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●二つの隠し砦の三悪人
黒澤映画の中でもメジャーではなくてもファンが多い「隠し砦の三悪人」がリメイクされて「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」が上映中ですが、、、酷評が多いようです。
隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS - goo 映画
自分もそう思います。
まぁ、基本プロットは負けた国のお姫様と資金を友好国に逃がすと言う話です。
この映画の醍醐味は一言で言うと「人間臭さ」。
絶対絶命な時だからこそ見える欲への執念といった醜さや自己保身、友情、忠義、、、そんな「人間って醜くいよね。でも全てひっくるめて僕は好きなんだよね」といった監督のメッセージが見えるからこそ名作になりえたと思います。
それが何を勘違いしたのか樋口真嗣監督は「スタイリッシュ」と「LOVE」で括ってしまったため意味不明な何処にでもある(それこそテレビやをつければ何処にでもある番組)作品に成り下がったのだと思います。
そういった話が昨今の日本では受けがいいのは分かりますが、だったら尚更黒澤映画をリメイクする意味が無いように思われます。
同僚でこの手の映画を「オナニー映画」と言ってる人がいます。
なるほど、自分を慰めて他人は放っぽってますね。
黒澤監督も言ってます「分かりやすい映画がいい映画だ」と。
他人を考えないと分かりやすい映画にはならないのですよ。
●リメイクについて
昨今の映画等のコンテンツにいえる事なんですが、リメイクと言うのは基本ジャイアンの背中で大声上げているスネ夫と一緒なんですよ。
そこには「既に一定の評価が付けられているので興行成績がある程度予測できる」「受けなくても自分は××監督にはかなわないから」といったある意味「逃げ」があります。
自分の内なる思いは自分の言葉で言おう!!
それがクリエイターとしての最低限の条件だと思います。
先日朝のラジオでハリウッド映画でリメイクが多いという話がありましたが安価で興行成績が見込めるリメイクはこれからも増えて行きそうですが、映画界全体で見ればどんどん下がっていくでしょうと話をしめていました。
自分もそうだと思います。
何でその作品をリメイクするの?リメイクするならそれが何故有名になったのか?を分析し、さらにその上に自分の言葉で新しく作り直すぐらいの気概がほしいです。
この映画は前者がすっぽり抜けているため酷評を受ける要因なのではないでしょうか?
●役と立場
この話はそれぞれの役回り、立場も違う人が一瞬すれ違った話とも見て取れます。
雪姫のその気丈さは敗戦国の姫としてその責任を感じており、馬の代わりの金で秋月領土の娘を買ったり、唖(おし、現代では差別用語)として旅にでていたものと思われます。
例え敗けてもそこは姫、責任ある立場で責任を取ろうとする。
そして責任ある行動に人はついて来る(望月の忠義や田所の裏切り)。
これがに対して百姓出の太平と又七が対比で出されてます。彼らは地位も低いですがいざとなったら逃げられる(実際何度も逃げている)という利点が挙げられます。
それを最大限に使い、ついた方が得なのか損なのかを考え、行動しているのです。
残念ながら樋口監督の方はこういった立場でいる責任を無視しているようにしか思えません。「責任は持たないなけどやりたいことはやりたよ」そんなメッセージをも伺わせる内容です。
ある意味「(自分もそうですが)大人になりきれない日本人」「責任も持てないのに言うことだけ言う日本人」と現代の群青模様を出している作品ともいえます。
●スターウォーズの元ネタ
実はスターウォーズのレイア姫やC3POやR2D2といったキャラの元ネタになったのはこの映画なのです。
1作目(今では4)の話のスタートも終りも似ています。