日々の寝言~Daily Nonsense~

RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI TIME | Trailer

RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI TIME | Trailer


坂本龍一さんと
高谷史郎さんによる、
シアターピース TIME を
新国立劇場で観た。

演じているのは、
舞踏の田中泯さん、石原淋さん、
笙の宮田まゆみさん。

ベースは能なのだが、
舞台表現としては、
さらに抽象的なものになっている。
ほとんど音楽だ。

音が鳴って、
舞台の上で演者が動く。

セリフはなく、
田中泯さんの声によって、
夏目漱石の「夢十夜」の第一夜と
唐の時代の故事である「邯鄲の夢」
の現代語訳が朗読される。

その作品は、
とてもとても美しく
まるで夢を見ているような
一瞬の 80分だった。

水と戯れる人
水を堰き止めて道、ダムを作る人
洪水、津波に呑まれる人
自然と人為
ピュシスとロゴス

でも、そういうことを
考えたり、語ったりする
必要はない

どうでも良い言葉は忘れて、
ただただ、
身体の力
照明の力
イメージの力
音の力
を感じていればよい

降りしきる雨の中
田中泯さんが踊る

その姿に
黒澤のリア王、
蜷川のマクベスが
重なる

人類の健気さ、哀れさに
涙がとどめなく溢れてくる

 * *  *

劇場を出ると、
世界の色が変わり、
電車の音、叫びが
笙の音に聴こえた。

Olafsson のゴルトベルクも約 80分で、
アリアから始まってアリアに帰還する。

この作品も、笙の音から始まって
笙の音に帰還する。

全く違う二つの作品だが、
感動の深さは変わらず、
何か、共通するものが
あるような気がした。
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