アリストファネス「女の平和」は、
現代日本人から見れば、
シムケン(志村けんさん)のコントのような描写もある喜劇。
内容は……岩波文庫から出ています。
是非とも、読んでいただきたい。
で、その解説を読めば、
その喜劇
と
書かれた当時の大きな悲劇
の対比に、涙を誘います。
アリストファネス「女の平和」は、
ペロポネソス戦争の真っ只中に、書かれたのです。
世界史を履修された方ならばご存知の通り、
ペロポネソス戦争は、
古代ギリシアに回復し難い打撃を与えました。
さて、2020年。
新型コロナウィルスが世界、
特に飲食業界に、
回復し難い打撃を与えました。
その事を念頭に置いて、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/b1/4f33b341be2bfc952e5d5fdbfe010d27.jpg)
を見返すと、
アリストファネス「女の平和」
と対比できそうです。
こういうバーは、今の世界から、
バタバタと消えています。
こういう仕える側の人たちは、
ザクザク首を切られてます。
(鬼滅の刃どころの騒ぎではないです。報じられる機会少なめですけど)
今の世界から、
背景もろとも
ザックリと削ら取られ続けている風景です。
回復し難い空間です。
バーを乗っ取って
「革命児となる」ことも、
美酒(しかも高い酒)に酔うことも、
今の世界では、得難い。
存在していたはずの空間が、
額縁の内側だけになってしまつた、
という
喪失感が、
雑多な質感を捨て去り、
輝度の高い色彩で以て、
「時空を超えて」(或いは、「時空の変化を拒絶して」)存在し続ける
「萌え絵」によって、
際立っています。
他の画風では、
額縁の内側と外側との落差は
生み出せなかったでしょう。
ポスト・コロナ時代の幕開けにふさわしい一枚です。