※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■
駒の動きその4・盤面(I)
筆者-初出●Townmemory -(2009/05/23(Sat) 06:05:59)
http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=25502&no=0 (ミラー)
[Ep4当時に執筆されました]
●再掲にあたっての筆者注
本文中に目次があったのですが、削除しました。
「ベアトの手抜き」=「犯人のトラブル」という発想は、書いている途中でピーンと思いついて急遽、書き加えたものです。これを仮定したら、もう、みるみるわかってきました。
基本的に、これらの一連の書き込みは、「発見したこと」が重要なのではなく、「どのように発見したのか、その方法」つまり、「戦い方」を示すものです。推理の結果ではなく、推理方法がコンテンツです。
以下が本文です。
☆
みなさん、こんにちは。
この書き込みは、ルールと駒の動きについて考えるシリーズです。
今回は、盤面の検討会です。いわゆる、感想戦のようなものです。
これまでに推測した、駒の動きを理解していないと、まったく理解できないかと思います。これまでの書き込みのアンカーを示しますから、そこでご確認ください。
(注:上の目次からご覧下さい)
*
さて、駒の動きはある程度見えました。
ところで、「駒の動きを見極めろ」という助言をしたのは誰でしたっけ。
ベルンカステルでした。
彼女はゲーム展開についていろいろ言ってます。
あれって全部、駒の動かし方のことなんじゃないかな、と思ったんです。
そこで、ベルンカステルとラムダデルタがくれた助言を軽くメモってみました。
●ベルンカステルの発言(ep2)
「ベアトリーチェはいつも最善手をさすわけではなく、たまにわざと手を抜く」
「もしラムダデルタが指し手であったら、常に最善手で指してくるだろう」
「ベアトリーチェのムダな一手は、つまり一手損しているということ」
「ep2は一方的なワンサイドゲームである」
「ep2には、スキがある」
●ラムダデルタの発言(ep2)
「ベアトリーチェは、あと数手でチェックメイトできる局面を作りつつ、わざと詰めない」
「下らないコマを取ることがある」
「余計なコマを置いて、より一方的な盤面にしてみたりすることがある」
「勝ちが見えると遊びだすクセがある」
「ep2はラムダから見るとやりすぎであり、それはスキである」
「ベアトリーチェは手段と目的を間違える。遊びのせいで弱点をさらしている」
きっかけになったのは、中でも、これでした。
「ベアトリーチェはいつも最善手をさすわけではなく、たまにわざと手を抜く」
そのせいで、手が遅れる、スキができる、そんなことを言ってましたね。
あるとき、ぴーんときたんです。
ep1で、いきなり「嘉音」の動きが判明したのは、ベアトリーチェのミスとしか思えない。
「嘉音」は紗音が先に死ぬとベアトリーチェを裏切る。そんな条件、普通に打っていたら絶対判明しなかった。
どうして嘉音の裏切りシーンがあったのか。
第1の晩に「紗音」だけ取って、「嘉音」を取らなかったからだ。
どうしてそんな取り方をしたのか。
そう、サソリのお守りです。
ep1の「鍵の生贄」6人は、全員が「本館にいた人物」です。
そして、紗音は、イレギュラーな事情でたまたま一時的に本館にいただけで、本当はゲストハウスにいるべき駒。
つまり、本来なら「紗音」ではなく、本館の自室で眠っていた「夏妃」が殺されるはずだった。じっさい、ドアノブに赤インクの跡が残ってます。ベアトリーチェは「夏妃」を取る気まんまんだった。
でも、なんとなく手を抜きたくなって、紗音がうろついてるのをいいことに、「紗音」を取った。
その結果、「紗音」が死んで「嘉音」が残留、という盤面ができ、「嘉音反乱イベント」がいきなり発生した。
ep1の第1の晩に取られた駒は、
留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、「紗音」、郷田。
でも、ベアトリーチェが遊ばずに、最善手を打ったとしたらこうだったのです。
留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、「夏妃」、郷田。
最善手だったら、7人しかいない「右代宮ペアレンツ」を5人も取れたのです。これはかなりのいい手です。
「夏妃」は、大人キャラであるうえ、生かしておくと「銃」になれる強力な駒です。「夏妃」を残して、「紗音」を取ることによるベアトリーチェ側のメリットは、ひとつもありません。
そう、これが「手抜きの一手」に、まちがいないでしょう。
もし、ラムダデルタが指し手だったら、ここは絶対に「夏妃」を取ったはずなのです。
あれ、ということは。
このまま打っていけば、「ラムダデルタならこう打っただろう」が再現できますね。
ということは、そうじゃない部分は、ベアトリーチェの打ちグセなわけです。
じゃあそこから、「スキ」「チャンス」「弱点」が見つかるかも……。
まず、実際に起こったep1の流れを簡単にまとめてみましょう。
儀式がきれいに流れれば、
「6人が死ぬ」→「2人が死ぬ」→「5人が死ぬ」→合計13人が死んで「5人が残る」。そしてゲームエンドになります。
●ep1の流れ
「鍵の生贄」は、留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、紗音、郷田。この6人が死亡する。
夏妃が「銃」に成る。
「寄り添う2人」は、絵羽、秀吉。この2人が死亡する。
金蔵の死亡が判明する。
嘉音反乱イベント発生。嘉音死亡。
(この時点での生存者は夏妃(銃)、譲治、戦人、朱志香、真里亞/源次、南條、熊沢の8人。あと3人が死ぬ)
書斎に篭城する。
不和の手紙発見。
源次、南條、熊沢、真里亞が外に出される。
源次、南條、熊沢が死亡。これで13人死亡。5人生存。
夏妃(銃)が射殺される。
第10の晩到来。ゲームエンド。
*
さて、検討。
上から順に、変なとこがないか考えて見ましょう。
まず、6人殺しのあと、夏妃が「夏妃(銃)」に成ります。
ここ、現在仮定している駒の動きだと、ちょっと説明できなくなるんです。
「絵羽」と「秀吉」がまだ生きてます。銃は一家に一丁という仮定に従えば、ここは絵羽も、「絵羽(銃)」に成れるはずなんです。
このへん、何かうまい説明がほしいところです。
でも、今のところうまく解析できないので、ここは、「金蔵」の駒が効いているから、と仮定しておきましょう。「金蔵」の駒が生きていると、「銃」の登場数が抑制されるという仮説です。
次。
「金蔵」が取られてますね。
これもベアトリーチェの遊びでしょう。「金蔵」は、最後まで取らないでおくのがベアトリーチェにとって最も都合が良いんです。常に金蔵犯人説が疑われて、真犯人に疑いがかからないからです。
そして。
「夏妃(銃)」の射殺。これも、実は変なんです。
だって、碑文を見る限り、儀式殺人は13人めまででしょう。
彼女は14人めなんです。
彼女を殺さなくても、「第10の晩」で自動的にゲームエンドなわけですから、取る必要がまったくない。
これがラムダデルタのいう、「下らないコマを取ることがある」ではないでしょうか。
……だとしたら。他のepでも、「14人めの被害者」は、ベアトリーチェの「スキ」なのかもしれません。これに注目することで、弱点が明らかになるかもしれません。
このことに注意しておくことにしましょう。
さて。
今回、ゲームを、「チェスのような駒の動き」として見てきました。
たしかに、上層世界から見れば、このゲームは、チェスのような「駒取りゲーム」ですが、同時にこれは、「殺人犯による、連続殺人事件」でもあるわけなのでした。
では、「ベアトリーチェの遊び、手抜き」と呼ばれているものは、実際の現場では、いったい何なのか。
それって、
「犯人にとって、予定外だった行動」
「犯人がミスをとりつくろうためにしかたなく行ったこと」
ではないでしょうか。
つまり、駒の動きをトレースしてゆき、
定石とはちがう、不合理な打ち筋があったとしたら。
そこで、犯人に何かが起こってる。
トラブルが発生して、それを、とりつくろおうとしている。
第1の晩で、「夏妃」ではなくて「紗音」を殺した理由。もしくは「夏妃」を殺せなかった理由。
それがあるはずだ。それはいったい何だ。
えーと、我田引水になるようで気が引けますが、私は「朱志香犯人説」に立っていますから、それに基づくと、こう説明するんです。
サソリのお守りが夏妃の部屋にあったから。朱志香が信じているお守りの魔法を、お母さんが信じてくれたから、殺せなくなってしまった。
13人が死んだあと、夏妃と犯人が一対一で銃の勝負をする。犯人は必要もないその行動をなぜ取ったのか。
自分を守ろうと必死になっていたお母さんの姿を見たから。お母さんと銃で決闘し、もし自分が死んだら、そのまま生還させようと思った。
たとえばこんなふうに説明するんです。
私はたまたま、朱志香犯人説なので、こういうふうに説明しましたが、朱志香じゃなくてもいいと思うんです。
他の犯人説を持っている人は、その立場から、「犯人にどんなイレギュラーが発生したのか」を、想像してみてください。
たとえば「戦人犯人説」なら、戦人はなぜ夏妃を殺すのをやめて紗音を殺したのか。どうして最後に夏妃を射殺しなければならなかったのか。
それを考えて、ご自分の推理に、組み込みましょう。
そうすると、推理がより強く、説得力のあるものになります。
同じように、ep2や、ep3の打ちまわしを研究して、不合理なところを見つけてください。
そして、「ここはなぜだ」を、自説にもとづいて考えてみてください。
ベルンカステルのいう、「駒の動きを見極めて、ベアトリーチェの弱点をつけ」という助言は、たぶん、こういうことを言っていたのです。
今回、かなり具体的で、かなり有効な「戦い方」を示したと思います。
やってみて。
みんな、負けないで!
参考までに、「ラムダデルタだったらどう打つか」というのを、シミュレーションしてみました。
これ、やってみるとけっこうおもしろいですよ。
みなさんもちょっとやってみませんか。「ここが怪しい!」を、見つけてみませんか。
●ep1の最善手(ラムダデルタver.)
第1の晩。「鍵の選びし6人」で、留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、夏妃、郷田を取る。
(「銃」候補を5人削除。これで盤上に上がる「銃」は最低数の1になる)
絵羽が、「絵羽(銃)」に成る。
絵羽夫妻が場のリーダーシップを取るため、絵羽夫妻は自室で孤立することはない。よって「寄り添う2人」には選ばれない。
この時点の生存者は、
絵羽(銃)、秀吉、譲治、戦人、朱志香、真里亞/嘉音、紗音、源次、熊沢、南條。
第2の晩。「寄り添う2人」で嘉音、紗音を取る。
(「2人」に対応するのは「絵羽(銃)&秀吉」か「譲治&紗音」か「嘉音&紗音」。「譲治&紗音」だと反乱イベントが発生するため不可。「絵羽(銃)&秀吉」は、銃が秀吉と譲治を守るように動くため困難)
金蔵の死亡は発覚しない。書斎では篭城できない。
一同、客間にて篭城。
この時点の生存者は、
絵羽(銃)、秀吉、譲治、戦人、朱志香、真里亞/源次、熊沢、南條。
ベアトはあと5駒を取り、そのうちの1人は南條でなければならない。
ここで「不和の手紙」が届き、何人かが客間から追い出される。
追い出される可能性があるのは、朱志香、真里亞/源次、熊沢、南條の最大5人。
(「絵羽(銃)」は、家族を絶対に追い出さない。また「戦人」の駒はまだ取れない)
よって、追い出されたその5駒を取る。
絵羽(銃)、秀吉、譲治、戦人、(金蔵)が生存し、第10の晩にてゲームエンド。
続き→ 駒の動きその5・盤面(II)
■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
■目次2(カケラ世界・赤字・勝利条件)■
■目次(全記事)■
■関連記事
●盤面解析
駒の動きその1・南條(大爆発説)
駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音
ルールXYZを指さそう
駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)
駒の動きその4・盤面(I)
駒の動きその5・盤面(II)
駒の動きその6・盤面(III)
チェックメイト――黄金郷再び・金蔵翁の黄金郷
駒の動きその4・盤面(I)
筆者-初出●Townmemory -(2009/05/23(Sat) 06:05:59)
http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=25502&no=0 (ミラー)
[Ep4当時に執筆されました]
●再掲にあたっての筆者注
本文中に目次があったのですが、削除しました。
「ベアトの手抜き」=「犯人のトラブル」という発想は、書いている途中でピーンと思いついて急遽、書き加えたものです。これを仮定したら、もう、みるみるわかってきました。
基本的に、これらの一連の書き込みは、「発見したこと」が重要なのではなく、「どのように発見したのか、その方法」つまり、「戦い方」を示すものです。推理の結果ではなく、推理方法がコンテンツです。
以下が本文です。
☆
みなさん、こんにちは。
この書き込みは、ルールと駒の動きについて考えるシリーズです。
今回は、盤面の検討会です。いわゆる、感想戦のようなものです。
これまでに推測した、駒の動きを理解していないと、まったく理解できないかと思います。これまでの書き込みのアンカーを示しますから、そこでご確認ください。
(注:上の目次からご覧下さい)
*
さて、駒の動きはある程度見えました。
ところで、「駒の動きを見極めろ」という助言をしたのは誰でしたっけ。
ベルンカステルでした。
彼女はゲーム展開についていろいろ言ってます。
あれって全部、駒の動かし方のことなんじゃないかな、と思ったんです。
そこで、ベルンカステルとラムダデルタがくれた助言を軽くメモってみました。
●ベルンカステルの発言(ep2)
「ベアトリーチェはいつも最善手をさすわけではなく、たまにわざと手を抜く」
「もしラムダデルタが指し手であったら、常に最善手で指してくるだろう」
「ベアトリーチェのムダな一手は、つまり一手損しているということ」
「ep2は一方的なワンサイドゲームである」
「ep2には、スキがある」
●ラムダデルタの発言(ep2)
「ベアトリーチェは、あと数手でチェックメイトできる局面を作りつつ、わざと詰めない」
「下らないコマを取ることがある」
「余計なコマを置いて、より一方的な盤面にしてみたりすることがある」
「勝ちが見えると遊びだすクセがある」
「ep2はラムダから見るとやりすぎであり、それはスキである」
「ベアトリーチェは手段と目的を間違える。遊びのせいで弱点をさらしている」
きっかけになったのは、中でも、これでした。
「ベアトリーチェはいつも最善手をさすわけではなく、たまにわざと手を抜く」
そのせいで、手が遅れる、スキができる、そんなことを言ってましたね。
あるとき、ぴーんときたんです。
ep1で、いきなり「嘉音」の動きが判明したのは、ベアトリーチェのミスとしか思えない。
「嘉音」は紗音が先に死ぬとベアトリーチェを裏切る。そんな条件、普通に打っていたら絶対判明しなかった。
どうして嘉音の裏切りシーンがあったのか。
第1の晩に「紗音」だけ取って、「嘉音」を取らなかったからだ。
どうしてそんな取り方をしたのか。
そう、サソリのお守りです。
ep1の「鍵の生贄」6人は、全員が「本館にいた人物」です。
そして、紗音は、イレギュラーな事情でたまたま一時的に本館にいただけで、本当はゲストハウスにいるべき駒。
つまり、本来なら「紗音」ではなく、本館の自室で眠っていた「夏妃」が殺されるはずだった。じっさい、ドアノブに赤インクの跡が残ってます。ベアトリーチェは「夏妃」を取る気まんまんだった。
でも、なんとなく手を抜きたくなって、紗音がうろついてるのをいいことに、「紗音」を取った。
その結果、「紗音」が死んで「嘉音」が残留、という盤面ができ、「嘉音反乱イベント」がいきなり発生した。
ep1の第1の晩に取られた駒は、
留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、「紗音」、郷田。
でも、ベアトリーチェが遊ばずに、最善手を打ったとしたらこうだったのです。
留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、「夏妃」、郷田。
最善手だったら、7人しかいない「右代宮ペアレンツ」を5人も取れたのです。これはかなりのいい手です。
「夏妃」は、大人キャラであるうえ、生かしておくと「銃」になれる強力な駒です。「夏妃」を残して、「紗音」を取ることによるベアトリーチェ側のメリットは、ひとつもありません。
そう、これが「手抜きの一手」に、まちがいないでしょう。
もし、ラムダデルタが指し手だったら、ここは絶対に「夏妃」を取ったはずなのです。
あれ、ということは。
このまま打っていけば、「ラムダデルタならこう打っただろう」が再現できますね。
ということは、そうじゃない部分は、ベアトリーチェの打ちグセなわけです。
じゃあそこから、「スキ」「チャンス」「弱点」が見つかるかも……。
まず、実際に起こったep1の流れを簡単にまとめてみましょう。
儀式がきれいに流れれば、
「6人が死ぬ」→「2人が死ぬ」→「5人が死ぬ」→合計13人が死んで「5人が残る」。そしてゲームエンドになります。
●ep1の流れ
「鍵の生贄」は、留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、紗音、郷田。この6人が死亡する。
夏妃が「銃」に成る。
「寄り添う2人」は、絵羽、秀吉。この2人が死亡する。
金蔵の死亡が判明する。
嘉音反乱イベント発生。嘉音死亡。
(この時点での生存者は夏妃(銃)、譲治、戦人、朱志香、真里亞/源次、南條、熊沢の8人。あと3人が死ぬ)
書斎に篭城する。
不和の手紙発見。
源次、南條、熊沢、真里亞が外に出される。
源次、南條、熊沢が死亡。これで13人死亡。5人生存。
夏妃(銃)が射殺される。
第10の晩到来。ゲームエンド。
*
さて、検討。
上から順に、変なとこがないか考えて見ましょう。
まず、6人殺しのあと、夏妃が「夏妃(銃)」に成ります。
ここ、現在仮定している駒の動きだと、ちょっと説明できなくなるんです。
「絵羽」と「秀吉」がまだ生きてます。銃は一家に一丁という仮定に従えば、ここは絵羽も、「絵羽(銃)」に成れるはずなんです。
このへん、何かうまい説明がほしいところです。
でも、今のところうまく解析できないので、ここは、「金蔵」の駒が効いているから、と仮定しておきましょう。「金蔵」の駒が生きていると、「銃」の登場数が抑制されるという仮説です。
次。
「金蔵」が取られてますね。
これもベアトリーチェの遊びでしょう。「金蔵」は、最後まで取らないでおくのがベアトリーチェにとって最も都合が良いんです。常に金蔵犯人説が疑われて、真犯人に疑いがかからないからです。
そして。
「夏妃(銃)」の射殺。これも、実は変なんです。
だって、碑文を見る限り、儀式殺人は13人めまででしょう。
彼女は14人めなんです。
彼女を殺さなくても、「第10の晩」で自動的にゲームエンドなわけですから、取る必要がまったくない。
これがラムダデルタのいう、「下らないコマを取ることがある」ではないでしょうか。
……だとしたら。他のepでも、「14人めの被害者」は、ベアトリーチェの「スキ」なのかもしれません。これに注目することで、弱点が明らかになるかもしれません。
このことに注意しておくことにしましょう。
さて。
今回、ゲームを、「チェスのような駒の動き」として見てきました。
たしかに、上層世界から見れば、このゲームは、チェスのような「駒取りゲーム」ですが、同時にこれは、「殺人犯による、連続殺人事件」でもあるわけなのでした。
では、「ベアトリーチェの遊び、手抜き」と呼ばれているものは、実際の現場では、いったい何なのか。
それって、
「犯人にとって、予定外だった行動」
「犯人がミスをとりつくろうためにしかたなく行ったこと」
ではないでしょうか。
つまり、駒の動きをトレースしてゆき、
定石とはちがう、不合理な打ち筋があったとしたら。
そこで、犯人に何かが起こってる。
トラブルが発生して、それを、とりつくろおうとしている。
第1の晩で、「夏妃」ではなくて「紗音」を殺した理由。もしくは「夏妃」を殺せなかった理由。
それがあるはずだ。それはいったい何だ。
えーと、我田引水になるようで気が引けますが、私は「朱志香犯人説」に立っていますから、それに基づくと、こう説明するんです。
サソリのお守りが夏妃の部屋にあったから。朱志香が信じているお守りの魔法を、お母さんが信じてくれたから、殺せなくなってしまった。
13人が死んだあと、夏妃と犯人が一対一で銃の勝負をする。犯人は必要もないその行動をなぜ取ったのか。
自分を守ろうと必死になっていたお母さんの姿を見たから。お母さんと銃で決闘し、もし自分が死んだら、そのまま生還させようと思った。
たとえばこんなふうに説明するんです。
私はたまたま、朱志香犯人説なので、こういうふうに説明しましたが、朱志香じゃなくてもいいと思うんです。
他の犯人説を持っている人は、その立場から、「犯人にどんなイレギュラーが発生したのか」を、想像してみてください。
たとえば「戦人犯人説」なら、戦人はなぜ夏妃を殺すのをやめて紗音を殺したのか。どうして最後に夏妃を射殺しなければならなかったのか。
それを考えて、ご自分の推理に、組み込みましょう。
そうすると、推理がより強く、説得力のあるものになります。
同じように、ep2や、ep3の打ちまわしを研究して、不合理なところを見つけてください。
そして、「ここはなぜだ」を、自説にもとづいて考えてみてください。
ベルンカステルのいう、「駒の動きを見極めて、ベアトリーチェの弱点をつけ」という助言は、たぶん、こういうことを言っていたのです。
今回、かなり具体的で、かなり有効な「戦い方」を示したと思います。
やってみて。
みんな、負けないで!
参考までに、「ラムダデルタだったらどう打つか」というのを、シミュレーションしてみました。
これ、やってみるとけっこうおもしろいですよ。
みなさんもちょっとやってみませんか。「ここが怪しい!」を、見つけてみませんか。
●ep1の最善手(ラムダデルタver.)
第1の晩。「鍵の選びし6人」で、留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、夏妃、郷田を取る。
(「銃」候補を5人削除。これで盤上に上がる「銃」は最低数の1になる)
絵羽が、「絵羽(銃)」に成る。
絵羽夫妻が場のリーダーシップを取るため、絵羽夫妻は自室で孤立することはない。よって「寄り添う2人」には選ばれない。
この時点の生存者は、
絵羽(銃)、秀吉、譲治、戦人、朱志香、真里亞/嘉音、紗音、源次、熊沢、南條。
第2の晩。「寄り添う2人」で嘉音、紗音を取る。
(「2人」に対応するのは「絵羽(銃)&秀吉」か「譲治&紗音」か「嘉音&紗音」。「譲治&紗音」だと反乱イベントが発生するため不可。「絵羽(銃)&秀吉」は、銃が秀吉と譲治を守るように動くため困難)
金蔵の死亡は発覚しない。書斎では篭城できない。
一同、客間にて篭城。
この時点の生存者は、
絵羽(銃)、秀吉、譲治、戦人、朱志香、真里亞/源次、熊沢、南條。
ベアトはあと5駒を取り、そのうちの1人は南條でなければならない。
ここで「不和の手紙」が届き、何人かが客間から追い出される。
追い出される可能性があるのは、朱志香、真里亞/源次、熊沢、南條の最大5人。
(「絵羽(銃)」は、家族を絶対に追い出さない。また「戦人」の駒はまだ取れない)
よって、追い出されたその5駒を取る。
絵羽(銃)、秀吉、譲治、戦人、(金蔵)が生存し、第10の晩にてゲームエンド。
続き→ 駒の動きその5・盤面(II)
■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
■目次2(カケラ世界・赤字・勝利条件)■
■目次(全記事)■
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駒の動きその1・南條(大爆発説)
駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音
ルールXYZを指さそう
駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)
駒の動きその4・盤面(I)
駒の動きその5・盤面(II)
駒の動きその6・盤面(III)
チェックメイト――黄金郷再び・金蔵翁の黄金郷