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餃子倶楽部

あぁ、今日もビールがおいしい。

エピキュリアンVol. 9(2)

2012-11-01 18:57:05 | Hepburn
 ビールで喉を潤した後は、お酒にチェンジ。ぬる燗と冷酒を2本ずつお願いした。
 先付けの3皿目は長方形のお皿に乗った3品。

(料理写真はカオリちゃんの「かおたん日記」をご覧あれ。http://kaotansan.blog.so-net.ne.jp/archive/20120906

・新イカ1枚付けのお寿司2貫
 新イカの身は白く透明感にあふれている。歯切れは危ういほどに繊細で、淡い甘みと酢飯が織りなす一体感は絶妙である。咀嚼後にグビリとやるお酒とのマリアージュといったら!

・新イカの口周りのずんだ和え
 新イカに限らず、イカの中で僕が一等好きな部位が口の周りだ。胴体よりも淡麗な旨味と柔和な食感が口の中で官能的に溶け合うからだ。新イカの口周りならなおさらだ。この日、親方はそれをずんだと和えて出してくれた。ずんだとは「ずんだ餅」に代表されるように、枝豆(ときに空豆)をすりつぶして作るペーストのことである。晩夏の味覚をさらに深めるこの一品はどんな食通をも唸らせるに違いない。

・新子のカッパ寿司
 新子とは小鰭(こはだ)の幼魚のこと。よって、小鰭同様に塩で軽く締めてある。親方はそれを薄くスライスしたキュウリの浅漬けを酢飯代わりにして握ってくれた。新イカと新子の共演などまさにこの時期にしか実現し得ない組み合わせだ。

・赤ピーマンの握り
 赤ピーマンのお寿司とは驚き、そして同時にニヤリとさせられた。親方はときどきこうして変化球を投げてくるのだが、その度に僕は親方の懐深い、なおかつ自由な感性に感服してしまう。ブロッコリーの天ぷらしかり。海老の頭から出汁をとったカレーライスしかり。茂竹は創業1913年の老舗で、親方は3代目にあたるのだが、今なお、この店が僕たちにとって新鮮さを失わないのは、その歴史がもたらした技術の蓄積に加え、こうした親方の柔軟な感性によるところが大きいと僕は思っている。





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エピキュリアンVol. 9(1)

2012-10-29 20:17:53 | Hepburn
天ぷら茂竹で新イカ三昧

 きっかけは、カオリちゃんが餃子に寄せてくれたコメントだった。

 銀座の天ぷら屋「茂竹」のことは今までにもたびたび記事にしてきたが、1ヶ月以上前に掲載したバカ日記「7月24日(火)曇り TOKYO」でも僕は茂竹の天ぷらに言及している。確か、築地まで自転車を走らせて鰻の長焼きを購入した後、「茂竹」に向かい、鮑の酒蒸しや鮃の縁側の煮こごりといった小鉢で熱燗を頂き、鮑の肝、松茸、桜海老のかき揚げ、稚鮎、山芋などの季節感溢れる天ぷらでお昼を食べたといったようなことを書いたはずだ。
 すると美食大好きのカオリちゃんが「よく出てくる天ぷら「茂竹」がとてもおいしそうで、気になります♪」というコメントを寄せてくれたのだった。
 そんな嬉しい言葉をもらったら、僕が愛してやまない「茂竹」の親方の丹精になる料理を是非とも賞味してもらわなければなるまい。
 お互いのスケジュールを調整するために、カオリちゃんと何度かメールのやり取りをした結果、「茂竹」訪問は9月3日(月)の午後1時に決まった。
 シズカちゃんとキヤスに声をかけたところ、二人から快諾の連絡をもらった。
「ありがとう。行きま~す♪待ち合わせはまたソニービル12:50でいいかしら?」(シズカ)
「いいな、久々に茂竹!お誘いありがとう。では3日、"遅れずに"伺うことにする」(キヤス)

 かくして、カオリちゃん、シズカちゃん、キヤス、そして僕のエピキュリアン御一行は、9月3日(月)12時50分にソニービル1Fロビーで待ち合わせて、「茂竹」に向かうことになったのだった。

 席について、キリンビールの小瓶を2本注文する。今日の集いに乾杯をしたところで、先付けとしてまず小鉢が1つ。

・新イカの煮下足
 新イカとは墨イカの子供のこと。この時期の新イカはまだ生まれたばかりで、赤ちゃんの手の平サイズである。これはその下足(げそ)を煮た、というより軽く湯通ししたもの。

 続いて、2つ目の小鉢が供された。

・新イカの口の塩炒り
 イカの口は「いかとんび」(「からすとんび」、あるいはたんに「とんび」)と呼ばれ、牙のような顎板(あごいた)を取り除き、干したものを炙ったりなどして、酒の肴にするのが一般的である。だが、新イカの口はまだ顎板がないために、そのまま食べることができるのである。親方はその新イカの口を塩炒りにして出してくれたのだ。1つの小鉢に20~30個の新イカの口が入っていただろうか。平均で25とすると、4人分で約100パイの新イカの口をその時、僕たちは食べていたことになる。僕は新イカを捌いたことはないが、その身の柔らかさは容易に想像できる。僕が捌いたら、おそらくすぐに身に傷をつけてしまうことだろう。親方は、新イカの天ぷらを求めて来るお客さんのために、丁寧に新イカを捌き、僕たちのために100個の口をとっておいてくれたのだ。僕はただただ頭の下がる思いだった。仕事をする、というのはこういうことなのだと…


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エピキュリアンVol. 8

2012-07-11 11:59:03 | Hepburn
 6月4日(月)午後5時40分、築地の新大橋通りと晴海通り交差点にある「ローソン」前で待ち合わせをした僕たちは、新大橋通りを汐留方面へ100mほど進んでから右折し、波除(なみよけ)通りを波除稲荷神社に向かって歩いて行った。
 早朝から昼過ぎまで大勢の人で賑わうこの辺りも、夕暮れ時にはまるで別の町みたいにひっそりとしていた。そんなたそがれた裏通りの先に白とパステルがかった水色を基調とした店が見えてきた。あれがそうだろう。初めて訪れるレストランだったが、遠くからでも伝わってくる南ヨーロッパの雰囲気がそう確信させてくれた。
 お店の名は「築地ロ・スコーリオ」。ナポリから40kmほど南東にある海岸線に沿ったアマルフィに店を構える「ロ・スコーリオ」本店から暖簾わけされた店である。アマルフィは、ソレント半島の南東に位置し、世界一美しいと言われる海岸で、1997年にユネスコの世界(文化)遺産にも登録された。アマルフィは、周囲を断崖絶壁の海岸に囲まれ、小湾の奥に作られた港から、断崖上に向かって形成されている街である。「ロ・スコーリオ(Lo Scoglio)」のLoはイタリア語の定冠詞、Scoglioは「岩、岩礁」という意味である。
 シズカちゃん、ユカリ、キヤス、そして僕の4人は、ひっそりと静まり返った宵闇せまる築地から、「ロ・スコーリオ」の入り口を通って、初夏の陽光が燦々(さんさん)と降り注ぐアマルフィの港町へと瞬間移動していった。


 餃子倶楽部エピキュリアン一行が頂いた品々は以下の通り。

・季節の食材を使ったカンパーニャ風前菜盛り合わせ(Antipasto misto) 

・ロ・スコーリオ直伝 本日のいろいろ魚介類のマリネ盛り合わせ(Pesce marinato misto) 

・季節の野菜を使ったイタリア風フリッと盛り合わせ(Frittura all italiana)

・本日のいろいろな季節野菜を使ったサラダ(Insalata di mista)

・本店ロ・スコーリオの名物パスタ ズッキーニのスパゲッティ(Spaghetti alle zucchine) 

・本日の貝類をふんだんに使用したリングイネ(Linguine ai frutti di mare)

・沖縄産「あぐー豚」骨付きロースの炭火焼き(Le brace di miale)

・数種類のドルチェ(Dolce)

<スプマンテ・ワイン>
・ファランギーナ・ポンペイアーノ・ビバーチェ(イタリア国内でも珍しいカンパーナ州の微発泡ワイン)
・チェンターレ・ビアンコ(シチリア州の白ワイン)
・アリアニコ ・カンパーニャ・ ロッソ(カンパーナ州の赤ワイン)


 「ナポリを見て死ね」(vedi Napoli e poi mori/See Naples and then die)―
 僕はローマより南には行ったことがないので、この目でナポリの美観を見たことがない。映画「グラン・ブルー」や「ニュー・シネマ・パラダイス」の舞台となったシチリア島には必ず滞在したいと思っていたが、もちろんまだである。
 いつか、ローマから列車でナポリへ行き、バスに乗り換えてアマルフィ海岸沿いを走って、「ロ・スコーリオ」本店に寄り、スタッフお勧めのカンパーナ州産ワインをテーブルに1本立てたいものだ。そこから再び列車に乗り換えてさらに南下する。カラブリア州を通り抜けると、列車は分断されて船に乗り、そのままシチリア島へ渡るというではないか。
 何と良き旅路であろう!


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エピキュリアンVol.6-7追記

2012-06-11 15:25:08 | Hepburn
 午前中、本棚で資料を探していると、1冊の雑誌が目にとまった―「dancyu 200号記念大特集 ニッポンの名店 日本一うまい店集めました」(2007. 8)。あっ、そうだ、と思い、ページをパラパラとめくる。
 「居酒屋の名酒肴」と題されたページに、湯島「シンスケ」の「いわし岩石揚」が載っていた。「シンスケ」はエピキュリアンVol.6の3次会で、シズカちゃんと僕がお猪口を傾けた店だ。

 いわし岩石揚げは新鮮な大羽イワシを叩いて丸め、焦げ茶色になるまでこんがりと揚げたもの。箸を入れると温かい湯気とともに、いわしのいい香りが上り立つ。岩石揚の名前の通りしっかりとした食感で、歯にあたる弾力がたまらない。箸で崩した断面を見ると、ごく細い骨などが突き出ているのだが、不思議とそれが舌にも喉にも触らない。味はもう小魚の旨味の塊そのもの。実は小生あまりいわしには魅力を感じていなかったのだが、30年前にこの岩石揚に出会っていわしファンになった。辛口にぬる燗の日本酒でやるべし。 (文・北吉洋一)

 そして「『麺』の極めつけ」として掲載された5品の中には、僕たちがエピキュリアンVol.7で会食した恵比寿ウェスティンホテル東京「龍天門」の「冷やし担担麺」の名が。

 おそらく世界初の「冷やし」担担麺だったろう。冷たい麺を食す習慣がない中国人はもちろん、10年ほど前、陳啓明料理長がこのメニューを考案した頃は、日本人にとってもまったくなじみのない一皿だった。
 てんびん棒で担ぎ歩かれたため名付けられたという担担麺歯、本場の四川省では運びやすいように汁なしが一般的だ。しかし、陳さんは香港に多い汁麺スタイルを採用。スープには自家製豆板醤、辣油、胡麻ペースと、酢などのほかに、金木犀の花の砂糖漬けを使うといった工夫をして、あえて苛烈な辛みを突出させない、重層的な風味を生み出した。挽き肉の甘みと旨味、薬味の苦みも相まって、食後には万華鏡のように変化する、複雑華麗な余韻が待つ。
 「広東料理の店なのに、『何かユニークな冷麺を』と、遊びで作った四川の料理が人気になっちゃうなんて」と、照れ笑いの陳さん。 “遊び”だからこそ「コロンブスの卵」的発想の逸品が誕生したのかも知れない。 (文・内田麻紀)

 「シンスケ」の「いわし岩石揚」に「龍天門」の「冷やし担担麺」―どちらの料理も何度でも食べたいものだが、名店の懐は僕たちの想像をはるかに超えて深く、まだまだ未知の宝物がわんさか埋まってそうだ。じっくりと探検していきたい。
 とりあえず、次回は、「シンスケ」は「まぐろぬた」、「龍天門」は「チャーハン」―特に咸魚(ハムユイ:塩漬けにして発酵させた干し魚)の炒飯―狙いで。


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エピキュリアンVol.6-7

2012-06-04 12:23:49 | Hepburn
エピキュリアンVol.6

<九段下「寿司政」(寿司屋)>

2012年1月27日
参加者:シズカ、トモエ、ジュンコ、キヤス、タカユキ

おつまみ
・白魚と菜の花のおひたし
・大分産城下鰈(しろしたかれい)のお造り(白身、縁側、肝刺し)
・毛蟹のカニみそ和え・キュウリの薄切り
・鮃の昆布締め(白身、縁側)
・甘鯛の西京焼き・山牛蒡のたまり漬け

お寿司
・鯖の棒寿司
・貝柱の軍艦巻
・赤身の漬け
・煮蛤
・ミニばらちらし
・小鰭
・干瓢巻き

お酒
・菊正特選熱燗
・キリンラガー
・隠岐の上撰御所、佳撰御所
 

<淡路町「竹むら」(甘味処)>
・揚げまんじゅう
・あわぜんざい
・あんみつ


<湯島「シンスケ」(居酒屋)>
おつまみ
・煮こごり
・いわし岩石揚げ
・ぬか漬け

お酒
・両関(ぬる燗、樽酒は常温で)

お土産
・両関の酒粕


エピキュリアンVol.7

<恵比寿ウェスティンホテル「龍天門」>

2012年3月26日
参加者:シズカ、ユカリ、キヤス、タカユキ

点心ワゴン(Dim-Sum Wagon:1個300-350円)
・腐乳と鶏肉の蒸し物
・エビとナスのすり身の黒豆ソースがけ

・杏花ランチ(Ryutennmonn Luncheon Menu:3580円)
 週替わりのランチセット。8種類の料理から、2品チョイス。別にスープ(Soup of the Day:この日は春雨のスープ)、ご飯(Steamed Rice)、ザーサイ(Pickles:絶品!)、杏仁豆腐(Chilled Almond Jelly)、お茶(これがまたおいしい!)付き。
 4人で2品ずつなので、全種類をジャストに楽しめた。考えようによってはコース料理よりも贅沢かも。
1. 紋甲イカと野菜の特製ジャン炒め(Stir-fried Squid and Vegetables with Special Sauce)
2. 白身魚(ハタの切身)と漬菜の蒸しもの(Steamed Grouper and Sault Green)
3. 帆立貝のエシャロット炒め(Stir-fried Spicy Scallops and Shallot)
4. 椎茸の肉詰め煮込み(Braised Black Mushroom in Minced Pork)
5. 鴨肉とピーマンの黒豆ソース炒め(Stir-fried Duck and Bell Pepper with Black Been Sauce)
6. 鶏手羽肉のピリ辛揚げ(Deep-fried Chicken Wing with Hot Sauce)
7. 高原レタスのあっさりソースがけ(Pan-fried Lettuce with Chicken Sauce)
8. 芝海老の豆板醤炒め(Pan-fried Shrimps with Chili Sauce)

追加
・温・冷担々麺(Spicy Hot・Cold Tan-Tan Noodles:各1600円:特に冷やし担々麺は龍天門のスペシャリテ)

お酒(炒り豆付き)
・きんもくせいのお酒(Kuei Hua Chiew)+ソーダ
・エビス生ビール(Yebisu Draft)
・特選龜出し紹興酒5年(Pot Kame Dashi:Shaoxing Rice Win 5 year Old Carafe 6500円×2:紹興酒を龜からくみ出し、空中高くからカラフェに注ぐパフォーマンスもお見事!)






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