全国交通ニュースブログ

鹿児島市バスの運賃均一化の背景について <9/16追記あり>

鹿児島市バスの運賃が2023/10/1から全路線230円均一となります。

https://www.kotsu-city-kagoshima.jp/topics/64697/

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20230908/5050024512.html

現時点では乗車距離により運賃が異なり、鹿児島市中心部は初乗り190円~最大250円、郊外部は初乗り140円~最大280円、桜島地区を運行する路線は初乗り120円~最大520円(旧桜島町営バスを鹿児島市との合併に伴い引き継いだため運賃体系が別)となっているので、

https://www.kotsu-city-kagoshima.jp/kensaku/service/

大部分の区間で運賃値上げとなり、値下げの恩恵を受けるのは郊外部~中心部の比較的距離の長い乗車の場合と桜島地区の一般的な利用者のみとなります。

その代わり、鹿児島ローカルのICカード「ラピカ」(鹿児島市交通局・南国交通・JR九州バスが発行)での乗車の際の市バス同士・市電と市バスの乗継割引が拡充されます。

 市バス同士の乗継・・・「1度目と2度目の運賃合計額から5%割引」→「230円割引」

 市電と市バスの乗継・・・「60円割引」→「170円割引」

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今回運賃均一化に踏み切った理由ですが、運賃体系の簡略化によるクレジットカードのタッチ決済導入の際のシステム開発費の抑制が主な理由です。

https://373news.com/_news/storyid/166804/

九州の主要都市の鉄道・バスでは全国相互利用対象交通系ICカードが使えるようになっており、熊本県や宮崎県あたりでは相当な過疎路線でも利用可能ですが、鹿児島県内のバスおよび市内電車に関しては2000年代前半という比較的早い段階で独自のICカードシステムを導入しており、Suica・PASMO・ICOCAといったICカードは一切使えません。同様に独自のICカードシステムを導入していた宮崎県や長崎県では西鉄のnimocaのシステムに切り替えた結果これらICカードが利用可能になりましたが、鹿児島県ではどの事業者もそのような動きはありません。ちなみに県内最大手の鹿児島交通はラピカとは別の独自ICカード「いわさきICカード」を導入していますが、ラピカとの相互利用のみは可能です。

ということで、鹿児島市交通局では、相応の費用のかかるICカードシステムの切り替えではなく、比較的低コストでキャッシュレス対応できる「クレジットカードのタッチ決済」の導入に注力しています。全線均一運賃の市電では2022/11/1から一部車両でVISAブランド限定で対応を開始し、2023/3/1から全車両で5ブランドのタッチ決済に対応しています。

https://www.kotsu-city-kagoshima.jp/topics/60057/

市バスについても既に「クレジットカードタッチ決済導入事業に係る企画提案」を受け付けています。

https://www.kotsu-city-kagoshima.jp/topics/64720/

実際には、乗車距離により運賃が異なる路線でも、ICカード同様に「乗車時・降車時それぞれにカードを決済端末にかざすことにより、距離に応じた運賃を引き落とす」システムは開発されていますが(2023/8/24付ブログ記事参照)、均一運賃にすれば「降車時のみにカードを決済端末にかざす」だけでOKなので、決済端末本体の導入数は半分で済むわけです。

 

余談ですが、鹿児島市バスは経営再建のため路線の民間への移譲を進めており、2020/4/1に16路線・2021/4/1に4路線を鹿児島交通・南国交通に移管しました。

https://www.kotsu-city-kagoshima.jp/topics/22947/

https://www.kotsu-city-kagoshima.jp/topics/28380/

また、鹿児島市中心部では市バス・鹿児島交通・南国交通・JR九州バスの4事業者が路線バスを運行していますが、現状でも運賃は必ずしも「同一区間同一運賃」ではなく、2023/10/1からは市バスがらみの区間については明らかな差が出ることになります。

鹿児島交通・・・2022/10/1に全社的に27年ぶりに本格値上げ https://www.asahi.com/articles/ASQ9D7HPSQ9DTLTB003.html

南国交通・・・2023/3/22に鹿児島市内線のみ値上げ、他は1995年以来本格値上げなし https://373news.com/_news/storyid/163218/

 

<9/16追記>

九州運輸局のサイトに本件値上げ認可に関するリリース文が掲載されていますが、

https://wwwtb.mlit.go.jp/kyushu/content/000302807.pdf

現在の基準賃率(対キロ区間制運賃の算定の基準となる1kmあたりの運賃)は桜島地区が23円20銭・他の郊外部が19円90銭と、全国的に見ても最安レベルとなっていました。九州島内のバスは宮崎県を除いて総じて運賃が安く設定されています。

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