羽黒蛇、大相撲について語るブログ

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2012年08月01日 | 公表原稿(羽黒蛇、読者)
日本相撲協会の新公益財団法人移行は認可されるか。








問①  新公益財団法人認可の最大のハードルは?








答 年寄名跡問題だ。相撲協会は平成23年12月27日に文科省に答申した『改革のための工程表』に、「(年寄名跡については)金銭授受の禁止、名跡の協会管理、年寄選考委員会を設けるなどの名跡取得プロセスの改善、現年寄に対する功労金の支給」などの案を盛り込んだ。


ところが、6月19日の評議員会では、平成23年度決算が約50億円赤字だったことなどを理由に功労金を給付しないことに方針を転換し、金銭授受による名跡譲渡が判明した場合は罰則を科することになったが、実態は功労金の代わりに親方が従来通りに後継者の指名権を保持できることになったようである。


19日の評議員会の後、ある親方が「後継者の指名権は認められた。今までと変わらないよ」と、ほくそ笑んでいたという記事(6月20日、毎日新聞)が気になる。






問②  公益財団法人が認可されない場合、国技館の土地、建物他内部留保金など協会財産を取り上げられるのか、また天皇賜杯は?








答 一般財団法人を選択することになる。この場合は、税制等の優遇があった財団法人時代に取得した国技館の土地建物や預貯金などの財産を公益目的の事業(例えば中学校の武道の必修科目の一つになった相撲の普及)に使え切らなければならことになっている。(一般財団法人整備法119条)国技館等の財産を即刻手放す必要はないが、公益目的支出計画に沿ってその資産がゼロになるまでは統括行政庁の監督下におかれることになる。(同123条)




天皇賜杯には、大正14年、相撲協会がスポーツ団体として異例の財団法人設立の認可を得たのは、一民間団体に天皇賜杯授与を認めることは出来ないということから、無理をして財団法人に認可した経緯がある。ある協会幹部は、公益財団法人の認可を取得出来なかったときは、「天皇賜杯は返還せざるを得ない」と語っている。(平成23年2月8日、読売新聞)








問③  結局は親方株問題と思いますが、今後の見通しは?





年寄選考員会、罰則規定などの内容にもよるが、公益財団法人認可の道が開けてきたのではないかと思う。




相撲協会を背負って立つ親方を選定する年寄選考委員会が重要だ。親方のみで構成する理事会(理事会が名跡取得を認可しなかったのは、八百長の中盆で悪名高かった元小結板井のみ)でなく、外部委員も参加する厳格公正な委員会にすることが必要だろう。




罰則規定を厳重に実施することだ。昭和47年1月に文部省(現文科省)の指示により相撲協会は寄付行為に「故意による無気力相撲に対する罰則規定」を制定したが、平成23年2月の八百長発覚まで一度も適用されなかった。現行の寄付行為規定では名跡を「譲渡・担保・相続」の対象にすることを禁じられているのに、高額の金銭で売買されていたのは周知の事実である。




新公益法人の所轄官庁は内閣府になる。年寄株売買を黙認してきた文科省のように甘くないはずだ。








2012年7月5日  尾形昌夫

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