:原作なしで描いていますので、筆足らずでしたらすいません:
今年のアカデミー賞で「ヒューゴの不思議な発明」と共に話題になった映画ですが、「ヒューゴ」と同様に1920年代を舞台にフランス人カントクによるハリウッドでの無声映画俳優が新しい音付映画に反発して落ちぶれてしまう中、彼をたち直そうとする頑張る元大ファンで彼の映画のエキストラで出たきっかけに大女優に成長した女性の姿をモノクロで完全台詞なし(一部、主役の無声映画俳優の悪夢での場面と終わりの部分だけ入っています)という、徹底的に無声映画として描かれていました。
今年のアカデミー賞候補作群で一番驚いたのは、同じ1920年代でも「ヒューゴ」ではフランスを舞台にSF映画の先駆者ジョルジュ・メリエス氏を軸に初期の映画史を紐解く内容といった一種カントクの懐古主義(カントク自体フィルム保存活動をなされているので)的懐かしむようなものでしたが、「アーティスト」では一人の無声映画男優を軸に映画音響技術の大変革期での映画業界の人々をモノクロ無声という技術で克明に描いたという、映画発祥の地フランスがきしくもクロスするという不思議な事態になった事です。
それも、「アーティスト」を撮ったフランス人監督が見事作品賞を取ったというので《映画発祥地の監督は強いなぁ》と思ってしまいました。パンフレッドでは、カントクは元々モノクロ無声映画を撮りたく一度シリーズモノを制作したそうですが、その後昔の無声映画を見て俳優の演技・画面構成といったのを徹底研究し今回の作品に当ったそうです。見ていて、これが本来の映画の力だと感じました。
「アーティスト」は
【現在の映画は得てして特殊映像技術に頼り見た目の派手さで娯楽性に意識が行きがちな作品とは違って、無声は俳優に最大限の演技を問い見る側も映像読解力が問われる繊細な作調】
と、気付かされる作品でした。
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