メメント・モリ

このブログでは司法試験関連の受験日記・講座・書評について色々掲載していきたいと思います。

問題集:民法の底力 辰巳 伊藤進教授

2004-10-31 23:30:41 | 司法試験:問題集
 実況中継でおなじみ、伊藤先生のオリジナル問題集です。元ネタは日曜答練、公開模試などから編集しています。
 内容について、全40問とかなりの量があります。特徴的なのは、予備校問題ではあまり見られない一行問題が多数掲載されていることです。一行問題の充実を考えている方はどうぞ購読ください。
 難度は全体的にはあまり高くないです。といっても典型的というわけではなく、要求される知識の幅が割と狭いということです。基本的定義要件効果が身についていない人には、どう書いたらよいのかわからないものも多いでしょう。
 さらに、演習書に良くあるように、解答例がついていません。ですので、模範解答を想像しながら読める人にしか役立ちません。

 去年の年明けに私は、結構この本を詰めて使っていました。時間を計って答案構成し、解説を照らしあわせて思考過程を修正していました。
 しかし、やればやるほど、収録されている問題の質には疑問を感じずにはいられませんでした。比較問題でありながら、小問1は比較できるが小問2は比較不可能(或いは無関係)な実質一行問題、特定の少数説からしか書けない問題、メイン論点が超絶に細かい問題など、オリジナリティはあっても質が練られていないと感じられました。


 民法的思考を養いたい方、未知の事例・問いかけを求める方、民法が好きでたまらない方にはおすすめします。しかし、伊藤先生の過去問の解説に感動し、「伊藤先生の作問なら、本試験レベルの良問が解ける!」と期待して買った受験生には失望又は混乱をもたらすでしょう。

問題集:辰巳論文実況中継シリーズ 刑事訴訟法 安富潔教授

2004-10-30 23:30:39 | 司法試験:問題集
 刑法・民訴のレビューが内容の乏しいものでしたので、刑訴に関しては再度読み直して見ました。知識も蓄積した今なら過去の印象も払拭されるかと思いました。が、やっぱり3年前読んだままの印象でした。

 まず、この本も書き方より論点解説中心のものです。しかも、解説がわかりやすいかみくだいたものではなく、あくまで学者用語なので、基本書同様、読みにくい。あえて読む必要があるのか、疑問です。

 次に、この本の特徴として、完全解を呈示せず、受験生の答案を安富先生が評釈する形をとっています。これが、物議をかもし出す元凶となっています。解答全体でなく、ワンセンテンスごとにいちいちレスをつける珍しい形で、かなり細かい言い回しについても突っ込みを入れていきます。
 「学者はここまでシビアに考えるのか」と感心する部分もありますが、多くは揚げ足とりのように感じてしまいます。「枝葉に入って大局が見えてこない答案」については、よく批判の対象となるところですが、先生の講評は大局が見えない指摘ではないか、と疑いの目をもってしまいます。刑訴に対して合格答案のイメージを持たない人がこの本を読んだ場合、混乱し不安が生じることは間違いありません。

 もっとも、参考になるところもあります。先生は用語についてかなりシビアですが、これは真摯に受け止めていいだろう、と思います。条文の言い回しや、判例の言い回しは勝手に意訳しないことが大事です。
 また、中ごろに色々細かい指摘をしておきながらも、「良い答案は一読できる分かり易い答案、短い答案である」と述べられています。これは本当にそうだと思います。

問題集:辰巳論文実況中継シリーズ 民訴 和田吉弘先生

2004-10-29 01:06:50 | 司法試験:問題集
 実況中継シリーズの中でも、もっとも最後に発売されたのが民訴でした。私は平成12年からの民訴には恐怖を感じていたので、飛びつきました。

 結果は、、、悪くないんだけど、なんだかなー。
 まず、文字が小さい上に量がかなりあるので、通読するだけで結構な時間がとられてしまう。しかも「そうだったのか!」という目からウロコ系の指摘は少なく、よくも悪くもオーソドックスさを感じてしまいました。

 個人的な感想として「これ読むくらいなら、自分でC-BOOK使って定義や要件、条文、論点を覚えることに時間を使った方がいいな」と思い、手放しました。
 もちろん、刑法ほどには悪くありません。先生は司法合格者だから、手堅い印象もあります。ただ、何もサプライズがないのです。読後の充実感がないと言いましょうか・・・

問題集:辰巳論文実況中継シリーズ 刑法 船山教授

2004-10-28 13:29:46 | 司法試験:問題集
 実況中継シリーズ、刑法です。一応、このシリーズは全部読みましたが、この刑法がもっとも(私にとっては)使えませんでした。もう、読んだのが3年まえなので、内容を詳しく覚えていませんが、「刑法の合格答案の書き方」を試行錯誤していた私にとっては全く得るものはなかった、と記憶しています。それより、論点の説明が主体だったような・・・なお、先生は行為無価値論です。

 いいところを何か紹介するのがこのブログの趣旨ですので、必死に思い出しました。
 ひとつありました。
 「〇〇先生の教科書には過失の共同正犯の具体例として、ビルの屋上から共同して材木を投げ下ろす、という事例が挙げられていますが、あれは不適切です。そんな危険な行為は通行者への傷害の未必の故意がありますから過失の共同正犯になりません!」

 確かにそうだ。

問題集:辰巳論文実況中継シリーズ 手形法 田邊光政教授 会社法 石山卓磨教授

2004-10-27 10:00:44 | 司法試験:問題集
 いまは答練の商法の時期ですので,商法過去問に関する情報をお伝えします。

 商法はその対象領域があまりに広く、しかも答練スケジュールの関係で十分な予習をせずそのまま進むかたも多くいらっしゃると思います。 商法の苦手克服について、即効性のあるものはありませんでした。答案のコツをつかむというより、広く確かな知識をどんどん蓄積していくことが安定した合格答案作成に効果的だと考えます。その意味で、答案を集めるより、基本書またはテキストをしっかり読み潰すことが攻略の鍵になります。
 とはいえ、あの広い領域について漫然と読んでいても、なかなか効果的な学習にはならないでしょう。まずは商法を好きになることが攻略への一歩と考えます。

 そこで、今回ご紹介するライブ本シリーズになります。両書は論文過去問を素材に、各科目の教授が関連論点を非常に興味深く説明してくださいます。手形法では比較法的観点から、会社法では実務や学説の状況を踏まえつつ、一見無味乾燥な論点を楽しく解説してくださいます。説明個所は司法試験レベルを超える場合が少々ありますが、知的興味を刺激するのに一役買ってくれるのでよしとしましょう。
 
 手形法では、田邊先生が人的抗弁について属人性説という少数説をとられているので、その点注意が必要です。問題数が少ない(H12初版では19問)ですが、少数精鋭で参考になる問題ばかりです。小切手法や為替手形など、予備校テキストでは説明しない個所を解説してくださいます。ただ、勉強があまり進んでいない方は飛ばしてもいいでしょう。出題可能性は低いです。 
 また、大きな特徴として、田邊先生の監修答案が実況中継シリーズ中もっとも出来がいいということが挙げられます。過去問参考答案としても、日常の学習に役立ちます。これは本当におすすめします。

 会社法は、頻繁に版の改訂が行われます。改訂の度に問題数が増加してゆくのですが、あれはちょっと多すぎではないでしょうか。ご自身で検討する順序を決めてから取り掛かることをおすすめします。

 最後に、ここ2年の商法の本試験は簡単でしたが、それ以前の問題を見てください。ギョッとする出題がされていることに気付かされます。「もうああいう難しい問題は出ないよ」と考えるかた、それは希望的観測に過ぎません。相手方は意表をつくことが大好きです。ここ2年の本試験の成績が良くても、必ず難問対策を怠らないでください。来年あたり、きそうな予感です。

雑談:再現答案

2004-10-17 22:24:09 | 司法試験:雑談
再現答案をアップしました。ブログには字数制限により掲載できないので、私のHPにアップします。
教科書ガイドTOPページ
*ワードからの転記だったので、レイアウトが大幅に狂ったのが非常に残念です。答案の形式はその良し悪しを図るバロメーターのひとつと考えるので、これは時間ができたら修正したいです。

 再現答案については、本試験翌日からの20日・21日におこなったものですので、極めて再現の正確性は高いです。あてはめの部分は若干違えど9割以上は本試験での作成答案と同様の内容です。

 内容については各答案の最後にある雑感(7月作成)の他に、まだまだたくさん説明すべきところがあります。

 力点をおいたところ、キーワードの強調、構成、当日の現場での思考過程、構成・答案作成時間と記述量、評価すべきと考える点と、失敗点、これらの原因などお伝えするには相当量の情報と分析が必要です。
 これについては、近日「教科書ガイド」番外編として編纂したいと考えています。興味のある方は、またご要望などお寄せください。


雑談:結果報告

2004-10-08 17:20:59 | 司法試験:雑談
 論文試験の結果報告を致します。合格しました。

 再現答案のアップロードは成績返却があってからしようと思いますが、ご要望があれば早くアップします。
 応援してくださった方,ありがとうございます。

                                  GM

問題集:対話で学ぶ民法 法学書院

2004-10-06 23:47:50 | 司法試験:問題集
 法学書院の対話で学ぶシリーズ・民法です。教師役の弁護士が2人の受験生が論文過去問の答案を作成したあとに採点ポイント・論点を説明する独自の形式です。
 このシリーズは総じて読みやすいのですが、民法は読みやすい上にためになる記述がいろいろありました。中でも、衝撃的だったのは「民法の答案はどれだけ書いたか書けなかったか、ではなく基本からどれだけ積み上げられたか、によって出来不出来をはかるべき」という記述でした(今手持ちに無いのですが、確かこういう記述だったと思います)。
 人によっては「何だ当たり前のことじゃないか」と思われるかたがいらっしゃるかと思われます。しかし、当時(平成15年11月)の私にとっては身につまされる思いでした。15年の本試験で問題文の文言を使い切るために、無理矢理な条文適用をして、それでGをとったからです。難問であればあるほど、基本からの積み上げを心がけて、慎重になるべきです。

 ところで、対話シリーズはさらっと読めるのでそのまま読み流してしまい、頭に残らない危険もあります。また、解答例が対話文章に並走してあるのでコピーしてストックするのにはむいていません。
 使い方としては、(1)自分の手持ちの資料との比較をする(2)入門書として使い、後で貞友民法で補充する といいでしょう。問題は平成以降のものが多いです(20~30問程度?)。

問題集:辰巳決定版LIVE過去問解説講義 民法 貞友義典先生

2004-10-06 00:16:20 | 司法試験:問題集
辰巳の看板講師、貞友先生の民法過去問解説本です。

 前述の伊藤先生と違って、この本は中上級者向けです。問題数も昭和60年から平成13年まで掲載されていて、情報量も豊富です。特に難しい平成元年1問や平成8年1問などは、基本書には載っていない論点ながら、先生独自の考察が加えられていて大変参考になります。
 また、問題で直接問われていない論点についても「この事情がこう変化したならもっと難しくなる~」など、広がりのある勉強をさせてくださいます。これらの応用の中から実際本試験で出題されたものも多数あります(過去問検討が未来の本試験問題の予想につながる好例です)。

 もっとも、民法に関して先生は研究者の域に達しています(論特の論点解説の参考文献に平井民法などと並んで、貞友ライブ本があったのが印象的でした)。ですので、試験的にはあまり触れる必要の無い論点を検討したり、神経質なほど説の妥当性にこだわったりします(前述の平成8年の問題などは、先生自身が説明しながら酷く悩むので、読んでるこっちも混乱します。試験的にはここはあっさり判例で済ませばいいと思う)。こういうところまではいっしょに付き合う必要はありません。
 また、解答例も受験生にとっては実践的ではありません。規範とあてはめが融合されていたり、省略がかなり大胆だったり。
 この本は参考書であるという割り切りが重要です。

 伊藤民法と両方購入なさった方は両方に掲載されている問題について、両先生の指摘する重要ポイントがどう違うか読み比べると面白いです。とくに昭和61年1問、平成7年1問なんかはお互いの視点の違いが如実に反映されています。どちらが妥当かは皆さんの判断にお任せします(私は伊藤先生のスタイルの方が好きですが)。

問題集:辰巳論文実況中継シリーズ 民法 伊藤進教授

2004-10-05 23:55:04 | 司法試験:問題集
 今日は民法の教授解説本です。
 辰巳は民法の過去問解説に関しては伊藤教授と貞友先生の2冊を発行しています。「どちらを買えばいいのか」というのが購入予定者の知りたいところでしょう。結論をいうとこれら2冊の本はそれぞれ読者のレベル、解答例・解説の参考になるところが全く違うので、時間的に余裕がある方は両方を購読された方がいいです。

 ただ「最初の一冊は?」と聞かれると、迷わず伊藤教授の方をおすすめします。

 貞友先生が当該問題に関する論点を徹底的に突き詰めて考えるのと異なり,伊藤先生はまず、司法試験民法において、どのような思考過程をもって臨めばいいのかを教えてくださいます。そして、基礎的概念の操作においてどこが採点のポイントになるのかをしっかりと説明してくださいます。よく「基本から考える」という理念の重要性が叫ばれますが、この本を読めばその意味が「じーん」と伝わります。極当たり前であることを伝えることの大切さが、この本からは読み取れます。

 もっとも、問題の解説をした後に、平成後期の問題については受験生の再現検討までするため、取り扱う問題の数は少ないです。したがって、この本をしっかり学習すれば「他の問題はどう考えればいいか」ということが気になり、物足りなくなってくることがあります(初版は18問、最近第2版が出版されましたが、先生答案作成スタイル・エッセンスは変わりないので,あえて買い換えの必要は無いです)。更なる知識の欲求が生じる段階になったら、貞友民法を購入しましょう。

 


問題集:辰巳論文実況中継シリーズ 憲法 棟居教授

2004-10-03 00:30:56 | 司法試験:問題集
 今日からは辰巳の解説実況中継シリーズの紹介を致します。
 第1回は憲法、棟居(むねすえ)教授です。
 以前先生の判例スピードマスター講義のことをお話ししましたが、その講義に触発されてこの本を購入しました。この本は司法試験に留まらず、憲法を初めとする法律科目の思考パターンを随所に呈示してくれています。

 例えば・・・
 「エベレストに登るのは大変だが、先人が作った階段をつかえば何も絶壁を登る必要はない。難しい問題も使える知識は判例でも何でも利用して結論を出せばいい。最初から最後まで自力で道を切り開こうとするようなことはしなくていいし、誰も要求していない。」
 「法律解釈学はアナロジーの学問である」
 「司法試験は法律家たちにとって自己増殖の作業に他ならない。自分たちと波長が合う者をテストで見つけ出すことを目的としていて、法律家に仕立て上げるプロセスについては試験の主催者側は何の責任をも感じていない」
 「(憲法答案は)一個のことしか聞いていない。あれこれどうでもいいことを書かずに一番大事な論点に全力投球すべきだ」など。

 先生は司法試験合格者ではない(だろう)し、試験委員経験者でもないので、こういう発言については訝しげに思う方も当然いらっしゃると思います。
 しかし、5回この試験を受けてきた私の個人的な感想からすれば、前2者だけでなく後2者の過激な意見もおおむね正しいと感じています。
 本試験の研究対策を進めるにつれ、典型的な教科書・問題から離れたところにある採点ポイントが明らかになってきましたし、統治に関しては「単一論点だ」との先入観を持っても本試験の評価は悪くならないことも個人的には実証されました。
 この本を読んで、司法試験の答案全体について考えさせられることが多々ありました。

 また、先生独特のくだけた表現で、わかりやすく卑近な例で高度な問題を解説してくださるので、憲法に親しみがもてました。

 もっとも、本試験の合格答案作成という観点からすれば、やや割り引いて理解すべきではないか、と思われる箇所もありました。
 例えば、平成6年1問を3項プロパーの問題と捉えたり、2重の基準を踏まえた議論を「念仏」と一蹴したり。 先生は学者のタイプで言うと、少数派の意見を汲むパンクロッカーですので「落ちにくい答案」を目指す観点からは危険極まりない判断をされることがしばしばあります。

 さらに、法律的議論の部分は充実していますが、学者らしくあてはめにはあまり意識がいっていません。これは一般的な合格答案のイメージからは欠落するところです。

 とはいえ、完全な教科書・問題集など、この世には存在しません。私が指摘した不足点に注意しながら読み進めれば、必ず憲法的素養が培われることでしょう(即効性はあまりないと思います)。

問題集:各予備校論文過去問集徹底比較

2004-10-01 19:57:19 | 司法試験:問題集
 択一ほど重要視されていませんが、論文の過去問を何度も検討し、過去の出題の趣旨を探ることは論文試験の合格可能性を挙げるのに必須の事項です。そこで、論文本試験の過去問集が教材として必要になります。

 網羅的に過去問が収録されているものにはLEC発売の「論文本試験過去問徹底解析シリーズ」とセミナー発売の「新論文過去問集」とがあります。 前者は司法試験開始当初の昭和24年から、後者は昭和38年から掲載されています(但しLECの方は出題可能性の低い問題については解答例がありません)。
 これらの本は広く受験生に使われていて、定番的存在といえます。しかし、使用した方はご存知でしょうが、必ずしも解答「例」足りえる質が維持されているとはいい難いのが実情です。すばらしい答案ももちろんありますが、内容が高度だが問に答えていない答案、やたら論証が長い答案、あてはめがない答案など、実戦的でない答案が多く掲載されています。

 どちらが良い(悪い)のか、ということが購入予定者の知りたい情報でしょうが、こればかりは「問題による」といわざるを得ません。というのも、これらの過去問集に掲載されている解答集は作成者もその時期もバラバラの寄せ集めだから、統一感がまるでないのです。私を含め多くの受験生は「ほかに網羅的な過去問集がないから仕方なく使っている」というのが現状です。
 したがって、これらを基軸に過去問検討するのはやめてください。ただ、他に解答例が見つからない場合、或いは他の過去問集の構成に疑問不満がある場合に比較対象資料として所有する必要と価値はあります。

 また、ほかには辰巳法律研究所が発行している過去問本(平成の論文過去問~現場思考ぶんせき本)もあります。この本は合格者(チームでしょう)が鉄則をまず呈示した上でその方針にしたがって答案作成しているので、理解が伝わりやすく、答案のスタイルというものもつかみ易いです。ただし、合格者にありがちなように、特殊な構成・認定をして「これが正しい」と思い込む答案(ex刑法H9-1)も散見されます。「解りにくいな」と思ったら他の本と比較することをおすすめします。また、タイトルにもあるように平成の問題(13年まで)しか掲載されておらず、いかんせん問題量が少ないのが弱点です。

 その他、私が使わなかった本としてはセミナーのパラダイムシリーズ、スタンダード100やマスター論文シリーズなどがあります。これらの評価は使わなかったのでしようがないですが、やはり網羅性に問題があります。
 
 網羅性という点では伊藤塾が応用マスター時に配る過去問集はそこそこの量があってしかも答案の質が一定しているとのことですが、これも未確認です。ただ、いくつかみた限りではそれほどいいものでもありませんでした。

 と、欠点ばかりが目に付く市販の過去問集です。どこかがそこそこ答案が良くてしかも量がある過去問集を出版してくれれば受験生はみなそっちに流れるのですが、どうして作らないんでしょう?
 
 結局、過去問集は市販のものを組み合わせたり、答練の付録についてくるもの(辰巳のものは相対的によい)をせっせと集めて自作するしかないのでしょう。メンドウですが、予想答練の寄せ集めよりはよほど頼りになります。

 今日は長くなったので、まとめを置いておきます。

 LEC・セミナーの過去問集:資料用
 辰巳平成の過去問本:おすすめ、但したまに変な答案あり
 伊藤塾応用マスター:割と人気、しかしこのためだけに講座を取るほどの価値は?
 
 なお、講義形式で論文過去問を検討する講義や書籍がいくつかあります。これらの内で、私が受講したものを次回からご紹介いたします。