メガリス

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親族の顔と意見を元に描かれた西郷隆盛肖像画を「偽物」だと言うTBS『7時にあいましょう』(総合演出 川平秀二)

2016年11月24日 11時58分43秒 | 幕末維新

 平成28年11月21日(月)放送のTBS『7時にあいましょう』「末裔だけが知っていた偉人のミステリー解明スペシャル」(総合演出 川平秀二)。
 西郷隆盛親族の顔と親族・知人の意見を総合して描かれた西郷の肖像画を「偽物」だと言っていた。
 おまけに、そういう経緯で描かれたイタリア人画家 エドアルド キヨッソーネ作の肖像画ではない別作品を画面に登場させるという愚かな間違いまで犯している。
 キヨッソーネや彼の作画に協力した西郷隆盛親族知人たちが生きていたら、激怒することだろう。
 総合演出 川平秀二氏を初めとする日本のテレビ屋さんがいかに不勉強か良く判る事例だ。
 だが、西郷隆盛ソックリの風貌を持つ曾孫西郷隆文氏を登場させ、〝西郷隆盛を知る人々の協力助言で制作された西郷肖像画は西郷本人とよく似ている〟という至極当たり前の事実を世間に改めて伝えたことは評価してよい。

 ↓キヨッソーネ作の西郷隆盛肖像画。西郷隆盛の弟従道の顔の上半分と従兄大山巌の顔の下半分がそれぞれ西郷隆盛に似ているということから、双方を合成し、西郷親族や知人の意見によって修正を加え完成された。西郷の親族列席の場で「此こそ翁の真像」と評価され、西郷の妻イトに贈呈された。

 


「偽物」として当該番組に登場した肖像画。昭和初期に出版された書籍に掲載されている。

↓西郷隆盛の顔や肖像画については下記のページに詳しい。是非ご覧頂きたい。
【西郷どん】西郷隆盛の本当の顔は一般に知られている肖像画の「あの顔」で間違いなかった!!


天璋院(篤姫)が西郷に求めたのは徳川家安堵。江戸攻撃中止ではない。『林修の今でしょ!講座』 本郷和人先生、何やってるんですか?

2016年11月10日 20時31分13秒 | 幕末維新

 天璋院(篤姫)が西郷に求めたのは徳川家安堵であり、江戸攻撃中止ではない。本郷和人先生、何やってるんですか?

  平成28年11月8日(火)放送のテレビ朝日『林修の今でしょ!講座』「教科書では教えない!本当にすごい江戸のヒロインベスト3を大発表!」(ゼネラルプロデューサー 樋口圭介 ←また、アンタか)。
 第1位は天璋院(篤姫)だったのだが、彼女の事績に関する説明が非常に問題。ごく簡単に言うと、“天璋院(篤姫)が、江戸攻めを目指す新政府軍の指揮官である西郷隆盛宛てに江戸攻撃中止を求める手紙を書き、その結果江戸が戦火から救われた”というように視聴者が受け取る内容(そのように言い切ってはいないが、見る人がそのように受け取るように構成されていたということ。悪賢いと言うしかない)。NHK大河ドラマ『篤姫』における作り話と方向性は同じ。

 天璋院がその嘆願書で西郷に必死に求めたのは徳川家安堵である。“徳川慶喜はどんな天罰を受けても仕方がないが、徳川家の存続は認めてくれ”ということ。“江戸攻撃は止めてくれ”とか“江戸の民を救ってくれ”とかいう話ではない。
 実のところ、天璋院(篤姫)の嘆願書が西郷や新政府軍の動きに影響を与えた形跡は無い。〔NHK大河ドラマ『篤姫』の監修を担当された原口泉先生によれば、そもそも西郷の手に天璋院(篤姫)の嘆願書は渡らず彼は読んですらいない可能性も有るそうだ。〕マスコミも電話も電子メールも無い時代。“慶喜が江戸城を出て寺に引っ込み恭順の意を示している”という話も、実際に江戸まで兵を進めて確かめないとしょうがない。西郷率いる新政府軍は旧幕府方と戦争となる覚悟と準備で、とにかく江戸まで行かねばならないのだ。そして、西郷が駿府で山岡鉄舟と、江戸で勝海舟と面談し、慶喜の恭順の意を(一応は)本物と認めたことが「江戸城無血開城」へと繋がる。
 西郷にとって“慶喜の示した恭順の意を本物と認めていいかどうか”が全て。
天璋院(篤姫)が泣こうが喚こうが、関係無いのである。  

 このコーナーを仕切っていたのが東京大学の本郷和人先生。先生、何やってるんですか?

 天璋院(篤姫)は、嫁ぎ先である徳川家の人間になりきり故郷薩摩が中心となって起こした大変革の波から徳川家を守り抜いた、古典的「婦道」の体現者なのだ。宮尾登美子の小説『天璋院篤姫』もそういう物語。この小説に登場する「女の道は一本道」という言葉は、“女は一度嫁いだら其の家の人間になりきり婚家の繁栄に尽くさねばならない。何が有ろうと脇道に逸れることはもちろん来た道を戻り実家に帰ることも許されない”という意味。
 小説『天璋院篤姫』を原作とするNHK大河ドラマ『篤姫』では、そんなことを主題として打ち出すわけにいかないので、“ハンセンヘーワ主義者の篤姫が好戦的な西郷らを改心させ江戸と日本を戦火による滅亡から救ったのです”というアホらしいファンタジーにしたわけである。『篤姫』においては江戸城無血開城後の上野戦争や東北・北陸・北海道での戦争はナレーションですら一切触れられず、完全に“無かったこと”にされていた。







「会津観光史学」 捏造・隠蔽の怨念史観により“市場活性化”をはかり金儲けしようという行為は如何なものか。

2016年11月06日 13時41分06秒 | 幕末維新

 「会津観光史学」という言葉があるそうだ。
 “会津=善と、薩長=悪の対立”という構図を殊更に強調し「怨念史観」を拡大再生産する人々を全く理解できなかったのだが、結局のところ、金儲けらしい。非常にイヤな形で、“腑に落ちた”。

 歴史は重要な観光資源であり各自治体や地域が有効に活用すべきものであることは、鹿児島出身の私は良く判る。
 だが捏造・隠蔽による「怨念史観」を喧伝して“市場活性化”をはかり金儲けに結びつけようという行為は如何なものか。実在の坂本龍馬とは全く異なる“架空の幕末スーパーアイドル坂本龍馬”を金儲けのネタにしている「悪質龍馬業者」連中と同じではないか。史実が広まりウソが暴かれれば、大きなしっぺ返しをくらうことになるだろう。

 
 一つの参考として、下記のページをご覧頂くことをお勧めする。
 『隠蔽されてきた会津藩蛮行の歴史』




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鈴木亮平が平成30年度NHK大河ドラマ『西郷どん』(せごどん)の主役に決定。

2016年11月03日 12時21分51秒 | 幕末維新

 鈴木亮平氏が明治維新150周年である平成30年のNHK大河ドラマ『西郷どん』(せごどん)の主役に決定した。

 彼の過去の熱心な仕事ぶりから観て、真剣に西郷隆盛という英雄豪傑に取り組んでくれるだろう。良い人選である。
 唯一気になるのは目の大きさだが、其れはメイクや演技で或る程度対応可能でありさほど問題ではない。(『翔ぶが如く』で西郷隆盛を演じた西田敏行氏もそんなに目が大きいわけではない。) 

 鈴木氏とともに西郷役候補として推す人の多かった鹿児島出身の山田孝之氏は出演するのだろうか。もし出演するなら「国父」島津久光あるいは家老小松帯刀といった幕末維新期の薩摩藩を動かした重要人物役で出て欲しい。

 心配なのは脚本である。
 「篤姫との淡い恋」に加えて、今度は「ボーイズ ラブ」。どうなることやら。。。