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サブプライムから原油高、そのお金の流れの先にイスラム金融があります。
と、言うことで最近盛んに出てきるイスラム金融について書いてみます。
●イスラム金融話題になっている背景
・世界の1/4がイスラムの人
・9.11以降のイスラム原油高の流れ
・サブプライムローン破綻後の原油市場への資本移動
・イスラムのナショナリズム化(この言葉が妥当かどうかは?ですが)
・マレーシアなどイスラム系の国のIT成長
大きな流れとして原油高になってくるとイスラム金融が話されて来ます。
オイルマネーに関わるところですから仕方ないのかもしれません。
また、イスラムの中でもITなど先端技術を持つ国も出て来てイスラムに資本が入りやすい状況にあります。
大きく分けるとこの視点かな?
・イスラム世界とキリスト世界の微妙な対立
・原油(エネルギー)の枯渇という潜在的な不安
・流動資本が世界規模で見ると余っている
●原油の話
現在(2007/11)の原油は1バレル約90ドル、1リットル当たり60円ぐらいですか。
原価に対して輸送コスト、精製コスト、販売コスト、税金等が6割かかると考えると190円近くまで行きます。
これに対し企業側は値上げ、容量を減らす等色々と対応していますが、確実に企業体力を削り、結果全体的な世界経済の縮小と動きになります。
現在の価格が異常に高いと感じる人もいますが、世界の原油の埋蔵量は富士山の8合目ぐらいしかないという調査結果もあるようです。
また、大方の見方は原油の値段は100ドルになるという見方もあります。
ちょっと前で30→50ドルのときも相当原油高が叫ばれましたが今回はそれ以上ですね。
私見ですが原油価格は昔の30、50には戻らないと思ってます。
現在の価格の上下3割前後、それも緩やかに進むと思います。
つまり1バレル=50ドルは無いと見てます。
新エネルギーが出現、実用できるまでは緩やかな上昇は避けられないと思われます。
エタノール?あれはダメですね。あれは根付かないと思います。
その理由は食べ物から作りますから。
古今東西問わず戦争が起こる第一要因に食料問題があります。
初期の戦争のプロセスは
食料、資源不足(生きていけない)→飢餓の不安→隣から奪おう→侵略→戦争
ここには宗教や倫理観などは無く、極めて動物的な本能によるものです。
このプロセスの中に何かしらの「大儀名分」があれば間違いなく人は動き出します。
・・・すみません、話が逸れました。
●イスラム金融の特徴
☆イスラム教義にあった融資する
・イスラム教義に反する所、物には融資しない
・利子がない(といってもマージンは取る)
こんなところでしょうか?
色々細かい所が出てきますが☆の部分に全て集約されます。
教義に反する所では酒やタバコ、そして豚肉。
特に豚はコーランにも出てきて不浄の物として扱われているためイスラム世界ではタブーとされています。
ex.味の素
利子が無いというのはこれまたコーランに書かれています。
部分を要約すると
「商いで儲けるのは見逃してやるが利子で不当に儲ける者は審判の日に儲けた利子は全て無くなる、逆に喜捨したものは何倍にもなって帰ってくる」
だったかな。
他にも特徴と言えばどこかのファンドのように利用者の制限があるのとは違いムスリム(イスラム教徒)以外の非ムスリムにも開放されているという所でしょうか?
●用語
・コーラン・・・イスラム教の聖典
・ムスリム・・・イスラム教徒
・リバー・・・利子
・シャリア・・・イスラム法→ここではイスラム教義に適った金融
・シャリア適格・・・イスラム教義にあった融資先
・シャリアボード・・・シャリア適格かどうか決定する機関
イスラム金融取引形態
・ムラバハ・・・ローン、割賦販売
・ムダラバ・・・預金
・ムシャラカ・・・共同出資
・イスティスナ・・・造作契約
・イジャラ・・・リース
・スクーク・・・イスラム債券
・タカフル・・・保険
●利子を伴わない金融取引
これが分からないとイスラム金融は??な感じになってしまいます。
簡単に説明するとこんな感じです。
実体を伴った取引の鞘取り→商売
実体を伴わない取引の鞘取り→利子
そのため銀行が融資して当事者同士が取引するのではなく必ず銀行が仲介します。
けどこれってヤフーのエクスローサービスと同じですよね。
リンクはイオンレジオークション
https://www.aeonmarket.com/aeonregi_a/index.html
この流れの中で先に出品者に先に支払い、相当期間を待ち落札者が者の代金+マージンを貰えばムラバハの出来上がりです。
物の流れ:出品者→イオン→落札者
金の流れ:出品者←イオン←落札者
↑この部分を相当期間を待つ事でローンと同じ意味を持ちます
このようにイスラム金融は特異な取引ではなく普通の取引で理解できるものが殆どです。
●まとめ
イスラム金融というと全く違う考え方で全く違うプロセスで動いているように思われます。
しかし蓋を開けてみると「イスラム世界のCSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)」を守っているものと見て取れます。
近年盛んに騒がれているCSRと見て取ればそんなに難しいことをしているわけではありません。
結局イスラムという世界を理解しているか?と企業や個人として社会に何が出来るのか?結局そこに収斂されると思います。
参照:イスラム金融の概要
2007年3月のMOF(財務省)のイスラム金融研究会資料です
上記の「イスラム金融入門」の作者、日本銀行 調査統計局 地域経済担当 主査 吉田 悦章氏の部分です。
ポイントは入っているのでこれを見れば本読まなくても良いかも。
https://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/tyousa/1903islam_06.pdf
全部見たい方はこちらで
https://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/tyousa/1903islam.htm