旅立つ人へ

数時間後に、釧路を旅立つ人がいる。
本人の胸中も、周りの寂しさも、全ては夜に飲み込まれて朝日は昇る。
俺ごときの役割など、大してありはしない。

思えば世話になっただけで、何一つ返すことが出来なかった。
今はただ、離れていく釧路を思い出したときに、懐かしくここを見てもらえればと思う。
深夜にふと寂しくなったときに、メールをする相手としては適役だ。

これは永遠の別れではない。
光も時間も追い越して、君は走ることが出来る。
遠く時の輪が接するところで、きっとまた会えるだろう。

生涯忘れることが出来ない、旅立ちのときがやってくる。
誰にも触ることが出来ない思い出は、きっとその心に深く刻まれているから。