大相撲の威信は潰されっぱなしだし、こちらは不始末ではないが、柔道が、国際商業化の波に飲まれようとしている。柔道ではない格闘技が国際柔道らしい。「あなたがたがやっているのは、柔道ではない!」と国際連盟から脱退するのもしゃくだが、何か妙案はないものだろうか?第一、前の世界大会は、カラーマットを敷いて、畳の上でやってなかったではないか。そのうち柔道着の色も七色になってしまうぞ。
日本のお家芸って、何が残っているんだろう。茶道、華道、TOYOTA、Canon?
(毎日新聞 運動部・来住哲司 2007年10月6日 東京朝刊)
◇競技化加速への対応、急務
ブラジル・リオデジャネイロで先月開かれた世界柔道選手権と国際柔道連盟(IJF)総会で、日本柔道が相次ぎ苦杯をなめた。男子代表勢が過去最低のメダル2個(金1、銅1)の惨敗。総会での教育・コーチング理事選挙では現職の山下泰裕・全日本柔道連盟(全柔連)理事が大差で落選し、日本は1952年のIJF加盟後初めて、執行部の議決権を持つポストを失った。
男子勢の不振は国際試合への対応不足を露呈した。五輪金メダリストの井上康生(綜合警備保障)と鈴木桂治(平成管財)は、いずれも先に相手を倒しながら相手の返し技がポイントとされ、敗れた。現在の国際試合での判定基準は「最後に技をかけた方を重視する」のが主流で、先に技をかけた方を重視する国内試合のそれとは異なる。日本選手は武道以来の「組んで一本を取る」という姿勢が強く、相手と離れてタックル技や返し技を狙う外国勢のスタイルに対応できていない。強化方針を根本的に見直す必要がある。
一方、総会での山下氏の落選は、連盟の会長職を朴容晟(パクヨンスン)氏(韓国)が任期途中で辞任し、マリアス・ビゼール欧州連盟前会長が就任したことの延長上にある。朴前会長の連盟運営を支持していた山下氏に対し、ビゼール新会長が対立候補を支持して山下氏を落選に追い込んだ構図だ。
48歳のビゼール氏はルーマニア出身。オーストリアに渡ってカジノ事業を興し、現在はハンガリー在住だ。選手、指導者の経験はあるが豊富な資金力と実務能力を買われて柔道界の欧州、そして世界のトップに躍り出た。
ビゼール新会長は世界選手権の毎年開催(五輪開催年は無差別級のみ)や賞金大会・グランプリシリーズの09年導入などを自ら提唱し、今総会で決定。「柔道の発展に日本の協力は欠かせない」と語り、新設した会長指名理事(8人。議決権なし)に上村春樹・全柔連専務理事を充てるなど、表向きは日本との協調姿勢を示す。ただ「観客に分かりやすいようにルールを変える」とも明言しており、過去の「カラー柔道着」導入などと同様の「競技人気向上」を理由とした改革が推し進められる可能性は大いにある。
二つの現象に共通するのは、競技発祥地である日本の柔道界の考え方が、もはや「JUDO」というスポーツの「国際基準」とは言えなくなっていること。全柔連が組織としての「JUDO」への取り組み方を真剣に考えなければならない時期に来ている。
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