バロックな話

バロック音楽/バッハとチェンバロ演奏、あるいは音楽のいびつな雑感

ノイズフィルター付き電源タップを再作

2018年10月07日 | つぶやき
ノイズフィルター付き電源タップを再作した。新調した電源ケーブルが太くて硬いため、電源タップも強度のあるしっかりした筐体にする必要性を感じたため、タカチ電機のアルミフレーム型のBOXを使うことにした。

仕様は旧作の電源タップに使っていたTDKラムダ製のノイズフィルタRSHN-2016はそのまま流用し、ノイズフィルタを通す、通さないの2通りをスイッチで選択できるようにした。また、電源コンセントはFURUTECHのFPX(CU)を2個取り付けた。写真の通り、全てのパーツがぴったりと収まり、まあまあ満足な仕上がりになった。







音はこれからじっくりと聞いて行く予定だが、少しだけ聞いた感触ではフィルターONの場合は音が繊細で分離が良く、OFFの場合には元気で前に出る音になるようだ。理屈は不明。

オーディオラックの中央棚に設置した様子。


電源ケーブル交換

2018年08月19日 | 日記
 夏季休暇中に電源ケーブルを交換した。オーディオの専門家である友人から、電源ケーブルは音にかなり影響があると聞いていたので、いつかは交換してみようと考えていたが、このたびようやく実現した。作成済みの電源タップに使用していた安いケーブルを交換するため、ACROLINK(アクロリンク)の「7N-PC4020 Anniversario」の切り売りを4m購入した。SACDプレイヤー(Esoteric K-07)とプリメインアンプ(Accuphase E-360)用に各1mの電源ケーブルを作成。また電源コンセント~電源タップまでの2mのケーブルを作成。

 これにて電源ケーブルは全てACROLINKに。さて、音はどうなったかと言えば、激変した。

 ブックシェルフ型スピーカー、B&W 805 Diamondの音は、これまでは低域は出ているものの、その量感は諦めていたのだが、この微妙な不満がほぼ解消され、かなり低域寄りの音に生まれ変わった。今までの音は中高音域寄りの音だったのだが、解像度が高く、ホールの残響音などの再現も素晴らしかったので、結構満足していた。今回さらに、充実した低域の音が加わったことで、重心のしっかりとした音楽に変わったわけである。しかもダイナミックレンジが大幅に広くなった。pppの繊細な音からfffの激烈な音まで実に滑らかに、音色の変化もしっかりと伴って再現され、特にバロックヴァイオリンやトラベルソでもこんなに強弱をつけて表現していたのかと改めて演奏を見直すことに。また、中広音域はほぼ以前と同じかそれ以上に解像度、音像定位共に問題ない。

 特にオーケストラ曲やパイプオルガン曲の太くて芯のある低音に支えられ、より現実に近い素晴らしい音楽を聞くことが出来るようになった。電源ケーブルでなぜこんなに音が激変するかは不明だが、電気的には単なる電源ケーブルであっても交流100Vを流す単純回路なので、インダクタンスL、キャパシタC、抵抗Rが微小に存在することによる音への影響と、外皮(シース)の材質や構造によるケーブルの振動モードとその音への影響などが推測されるが、ケーブルの特性を精密に測定して音質との関係を解明したり、工学的に理論として確立させるにはかなり困難なことだろう。

 今回、アンプもSACDプレイヤーも同時にケーブル交換したため、アンプとSACDプレイヤーどちらがどの程度の影響を受けたか分からない。終わり良ければすべてよしである。そして友人に感謝である。

Kate Rusby ケイト ラズビー

2018年04月08日 | 音楽
 最近、Kate Rusby(ケイト ラズビー)というイギリスの女性フォークシンガー・ソングライターにぞっこん惚れ込んでしまった。
バロック音楽の歌曲には無い圧倒的な解放感と自由な雰囲気は、その歌声にゆったりと耳を傾けて音楽に浸れる。時折見せる微妙に舌足らずっぽい発音は可愛らしい少女の様な印象を、時には低いハスキーボイスで大人の魅力を演じ、決して声を張り上げない澄んだチェストボイスでどこまでも落ち着いて「語る」シンガーである。イギリス英語の発音がまだ耳になれていないので、最初は歌詞カードを見ながら聞いていた。英語の良い勉強にもなる。



 歌詞もメロディも優しさに溢れた曲がたくさんあって、すぐに覚えられるので、ふと気づくと頭の中で口ずさんていたりする。そのうちに僕もギターをもって弾き語りに挑戦したいと実は思っているがまだ内緒である。



 オーディオのエージングが進み、かなりいい音が出るようになってきた。Kateが目の前でギターを弾いて歌っているかのように鳴り、声がきれいに再生できるようになってきた。高音域がこなれてきて、中音域とのバランスが整ってきたからだと推測している。バロック音楽も声楽曲を聞く頻度が上がっている。やはり声は最高の楽器なのだろう。つまり、決まった音色を持たず、シンガーの個性が全てであることが最高の魅力だ。



写真撮影:FUJIFILM X-T2 / XF23mm F1.4 R

東京の秋

2017年12月04日 | 写真

 昨日は都心への買い物ついでに、昔よく散歩に行った六義園で紅葉を楽しんできた。まだ夜のライトアップをしているらしい。私は人混みを避けて朝一で空いている時間帯に写真撮影&散歩。到着は9時過ぎでまだかなり寒かったが、のんびりと写真をとることが出来て心身ともにリフレッシュしました。全てFUJIFILM X-T2使用(写真はクリックで拡大表示されます)。


1/60, f/8, 14mm, ISO200


1/160, f/4.5, 55mm, ISO200


1/800, f/3.5, 58mm, ISO800


1/320, f/4.2, 105mm, ISO200


1/60, f/5.6, 180mm, ISO200


1/200, f/4.2, 110mm, ISO200

バロック音楽三昧

2017年12月03日 | 音楽
 今年もあとひと月を残すまでになり、一年があっという間に過ぎてしまうと感じる年齢に、楽観的な自分らしくもなく多少の焦りを覚えている。焦りはあると言っても、趣味は想像力の源であるとの多少強引な言い訳をしながら、バロック音楽演奏と鑑賞は継続し楽しんでいる。

 われらがアンサンブルは今年も3回の小さなコンサートに出演した。実は出演することが目的ではなく、練習をして曲を作って行く過程を楽しむことの方が楽しい、というのが本音である。私流の通奏低音は練習の都度、適当な和音を出しながら、ソロ楽器の旋律との相性(響きの具合)を探ってみたりして、本番に備えるイメージでやっている。そうは言っても本番までに納得の行く和音が見つけられない場合や、演奏技術的に追いつかない場合もあったり、かなり適当である。

 この一年でバッハコレギウム・ジャパン(BCJ)のバッハ協会カンタータ全集55枚組を6サイクル聞いて、BCJの演奏の素晴らしさと、珠玉の合唱やアリアが頭に沁みついてきた。年内にはもう1サイクルを開始したいと思っている。つまり、飽きない音楽なのです。年内に聞き終えることはできなくて、年越し音楽になりそうな予感がする。

フラウト・トラヴェルソとのアンサンブル開始

2017年01月09日 | チェンバロ
 昨日は拙宅にて僕のチェンバロと、バロックアンサンブルのメンバーが2年の制作待ちをしてやっと入手したフラウト・トラベェルソで簡単?な曲を合わせてみた。生のトラベェルソはコンサートでは聞いたことはもちろんあるが、目の前でその音を聞くのは初めてである。

 練習した曲はロカテッリ(伊)の12のフルートソナタOp.2からNo.4(G-dur)と、ボワモルティエ(仏)の6つのフルートソナタOp.19からNo.1(G-Dur)、No.2(e-moll)をサクッと3曲。演奏レベルはさておいて、トラベェルソとの初アンサンブルの感想を残しておきます。

 トラベェルソの第一印象は、チェンバロとの相性が抜群に良いこと。同じ時代の楽器どうしなので、相性が良いのは当然であるとはわかっていたが、それを実際に体感することができた。やはり、モダンフルートでは音色や音量でつり合いがとりにくい印象があったが、そこで苦労する必要は全く無いように思えた。

 トラベェルソはバロックピッチ(a=415Hz)の楽器で、低音域では柔らかく広がる音色に対し、高音域に行くほど徐々に透き通った芯のある音色に変化して行くのが心地よい。チェンバロの倍音たっぷりの音色(伴奏)に対し、トラベェルソの主旋律がしっかりと分離する。チェンバロとの音量のバランスも絶妙(トラベェルソの演奏者が上手い)で、チェンバロのレジスター(音色を変える仕組み)変更にも柔軟に適応してもらえる。

 演奏レベルの向上は今後の課題であるが、フラウト・トラベェルソとのデュオが実現したことは記念すべき第一歩。トラベェルソのS氏には感謝するとともに、チェンバロの練習をもっと頑張らなければ。。。

バッハに帰る

2016年11月28日 | 演奏家
 バッハコレギウム・ジャパン(BCJ)のバッハカンタータ全集、SACD Hybrid盤、BISレーベル 55枚組(輸入盤)を入手した。BCJのコンサートはマタイ受難曲、ヘンデルのメサイアで素晴らしい実力は認識済みのため、躊躇なく購入。年末年始休暇に向けてたっぷりと聞きこむ予定であるが、早速リスニングを開始した。

 バッハのカンタータは、彼の曲の中でも特に美しいメロディの宝庫。美しいのみならず、厳しさや激しさ、喜怒哀楽、いやそれ以上の多様な情感に出会える素晴らしい作品群だ。キリスト教徒でもない僕にも曲の魅力だけで十分楽しめるのである。ドイツ語歌詞の英対訳付きなので、歌詞の雰囲気はわかるが、キリスト教(プロテスタント)の教えとしての何たるかは理解する能力が無いのが残念だ。本来の曲の価値は享受できないことになるが、そこは割り切るしかないと自分に言い聞かせている。

 BCJの演奏はどこまでも素直な演奏で、透明感に溢れている。こんなに上手い演奏は、さすがバッハメダルを授与された鈴木雅明氏のなせる技だ。マスター録音はPCMだが、SACDへのリマスターにより、SACDの音の特徴である滑らかでキツさが全く感じられない仕上がりになっているところも素晴らしい。バッハのカンタータ全集は僕の未開のジャンルなので、これからもどんな美しい曲に出会えるか楽しみでならない。今年は「バッハに帰る」でしめくくろう。

トン・コープマンのオルガンリサイタル

2016年07月05日 | 演奏家
 久しぶりのコンサート。6/26(土)に所沢ミューズアークホールでのトン・コープマンによるオルガンリサイタルを聴いてきた。ここのホールでオルガン演奏を聴くのは初めてだ。プログラムはバッハを中心に有名な曲ばかり。

 コープマンの演奏は、聞きなれた楽曲を多彩なレジストレーション(ストップの組み合わせ)や大胆なテンポ設定に加え即興の装飾音符を多発し、今まさにここで音楽が創造されているというリアリティを感じさせてくれた。また71歳の御身から紡ぎだされる音楽とは思えないエネルギッシュで、非常に興味深い素晴らしい演奏であった。

 演奏終了後には即売のCD購入者を対象にサイン会までやってくれるサービス精神には恐れ入った。僕も買ったCDにサインを頂いた。下手な英語で「素晴らしい演奏に感動しました」と伝えると、にっこり笑って握手の手を差し伸べてくれたことにもまた感動。

 オルガンはホールに最適化されて設計・設置されるものであるが、柔らかさと明瞭さを兼ね備えた良い音に仕上がっている。オルガンのパイプからの直接音と残響音のバランスが絶妙で、当たり前のことではあるが所謂オーディオによる再生とは一線を画する別物だ。このオルガンが12平均律に調律されていることが非常に残念である。今後も機会があれば聞きに行く価値のあるオルガンである。

<J.S.バッハ>
小フーガ ト短調BWV578
パッサカリア ハ短調 BWV582
幻想曲 ト長調 BWV572
コラール「目覚めよ、と呼ぶ声あり」BWV645
コラール「天にいます、われらの父よ」BWV682

<ブクステフーデ>
トッカータ ヘ長調 BuxWV157
前奏曲 ニ長調 BuxWV139
わが魂よ、いまこそ主を讃えよBuxWV213‐215

<スウェーリンク>
大公の舞踏会 ト長調/エコー・ファンタジー

オーディオシステムのはなし

2015年12月31日 | つぶやき
 今年もあっという間に大晦日になってしまいました。月日の経つのは本当に早いものです。午前中には新年を迎える準備が大方整い、これから新年までの残された時間、好きな音楽を聴いて過ごすつもりです。その前に、今年にすべて入れ替えた我が家のオーディオシステムについて備忘録を。

 少しグレードアップしたオーディオシステムは、一応ハイエンドのエントリーモデルと言われる製品です。最後に購入したスピーカー(B&W 805 Diamond)に入れ替えたら今までとは音が別物になり、このままの部屋では聞いていられなくなってしまいました。

 まず手を付けたのは部屋の壁です。フェルトの生地を貼って高音を吸音させる調音をすることにより、落ち着いた音に収まりました。

 次に電源のノイズ対策です。前の記事にある通りの物を作ってかなり満足です。部屋のコンセント間とEMCフィルタ&アース接続する電源ボックスで、すっきりと霧が晴れたきれいな音になりました。部屋のコンセントまわりにはTVの同軸やLANの端子も同居しているので、その電磁ノイズの影響を受けていた可能性があります。

 最後にスピーカーのインシュレーター。低音をもう少し締まった音にしたかったので、ジュラルミン系の固い素材のインシュレーターを3点支持でスピーカースタンドとの間に挟みました。スピーカーの位置決めをさらに追い込んで、ほぼ期待通りの音になりました。

 ここまで書きましたが、これは手持ちのすべての音源ソース(CD/SACD)について良くなったわけでは無い、という大きな課題が残っています。これはおそらく、個々のCDの録音の状態に依存するためと思われます。つまり、部屋環境も含めたシステムと相性の良い録音は、かなり良い音を引き出せるのですが、逆だと希ではありますが粗が目立って聞くに堪えない場合もあります。

 これがハイエンド・エントリーモデルの現実か?限界か?、はたまたもう一工夫が必要なのかはわかりませんが、録音を選んでしまうシステムというのも少し残念ではあります。メインで聞いているバロック室内楽系の録音は殆ど問題無く素晴らしい再生が出来ているので良しとします。どちらにしてもオーディオマニアごっごはこのへんで終結し、来年は良い演奏の音楽を聴くことに専念したいと思います。チェンバロ演奏の方もちゃんと練習しないとアンサンブルのメンバーに叱られますし…

因みに、はまったときの良い音の感じは、各楽器の直接音と演奏者の呼吸音、楽器特有のノイズ、ホールの残響音が、あと一歩で生演奏のごとくのバランスで再現され、これぞ圧倒的な情報量!という音場空間に身が包まれます。

ノイズフィルター付き電源タップを自作

2015年08月09日 | つぶやき
 オーディオシステムを買換え、スピーカのセッティングと部屋の調音を行い、だいぶ聴きやすくなっててきた。しかし音楽ソースにより高音のざらつきが発生していたので、電源ノイズフィルターを自作してみました。今までもTEACの電源タップを利用していましたが、中身を確認したところチョークコイルのみでしたので、ひょっとしたらと思い、今回の作成に至りました。

 数十年ぶりに電気工作を楽しみました。とはいってもアルミケースに穴を開けて部品を取り付けて繋いだだけなので、のんびりやって半日で完成です。結果的にざらつきはほぼ改善して音は滑らかになり、解像度と定位の飛躍的な向上に加え、美しい残響音とともに音場空間がとても広くなりました。これは良い音楽ソースが前提ですが。

 結果的に音楽ソースの録音状態があからさまになる状況になりますが、EsotericのK-07(SACDプレイヤー)のPCMアップコンバート(4種類)とディジタルフィルタ(4種類)の設定の組み合わせで、よほど悪い(好みの問題ですが)音源でない限り、何とか上手くまとまるところが凄いです。

 TDKのEMCノイズフィルタ、恐るべしです。ばか高い電源ケーブルや電源タップなんて全く無意味だと思いました。お金をかけずに良い音をお望みなら、一度は試す価値のあるお勧め品です(音の好みは人それぞれではありますが)。結局これってオーディオマニアっていうのかなぁ…

主な使用部品は以下で、費用は数千円で済みます。

アルミケース:タカチ電機工業 MB-12
EMCフィルター:TDKラムダ製 RSEN-2020 ※
3P電源プラグ:Panasonic製 WF5018
3P電源コンセント:Panasonic製 WN1318R
3芯ケーブル:忘れました…1000円/m程度

※参考:TDKのRSシリーズにはRSAN/RSHN等の効果の高い製品もあります。

結線した状態
(ノイズフィルターの結線3,4が逆でしたので、完成品は3が黒線、4が白線です)
 

完成品!
(アルミケースのコンセント穴の加工精度が低いですが、手作りなのでご愛嬌ということで)


※8/13追記:アンプやCDプレーヤー自体、電源ノイズ対策はしているとは思うが、住宅環境によって電磁ノイズの状況が異なるので、どこまでメーカーが対策を入れているのか知りたいところです。