メメント・モリ

このブログでは司法試験関連の受験日記・講座・書評について色々掲載していきたいと思います。

講座:LEC 論文直前早起き特訓

2004-11-30 09:43:22 | 司法試験:講座
 LECの隠れた名講座、論文直前早起き特訓です。3年前までは論文早起き特訓として、1~3月にも開講されていたのですが、人数が集まらなかったのでしょうか、最近は5月から6月の直前期のみとなっています。この講座は、朝早起きして、論文過去問を1問書き、それについての30分の解説講義を聞く、というスタイルになっています。早起き時間については、本校によってまちまちですが、7:30~9:00の間におおよそ始まります。要するに、答練+解説の講座なのですが、すばらしい点が3つあります。

 まず、択一後、合格発表前のだらけがちな時期に、強制的に早起きするきっかけになることで勉強のペースが維持できる、ということです。前に「集中力の維持」という記事でも書きましたが、寝坊すると、頭がしっかり働かなくなり、どうしてもだらだらしてしまいます。その点、論文早起きを受けていると、択一発表まで寝る前に悶々としていても、強制的に朝8時から答練があるために、イヤでもしっかりとした勉強が出来ます。これによって、夕方6時までに8時間の勉強量を確保でき、そのまま帰宅して家族と一緒に夕食を取る、といった人並みの生活を営むことも(時には)可能です。

 次に、択一後で勘の鈍った頭に論文過去問、という本試験レベルの問題をぶつけることで、答案のコツや、勘を呼び戻す、という効果もあります(商法はなんと択一本試験翌々日に始まる)。思った以上に答案が書けず、「もっと頑張らないと」という発奮材料になります。

 さらに、講師の質が高い、という特質も重要な要素です。何度か受講していますが、この講座の合格者講師によって、答案の書き方を学んだ部分は多いです。
 特に参考になった講義を挙げておきますと、00年の新井講師の商法によって、一行問題の書き方がマスターでき、同年憲法の方による対立利益をキーワードとして挙げる方法はその後もしっかりと役立っています。01年は特に当たり年で、憲法の岳井講師によって、さらに答案作成技法に磨きがかかり、刑訴の武井講師は、厳しいながらも、刑訴の最高到達点を垣間見せてくださいました。さらに、現在もLecの講師でいらっしゃる(?)ヒゲの河村講師の刑法は分かりやすくためになる講義だった。このころの早起きによって、私の答案作成スタイルは基礎が出来上がったといえます。上記の先生方には深く感謝いたします。

 近年は、もう答案作成の技法は身についていたので、講義を聴いて「目からウロコ」というものはあまり無かったですが、それでも講義の質は保たれていると思います。(去年だったか「私は合格して早起き特訓の講師をするのが夢でした」と言う憲法の講師がいました。予想どうりの気合の入った講義+レジュメで、これは本当に受けて良かった)
 ただ、おおむね憲法+刑事系の講師に気合が入っているのに対して、民事系(特に民法)の講義が「かすんで」いるのが気に掛かります。おそらく、憲法+刑事系が答案のコツというものをつかめば、あまり知識無くとも良い答案が書けるのに対して、民事系は地道な知識の蓄積、積み上げが必要だから、という科目の特性があるからでしょう。今年の民法・民訴法は良かったのですが、商法はかなり、やっつけ仕事的な印象を受けました。そういう講義に当たった時は心底がっかりしました。
 また、朝から講義を30分も聴くのはもったいないので、私は、答案を書き上げるとすぐ自習室に行っていました。講義は自己採点が終わって、昼食中或いはその後、眠くなる倦怠期に欠席フォローでテープを聞いていました。

 ついでに、関東はどうか知りませんが、関西は受講生が少ないです。連帯感のようなものがうまれるので、受講生同士友達になりやすいですよ。

 LECに限らず、他校も早起き特訓は実施しているようです。講義の質は知りませんが、早起き効果は同じなので興味のある方は受講を検討してはいかがでしょうか。

方法論:択一問題解答順序

2004-11-29 10:34:53 | 司法試験:勉強法・方法論
 先日は、論文の解答順序を説明しましたので、今日は択一の解答順について私の方法をご紹介します。
 よく、「頭を使わない民法から解く」と言う方や、逆に「頭を活性化させるために刑法から解く」という方、「得意科目から解く」方などが見受けられます。

 私は、そのうちのどれでもありません。「問題の形式に応じて頭から解いていく」というのが、2回目受験からの確立した方法です。これは「択一王の必勝戦略」という自由国民社の本で見つけた方法で、要は「時間不足に備えて、解答不能問題を最小限にする」ことが目的です。

 具体的にいうと、単純正誤問題は組み合わせ・個数を問わず、難易度に関わらず短時間で解けます。これに対して並べ替え・穴埋め問題や、見たことも無い問題形式の場合、難易度に関わらず比較的時間がかかってしまいます。そこで、早く解ける形式に従って、1~60を一通り解き、それから残しておいた問題を解答してゆきます。
 もっとも、個々人にとって、どういう問題形式(或いは苦手分野、解答に慎重になる分野(ex債権総論)といった内容にもよるかもしれません)が苦手か、微妙に違いがでると思います。これは、模試で調整しておいてください。

 なお「科目をごっちゃに解くと、思考が混乱するからダメだ!」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
 しかし、実社会でお仕事をされている方々(法曹関係者含む)は1つの仕事にかかりっきりではなく、同時進行で、異なる複数の仕事をこなすのが普通です。同時並行的に異種の作業をすることをやたら忌避するのは、あまり良いこととは考えません。こんなものは、ただの「慣れ」です。出来るようになると、必ずアドバンテージになるので、是非お試しください。(前回紹介した、論文の変則的書き方も、この同時並行処理の観点から考えたものです。)

 また、「3科目が程よくブレンドされて、解答中飽きがこない」というのもこの方法の利点です。さすがに本番では飽きてやめてしまうことは無いですが、それでも「ウンザリ」してくると集中力が落ちるので注意が必要です。

 欠点と言えば、上記のように慣れないと思考が混乱することと、合格後のアンケートで必ず聞かれる「各科目何分時間をかけましたか」という問いに答えられないことくらいでしょう。

 ところで、冒頭紹介した「得意科目から解く」という方法を実践していらっしゃる方、それはやめた方がいいです。
 この方法だと、要するに得意科目に高得点の期待をかけてしまうため、その科目が例年より難しかった場合、出鼻をくじかれて他の科目の出来に悪影響を及ぼす危険があるからです。

 その点に関しても、今回紹介した形式順に解く方法は、科目毎による難易度、解答順序による難易度の意図的な調整により、ペースを乱そうとする相手方の策略を全てスルーしてしまう点で有効です。

方法論:答案構成順序

2004-11-26 11:37:50 | 司法試験:勉強法・方法論
 前回、論文のペンとストレスの話をしたので、今回はそれに関連して、構成の順序を考えます。
 皆さんは、構成の順序をどうしているでしょうか。多くの方が第1問・第2問を見てから、どちらかを構成し、答案を書き、それからもう1つの方を書いていくでしょう。
一昨年まで、私はこの方法をとっていました。そして、1問60分をおおむね守っていました。

 しかし、本番では思わぬ難問に出くわす場面もあります。そういうときに、時間制限から見切り発車した答案というのは、たいてい酷い評価となって返ってきました。
 そこで、私は「1問60分を守っても、答案が悪ければどうしようもない。1問75分くらいならかけてもいいのではないか」と考えるようになりました。しかも、答案にかかる時間を例えば40分と見繕って、意外と早く終わってしまった場合、残った問題がとりたてて時間をかけるべき部分が無いときは、無駄に5分・10分と余ってしまうこともありました。
 このようなことから、私はまず2問同時に答案構成していき、それから2通一気に書き上げる方法にチェンジしました。さらに、
1.答案構成をいくつかのパートに分け(小問など)、いまいち分からない部分についてはわざと空欄もしくは未完成にして、時間が余ったらそこを考える 
2.分からないもしくはあまり重要でないようにも思える部分については、わざと(一行などで)可能ならば答案の最後に持っていき、そこを未完成のまま残して次の問題を書き始め、次の問題完成後に戻ってきて時間的余裕に応じて未完成部分の答案の分量を調整する 
3.予め、科目毎に自分が大体何分で何行書けるか、こういう構成なら何行書くことになるか、などを把握しておいて、難問が出た場合は構成時間を多くとり、答案記述量を減らすべき計算をする、などを考えていました。

 今年の本試験の例でいうと、民法1問小問1はいまいち分からなかったので、小問2と第2問をしっかり構成したあとに小問1を検討しました。
 また、民訴では、第2問が難問だったので、第1問、第2問を一応構成したあと、第1問は当事者の訴訟活動のみ書き上げて、裁判所の部分を残し、第2問をさらに考えて答案作成し、残った3分で裁判所の訴訟活動を急いで書き上げる、という変則的なことをやりました。結局、第2問については30分以上構成したと思います。


 この方法は慣れないと思考が混乱する、というデメリットがあります。本番でいきなり思いつきでやらないように。やろうと思う方は必ず答練で練習しておきましょう(平成14年は民法でこの方法を思いつき、見事に混乱した、バランスの非常に悪い答案が出来上がりました)。 

雑談:論文に最適のペン

2004-11-24 23:17:24 | 司法試験:雑談
 論文試験では、2時間で結構な量の文章を書かなければならないので、手指に負担がかかります。一日1回の答練ならまだしも、本番では縦積みで3回連続受験しなければならないので、使用するペンの選択はかなり重要なファクターになってきます。(私の場合、2問答案構成した後、一気に2通書き上げるので、筆記のストレスは、より切実な問題でした)。

 受験の初期は、水性ボールペンのユニボールシグノを使っていました。これは書きあがりがきれいなので、多くの受験生が使っています。しかし、筆圧が強い私には中指の負担が大きかった。しかも、ハズレのインクだとかすれが多発してストレスが溜まることこの上なしでした。同様に、PILOTのHI-TECも指が痛いので使うのをやめました(これらはペンの持ち方のきれいな人には適しているようです。しかし私は、かなりペンを寝かせるタイプなので、使いづらかった)。
 手にやさしい、と評判のDR.GRIPは確かに手痛のストレスは小さいのですが、使っているうちに汗でグリップがにるにるになるのと、独特のささくれだった書きあがりが好きになれなかったので使用を止めました。

 その後、使い捨ての万年筆を試しに使ったところ、寝かせてもきれいに字が書けるのでそれ以後しばらく愛用していました。ただ、すぐインク切れを起こして、ランニングコストが高すぎました。また、たまに「ダマ」ができるので、時間が無い時はイライラします。

 そこで、ウォーターマンの1000円前後の万年筆を2本用意して交互に使うようにしました。
 これによって、論文に関するストレスはかなり解消されました。ただし、この筆記具はしばらく使わないと、すぐにペン先が乾いてしまい、メンテが必要になるのがメンドウです(いつも択一後に洗っていました)。
 ボールペンの書き味が不満で、手が痛いひとは一度万年筆を使ってみてください。

問題集:口述過去問集 体系別(平成5~15年)早稲田セミナー

2004-11-23 11:21:58 | 司法試験:問題集
 早稲田の通年版の口述過去問集です。口述試験とはどういうものか興味があったので、一年目、択一に落ちた夏から使っていました。もっとも、一番使ったのは去年の通常期でしょうか。

 内容について、、、口述受験者でさえ「口述過去問は細かすぎる」として、受験界一般には口述本の無用論が強いです。しかし、上手に使えば、口述本はやみくもな物量作戦の勉強より、ずっと効果的です。
 択一、論文を通して意表をつくような問題も、過去に口述で問われていることが多いです。
 例えば、平成12年択一憲法の国際人権規約に関する知識(選択議定書批准せず)について、過去に何度か口述で聞かれています。また、論文についていえば、ここ数年を考えても平成10年は憲法統治(議員立法定数)、刑法(早すぎた構成要件実現)、15年は民訴(引換給付と既判力の客観的範囲についてかなり前に聞かれました)、16年は憲法統治(議員の年齢資格)など、明らかに口述がモチーフとなっている出題がなされる場合があります。
 これには理由があります。相手方は、当該問題について受験生がどの程度知っているか、「さぐり」を入れたいのです。そうしないと、いざ出題した時に、皆が出来てしまったり、逆に誰もかけない、ということになると、出題としては失敗だからです(点差がつかない)。

 とはいえ、過去にあったような出題意図をそのまま聞くような形式は、近年ではあまり取られていないようです。去年の口述過去問における議員年齢制限の論点など、辰巳口述本の解説によると、
「被選挙権に関して、年齢制限はあるか→憲法上の明文はないが、公職選挙法上、選挙権の年齢より高く定められている(同法9条、10条)」
 これだけです。
 これでは、答案は埋まりませんね。おそらく、特定一部の受験生にやや突っ込んだ形で聞いて、全体からすれば目立たない感じにして、慎重にレベル調査しているのではないでしょうか。私も今年の口述で、問題の筋からはあまり関係ないことをやたら詳しくきかれたフシがあります(基本ではない)から、こういった推測も成り立つのではないでしょうか。(ついでに言うと、前年聞かれた論点が「ズバリ」ではなく、その周辺から出題されるのも、最近のトレンドです)
 そういった観点から、口述過去問を読むというのも割と意義深いことだと思います。

 また、口述は択一論文とあわせて、もっとも細かい知識が問われます。このことは逆にいえば口述が司法試験の出題範囲の最大枠である、ともいえます。何年か前、口述過去問を愛用して一発合格を果たした受験生が予備校のパンフレットに掲載されていました。上手く使えば、口述過去問は効果的であることが実証されたと言っていいでしょう。
 しかしながら、大多数の受験生にとっては口述過去問集は分からないことだらけで、ただ試験に対する恐怖心を煽るだけの結果になってしまう危険が高いでしょう。

 教科書を読み、問題集をある程度解いて、その科目の理解度が現時点での最高潮に達したその時点で口述過去問を読み、それでも読みづらかった場合には、口述本は使わないように。

 もう1つ、口述本はテキストと比べ、記述の正確さにかなり疑問があります。「本当にこれで正しいのか」という疑問が生じた場合、必ず、他の文献を当たりましょう。

答練:ATTACK60 プレ短答オープン 

2004-11-21 14:26:23 | 司法試験:答練
 さて、長らく教材関係の更新が滞り、申し訳ありません。久々に教材のご紹介を。

 今日は、来月12日に開催される、LECの択一模試、アタック60のご紹介です。

 以前、LECのハイレベル編については、かなり特殊な答練である、と紹介しました。しかし、アタック60に関しては、ここ2,3年は安定して堅実な問題が出題されています。オーソドックスで、辰巳の模試をイメージしてもらって結構です。
 受講料は無料です。あまり早くから択一に本腰を入れていない人でも、とりあえず受講すればいいのではないでしょうか。資料収集目的でも意味はあります。なお、通信はありませんが、後日WEB上での自己採点コースが開講されます。こちらも、必要事項を記入すれば無料です。ただ、受講と成績に応じてなされる割引がありません。

 なお、この割引の有効な使い方を1つ。

 LECはここ数年、ハイレベル編については、合格すれば受講料を返金する、という制度を設けています。ハイレベル編を申し込み、なおかつ合格する気概のある人は、あえて割引を使う必要はありません(リスクヘッジしたいのなら止めませんが)。それよりも、全択ファイナル編を受講予定のある人は、この講座を割引を利用して申し込みましょう。意外と知られていないのですが、ハイレベル編が返金されても、全択ファイナルは返金されません。これで全16回の模試が無料になります。

 さらに、辰巳のプレ短答オープンも総択に次いで、良い出来であることが多いです。無料なので、時間が許す限り受けましょう。両予備校とも、この無料模試が受講の重要な検討材料になることを自覚してか、かなり力が入った作問をしているようです。

 「いまから択一しなくても、、」という方、確かに択一合格常連の方には、知識的にはあまり新たな効果はないかも知れません。しかし、この時期に母集団の多い模試で自分がどれほどの位置に現在いるのか、ということを知っておくことは、来年の合格を確実にするために、有意義である、と思います。
合格すれすれもしくは未経験の方も、危機意識があるほうが勉強できるタイプなら是非受講しましょう。

講座:合格答案分析講座 辰巳法律研究所

2004-11-12 17:06:39 | 司法試験:講座
 平成14年度に受講しました。その当時は辰巳の中村弁護士と中尾弁護士が担当していました。他の再現分析講義と違い、1科目3時間かけるので、論点の解説や採点ポイントなど、かなり詳しく教えてくださいました。合格者の答案5通とA答案・C答案が掲載されていて、平均レベルとそれ以上を分けるポイントを示してくれます。いろんな意味で「手堅い」講義でした。もっとも、受講料もそれなりに高かった記憶があります。

 平成15年度は割引制度があったこともあり、「A答案・G答案徹底比較講義」というものを受講しました。これは、荒木弁護士と、論文2回合格の合格者二名とが、AとGとを分ける基準のようなものを1科目10通程度の答案を見ながら呈示していきます。これは、論点の解説は殆どしないのですが、かなり役立ちました。さすが2回合格は違う、と感心したものです。
 もっとも、この種の講義は予習しないと意味がありません。私が実践していたのは、こういう予習でした。答案の評価欄をポストイットで隠し、自分で評価を書き込みます。そして、講師の講義を聴きながら、講師が指摘したポイントと自分のポイントがあっていたか、ずれていた場合、それは妥当な判断か、予想評価と実際の成績が合致したか、をチェックします。
 これは頭も使うしかなりめんどくさいので、一日2科目が限度でした。しかし、これで、合格答案のイメージが完成したと思っています。

 なお、今年の辰巳の講義は、AG答案のスタッフが合格答案分析講義を担当するようです。興味をもたれた方はご一考ください。ただし、荒木講師はかなり答案スタイルのくせが強いタイプですので、自分の中でよく消化してから意見を受け入れましょう。

講座:再現答案分析講義 早稲田セミナー 羽広政男

2004-11-11 23:42:52 | 司法試験:問題集
 セミナーの再現分析講義。正式名称は不明です。成績表の到着を待って複数回行うこともあるようです。

 再現分析はここ3年で特にクローズアップされるようになった講義です。
 というのも、近年の本試験問題は、基本的でありながら、いわゆる予備校典型論点型が少なくなってきています。また、主観的に出来た問題も、成績を見ると予想外に低かったりして、合格答案のイメージがしづらくなっている傾向があります。そういう現状に対して、再現分析はニーズが増えているのでしょう。

 LEC・辰巳・伊藤塾も何らかの形で再現分析講義をしています。個人的に一番役立ったのは去年の辰巳ですが、平成14年版の羽広講師の分析もそれなりに役立ちました。

 いわゆるA評価や合格答案だけでなく、F・G答案も同時に検討してくださるので、答案のどの部分が致命的に減点されたのかなど、非常に参考になる部分がありました。
 もっとも、伊藤塾のものと同様、6時間しかなく、必然的に解説は大まかな、急ぎ足のものになってしまいます。だから、あらかじめ出題論点・問題分析の予習をしていないと講義の内容に全くついていけない危険もあります。また、六科目12問しっかり分析したい人には若干物足りないかもしれません。

 明日以降も、再現分析講義の紹介をしますが、この手の講義については、来年の合格を確実にしたい受験生は費用の出し惜しみをすべきではないと思います。これらの講義はあくまで、その講師の「主観・推測」を述べているに過ぎません。多くの意見を集約し、最大公約数をはじき出す方がより確かな合格のイメージをつかめるのではないでしょうか。
 

雑談:口述結果

2004-11-10 16:54:06 | 司法試験:雑談
 法務省HPで自分の番号を確認しました。長かったです。論文試験と違い、素直にうれしかった・・・。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

 最終合格しても、このブログはまだまだ続きます。より突っ込んで、講座の良し悪しや利用方法など、皆様にご紹介していくつもりですので、どうぞご期待ください。

問題集:択一過去問集・LEC/辰巳 

2004-11-09 23:59:53 | 司法試験:問題集
 択一には気が早いかもしれませんが、そろそろ過去問集も来年度版が出てくるころですので、私が使った2社の過去問をご紹介します。

 受験一年目、12月頃に辰巳大阪本校で辰巳の過去問集を購入しました。
 辰巳の過去問集は体系別に昭和56年から今年の問題を掲載しています。解説の丁寧さという点で、LEC・セミナー・法学書院の追随を許さない(らしい)。伊藤塾ではその出来のよさから、他校の教材なのに受付で販売しているのは有名な話です。

 とはいえ、全く問題がないかというと、そういうものでもないです。私が購入した平成12年度版は、憲法の問題と解答が対応していない昭和の問題もあったし、同じ文章が重複するミスプリもありました。また、よく言われることですが、他の過去問集と解答が違う箇所も多々ありました(これは、平成13年以前は解答が公表されなかったことに起因します)。刑法の解説がやたらしつこいのもイヤになりました。まぐれでなく正解したのなら、別に読む必要ないでしょう。そういった意味で、あまり過大評価するべきではないです。あくまで、相対的に優れている、という点に留意してください。
 また、内容とは関係ありませんが、判例六法サイズ6冊分にもなるので、相当な重量になります。腰を悪くするので、持ち運ぶ方はばらして使いましょう。

 2年使ってかなり傷んだので、14年度は新しくなったLECの過去問集を購入しました。この本の特徴はなんといっても薄いこと。辰巳の半分以下の重量になっています。ばらして持ち運ぶ私は、内容はそっちのけで、この点に惚れて購入しました。掲載年度はほぼ同じ(昭和57~)ですが、辰巳の過去問集に比べると圧倒的に解説の量が少ない。しかし、もう過去問はやり尽くして、解答は確認程度しか読まなくなっていた私には全く支障ありませんでした。

 なお、この過去問集の最大の特徴は、「年度別」であることです。平成の直近の問題が年度別なのは便利なのですが、昭和50年代の問題を年度別で解く人はいないでしょう。そこで、この本の購入者は、必然的に本をバラして体系別に並べ替えることになります。割とメンドクサイ作業でしたが、一晩2,3時間でこなせます。一つ注意しておきますが、もし本に「背表紙をアイロンで熱して外す」などと書いてあっても参考にしないように。ネチャネチャになって、どうしようもなくなります。普通に真中からカッターで割り、一枚ずつ手で丁寧にめくればきれいにはがれます。この作業はわりと楽しい。

 最後に、意外と実践していない人が多いので一点おすすめしておきます。
 問題集をばらしてファイルすることは、重要度に応じて検討する問題を区別できるという利点と同時に、やればやるほど検討不要の問題が増えてファイルが痩せてくるので、目に見えて学習の成果がわかってやる気が出てくる、という効果もあります。心理的な効果ですが、かなり重要なことだと考えています。
 問題集を目の前にして、やる気の起きない人。是非ばらして小分けにして少しづつ解いていってください。はかどり方が全然違いますよ!

雑談:ブログの使い方 2

2004-11-09 00:15:48 | 司法試験:雑談
参考までに、いままで紹介したものをまとめておきました。

 問題集:判例で学ぶ民訴・刑訴、口述の扉、シンプル答案作成術、民法の底力、辰巳実況中継シリーズ、論文の森、貞友ライブ民法、論文過去問集比較、肢別本、新実例刑訴、演習刑法、分析と展開、対話で学ぶ民法、基礎演習民法、択一問題集比較、論文講座

 講座:LEC入門、論基礎、論文合格特訓講座、憲法判例スピードマスター、論文式受験六法、合格者講義の選び方

 テキスト:プロヴィデンステキスト(C-BOOK)、択一式受験六法

 答練:日練、ローラー、C答、択一答練徹底比較

 講師:岩崎茂雄、加藤晋介、永山在浩

雑談:ブログの使い方

2004-11-08 23:53:47 | 司法試験:雑談
 ブログの書き込みも2ヶ月が過ぎ、かなり書き込みも増えてきましたので、ここでブログ内の記事の検索方法について、一応お知らせしておきます。

 今まで書き込んだ記事については、講座・講師・問題集・答練などに区分けしてあります。左のメニューバーにある「CATEGORY」から目当てのカテゴリを選んでください。問題集は紹介量が多いので、一ページに収まりきりません。「次のページ」もご覧ください。

 また、ブログ内のキーワードも「SEARCH」から調べられますので、ご利用ください。

 

問題集:判例で書く刑事訴訟法 早稲田セミナー 板橋喜彦 著

2004-11-06 23:53:31 | 司法試験:問題集
 昨日紹介した、判例で書くシリーズの刑事訴訟版です。刑訴は学説と判例の乖離が大きく、特に判例を主体とした本が少なかったため、もっとも要望が高かったと言えます。数々の重要判例について判例を深く知るにはもってこいの本です。
 但し、近時本試験の傾向として判例がそのまま出ることは少なく、むしろ判例を応用させる問題が多いので、答案例丸暗記は避けましょう。あくまで、判例をより深く理解する素材として使用することをおすすめします。

 また、判例だけに留まらず、予備校テキストでは穴になりがちな知識、たとえば公判手続の基本原理・公判期日外の証人尋問・聴覚障害者の訴訟能力などが問題として掲載されていて、勉強になります。

 ただ、刑訴判例の結論にはかなり公益優先になっているものもあります。こういう判例で書く解答は、個人的には「理由付けが苦しいな、説得力が弱いな」という印象を持っています。ですから、使えそうな問題だけ構成・マーキングして、性に合わない問題は放置しました。民訴編ほどは勉強しませんでした。

 なお、第3版(民訴は第2版)になり、ページ数が急激に増えましたが、半分以上は判旨紹介ですので実質的には増ページはそれほどありません。

問題集:判例で書く民事訴訟法 早稲田セミナー 板橋喜彦 著

2004-11-05 20:29:05 | 司法試験:問題集
 「判例で書く」シリーズの民事訴訟編です。全40問(第1版のもの:現在の2版には差し替え・追加あり)について解答例・解説、及び論証カードと重要判例の判旨が掲載されています。

 司法試験が実務家登用試験である以上、実務上もっとも重視される判例については検討が必要です。出来ることなら判例を自説にして答案を書きたい、と考える受験生も多いと思われます。
 にもかかわらず、近年まで判例を自説にした答案・論証が少なかったのは、判例を自説とした答案を掲載した信頼できる書籍が無かったためでした。
 本書はこの要望に応える形で作成されています。それゆえ、百選を読んだだけではわからない、判例の価値判断・理論構成について補充した形で論証されている解答例はそのまま実際の答練・本試験で通用するものも多いです。

 とくに、当事者の確定と法人格否認・法定訴訟担当・形成の訴えの利益・安全配慮義務の主張責任・和解の既判力など、判例の結論は知っていても、その理論構成・妥当性まで深く知りえなかった論点について、詳細に解説がなされていて、思わず唸る内容が多くあります。
 また、高橋・伊藤・上田など、近年広く使われている基本書・演習書の問題意識を消化して作問されているため、基本書を読んでいない方には初めて聞く議論もあります。
 私のように、予備校本主体で読んでいる人は、テキストと異なった表現・説明があるのでそれを読むことで頭が活性化され、民訴の理解が深まるでしょう。
 
 もっとも、使用上注意すべき点が多々あります。
 まず、判例の解説に熱心なあまり、解答例が長すぎてそのままでは使えません。また、本番ではまず書けないような込み入った説明・制度についてまで説明されている場合があります。「せっかく勉強したんだから」と考えてしまい、答練でいわゆる「引き込み」をやってしまう危険もあります(失敗済み)。もし、これが難問でパニックになりやすい本試験だったら、と考えると恐ろしい。

 また、一般に言われるように、合格答案には様々なスタイルがあります。
 私が受験当時目指していたのは、条文・定義・趣旨といった基本事項は堅固でありながら、問題の所在・あてはめ・事案における具体的利益状況などは柔軟にその場の思考過程を示す「基本派生・思考型」の答案でした。
 これに対し、本書の答案は、答練の参考答案のように定義・趣旨・規範に留まらず、判例の事案の利益状況についても正確に記憶・再現する「暗記型」の答案である印象を受けました。これは、本書が基本的には判例の解説本たる性格を有しているためかも知れません。しかし、著者の勉強スタイルが、「起きてから寝るまでずっと勉強しつづけ、巻末の論証カードを試験直前まで読み込む」というものらしいので、おそらく暗記主体の勉強をしていたのでしょう。
 そこで「自分の目指すスタイルと違う答案である」と認識した私は、本書の利用を答練の問題のようにファイリングせず、答案構成後にわからなかった理由付け・納得した説明などをマーキングし、その中でも重要なものはC-BOOKに書き写す、という参考書的な使い方をしました。(解答例が実践的でなく、知識が多めであるという点で、学者の演習書に近いものがあります。)

 以上をまとめると、この本は独特のクセがあり、そのクセを自分自身どう扱うかよく考えないと上手く利用できない本である、といえます。また、「司法試験論文本試験で合格答案を書く」という観点からは直接的な効果の薄い本かもしれません。
 しかし、私はこの本を読んで民訴の具体的な流れや当事者の利益・手続などをより鮮明にイメージできて、民訴が好きになりました。そういう意味では、非常に読んで良かったという感想を持っています。

 

問題集:司法試験 口述の扉 LEC

2004-11-03 22:03:35 | 司法試験:問題集
 LECの口述再現集。単年度版を2001年から発売していましたが、今年は平成12年から15年までをまとめて発売しているようです。内容は問答の要約と実際の再現、それに論点解説と口述素材解答例がついてきます。他社の口述再現集と比較すると充実しています。しかも、単年度版だと1000円前後とリーズナブル。

 ところで、口述試験は論文のネタ本としての有効度が広く知られています。しかし、実際に論文の出題予想として使いこなすのは難しいのが現状です。出題後に調べれば「ああ、ここから出てたのか」とわかりますが、それをピンポイントで予測するのは困難です。しかも、1つの問答を論文形式で準備することは出来ない以上、読んで身につくのは、問題意識を聞いただけで、現場で論証をひねり出し、再現できる実力者だけ、と言うことになります。多くの受験生はこのようなレベルに到達していません。それより、直前期は今までの問題検討と、基本的論証・要件の再確認に費やすべきです。

 もっとも、口述再現は試験委員の問題意識、ひっかけかたといった興味深いことがわかります。そこで、時間のあるこの時期に、息抜きがてら読んでみてもいいでしょう。

 余談になりますが、口述再現は基本的には割と優秀な人のものと思ってもらっていいと思います。今年受験して思ったのですが、本当にわからないことを聞かれた場合、何をどういわれて、どう答えたかすらわけがわからなくなっているのが普通です。一部露出説の不都合性についてご教授して頂きましたが、何のことやらさっぱり覚えていません。
 また、他の受験生の口述模試も5人ほど見ましたが、殆どが何かしら詰まって、沈黙や撤回をされるのが殆どです。これを読んで過剰に口述を怖がらないように。(とはいえ、私も結果発表までは怖い)