横綱・大関は、複数場所の成績で決めることで、八百長を防ぐことができる。 6場所の勝ち星の合計で番付を決めるという提案 (羽黒蛇)
二つ前の記事 http://hagurohebi6.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-99eb.html
では、毎場所の成績で、単純に成績順に、横綱二人・大関二人を決めるという案を提示した。(以下、羽黒蛇単純案と称する。)
現在の協会の昇進基準(大関には3場所で33勝、横綱には二場所連続優勝)と比較してみる。
現在の協会の昇進基準は厳しい。達成するのが難しい。基準が厳しいのは、達成した力士が、横綱・大関という地位に「ふさわしい」成績を上げるであろうという期待するからである。しかし、基準を厳しくしても、大関に昇進してから「ふさわしい」成績をあげていない。(以上は世間一般の評価を私が代弁したもの。私自身は大関へ期待する成績は、世間より低い。)
昇進してからの成績が悪いので、八百長を疑われる。本当は大関の実力がないのに、星を買って昇進したのではないかと。
羽黒蛇単純案では、大関に簡単に昇進できるが、簡単に落ちてしまう。何しろ横綱・大関は4人の枠しかないのだから。
4位の実力のある力士なら、八百長しなくても大関になれる。3場所33勝という高いハードルをクリアする必要はない。この点はたいへんよい制度である。
さらによいのは、弱い大関を撲滅できること。4位に入れないと関脇に落ちるので、毎場所カド番を迎えているのと同じ。8勝では落ちる。9勝なら落ちるかもしれない、10勝なら大関に残れるという厳しいカド番。八百長で、大関を維持するのは難しい。
上がる条件を易しく、落ちる条件を厳しく。昇進条件と陥落条件を近づけるのが、八百長を減らすポイントである。
しかし、羽黒蛇単純案には、大きな弱点がある。
上位で勝越しがやっとという実力しかない力士が、一度だけ大関になってみたいと、星を勝って幕内上位で10勝するかもしれない。(2番買えばよい。)
3位4位の実力(9勝から10勝)しかない力士が、一度だけ横綱になってみたいと、星を買って12勝するかもしれない。(2-3番買えばよい)
この弱点をどうやって克服するか。
一場所だけの成績ではなく、本当に実力がなければ、大関・横綱に昇進できない制度が必要である。
この弱点を克服するには、一場所ではなく、複数場所で横綱・大関を決めればよい。
実力が本当にある力士を、横綱・大関にするには、6場所が適当であろう。
実力のない力士が、6場所の通算成績を、八百長で4位にするのは、不可能であろう。
例えば、増位山(息子の方)には不可能であったろう。増位山の昇進前の6場所は、53勝で5位(貴ノ花と同点)。当時は、北の湖・若乃花・三重の海・輪島 四横綱時代。
6場所の合計勝ち星で、どのように大関・横綱を決めるか、私案を作った。(以下、羽黒蛇6場所案 と称する。)
横綱昇進基準1:基本として、成績の一番よい力士と、二番目の力士が横綱。
横綱昇進基準2:但し、2位でも、6場所で66勝(平均11勝)ないと大関から横綱に昇進できない。66勝以上でも3位なら横綱に昇進できない。
横綱昇進基準3:3位でも、6場所で72勝(平均12勝)以上なら、旭富士の悲劇が二度と起こらないようにするため。
結果として、三人目の横綱が誕生するのは、三人とも72勝の時だけ。二人が72勝で、一人が71勝なら、71勝が大関に陥落。
横綱降格基準1:基本として、成績が3位以下になれば降格。
横綱降格基準2:一旦横綱に昇進すれば、2位を維持すれば66勝を割っても陥落しない。但し、60勝(平均10勝)未満なら、2位でも大関に陥落。
大関昇進基準1:基本として、成績が4位以内を大関とする。
大関昇進基準2:5位以下でも、54勝(平均9勝)すれば大関昇進する。
大関降格基準1:4位以内でも48勝(平均8勝)未満なら、関脇に陥落。
大関降格基準2:5位以下でも、54勝(平均9勝)以上なら、大関を維持。
羽黒蛇6場所案で、昨年以降の仮想番付を作った。
13
71
2
引退
日馬富士
10
61
3
大関
琴欧洲
9
60
4
大関
把瑠都
12
56
5
大関
関脇
魁皇
9
49
6
関脇
大関
鶴竜
7
49
7
関脇
前1
琴光喜
1
46
8
小結
大関
稀勢の里
9
36
9
小結
琴奨菊
6
36
10
4人の大関のうち、ベテランの二人は、4位に入れず大関ではない。
把瑠都は、実際は関脇だったが、54勝をクリアして大関昇進。
6位の鶴竜は平均8.2勝の実力者。
稀勢の里は、平成21年5月場所の12勝が、横綱・大関と対戦しない東前頭4なのでカウントされていない。
2010年春場所の成績と、夏場所の仮想番付
白鵬
15
84
1
横綱
把瑠都
14
62
2
大関
日馬富士
10
61
3
大関
琴欧洲
10
60
4
大関
魁皇
8
49
5
関脇
大関
琴光喜
9
47
6
関脇
大関
鶴竜
6
45
7
小結
前3
稀勢の里
9
40
8
小結
関脇
琴奨菊
10
40
9
小結
豪栄道
2
27
10
10位の豪栄道は、6場所のうち5場所上位で対戦したが勝越しなし。
2010年夏場所の成績と、名古屋場所の仮想番付
白鵬
15
85
1
横綱
把瑠都
10
68
2
横綱
大関
琴欧洲
9
60
3
大関
日馬富士
9
56
4
大関
魁皇
9
50
5
関脇
大関
琴奨菊
9
49
6
関脇
稀勢の里
8
48
8
小結
関脇
琴光喜
9
48
7
小結
大関
鶴竜
6
42
9
安美錦
5
25
10
把瑠都が横綱に昇進。
前回までは62勝 4・11・12・9・12・14
今回これで68勝 11・12・9・12・14・10
たった10勝で横綱に昇進できるのは、5場所で58勝という貯金があるから。夏場所前の把瑠都は、横綱へのマジック8勝だった。
でも将来長く横綱の地位を守ろうとするなら、一つでも多く勝っておかないと、いつ合計60勝を割るかもしれない。12勝、14勝の貯金がカウントされなくなる1年後に備えて、一つでも多く勝たなくては。
八百長を減らすには、こうやるのである。
2010年名古屋場所の成績と、秋場所の仮想番付
白鵬
15
86
1
横綱
把瑠都
8
65
2
横綱
大関
琴欧洲
10
57
3
大関
日馬富士
10
57
4
大関
魁皇
6
48
5
関脇
大関
鶴竜
11
48
6
関脇
小結
稀勢の里
7
46
8
小結
琴奨菊
5
46
7
小結
前3
安美錦
6
31
9
栃煌山
9
21
10
関脇
名古屋場所11勝で2位の阿覧は、6場所通算で12勝。
解雇された琴光喜に代わり、10位に入ったのは栃煌山。通算6場所の成績は上位で取り続けることができる力士が少ないので、10位までの力士はほとんど同じ顔ぶれとなる。
2010年秋場所の成績と、九州場所の仮想番付
白鵬
15
87
1
横綱
把瑠都
9
62
2
横綱
大関
琴欧洲
10
58
3
大関
日馬富士
8
56
4
大関
琴奨菊
9
49
5
関脇
前1
魁皇
8
48
6
関脇
大関
鶴竜
9
46
7
小結
関脇
稀勢の里
7
46
8
小結
前1
安美錦
8
32
9
栃煌山
11
32
10
把瑠都の6場所: 9・12・14・10・8・9 6勝以下だと60勝を割り大関に陥落。
琴欧洲の6場所: 10・9・10・9・10・10 全勝しても63勝なので、66勝に届かず、綱取り場所ではない。
2010年九州場所の成績と、今年初場所の仮想番付
白鵬
14
86
1
横綱
把瑠都
11
64
2
横綱
大関
琴欧洲
9
57
3
大関
魁皇
12
52
4
大関
稀勢の里
10
50
5
関脇
琴奨菊
8
47
7
関脇
日馬富士
0
47
6
小結
大関
鶴竜
7
46
8
小結
安美錦
8
35
9
栃煌山
7
34
10
小結
日馬富士、休場で大関を陥落。
魁皇4位に入り、たった52勝で大関昇進。大関以上が4人がいるときは、54勝しないと昇進できないので、ラッキーな昇進である。
参考まで、前の場所まで、大関(4位)は最低でも56勝していた。
稀勢の里は、9・9・8・7・7・10 初場所は大関取り、13勝で54勝となる。
琴奨菊は、 6・10・9・5・9・8 初場所は大関取り、13勝で54勝となる。
鶴竜は、 7・6・6・11・9・7 初場所は大関取り、15戦全勝で54勝となる。
今年初場所の成績と、次の場所の仮想番付
白鵬
14
88
1
横綱
把瑠都
9
61
2
横綱
大関
琴欧洲
10
58
3
大関
魁皇
9
52
4
大関
琴奨菊
11
52
5
関脇
稀勢の里
10
51
6
関脇
鶴竜
8
47
7
小結
日馬富士
8
45
8
小結
大関
安美錦
6
41
9
栃煌山
6
40
10
日馬富士は8位に下がり、大関カンバックは難しそうに見える。しかし0勝だった九州場所が消える5場所後はチャンスである。これから5場所で、46勝29敗すればカンバックできる。
関脇の二人はだんだん力をつけてきた。ここ1年の順位は、
琴奨菊 9・6・7・5・7・5位
琴奨菊は、 10・9・5・9・8・11勝 次の場所は大関取り、12勝で54勝となる。
稀勢の里 8・8・8・8・5・6位
稀勢の里は、9・8・7・7・10・10勝 次の場所は大関取り、12勝で54勝となる。
二人は、4位まであと一歩である。4位が休場の可能性が高い魁皇なので、来場所は「可能性が高い」大関取りの場所となる。4位になれば、54勝なくても大関になる。二人のうち、どちらがより、多くの勝ち星をあげることができるか。 と、場所は盛り上がる。
把瑠都の6場所: 14・10・8・9・11・9 次の場所で、12勝以下だと大関に陥落、13勝以上で横綱を維持。
横綱になる直前の成績は、12勝・14勝とよかった。これがカウントされなくなる一年後に、平均10勝していなければ、大関に陥落となる。この間に9勝以下が3場所もあるという、横綱としてふさわしい成績をおさめていないので、陥落の危機である。
ここで、星を買って13番勝とうとするかもしれない。3位以下で、66勝をあげそうな力士がいないから、2位に落ちることはない。
仮に次の場所13勝で60勝と横綱を維持しても、毎場所カド番を迎えるような状態が続く。
今場所は何勝必要と、場所前から分かるので、監視の目がいきわたる。カド番横綱には、序盤から上位を当てて、八百長で負けたという疑いを避けることができるのも、この制度のメリットである。初日から、白鵬・琴欧洲・魁皇・琴奨菊・稀勢の里 と当てていくのである。これを3勝2敗でのりきれば、10勝でカド番脱出。先に上位とあてることで、終盤戦の八百長疑惑 (前の山・琴桜の前例) を防ぐことができる。
どんな制度でも、八百長の誘惑は残る。どうやって、今の制度より、八百長の可能性を減らすかを考えた。
八百長が実際に起こる可能性、外部から八百長と疑われる可能性は、高い順に、
(1)現在の協会の昇進基準
(2)羽黒蛇単純案
(3)羽黒蛇六場所案
羽黒蛇6場所案は、メリットが多い。
メリットその1:現在の協会の昇進基準では、横綱取り、大関取りの場所が、少ない。羽黒蛇6場所案では、毎場所のように大関取りの力士が出る。
メリットその2:現在の協会の昇進基準は、Aという大関より、Bという関脇の方が実力が上なのに、AがBより地位が上という番付が多すぎるのが弱点である。
羽黒蛇6場所案は、実力の上下が変わったら、すぐに昇進・陥落するというのがよい。
Xという横綱より、Yという大関の方が強いのに、XがYより地位が上も避けることができる。
メリットその3:八百長で8勝を続け、大関の地位を維持できなくなる。
また、弱い大関がいるという批判もでない。弱ければ、4位を維持できないし、54勝もできないから。
メリットその4:横綱がいない時、一人しかいない時、二人の横綱が昇進しやすい。66勝とハードルが低いからである。無理して横綱を作らなくても、自然に横綱ができるところがよい。無理して双羽黒を横綱にして失敗したというトラウマを払拭できる。66勝とハードルを低くした代わりに、3位になったら陥落。
2位でも60勝しないと大関に陥落するのだから弱い横綱はなくなる。
メリット5:最大のメリットは、力士が、6場所通算の勝ち星を最大にしようと努力すること。現在の番付制度では、8勝をした力士は、星を売ってくれと頼まれた時に、断りにくいが、羽黒蛇6場所案では、一番一番が効いてくる。8勝から9勝目の一番と、7勝から8勝目の一番の価値が同じという点が、八百長を減らす肝である。
メリット6:無理をしなくても昇進できる。現在の番付制度では、大関に上がる前は11勝、横綱に上がる前は13勝が必要。 (23勝していれば10勝で大関、12勝でも優勝なら横綱というケースはある。) ハードルが高すぎるので、星を買う誘惑が生じる。
羽黒蛇6場所案では、直前場所で大勝しなくても昇進できる。 これが、八百長を減らす肝である。 「今場所は星が少し足りない。しかし、チャンスは今場所だけではない。したがって、星を買う必要がない。」という思考回路に導いてやるのである。
分析6:
54勝で大関昇進として、大関が増えすぎで困ることはない。
48勝未満で大関陥落という条件は、ほとんど適用されることはない。4位を保つには、50勝は必要だから。
分析6:
66勝で2位なら横綱昇進としても、横綱が増えすぎるということはない。
60勝未満で横綱陥落は、頻繁に起こるだろう。休場すると、60勝は難しい。
横綱は頻繁に休場するので、66勝以上を続けているのに、横綱になれないという不運はあまり起きないと思う。
強かった旭富士は、すぐに横綱になれたであろう。
以上は、過去の横綱・大関の成績から、私が感覚的に、判断したものである。
このブログでは、過去の成績から、仮想番付を作り、自分の感覚が当たっているか、ずれているかを検証したい。
羽黒蛇