3月いっぱいまで開催されている
「坂本龍一|音を視る、時を聴く」
を鑑賞してきた。
坂本龍一さんの作品や
アイデアを中心とした
インスタレーション作品が
それぞれの小部屋や中庭に
展示されている。
①坂本龍一+高谷史郎《TIME TIME》2024 (新作)
昨年 2024年の3月に上演された
舞台作品「TIME」をベースに、
インスタレーションに仕上げた作品。
舞台のいくつかの場面が、
ランダムに再生されているようだ。
始まりも終わりもない、という意味では
舞台よりも面白い面もあるのかもしれないが、
やはり田中泯さんや宮田まゆみさんの
身体がいないのはさみしい。
②坂本龍一+高谷史郎《water state 1》2013
天井から雨粒が落ちて、
下のプールに波紋を作り、
それが音になるという仕掛け。
雨粒の量は、降雨量をもとに
しているらしい。
ゆったりとした、というか、なんだろう
ゆっくりと進む、あるいは、
進まない時を感じられる。
③坂本龍一 with 高谷史郎《IS YOUR TIME》2017/2024
2011年の東日本大震災の津波で被災した
宮城県農業高等学校のピアノを
「自然によって調律されたピアノ」
としてそのまま使い、
地震データに基づいて制御される
機械が鍵盤を押し、ピアノの振動が
下の水に模様を作って天井に可視化される。
これも、見ていると、
悠久の地球の営み、のようなものが
感じられる。
④カールステン・ニコライ《PHOSPHENES》《ENDO EXO》
2024(新作)音楽:坂本龍一
二つの作品が交互に上映されていたようだが、
残念ながら、時間がなくて、
PHOSPHNES しか見られなかった。
煙のような渦が自然に流れてゆく。
「時を聴く」というより「時を視る」
という感じ。
⑤坂本龍一+アピチャッポン・ウィーラセタクン《async–first light》2017
アピチャッポン・ウィーラセタクン《Durmiente》2021 (日本初公開)
1つの部屋に2つのスクリーンがあって、
同時に上映されていた。
"async-first light" は、画質の粗いカメラで
いろいろな日常を撮影した映像を編集していて、
昼から夜という時間の移り変わりや、
点滅するライトが「時」を感じさせる。
async からの曲が使われている。
"Durmiete" のほうは、
女性が寝台で眠りに入ってゆく様子と、
その部屋の窓から見えるタイの風景が
映し出される。
なんだか、昔の夏の夜を思い出して、
とても懐かしい感じがした。
個人的には、これが一番
「音を視る、時を聴く」
という感じがした。
⑥坂本龍一+高谷史郎《async–immersion tokyo》2024
async の音楽と大画面の映像が
組み合わされた作品。
ノイズに埋もれる音楽と同じように
映像もノイズが侵食してゆく。
⑦坂本龍一+Zakkubalan《async–volume》2017
坂本さんのニューヨークの自宅とスタジオ
を切り取った小さな写真と
そこで録音された音??が
組み合わせられた、
音つきのアルバム。
こういうのは
なんだかいいなぁ。
作品としては小さいのだが
とても cozy で、
不思議な臨場感があった。
ビデオでなく写真+音
なのがいいのだろうか?
⑧坂本龍一+高谷史郎《LIFE–fluid, invisible, inaudible…》2007
天井に釣られたたくさんの
アクリルの水槽に
泡?で模様が描かれる。
それが周囲のスピーカーの
音にも反応して変化し、
さらに文字も投影される。
その全体が、床にも投影されて・・・
という作品で、
これもゆっくり見ていると
夢の中のような
感覚になってくる。
⑨アーカイブ特別展示:1996–97年のパフォーマンスを再現した新作インスタレーション
坂本龍一×岩井俊雄《Music Plays Images X Images Play Music》1996–97/2024(初公開)
1996-97年のコンサートパフォーマンス
Music Plays Images X Images Play Music の
MIDIデータと映像データを組み合わせて再現した作品で、
ハーフミラーに映る坂本さんの映像と
坂本さんが使った MIDIピアノが重なることで
実際に演奏している姿が見えるようになっている。
しかし、その姿は、ぼんやりと儚く、
ピアノから昇り立ち、降りてくる
光の模様もあいまって、
夢のような印象を受ける。
演奏されている曲は、
Sheltering Sky と Parolibre。
Parolibre は初めて聴いたが
ショパンのプレリュードが
引用されたりしていて、
とても素敵な曲だ。
これも、弾きたくなった。
⑩坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ 2024–不可視、不可聴 (MOT version)》2024
目に見えないが飛び交っている電磁波を
映像と音にした作品で、
Perfume でもおなじみの
ライゾマティクスの真鍋さんの作品なので
期待していったのだが、
昼間に見ると、かなり地味だった。
⑪坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎《LIFE–WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662
美術館の中庭全体を使って
人工の霧を充満させる「霧の彫刻」
霧の形が刻々と変わり、
人の姿が見えなくなったり
また現れたりするのが面白い。
音楽も鳴っていたらしいが
あまりよくわからなかった。
休日は混雑するという噂を聞いて、
平日の朝一番で行ったので
わりとゆったりと観ることができた。
それでも入場には列ができていて、
坂本さんは人気があるなぁ・・・
分厚い図録が 7,000円くらいして、
さすがに高すぎる!と思ったが
でも買ってしまった。
半分以上は論文なので、
CD や DVD がついていたら
良かったのに・・・
久しぶりに、async を
聞き返したくなった。
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