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モーターサイクル・ダイアリーズ

2008年06月08日 02時12分42秒 | move
モーターサイクル・ダイアリーズ コレクターズ・エディション

アミューズソフトエンタテインメント

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モーターサイクル・ダイアリーズ。

いわゆる旅の映画なんですが、主人公はエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ。

長い名前ですが「チェ・ゲバラ」といえば分かりますでしょうか?
そう、キューバ革命のNo.2、間接的にアメリカと戦い、CIAに謀殺されたあの人です。
ジョン・レノンも格好いい男と評価しましたね。


マチュピチュなど自然や遺跡など普通に取り入れられて映像は綺麗です。
虐げられた人々の部分だけ白黒になったりと印象的でした。
ただ、映画としてみると淡々と話は進んでいくのでアクションやバイクの爽快感などを求めて見るには不適切です。


●ストーリー
話を要約すると「エルネストは友人のアルベルトと一緒にオンボロバイクで南米一週の旅をする」です。

見所はエルネスト(ゲバラ)が人々と触れ合って行く度に微妙に進行する「内面の変化」です。

旅の途中に触れ合う人々によってエルネストは世界は決して平等じゃないと感じます。

追い出された共産主義の夫婦、インディオの暮らしの傾き、保護を受けるために宗教を半ば強制されているハンセン病の患者、、、

最後の方で自分の考えをスピーチするシーンがあるのですが、エルネスト自体は最高のスピーチだと思っていましたがシスターやお医者さんにはドン引き。
友人のアルベルトがフォローに入って上手く場は収まりましたが、それは普通の人には理解されないという事。



ちなみにオンボロなのですぐにバイクはだめになります。

あれ?
タイトルのモーターサイクルって何処行ったの?

って感じになりますがそこは気にしない。


●日本の社会を見る
「昔は学校にも行けたが今では学校にも行かせられない」「手に職を持っているから食いぱくれないけど暮らし向きは一向によくならない」と話すペルーのおばさん、なんだか日本でも似たような光景を見たことがあります。

突然地主に解雇された山岳地帯の小作人。
リストラされたサラリーマンと何の違いがありましょうか?

結局、持つものと持たざるものの差は何処にでも存在し、個々のケースは置いても大きなところでは何も変わらないと痛感されされました。


エルネストはこの解決策を階級闘争(マルクス主義)へと求めるのですが、自分ならどうする?

そんな事実を突きつけられる映画でもありました。


●ゲバラについて
ゲバラ=キューバ革命=共産主義=ソ連、中国、北朝鮮といったマイナスイメージしやすいですが、彼の場合、共産主義でももっと原始的な所に視点が置かれていたように思います。


皆で働き、労働対価は皆で享受する。

そしてその考え方は常に行動で表してました。

だから大臣になっても道路作ったり(ガテンの方)、小麦を袋に詰めたり、サトウキビを収穫したり、糸紡いでいたりしてました。


キューバ革命についてもアメリカの傀儡、バティスタ政府から低所得者の解放、民族解放運動だったのですが、結果資本主義のアメリカに目をつけられ、どの国とも相手されなくなった所を思想の近い共産主義のソ連が出てきて、キューバはそれを頼らざるを得なかったと言う訳です。

ゲバラの友人、キューバ革命No.1のフィデル・カストロ(カストロ議長)も「どの職業も国有化するつもりはなかった」といってますし、元々キューバ革命軍=共産主義と言い始めたのははだれでもない、アメリカだったのです。

アメリカは自分で自分の敵を作り、結果、冷戦のエスカレートに伴い、アメリカはトルコ、ソ連はキューバとそれぞれ相手国の目と鼻の先に核を設置し、互いに相手国民を半ば人質にして牽制し合う事になります(キューバ危機)。

ゲバラはソ連に対しても怒りを覚え「帝国主義的搾取の共犯者」と罵り、地位も名誉も全て捨て、キューバを後にします。



インテリジェントな人(実はゲバラは親も本人も医者)が自分の社会的地位を捨てて持たない人と共に戦うなんてそんな簡単な事では無いと思います。

そういった自分の思想に対して純粋でぶれない意思と行動が事が20世紀を代表する人物になり得た理由だと思います。

たとえ思想や立場が合わなくてもその部分においては全ての人に共通するのではないでしょうか?


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