バロックな話

バロック音楽/バッハとチェンバロ演奏、あるいは音楽のいびつな雑感

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バッハのトランスクリプション

2010年02月04日 | バッハ

 バッハの曲はその普遍性から、他の楽器や編成に編曲して演奏される(これをトランスクリプションと言う)ことがしばしばある。

 例を挙げれば、「フーガの技法(楽器未指定だがチェンバロが一般的)」の弦楽四重奏やオルガン版、「ゴルトベルク変奏曲(チェンバロ)」のオルガン版、「平均律クラヴィーア(チェンバロ・クラヴィコード)」の弦楽四重奏やオルガン版、「イタリア協奏曲(チェンバロ)」のリコーダーアンサンブル(室内楽)版、「無伴奏ヴァイオリン」のチェンバロ版(これはバッハが自ら行った版がある)などなど、枚挙にいとまがない。

 そんななかで、最近、驚愕のトランスクリプションのCDを手に入れた。「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」を、何とチェロで演奏してしまう演奏家がいたのである。その名は、Norbert Hilgerというチェリストだ。無伴奏ヴァイオリンは、ブラームスがピアノの左手のための「シャコンヌ」でトランスクリプションを行っているのが有名だが、私は昔、ギターで随分弾いた曲でもあり、もしもチェロで演奏するとどうなるか、昔からとても興味があったのだ。

 この曲はヴァイオリンでも相当高度な演奏技法が要求されているにも関わらず、はるかに大きな楽器であるチェロあってもそのハンデを全く感じさせず、自然な音楽が展開されている。まるでチェロのために作曲されたかの様な饒舌さもあり、とても心地よい。彼は無伴奏ヴァイオリンを熟知し、チェロへのトランスクリプションを完全に成功させている。素晴らしい演奏だ。録音も良い。(CDの批評になってしまった。。。)

 欲を言えば、逆をやって欲しい。つまり、無伴奏チェロソナタを、ヴァイオリンで弾いてほしい。誰か、頼みます。オリジナル楽器の演奏を極めるのも大切ですが、バッハの音楽の新たな可能性を発見できるトランスクリプション、最高です。

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フーガの技法の価値

2009年11月21日 | バッハ

 バッハのフーガの技法の音楽的、芸術的な価値は確かに認められているが、本当の価値とは何か少し考えてみた。

 この曲はいわゆる遺作ではない。しかし未完の作品でありながら出版されたということで、「バッハの死を完全に物語っている」のである。それは彼が「生身の人間であることの証」であり、そこに大ききな価値があるのではないかと思う。(他にも未完の作品はあるが、作曲放棄と言われている作品が殆どであろう)

 他にこのような作品は無い。残された親族が大バッハの偉業を讃え、当時決して受け入れられているとは言い難い、むしろ忘れ去られようとしていたフーガという一見無味乾燥な形式の曲の羅列にすぎない曲集を敢えて出版したことの意味は大きい。

 それは彼の音楽の神髄を知るものにしか分かりえない、音楽的な価値を認めていたが故の所業であろう。

 しかしこの曲集は現代の大衆には受け入れられることも無く、地下深く眠る名曲として存在し続ける。自分もなぜかこの音楽には深い感銘を受けているのだが、本当の価値が何かは、まだはっきりとした答えは見えていない。この曲を聞いて、弾いて、感じることを通して、本当に何かがつかめるときを待とう。

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バッハのトリオソナタ

2009年08月19日 | バッハ

 バロック音楽の重要な様式であるトリオソナタ。2つの旋律楽器と通奏低音(通常はチェンバロとチェロもしくはガンバ等)で演奏される。バッハのトリオソナタはそれほど多く無い。純粋なトリオソナタで有名なものでは「音楽の捧げもの(BWV1079)」に見られる、「フルートとヴァイオリン、通奏低音のためのソナタ」がある程度。もちろん名曲である。

 しかしバッハはこの様式の演奏形態を発展させることの方に関心があったようである。ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ、フルートとチェンバロのためのソナタ等がそれにあたる。旋律楽器を1つにし、チェンバロの右手でもう一つの旋律楽器の役目を果たし、古典的なヴァイオリンソナタなどの前身的な楽曲である。

 さらに驚いたことに、バッハはオルガン1台(一人)でトリオソナタを演奏してしまうという、オルガンによるトリオソナタ(BWV525‐530)が残されている。この曲は右手、左手で2つの旋律楽器を、足鍵盤で通奏低音を分担する、オルガン奏者にとっては恐るべき難曲と聞く。1730年頃の作曲(バッハ辞典・音楽之友社より)とあり、バッハが45歳頃の熟練の技で仕上げられている。バッハのオルガン曲は渋めの宗教曲も多い中、軽やかなバロック様式の純音楽として聞ける美しい名曲だと思う。

 因みに私のお勧めの演奏(CD)は、サイモン・プレストン。オルガンの適切なレジストレーションに加え、アーティキュレーションが明快で音の分離が良く、あたかも3人で演奏している感じが良い。

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インベンション第一番

2009年06月14日 | バッハ

 久しぶりにバッハのインベンション(BWV772-786)とシンフォニア(BWV787-801)を聞いた。何度聞いても期待を裏切らない創造性豊かな曲集だ。

 インベンション第一番ハ長調は特筆に値する。この曲について、「完成された単純とはこの曲をさしていうのであろう。」(バッハ インベンションとシンフォニーア、市田儀一郎著・音楽之友社より引用)と言われている。実に適切な表現に同感だ。

 この曲集はピアノを習ったことのある人なら必ず通過する大切な音楽の一つとして、古くから重要なレパートリーとなっている。この曲の練習に入ってピアノが嫌いになったという人も多いと聞くが残念なことだ。本当は聞けば聞くほど(弾けば弾くほど)魅力的な曲なのである。

 情緒などというものを一切省いた、精緻な音の創造。完璧なまでに主題のみを使い切ることで作曲されている。音のための音楽。この曲は西洋ポリフォニー音楽の源泉だ。壮大な交響曲も良いが、あらためて純音楽の「楽想」の大切さを感じさせてくれる名曲である。

 是非、チェンバロの演奏でお聞きください。もちろん全曲お勧めです。

【おまけ】自作の

「I-01.MID」をダウンロード

です。

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カフェ・バッハ

2009年05月19日 | バッハ

 1年ほど前にその存在を知って、なかなか行けず仕舞だった、台東区にある「カフェ・バッハ」に、週末、妻と二人で行ってきました。最寄駅は「南千住」ですが、私の棲み処の関係で、都電に乗って下町情緒を味わいながら終点の「三ノ輪橋」に到着。ここから明治通り沿いを徒歩で15分で到着。

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 お店は店員さんの感じがとても良く、多くのお客さんで賑わっていました。純粋な喫茶店としては今時珍しい存在でしょう。オーダーしたコーヒーはもちろん「バッハ・ブレンド」。お店の顔ですからね。すっきりとした味わいのおいしいコーヒーでした。それと小腹がすいたのでケーキも。驚きはこのケーキの皿にバッハの家紋が金文字で装飾されていました。また、椅子には「BACH」の文字が刻印されていました。

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 ただ、店内は活気にあふれていて、静かに音楽を聴ける状況ではなかったです。耳を澄ませば、ゴルトベルク変奏曲のチェンバロの音色がかすかに聞こえていました。お土産に「バッハ・ブレンド(コーヒー豆)」を購入し、都電に乗って帰宅したのでした。また訪れたいお店です。

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ラ・フォル・ジュルネ

2009年03月12日 | バッハ

 ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2009「バッハとヨーロッパ」が東京国際フォーラムで5/3~5/5に開催される。ネットのサイトからダウンロードしたプログラムを確認したら、殆どの演目がバッハなので、バッハ愛好家にはたまらない。

 バッハ愛好家で溢れかえる会場を想像すると、わくわくする。誰それかまわず、声なんかかけたら、引かれるだろうな。。。でもこんなにバッハばかりで客は付くのだろうか、少し心配だ。

 私は古楽系を中心にプログラムを梯子するスケジュールを入念に検討中。。。三日間全部行ったら、いったいいくらかかるんだろう???5月中旬にはレオンハルトの来日公演もあり、久し振りに音楽三昧の月になりそうだ。

 しかし。。。

 本日5/15、チケット一般発売開始。チケットピアの店頭へ開店時間に行ったら、行列が出来ていた。並んでいる多くの客の手にはフォル・ジュルネのパンフレットが。そして、皆、希望の公演のチケットを購入できず、退散。かくして私もチケットを購入出来ず仕舞。この手のフェスティバル系の演奏会には二度と行くのはやめよう。当日はきっともの凄い混雑になるだろうし。

 普段から地道に開催されている地味な演奏会を聞きに行く方が、いろんな意味で良いことを知った。因みにレオンハルトのチケットは気合いを入れて入手済み。

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バッハ入門その3

2009年02月17日 | バッハ

 バッハ入門その3は、ずばり、クラヴィーア練習曲集第2部。2段鍵盤のチェンバロのための作品。「協奏曲(BWV971)」、「序曲(BWV831)」からなる。通称はそれぞれ「イタリア協奏曲」、「フランス序曲」として知られている。協奏曲とあるのに、チェンバロ独奏曲なのは、協奏曲形式で作曲された曲という意味。

 イタリア協奏曲はF-dur(ヘ長調)、フランス序曲はh-moll(ロ短調)という2曲が一番遠い調性(三全音の関係)で、対比の効果が狙われていると思われる。出版譜のタイトルページには、「イタリアの趣味」、「フランスの様式」と記されている。

 イタリアの趣味と記されているが、実際にはイタリア様式に倣ったドイツの協奏曲だとの指摘がある。これは、1739年にシャイベがこの曲を評し、「どんな外国人にも真似できない」と言わしめた事実にも示唆される。(出典:「バッハの鍵盤音楽(デイヴィット・シューレンバーグ著)、小学館」)

 イタリア協奏曲の第一楽章は、テンポ指定なし。生気と喜びに満ち溢れ、バッハの作品の中でも指折りのポップなメロディ。一度聴いたら忘れられない。第二楽章はd-moll(ニ短調)、アンダンテで、左手で同一音形で淡々と刻まれる低音と伴奏和音の上に、右手により繊細で美しいメロディが奏でられる。これをヴァイオリンで弾いたら、たまらないだろう。第三楽章はプレスト。この曲も第一楽章同様、早いテンポで生き生きとした流れるようなメロディの曲。とにかく楽しく、心躍らされる曲だ。

 一方、フランス序曲は組曲形式である。冒頭の大規模な序曲から始まる。非常に重量感のある曲で、中間部のフーガはひたむきな推進力を感じる。これに続く各舞曲はどれも個性的であると同時に、順番に聞き進めるに従い、組曲の大きな統一感とともに没入感を味わえる。

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聴きおさめ

2008年12月31日 | バッハ

 今年も大晦日がやってきました。年始を迎える準備も済み、音楽でも聞いて過ごそうかと思います。一年が過ぎるのは早いものですが、今年の音楽の聴きおさめも、もちろんバッハにします。

 普段はあまり聞かない、宗教音楽で心を浄化したいと思います。バッハのオルガンミサ(クラヴィーア練習曲集第3部)を気合いで聞きます。初版の表題には以下の文が書かれています。

【教理問答歌およびその他の賛美歌に基づく オルガンのための種々の前奏曲集。愛好家、および、特にこの種の作品に精通する人たちの心の慰めのために。ポーランド国王兼ザクセン選帝侯宮廷作曲家、およびライプツィヒ音楽隊監督、 ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲。】

 世知辛い世の中であればこそ、バッハの音楽で来年も乗り切りたいと思います。

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バッハ入門その2

2008年11月28日 | バッハ

 以前、J.S.バッハを聞くための入門曲はフランス組曲(チェンバロ曲)がお勧めと書いたが、どうにも名作揃いのバッハ様に申し訳ないので、その続きを書いてみたい。あくまでも私の主観ですが。

 多くの演奏家がCDを出していて比較的手に入りやすいという点も考慮しました。声楽曲(カンタータや受難曲など)も名作揃いですが、今回は純音楽を対象にします。

 華やかで喜びに満ちた音楽を望むなら、文句なしで「ブランデンブルク協奏曲」がお勧め。第1番から第6番の6つの協奏曲で構成され、それぞれ様々な楽器による変化に富んだ、心躍る宮廷音楽の贅沢感を味わうことができます。特にチェンバロ独奏部を挟んだ第5番(の1楽章)は明快な主調和音(ドミソド)で開始され、とても印象的です。

 心の安らぎを求めたいなら、「ゴルトベルク変奏曲」がお勧めです。2段鍵盤のチェンバロのために作曲されたこの曲は、ピアノでも演奏されます(グレン・グールドが最も有名)が、チェンバロが断然お勧めです。冒頭の美しいアリアの低音進行に基づく変奏曲が30曲、最後に冒頭のアリアで曲は閉じられます。一見単調になりがちな変奏曲ですが、逆に同じ低音進行による安定感を保ちつつ、当時の音楽形式を網羅した、変化に富んだ名曲です。

 ここまでは前回も紹介しましたが、孤高の音楽を望むなら、「無伴奏ヴァイオリン」と「無伴奏チェロ」組曲がお勧めです。バロック時代は通奏低音音楽が全盛(例えばチェンバロ伴奏+チェロ+ヴァイオリン)の時代でしたが、バッハはたった1挺のヴァイオリン、チェロのために素晴らしい独奏曲を残しています。ヴァイオリンは3つのソナタと3つのパルティータ、チェロは6つのソナタから構成されています。基本は単旋律ですが、重音奏法という難しい技法が要求されるフーガの壮大さは、ヴァイオリン1本で演奏されていることを忘れさせます。特にヴァイオリン・パルティータ2番の「シャコンヌ」は有名です。たくさんの音で溢れかえっている現代にこそ、必要な音楽ではないでしょうか。

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平均律1巻の評価

2008年05月30日 | バッハ

 バッハの作品の中でも、屈指の名曲である平均律クラヴィーア曲集第1巻。24の調性からなるプレリュードとフーガはそれぞれの作品が独特の個性を放っています。そのため、それぞれの曲の好みは人によってかなり差異がある様に思われます。そこで、私の個人的な好みを5段階で表現してみたいと思います。これは現時点での私の曲にたいする好みで、時がたてばまた変化してゆくものだと思いますが。(1:いまいち、3:普通、5:かなり好き)

No 調性:プレリュードの好み-フーガの好み

1  ハ長調   :3-4

2  ハ短調   :3-3

3  嬰ハ長調 :4-3

4  嬰ハ短調 :3-2

5  ニ長調   :3-3

6  ニ短調   :1-1

7  変ホ長調 :5-4

8  変ホ短調 :4-3

9  ホ長調   :4-1

10 ホ短調   :2-3

11 ヘ長調   :2-1

12 へ短調   :4-4

13 嬰ヘ長調 :4-5

14 嬰ヘ短調 :3-5

15 ト長調   :4-2

16 ト短調   :5-3

17 変イ長調 :5-3

18 嬰ト短調 :5-3

19 イ長調   :4-3

20 イ短調   :3-1

21 変ロ長調 :5-2

22 変ロ短調 :5-5

23 ロ長調   :4-4

24 ロ短調   :5-3

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バッハの音楽

2008年05月16日 | バッハ

 バッハの音楽について。基本的に絶対音楽である。予定調和の音楽と言う。特定の感情を湛えた曲はごく希である。しかし曲の深遠さ、壮大さは同時代の他の作曲家を寄せ付けない。曲を聞いて興奮することはない。単なる耳の快楽とは次元の異なる喜びと感動に満たされる不思議な曲がある。それは特にフーガに多い。

 アルベルト・シュバァイツァーは彼を客観的芸術家と呼ぶ。彼は音楽家という職人だった。その職人芸から生み出される無数の音の組み合わせ。古くもなく、新しくもない音楽にして独創性に満ち溢れている。ただ、音のための音楽にして人を虜にする。それは奇跡だ。永遠の音楽。

 バッハが完成させた和声あっての現代音楽。音楽が客観的に作られているということが、聞く側の主観で解釈が千変万化するということか。演奏することも同じことがいえるか。バッハほど自由な解釈が出来る音楽は無い。

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バッハの素顔?

2008年03月02日 | バッハ

 数日前の日経新聞の夕刊に、バッハの頭がい骨の複製から科学的に頭部を再現したバッハの顔画像が掲載されていた。最新の法医学技術を利用して再現したそうである。3月21日からドイツ・アイゼナッハの博物館「バッハの家」で樹脂像が公開されるという。

 一番有名なバッハの肖像画といえば、晩年の1747年にバッハがミツラー協会に入会する際に描かれたと言われている、エーリアス・ゴットリープ・ハウスマン作のものだろう。今回の復元された肖像はこの肖像画と比べて輪郭や目、鼻から口にかけての配置具合はそれなりに近いが、当然のことながら、晩年の芸術家の雰囲気までは伝わるものではない。科学的に再現したと言われるものは、いつもどこか無味乾燥としていて、伝わるものが弱い。

 没後250年以上を経てもなお、その容貌にまで関心が寄せられている人物に、あらためてその偉大さを感じた。

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聞きおさめ、弾きおさめ

2007年12月31日 | バッハ

 今年の聞きおさめ、弾きおさめはバッハの「フーガの技法(BWV1080)」だ。今年は3月に初めてのチェンバロの発表会でフーガの技法からコントラプンクトゥス1番を弾いたからだ。半年以上も練習して準備した発表会だったが、私には当然難曲なため、なかなか思う通りには弾けなかった。

 それでもバッハの音楽への想いと、曲との一体感を感じた貴重な体験をさせてもらった。バッハの曲で未完の曲はいくつか残されているが、若いころの作品で偽作も多く、晩年の真作で最も有名なこの曲には思い入れがある。そういう訳で弾きおさめはコントラプンクトゥス1番に決まり。

 聞きおさめの演奏はマリー・クレール・アランのオルガンより、4声の未完のフーガ。この世で一番美しい理想の音楽の一つを聞いて、本年の聞きおさめにしたいと思う。来年の聞き初めももちろんバッハ。来年もたくさんのバッハに出会えることを願っています。来年もバッハに始まりバッハに終わるだろう。

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バッハ入門

2007年12月28日 | バッハ

 バッハをこれから聞きたいという人は、バッハの膨大な作品群から何を聴けば良いか迷ってしまうだろう。まことに勝手ながら私が薦めるとすれば、どの曲が良いか考えてみた。

 やはり親しみやすさと言う点からも、まずは「フランス組曲」にするだろう。1番から6番組曲まである。毅然とした気高さを持った1番。しっとりと落ち着いた雰囲気を持つ2番。独特の憂いを持った3番。安らかな響きを感じる特徴的な4番。5番の快活で美しい旋律には誰もが口ずさめるだろう。お洒落な感じの6番もなかなか良い。各組曲の個性を楽しむのだ。

 「ゴルトベルク変奏曲」は親しみやすいと同時に、音楽的内容が豊富で当時の音楽形式のカタログ的な所もお勧めだ。30変奏もあるのに一気に聞けて、かつ何度聞いても楽しくて飽きない曲だ。同じ低音進行の繰り返しという変更曲の可能性を極限まで突き詰めた不朽の名曲だ。

 上記は共に鍵盤楽曲だが、次に合奏曲のお勧めは「ブランデンブルク協奏曲」。これも1番から6番まである。すべて長調なので、一気に聞くには気合いがいるが、様々な楽器が使われるので色彩感に富んでいて文句無しで楽しい曲だ。

 実は知人にバッハを何度も薦めて来たが、それをきっかけにバッハが好きになってくれたときは、とても嬉しい。もっとバッハの作品について知りたい方は、とても分かりやすく解説した「バッハ=魂のエヴァンゲリスト(磯山雅著、東京書籍)」もお勧め。

 もちろん私もバッハの曲すべてを聞いたわけではない。特にカンタータは作品が多すぎて有名な曲以外は、なかなか手が出ない。

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バッハのプレリュード

2007年10月05日 | バッハ

 バッハは多くのプレリュードを残してくれた。鍵盤楽曲ではオルガンのためのプレリュードとフーガや平均律クラヴィーア曲集、イギリス組曲、6つのパルティータなどが、それに無伴奏ヴァイオリン、無伴奏チェロなどに、主要なプレリュードが含まれている。

 プレリュードは何と言ってもその形式の自由さが魅力だ。むしろ形式なんか無いと言ってもよいだろう(もちろん協奏曲形式やフーガ形式などを用いた作品はある)。その分、バッハはプレリュードに多くのファンタジーを詰め込むことに勤しんだと言われている。その結果、非常に「純」な音楽が出来あがった。

 中でも平均律クラヴィーア曲集のプレリュード、オルガンのためのプレリュードは特に気に入った曲が多い。これらは厳格なフーガと対をなしているために、なおさらその持ち味を出せていると思う。

 好みは人によって異なるだろが、特に好きなプレリュードをあげてみると、平均律クラヴィーア1巻ではEs-dur,f-moll,b-moll,h-moll、2巻のFis-dur,As-dur,B-dur,H-durがある。オルガンではBWV540(F-dur(これはToccataだが)),BWV547(C-dur),BWV544(h-moll),BWV548(e-moll)が最高。それに6つのパルティータ2、6番も良い。イギリス組曲では3番。無伴奏チェロの5番。気に入ったプレリュードだけを集めて通勤途中に連続して聞いたりしたこともある。こういう聞き方が出来るのもバッハならではかも知れない。

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