メメント・モリ

このブログでは司法試験関連の受験日記・講座・書評について色々掲載していきたいと思います。

講師:永山在浩先生(辰巳法律研究所)

2004-09-28 20:21:36 | 司法試験:講師
 ご存知辰巳の名物講師、10年連続で論文に落ちつづけた苦労人です。優等生シリーズはベテラン・初学者を問わず、大変人気ですが、顔を公表しないためその素性は謎に包まれています。

 私は、関西辰巳でのガイダンスを3回ほど受講しました。意外に感じたのですが、先生は講義が大変上手でした。塾講師経験が長いらしく、抑揚のある語り口で、いままで聞いた司法試験講師の中でもベスト3にはいります。
 おまけに、世話焼きな方で、講義後質問をする受験生にも親切に答えてくださいました。(「ロースクールってどうなるんですかぁ~」「××の基本書でも民法だいじょうぶですかぁ~」)といったしょうもない質問にも親身になって答えていました。先生親切すぎ・・・
 先生の主要な講義は書籍化されますが、講義をあえて聞く価値があると思います。(私の求めるカンフル剤としての効き目もバッチリです)

 「10年も受からなかった人なんだから、要するに要領の悪い人なんだろ」という先入観をもっていらっしゃる方も多いと思います。しかし、私が講義を聞いたり先生の書籍を読んだ印象ではむしろ事務処理能力などの頭の回転はいい方だと感じました。実際、先生は刑法と手形が得意科目だとおっしゃっていたので、そういう面では司法試験に向いているのでしょう。
 ただ、何かの講義で言っていたのですが、「高校のあるとき、これからは英語を一切勉強しないと決めた」とか「ここの論証の説明に1月悩んだ」など、かなりこだわりの強い面があることを知りました。そういう強いこだわりのために、論文試験の答案のスタイルに悩んだのでしょうね。

 勉強が進んでくると、いろいろな知識・原則例外を知るので、ひとこと何か書くにしても「必ずしもそうとは限らない」など、自分の中での葛藤が増えてきます。そうなってくると、余り重要でない知識や例外は無視して切り捨てる必要があります。そこで、ジレンマが生じるのではないでしょうか。先生はそういう割り切りを出来ない、というところがあったんではないでしょうか。かくいう私もそのタイプでした。
 
 先生は毎年本試験問題を解いて、年末年始は再現答案と成績の相関を調べつづけるらしいです。ここが、普通の予備校講師と全然違うところで、受験生から支持される所以だと思います。全く頭が下がります。
 邪推になりますが、10年司法試験に落ちつづけた永山先生は、10年かけて司法試験に復讐しつづけていたのではないでしょうか(いい意味で、ですが)。
 とすると、平成6年の合格からもう10年たったので、本当はもうやめたいけど、受験生の懇願でやむなく講師を続けているのでしょうね(なんとなく,最近そういう雰囲気があります)。

 なお、私が勉強を始めた平成11年ころは先生の方法論は余りもてはやされていませんでしたが、最近は受験生の多数派にさえなっているようですね。もはやベテランが最後にすがるものではなくなってきたようです。優等生シリーズなどの内容はまた今後書き込みます。

講師:加藤晋介先生(辰巳法律研究所)

2004-09-14 00:25:05 | 司法試験:講師
 辰巳の名物講師加藤先生には、好き嫌いがはっきり分かれます。好きな方は歯に衣着せぬあの毒舌が好きなのでしょうし、嫌いな方はそこが受け付けないのでしょう。有名なのは、基本書解析講座のシリーズでしょうが、ローラー答練や択一、論文直前期には単発の講義をなさいますので、興味のある方はそちらからアプローチしてはいかがでしょう。

 私は、ローラー答練の講義と論文直前期のガイダンス「論文直前期の過ごし方」しか聞いたことがないので、メインの解析講座については評価できません。ですので、ローラーの講義から先生の特徴を説明いたします。

 講義スタイルは普通ですが、この方も沢井講師と同じく法律的雑談が多いです。と言うより「キレ芸」や「寸劇」を盛り込んだ漫談です。要約すれば、情報量はそれほど多くないというのが感想でしょうか。
 また、強調することはあくまで基本的な知識であって、ベテラン相手のマニアックな解説は致しません。この点を勘違いされている方も多いのではないでしょうか(もっとも解析講義ではそこまで踏み込むのかどうかは知りません)。私が講義に期待するのは情報量ではなく、感心することや、勉強対象に愛着をもてるようにしてもらうことですので、加藤先生の講義は楽しく受けさせていただきました。

 あと、この方は板書図が異常に凝っています。動物の進化系図みたいな図を書かれます。あれは即興で書けるものではないでしょうね、よく予習していらっしゃるのだと思います(私は使いませんが)。



 ローラーの出題についてはかなり、評判が悪いです。これまで賛成意見に出会ったことがないくらい、叩かれています。「こんなのかかないよ」というような解答例も評判が悪いです。 (余談になりますが、辰巳の論予パーフェクト答案のタイトル下に「ここまで書けないとあきらめずに、目標として~」とありますが、あれは目標とすべき答案ではありません。あてはめがない答案とか、尻切れ答案とか、酷いもんがあります。「こんなの書かないよ、と捨てずに一応ストックしてください」の間違いです)

 私は加藤先生の問題はそれほど悪い問題ではない、と思います。30%くらいの確率で良問も出題されます。「制度的保障とは」や「窃盗と横領の不法領得意思が何故違うか」や「刑訴の証明責任と刑法230条の2の解釈」など必ず、基本的知識を正面から問う問題で、必ず教科書知識で解けるようにできているものが殆どです。その聞き方が特殊なので皆面食らうのではないでしょうか。

 大事なのはこういう問題でも、成績優秀者が居る、ということです。彼らがどういうところからアプローチして先生の意図する答案に近づいたのかを推測することは大変勉強になります。
 「どんな問題でも24点は取れる、という特殊技能を体得すれば論文合格は非常に確率が高くなる」という理論は多くの合格者・講師が主張しますが、そのためには加藤先生の問題でも24点を下らないような技術である必要があります。

 ただ、個人的感想として、加藤先生の解答例は表現が特殊で本番で応用できるものではありません。フレッシュ答案か優答をストックして復習することをおすすめします。

講師:LEC岩崎茂雄講師

2004-09-08 21:56:36 | 司法試験:講師
 入門・論基礎と高野講師のお世話になっていた私ですが、刑訴だけは高野講師が選択していなかったので、岩崎講師の授業を受けました。その後も、択一早起き特訓や、本試験徹底解析講座など、単発の講義で何度か先生の授業を受けたことがあります。

 岩崎先生はその語り口が多くの受験生にとって聞きづらいからでしょうか、信者より、アンチの方が多いです。とくに高野講師から流れてきた受講生からは「授業が不親切」「わかりにくい」と不満が挙がります。
 特に論基礎の講義では高野講師と大きく違って、入門の復習は一切やらず、代わりに問題集を重点的に検討してゆくスタイルをとっていました。しかも、受講生に山のような予習を要求しました。私の受講した年に相当数のクレームが挙がったようで、なんと岩崎講師がそれについて説明した郵便を各受講生に送ったくらいです。

 その手紙を読んでみたのですが、岩崎講師は本当に論基礎受講だけで、本試験を戦えるだけの力を受験生につけさせようとしている、ということがわかりました。そのため、必死で勉強する人を相手にした授業をしていて、それについていけない人は仕方ない、との意見でした。

 かなり厳しいようですが、私はその後答練で四苦八苦するようになって、先生の言うことが正しいと感じられるようになりました。
 「所詮3%しか受からない試験なのだから、本当に合格する為の力を2年そこそこでつけるにはスパルタ式でないとだめ」というのはよくわかる気がします。確かに高野式では脱落はしなかったものの、実力は付かなかった。

 また、私のサイトにもリンクを張ってありますが、岩崎講師は文章を書かせると、あの弁舌がウソのように流暢に説明してくれます。
 他の予備校講師と違って、避けたりごまかしたりせず、本試験ではどういうことをすべきで、そのための勉強はどのようにすべきか、キチンとご自分の持論を展開してくださいます。


 でもやっぱり、あのしゃべりは合わない。何度居眠りしたことか。