずか7万円にも満たない金額である。 
自主的に罰金を払うなり、罰金相当額の報酬を返上するのが筋であり、そのようなトップの行動は必ずや職員の心の琴線に触れる。


(2)2006年に東京国税庁から、04年3月までの3年間で約2億7千万円の消費税申告漏れを指摘された。修正申告を行ったが、過少申告税を含め約3億円を追加納付した。
この件に関しても誰も責任を取っていないはずだ。 「過少申告税」が上乗せされたと言うことは、受信料が無駄遣いされたことになる。 なぜ経理担当役員は責任を取らないのか。
これを見た部下は「受信料なんて人の金」と思うだろう。


(3)2006年末の紅白で、「DJ OZMA」とのバックダンサーとして出演した女性ダンサーが上半身裸に見えるようなボディスーツを着込んで出演した。  視聴者からの抗議が殺到したため、司会者が番組中にお詫びをしたほか、ホームページでもお詫びが掲載された。しかしなぜかすぐに削除された。NHKはリハーサル時と衣装が違っていたとし、DJ OZMA側の責任であるとしているが、制作・著作NHKと表記しており、放送法によれば本放送の全ては放送事業者の責任である。
本件でも、NHKは誰も責任を取らず、視聴者に直接「お詫び」もしなかった。
 
いったんはHP上にお詫びを掲載したが、すぐに削除された。
1/4、職員に対する橋本会長の年頭訓示要約がHPの「NHKからのお知らせ」に掲載されたが、内容はあくまでNHK職員向けの訓示である。 視聴者に対するお詫びではない。 NHK会長がお客である視聴者に対して「訓示する」形となった。
お客に「訓示する」とは前代未聞である。 NHKが官僚的と言われるゆえんである。
NHKの性風俗に対する倫理感の欠如が今のチカン・猥褻行為多発の誘因となっているように思う。


(4)2006年に富山放送局長の万引き、山口放送局長の不正旅費請求、2007年に熊本放送局長のセクハラ事件が起きている。 これら「放送局長の不祥事」に、地方の放送局を統括する理事は責任を取ったのか。
卑しくも「放送局長」と言う、役員に次ぐ幹部の不正である。 しかも、「懲戒解雇」は無かったはずだ。 皆、退職金をもらえるのだ。 もっと厳正な姿勢で対処すべきだ。


(5)一連の破廉恥事件に対し、「職員の資質の問題」 として、組織としての責任を認めようとしていない。


上述のように、事件の責任を個人に着せ、組織としての責任を取らないNHKトップの態度が、現在のモラルハザードを生み出している。
6/4のBlogで触れたようにH18年度約束評価報告書 図表95を見れば、現在のNHK職員のモチベーションの低下は一目瞭然だ。 何でこんな職場にしてしまったのか。 98.4%の職員が「優秀な経営者がいない」と嘆いている。


【ではどうすれば良いか?】

どこの企業でも部下は上司の背中を見て仕事をする。 モラルハザードの項で述べたような事件に対し、NHK役員が経営者としての責任を認め、トカゲの尻尾切りではなく、自らを厳しく律する姿勢を示せば、部下も自然と自らを律するようになる。


今、大問題になっているコムスンの親会社であるグッドウイル・グループの折口会長が、自分の著書の中で、「不祥事が起きた会社というのは、経営トップをはじめとして、社内全体的に倫理感に欠けたところがある」と述べている。
この言葉をNHK役員はよく噛み締めて見る必要があるのではないか。



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