「相手の立合いを見て、とっさに変化しました」は大嘘なのかもしれない(羽黒蛇)
照ノ富士が初日立合い変化で琴奨菊に勝った時のインタビュー。NHK録画映像を聞いて正確に書き写すと、
「ずっと、初めて入った時から見てたし、なんか付き人といつも話していた、十両上がった時からいつか当たるだろうな、その時一回やってみたいなと、その場でやったんで」
要約:琴奨菊の相撲を十両の頃から研究していた。変化したら勝てるという結論を出した。一回やろうと決めていた。(羽黒蛇の分析:でも、その場でやった、ということにしておきます。)
逸ノ城が13日目鶴竜に勝った時に「場所前の稽古で歯が立たなかったので、立合い変化することを決めていた」という趣旨の発言。
昔から、立合い変化で勝った力士の、「相手の立合いが低すぎたので、とっさに変わりました」という趣旨の発言を、長年信じていたが、これは、ファンにはこう思わせておくという虚構、力士間の掟なのかもしれない。
まさか逸ノ城が立合い変化するとは、力士たちも想像していなかったので、掟を教えていなかった。だから、鶴竜戦の後で、正直に、「変化すると決めて土俵にあがった」と言ってしまった。
照ノ富士は、大関に勝って、うれしさのあまり本音「変化すると決めていた」ことを話したが、途中で掟を思い出し、「その場でやった」と軌道修正した。
立合い不十分の川端が、頭から当たった千代翔馬に吹き飛ばされたのを見て、
「相手の立合いを見て、とっさに変化できる」と信じていた私は、
何故、川端は、千代翔馬が突っ込んでくるのを見て、変化しなかったのだろうと、考えた。しかし、
相手の立合いを見て変化することはできない。
遅くても仕切っている時に決めないと、立合いは変化できない
と考えると合点がいく。モンゴル力士の本音により、霧が晴れたというか、力士の発言を疑うことも必要だと感じた。
「相手が低いので変化した」大関栃東が頻繁に言っていた記憶がある。
立合い変化した方が負けた相撲が思い出せない。記憶に残るような相撲で、
若乃花が柏戸相手に右に変化して、下手出し投げ
北勝力が千秋楽、勝てば優勝の一番で、白鵬が変化。
朝青龍が千代大海を立合い変化で破り、決定戦に。
「横綱の品格 常陸山と大相撲の隆盛」風見明著、2008年刊の204ページから部分引用
最近の相撲には、立ち合いで突っかけてくる相手に対して、左または右にかわして叩き落としたりして勝つ相撲が多く見られる。このような立ち合いは昔にはんかあったが、昔なら間違いなく汚い立ち合いと言われたであろう。
勝負がこのような立ち合いで決まった相撲は、力相撲・熱戦を期待していたファンをがっかりさせる。
最近の代表例として、平成19年初場所初日の大関琴欧州と小結稀勢の里との対戦がある。
日本経済新聞によると、『体が勝手に動いた』と琴欧州は弁明したが、場内からはブーイング。」
感想:昔だけでなく、今でも「汚い」立合いと言われる。「美しくない」し、「ファンが見たくない」「ファンに見せたくない」立合い。
琴欧州も嘘つきだった??? 多分そうなのだろう。
羽黒蛇