iPhone と Windows95 と Netscape

すごく久しぶりにITMediaを読んでいたら、
世の中へのインパクトという点で、
iPhoneとWindows95が類似している、
という記事があった。

なるほど。

そう言われると、そんな気もするのだが、
でも、そうなのか？？という感じもする。

iPhoneと比較されるべきは、
MosaicやNetscapeなのではないのか？

過去を思い返してみると、
MosaicやNetscape以前、
PCを買う動機の主なものは、
ゲーム、ワープロ、表計算、だったと思う。

人々は、ゲームをし、年賀状を書き、
家計簿をつけようと思ってPCを買ったのだ。

つまり、PCは、基本的に「情報処理機器」だった。

そして、どうなったか？

若い人には信じられないかもしれないが、
多くの高価なPCが埃をかぶることになった。

ゲームマシンとしては、ファミコンより不便で、
年賀状は年に１度しか書かない。
家計簿を継続的につけられる人はそれほど多くはなかった。
ましてや、BASICでプログラムが書ける人はさらに少なかった。

PCが普及するはずの家庭内には、実は、
情報処理ニーズはそれほどはなかったらしい。

時代は変わって、今、
PCを買う人の最大の動機が
ネット上の情報を見ること、
メールやチャットをすること、
であるのは明らかだろう。

つまり、PCは情報収集機器、
コミュニケーション機器になった。

そして、PCは一家に一台以上のものとなり、
テレビと同じくらい頻繁に
電源をいられれている。

家庭内、個人単位でも、
情報収集やコミュニケーションのニーズは
非常に高かったのだ。

さらに、ネット上に新しいサービスが追加されて、
ブログを書くこと（日記帳）、
写真アルバム、買い物すること、
などの機能が追加されている。

不思議なことに、他人に読んでもらえる（と思える）日記は、
自分だけの日記よりも書く気が起きるのだった。

さて、iPhone以前、携帯電話を買う動機は、
第一に通話、第二にメールだった。
あたりまえのことだが、
携帯電話は最初から通信機器だった。

そして、iPhone以後、
携帯電話を買う動機は変わるのだろうか？

情報収集力は確実に上がるだろう。
これに関して、携帯電話がPC並の力を持つようになる。
しかし、その他は？
ゲーム？？？
ビジネスツール？？？

結局のところ、人間の情報関連の行動の中で、
一番ニーズが高いのは、
エンタテインメント（感動、暇つぶし）、
情報収集、コミュニケーション、の３つ
に尽きるのかもしれない。

Mosaic/NetscapeとiPhoneは、どちらも、
デバイスの情報収集ツールとしての力を
大幅にパワーアップした、
という意味で似ているのではないか？

しかし、家庭・個人内には、
情報処理ニーズは本当に無いのだろうか？？？

整理術などの本がたくさん出ているのだから、
細かいニーズはたくさんあるはずなのだが・・・

たとえば、
レコーディングダイエットだって、PCや携帯を使って
やったほうがずっと便利になりそうなものだ。

そういう面が伸びなかったのは、PCの機能が低く、
使いこなすためのコストがベネフィットに見合わなかった、
という面もあるのだろう。

ユビキタスな人たちが言っているように、
今後、家庭内ネットワークやRFIDタグの普及などが、
家庭における情報処理を大改革する可能性は
依然としてあるような気もする。

たとえば、家のドアにタグスキャナがついていて、
そこを通るものの情報はすべてPCに自動的に入る。

それを使って、レシピの検索をして
レシピを決めて作れば、
カロリー計算は自動的にできる。

それに加えて、携帯で集めた運動データや、
体重・体脂肪計からのデータを全部集めて、
超簡単レコーディングダイエット！

もちろん、データは公開して、
モチベーションを高めたり、
コミュニケーションのツールにする。

メタボなんて怖くない。
みんな健康で幸せ！

というような、どこかに書いてあったような
明るい世の中が来ることは、
果たしてあるのだろうか？？？