ぐりとくらし~お山ともこ助とのくらし

【お山とお酒のおぼえがき】から
【お山とわんこと少しお酒のはなし】になりました

父を想う日。

2015-04-13 16:24:00 | 日々の暮らしなどなど
~本日の記事は犬の話でも山の話でもお酒の話でもありません
 たわいのない、感傷的なお話です~
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今日、父が亡くなってちょうど20年になりました。
晴れ男の父、亡くなった日も笑ってしまうくらいの晴れの日でした。

病院から自宅へと帰る道には満開の桜が咲き、
風が吹くと花びらがひらひら、ひらひら、と遊びながら
舞い落ちて夢の中にいるような光景でした。

現実は悲しい出来事が起こっているのに
こんなに華やかな景色の中にいる、そのギャップと
幼い日に父が桜並木を通って公園へ遊びに連れて行ってくれた
記憶が交錯してぽろぽろと涙が出てきたことを思い出します。

今日は晴れパワーが発揮できなかったのか、冷たい雨降り。
傘を差してお墓参りに行ってきました。
ザーザー雨音がするお寺にはだれもいませんでした。
墓石に向かって、静かに短く話をしてきました。

 

「きましたよ」

「またくるね」

亡くなった当時、勤め先の誰もが「若いのに」と
驚いていたのですが私は別に「若い」とは思っておらず
非情にも「与えられた時間がたまたまこの年齢だった」
などと思っていました。
でもあと数年で自分がその年齢を迎えることになり
「あぁ、早く逝きすぎたんだな」と感じるようになりました。
いろんな事をやろうと思っていた事でしょう。
もしかしたら私たち子どもと何かしたかった事があったかもしれません。
母と楽しく老後を過ごしたかったかもしれませんし、
孫ができたら一緒に遊びたかったかもしれません。
そう考えると少し寂しくなります。

あと数年で父と過ごした時間より
父が亡くなった時間のほうが長くなります。
礼儀正しく厳格であった父なので幼い頃から
くだけた話はほとんどせず、厳しい躾の言葉の印象しかなくて
大人の会話もできずにお別れしてしまったのが残念です。

けれどたまに思い出すのはカセットテープに吹き込まれた
「あ、い、う、え、お。か、き、・・・」と
五十音を読み上げている父の声。
もうそのカセットテープは手元にないのですが
ふとした瞬間に思い出します。なんの理由もないのですが。


亡くなった日のような桜吹雪は
ここ数年この日に見ることは少なくなりました。
かわってお寺に植えられている八重桜が毎年花を咲かせて
迎えてくれるようになりました。

今年も雨の中、ぽん、ぽん、と花をふくらませて私を
待っていてくれました。

父よ、もう少しであなたの年を越えてしまうのですよ娘は。