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餃子倶楽部

あぁ、今日もビールがおいしい。

エピキュリアン Vol.5(5)

2011-10-20 23:51:44 | Hepburn
 次なるお酒は、待ってましたの十八番、ご存知「十四代」。今宵は純米吟醸、酒米は雄町。十四代らしいエレガントな果実味の中にもしっかりとした米の旨味が感じられるお酒だった。
 今回は、「十四代」も、続いて出してもらった「超濃厚ヨーグルト酒」も行儀よく、1杯だけで済ますことができた。進歩、しんぽ、と。

8品目「howmuchdon」
 「howmuch」は How much?「いくら?」、「don」はドン(丼)ということで、これは初級問題であったが、出してもらった「いくら丼」は最上級のものであった。
 特に岡元さん自らがサーブしてくれた土鍋で炊きたての新米が圧巻だった。土鍋の蓋が開けられた瞬間、全員が一斉に声をあげたのだ。
「おおっー!」
「すごーい、お米がみんな立ってるーっ」
 大げさじゃなくて、ほんとにお米がみんな「ハイ、起立ッ!」と号令でもかけられたかのようにピンと立っていたのだ。「礼、着席ッ!」と声をかけたら、ホントに礼して、着席しそうな、そんな躍動感が漲っているお米たちだった。こんなの初めて見た。
 僕たちの感激の言葉を浴びながら、岡元さんは事もなくさらりと、
「一粒一粒、手で立てたんですよ。いやあ、時間かかりましたわ。ハハハ…最初は塩で食べてみて下さい」
と言って、ご飯を小さめの器によそってくれた。
 白飯はモチモチし過ぎず、新米らしい輪郭のはっきりした味わいだった。素晴らしい。この日に食べさせてもらったものの中で、僕はこの土鍋ご飯に最も感動した。
 続けてシェフは、「好きなだけかけてお召し上がり下さい」と器にたっぷりと盛られたイクラを勧めてくれた。イクラたちは一粒一粒が、まるできらきらと朱色に輝く真珠のようだった。それを見る僕たちの10の瞳はギラギラと輝いていた。
 では、遠慮なく、とみんな思い思いにイクラをご飯にのせて、ハフハフうまうまモグモグ、といくら丼をかき込む。おおっ、卵の味が濃い。口の中で、イクラがプチッと弾けて、お米の甘さと融合する。走りのイクラと新米の奏でる季節感あふれる二重奏に、僕たちは「さてもさても、美味なり美味なり」と文字通りの舌鼓を打った。

デザート「ぶらっく&ほわいと オレンジゼリー」
 前回は「ぶらっく&ほわいと/おれんじぱんぷでぃんぐ」だったので、デザートは若干変更あり。「ぶらっく」は黒ごまシャーベット、「ほわいと」はコーヒーのブランマンジェである。

 帰り際、岡元さんからラ・ボンバンス特製「薫るらー油」を頂いた。キヤスからは札幌限定スープカレーのカップラーメンをもらったし、シズカちゃんからは「柿山」の煎餅までもらってしまって、なんだか見本市の帰りのような袋を抱えつつ、帰途についたのであった。     (了)



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エピキュリアン Vol.5(4)

2011-10-17 06:22:58 | Hepburn
 続いてのお酒は「東洋美人 大辛口」。純米吟醸の大辛口で、ドライでありながらも米の旨味が見事に引き出されている酒だ。

6品目「あきあきです」
 「あきあき」はやはり秋か。ここまで旬のものは、秋茄子、松茸、銀杏、鱈の白子などを頂いてきた。秋といえばあと何だろう…この間、銀座の天ぷら屋「茂竹」では栗を揚げてもらったな、でも他にもまだいろいろあるか、などと冷酒をちびちびやりながらぼんやり考えていると、「あきあきです」が登場。お皿の上には、こんがり焼けた魚の切身が2切れ、大根おろしとかぼすを添えて乗せられていた。焦げ目のついた皮を上にした細身の焼き魚にはとてもなじみがあった。ああ、そうか、「秋の味覚」といえばこれを忘れるわけにはいかないよな。創作和食の粋を極めんとする「ラ・ボンバンス」にあってこの庶民の味は盲点と言えたかもしれないが、おいしいものはおいしいのだと自信を持って提供する岡元シェフの志が感じられて、僕はとても嬉しかった。
 「北海道根室産の秋刀魚」だとスタッフが教えてくれた。厚めの身から程よく脂が落ち、その脂が炭火であぶられて、サンマには薫製のような風味が加わっていた。流石、である。

7品目「蚊を池に落とすパワーを持っている831はな~んだ?」
 これは最初わからなかったが、途中でわかった。
「『カ』が池に落ちると、音がするわな。ポチャ…」隣に座っていたユカリに僕が説明しようとしていた時、喜泰が叫んだ。
「わかった!831は『野菜』だ!」
あんたまだそこかいッ!と全員が突っ込んだ。「831」は<「ラ・ボンバンス」検定追試>の第7問でも出題したではないか。
 かぼちゃの煮つけに加えて、空心菜、あぶった落花生、あしたば、さつまいも、青唐のしょーゆ和え、水茄子の味噌漬けと、こちらも季節感満載の皿であった。
 7杯目のお酒は「御湖鶴(みこつる) 純米大吟醸」。仕込み米は「金紋錦(きんもんにしき)」という初めて耳にする品種で、たかね錦と山田錦を交配させたものだそうだ。果実味と米の旨味、そこに酸味も加わった複雑でマルチプルな酒だった。


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エピキュリアン Vol.5(3)

2011-10-15 11:51:25 | Hepburn
3品目「フォワグラソテーおでん」
 ガンモドキとコンニャクの上にフォアグラソテー、さらに紫芋チップスのトッピング。まったりとしたフォアグラソテーが帆立貝柱の出汁と絶妙にマッチしていた。こりゃ日本酒だわ。ワインじゃなく、日本酒が欲しくなるフォアグラは初めてだった。

 と、そこで大振りなワイングラスが運ばれてきた。おおっ、これは…前回に続いてのシャルドネグラスで頂く「醸し人九平次 大吟醸」だ。フォアグラおでんにワイングラスの大吟醸なんて、なかなかおつなマリアージュではないか。

4品目「・・♪ー4 ABU2 ・隊 宇志 5棒」
 「宇志」は「うし」、「5棒」は「ごぼう」だから、牛肉と牛蒡が出て来るのは容易に察しがつくが、後がチンプンカンプンだった。
 運ばれてきた陶製の箱の中には、色鮮やかなゴマソースの上に、ローストビーフ(トリュフが乗っていたっけ?)、牛蒡、天然真鯛のお刺身(スダチのトッピング)、そしてエビとウニが盛りつけられていた。
 「・・♪ー4」は「ごまソース」か。「・・」はゴマのつぶつぶで、「♪」は「ドレミファソ」の「ソ」、「4」は中国語読みで「イー・リャン・サン・スー」の「ス」とのことだが、この解読はちょっと無理だ。
 「ABU2」の「AB」は「エービ―」と読んでエビ、そして「U2」はウニのことだったか。どうしても「ABU」で考えたくなってしまったのが敗因。Be more flexible in your thinking!
 「・隊」は天然真鯛(てんねんまだい)―これも自力での解読は無理だろうな。

 次の酒は、これも前回に続いて「菊姫 純米酒」。辛口でがっしりとした酒質でありながら、清涼感もあり、「加賀の菊酒」と呼ばれ、酒通に愛されてきた石川県の名酒である。軽くあぶった車海老の頭によく合った。

5品目「ノリノリNEW麺」
 これは瞬殺問題。生海苔をあしらった煮麺(にゅうめん)だろう。椀のフタを開けると、トビウオ出汁と有明産生海苔の磯の香りが日本人の集合的郷愁を刺激する。椀は沢煮仕立てで、ネギやエノキなどの具もいい味を出していた。
 麺を手繰り、出汁を一滴残らず飲み干す頃には、5杯目のお酒、「純米超辛口 船中八策」を一滴残らず飲み干していた。


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エピキュリアン Vol.5(2)

2011-10-11 22:28:47 | Hepburn
1品目「サザエさん」

 「お魚くわえたドラ猫、追っかけて~」などという歌が聞えてきそうであるが、まあこれが巻貝の栄螺(さざえ)であろうことは容易に察しがつく。まさかたんなる「壷焼き」ではあるまいな、と思っていたら、少々拍子抜けしたことに、塩に盛られた殻のままというよくある「壷焼き」の登場であった。房総産だそうだ。
 だが、僕は岡元シェフの術中にまんまと嵌っていたのかも知れない。メニュー名と見た目ですっかりわかった気になって油断していたのだから。
 殻の中を小匙ですくったユカリが声をあげた。
「あッ、松茸入ってる!」
「やったーっ、アワビだ!」とシズカちゃん。
「三つ葉もおいしいや」とキヤスが頷く。
「あら!」ジュンコちゃんも顔を輝かせた。「下の方に銀杏も入ってるわよ」
 マジでか?僕もあわてて箸で山海の幸をつかみ、小匙で汁を啜る。おーっ、うまい!複雑にして深く、それでいて淡麗な味だ。さては、インテル、入ってる?

2品目「フワフワはも 8木73 松茸29マキマキ ?子焼きおにぎり」

 「はも」は鱧(はも)、「29」は肉(にく)だろうな。だが、後がわからなかった。
 でてきたのは先付け3品。ジュレでコーティングされた鱧に焼きなす(8木73)とミョウガの付け合わせ、松茸の牛肉巻、そして紅葉おろしが添えられた白子の一口焼きおにぎり。「?子」の「?」は黒い雲といった印象だったが、「白子」とはちと難しかった。
 
 ここで、お酒は「伯楽星 純米吟醸」。最近僕は「伯楽星」の特別純米とこの純米吟醸を交互に飲んでいる―1日1杯―のだが、家では鱧も松茸も白子おにぎりも食べないので、これらとのケミストリーが面白かった。

 
 追記
 「?子」は「雲子(くもこ)」を意味しているのだと最近知った。「雲子」とは、鱈、特に真鱈の白子のことを言うのだそうだ。「菊子(きくこ)」とも言うこともあるあらしい。なるほどなり。
 「雲子」の「雲」を「ウン」と音読みしてはなりませぬ。


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エピキュリアン Vol.5(1)

2011-10-07 06:44:59 | Hepburn
西麻布「ラ・ボンバンス」再び―

 9月27日。
 今回5回目となる「エピキュリアン」は前回(7月13日)に続き西麻布「ラ・ボンバンス」へ。メンバーは、シズカちゃん、ジュンコちん、ユカリ、キヤス、そして僕の5人。
 前回は個室ということで、リラックスしすぎたためか、かなり酔いが回り、最後の方は料理の内容もおぼつかない始末。「あたし、あの日は最初からあまり覚えてないのよね」と後にシズカちゃんは語った―わかるわかる、そんな時ってあるもんな。ちゅーわけで、野球でいうと突如崩れた前回のピッチングを反省して、再度「ラ・ボンバンス」で仕切り直し、ということになった。テーマは「こぼれ落ちた記憶を拾いに―今日は最後までちゃんとね」。

 地下へと下りる階段の先には、日本料理店というよりはワインバーとでも言った方がしっくりくるような空間が広がる。薄暗い店内にはシンプルな照明が点在する。
 今回案内されたのはフロア中央を占める、20人は座れようかという長テーブル。真ん中よりの席に3人と2人が向かい合わせになって着席した。
 「ラ・ボンバンス」はコース一本勝負。よって料理をチョイスする必要はない。で、今回も「日本酒デギュスタシオン」でGO!これは、それぞれの料理に合わせたハイクラスの日本酒が味わえる、辛党にとっては嬉しいサービスだが、調子に乗っていると、あの悪夢が再び…何てことになりかねないので、用心ようじん、と。

 さて今宵まず最初のお酒は、「繁枡(しげます) 吟醸」。蔵元は福岡の高橋商店。初めて口にする酒だ。
 みんなにお酒が行き渡ったところで、乾杯、とグラスをあげたところで、僕は「ハッピバースディ・トゥ・ユー」とへたくそな歌を歌い始めた。
 というのも、数日前にサトミちゃんからこんなメールを受け取っていたからだ。

9月に『ラ・ボンバンス』に行くって話だったけど、もう行っちゃった?
まだだったら、23日はシズカちゃんのお誕生日だったの。
乾杯するときお祝いしてあげてね。

 「ハッピバースディ・トゥ・シズカちゃーん、4日遅れだけど、ハッピバースディ・トゥ・ユー、おめでとうのカンパーイ!」
 「ありがとうー」とシズカちゃんの相好が崩れ、みんながグラスを傾けた。
 「繁枡 吟醸」はほのかにフルーティでバランスの取れた、スターターには持って来いのお酒だった。
 お酒の余韻を楽しんでいると、グッ・タイミンッ!1品目の料理が運ばれてきた。


コメント (20)
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